1. はじめに:過去最多となった日本語学習者数と現場の課題
文部科学省が発表した最新の日本語教育実態調査によれば、2024年11月時点で日本語を学んでいる外国人の数は29万4198人に達し、過去最多を記録しました。前年と比べて約3万1千人の増加であり、1990年度と比べるとその数はなんと約5倍。日本社会の中で「外国人と共に働き、暮らす」ことが当たり前になってきた証とも言えます。
一方で、その学習環境は決して十分とは言えません。特に留学生ではない在留外国人が日本語を学ぶための教室や支援体制が「全く存在しない地域」が全国の38.2%にも及ぶという衝撃的な事実が明らかになりました。こうした「空白地域」では、外国人が日本語を学ぶ手段そのものが乏しく、仕事・生活・地域との関わりにおいて多くの障壁となっています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b7096db44ba18040bf205ec453040e6a5653d6f9
外国人材の活用が進むなかで、このような教育機会の格差は、単なる個人の問題にとどまらず、雇用する企業や地域社会全体の課題へと広がっています。人材不足に対応する手段として外国人雇用を進める企業が多い今、日本語教育の整備は「他人事」ではありません。
この問題に向き合うことは、雇用する側、支援する側、そして社会全体にとって喫緊の課題であり、今こそ具体的な行動が求められています。
2. 増え続ける在留外国人と企業への影響
在留外国人数は年々増加しており、いまや日本の労働市場において欠かせない存在となっています。特に、飲食業、製造業、介護、建設、IT業界など、いわゆる「人手不足」が深刻な分野において、外国人材は事業継続のための“生命線”とまで言えるでしょう。地方の中小企業にとっては、もはや外国人抜きでは現場が回らないという声も少なくありません。
一方で、単に「雇用する」だけでは十分とは言えません。業務上の指示や社内ルールの理解、安全衛生教育など、日常業務を円滑に進めるには、一定の日本語力が必要不可欠です。言語の壁がある状態では、ミスコミュニケーションやトラブルの温床となり、職場のストレスや離職にもつながります。
また、日本語が十分に理解できないまま就労することで、外国人労働者自身が法的な権利や労働条件を把握できず、不当な扱いを受けやすくなるというリスクもあります。これは、雇用主としても法令遵守やコンプライアンスの面で大きなリスクとなるのです。
つまり、外国人を雇用する企業には、日本語教育への関心と、必要に応じた支援体制の構築が求められています。企業がその責任を果たすことで、外国人社員の職場定着率やパフォーマンスが向上し、結果として企業自身の成長にもつながっていくのです。
3. 日本語教育の「空白地域」とは?—38%が支援不足
日本における日本語教育機関は、大学や専門学校、法務省告示の日本語学校などが中心ですが、それらの多くは都市部に集中しており、地方においてはほとんどアクセスできない状況が続いています。そのため、留学生ではない在留外国人—例えば技能実習生や特定技能、永住者、家族滞在者といった人々が日本語を学ぶ場が圧倒的に不足しています。
文部科学省の調査によると、全国の自治体のうち38.2%が、自治体やNPO等による日本語教室が「存在しない」または「活動していない」という、いわば“教育支援の空白地域”に該当することが分かりました。これは、全国の約4割の地域において、日本語教育に関する公的・民間のサポートが事実上存在していないことを意味します。
こうした地域では、外国人が「生活に必要な日本語」や「職場で使う日本語」を学ぶ手段が限られており、職場や地域社会とのつながりが希薄になりやすいという問題があります。また、日本語が分からないことによって孤立し、精神的なストレスや社会的不適応に陥るケースも報告されています。
日本語教育の“空白”は、単に教育機会の格差だけでなく、外国人の生活基盤そのものを不安定にし、雇用する企業や地域の安全性・生産性にも悪影響を及ぼしかねません。
今後、外国人の受け入れを進める企業にとって、この「空白」をいかに埋めるかが、事業の持続可能性を左右する重要な鍵となっていくのです。
4. 外国人社員の「言語の壁」がもたらす社内トラブル
