1. ニセコ町で起きた無許可建築の概要

北海道ニセコ町で、中国系の企業が町の所有地である町道をまたいでコンドミニアムの建設を行い、町から撤去を求められていたことが報道されました。 以前にもこの企業は無許可で森林伐採を行っていた経緯があり、今回の件で再び行政とのトラブルが明るみに出た形です。

町の調査によると、建物の基礎や電圧を下げるための機械(キュービクル)が町道の区域にかかっており、法令違反であるとして撤去指導が10回以上行われていたとのことです。 企業側は「町の土地だとは知らなかった」と釈明していますが、行政側はすでに法的措置を検討しているとしています。

2. 法令遵守の重要性と外国企業の課題

このような事案から見えてくるのは、日本で事業を行う際には、法令遵守がいかに重要であるかという点です。 とくに外国人企業の場合、日本の制度や法律に対する理解が不十分なまま事業を進めてしまうリスクがあります。

たとえば、土地の所有権確認や用途制限の把握、都市計画や建築基準法、森林法など、事前に確認すべき法的手続きは多岐にわたります。 それらを怠った場合、行政指導だけでなく、裁判や撤去命令といった法的リスクに直面することにもなります。

3. 行政書士としての現場からの声

私の事務所にも、外国人の方や外国人を雇用する企業から、日々さまざまな問い合わせが寄せられます。たとえば、

  • 「○○の許可取れますか?」
  • 「会社つくれますか?」

といったご相談は日常茶飯事です。中には片言の日本語で突然電話がかかってくることもあります。

しかし、許認可は画一的なものではなく、その人の在留資格、目的、業種、資金状況などにより、条件も手続きも大きく異なります。 そのため、簡単に「はい、取れます」とはお答えできず、ヒアリングを丁寧に行う必要があります。

4. 制度の複雑さと理解のズレ

日本の法制度は、外国人にとってわかりにくい部分が多いのは事実です。 日本語の壁に加え、複雑な手続き、専門用語の多さ、関係機関の多様さなどが混乱を招きやすくなっています。

それでも、日本国内でビジネスを展開する以上、現地の制度に則ることはすべての事業者に課せられた責任です。 「知らなかった」では通用せず、誤解や未確認が原因で重大なトラブルに発展することも少なくありません。

5. 外国人事業者を支えるために

こうした現実を踏まえ、行政書士として私が意識しているのは、「わかりやすく、ていねいに説明すること」「相手の立場に立って情報を提供すること」です。

法律や手続きに対する不安を抱える外国人の方にとって、最初の相談窓口となるのが私たち行政書士です。 だからこそ、信頼される存在であること、正確な知識と実務力を持つことが求められています。

6. ルールを守ることが信頼を築く第一歩

ビジネスにおいて最も大切なのは、関係する地域社会との信頼関係です。 特に日本のように、地域との調和を重んじる文化の中では、法令遵守が信頼の土台となります。

今回のようなトラブルが繰り返されることで、「外国人による事業=ルールを守らない」という偏見を助長してしまう恐れもあります。 それは、真面目に事業を行う多くの外国人にとっても大きなマイナスです。

7. トラブルを未然に防ぐために

外国人事業者が日本でスムーズにビジネスを始めるためには、以下のような点が重要です:

  • 事前に専門家に相談する
  • 許認可に必要な要件を明確にする
  • 現地の制度や法令を理解する努力をする
  • 曖昧な情報に頼らず、一次情報を確認する

8. まとめ:制度理解は成功の鍵

ニセコの無許可建築問題は、外国人企業が日本の制度理解を軽視した結果とも言えます。

しかし同時に、これは「制度理解とサポート体制の不足」が引き起こした構造的な課題でもあります。 これから日本で事業を行おうと考えている外国人や企業にとって、適切な情報提供と専門家の支援が不可欠です。

行政書士として、私はこれからも地域と外国人事業者の「橋渡し役」となり、法令を守りながら安心してビジネスが行える環境づくりを支えていきたいと考えています。