外国人社員を受け入れる企業にとって、「言語の壁」は避けて通れない問題です。日本語での指示が正しく理解されない、報告や相談がうまくできない、掲示物やマニュアルが読めない──そんな状況が日常的に起きてしまえば、企業の生産性や安全性に深刻な影響を及ぼします。
例えば、製造現場での指示が誤解されることで機械の誤操作が起きたり、建設現場での安全ルールが理解されずに事故が発生するというケースもあります。また、接客業においてはクレーム対応やお客様とのコミュニケーション不足から、トラブルの原因になることもあります。
さらに、言語による隔たりは、職場内の人間関係にも悪影響を及ぼします。意思疎通がうまくいかないことで、日本人社員との間に摩擦や誤解が生まれ、職場の雰囲気がギスギスすることも少なくありません。これが蓄積すると、外国人社員の孤立感を高め、離職の原因になりかねません。
言語の壁によって生じるこうした課題は、決して“外国人側の努力不足”ではありません。企業側がその壁を乗り越えるための仕組みや支援を用意できていないことが、問題の根底にあるのです。
日本語教育ややさしい日本語の導入など、外国人社員が安心して働ける環境づくりは、結果として企業の安定経営・人材定着に直結する重要な取り組みであるといえます。
5. 行政対応には限界がある—民間と企業の役割とは
日本語教育に対する支援は、国や自治体も一定の取り組みを進めています。文部科学省や出入国在留管理庁による補助金制度、自治体主導の日本語教室の設置などはその一例です。特に外国人の受け入れが急増している地域では、地域包括支援体制の整備が叫ばれています。
しかしながら、こうした行政の支援には限界があります。自治体によって予算や人的資源に差があり、都市部と地方との支援格差が解消されないままという状況が続いています。前述の「空白地域」が38%にも及ぶというデータが、それを如実に示しています。
また、行政が提供する日本語教育プログラムは、必ずしも就労現場の実情に即していないことも少なくありません。たとえば、現場で使われる専門用語や社内独自の言い回し、ビジネスマナーなどに対応する内容まではフォローできないケースが多いのです。
このような背景から、民間や企業自らが主体となって外国人社員への日本語教育支援を行う必要性が高まっています。企業が直接、または専門家と連携して支援を行うことで、より実務に即した効果的な教育が実現できるのです。
外国人を「雇う」だけでなく、「育てる」ことまでを視野に入れることが、これからの企業に求められる新しい責任です。
6. 日本語教育支援が企業にもたらす3つのメリット
外国人社員への日本語支援を行うことは、企業にとって「コスト」ではなく、むしろ「投資」として大きなリターンをもたらします。以下に、その代表的な3つのメリットをご紹介します。
① 定着率の向上
言語の壁によって生まれる不安やストレスは、外国人社員の早期離職の大きな原因です。しかし、企業側が積極的に日本語学習の機会を提供することで、社員の安心感や職場への帰属意識が高まり、離職率が大幅に下がることが多く報告されています。特に技能実習や特定技能で働く方々は、契約期間が限られている分、最初の定着が非常に重要です。
② 職場の生産性向上
言語支援によって現場での指示伝達が正確になり、ミスが減り、作業効率が向上します。また、報連相(報告・連絡・相談)がスムーズになれば、管理職の負担も軽減され、チーム全体の生産性が底上げされます。つまり、日本語教育は“教育”というより“経営支援”の一環なのです。
③ 企業ブランドの向上
外国人社員に対して思いやりのある支援を行う企業は、社外からも高く評価されます。求職者にとっては「外国人にも働きやすい職場」として魅力的に映り、採用活動にも好影響を与えます。また、SDGsや多様性の観点から、取引先や顧客の評価が高まることも期待できます。
このように、日本語支援は単なる人材育成ではなく、企業の競争力を強化するための重要な経営施策であると言えるでしょう。
7. 行政書士の立場から見た、企業が取るべき対応策
私たちニセコビザ申請サポートセンターは、外国人の在留資格に関する申請や更新、書類作成の専門家として、外国人雇用を支える多くの企業と関わってきました。そこで見えてくるのは、「在留資格を取る」だけでなく、「その後どう働き続けてもらうか」が企業の課題になっているという現実です。
言語支援は、その定着支援の中核を成します。たとえば、「企業が外国人社員に対して語学支援を行っている」という事実は、在留資格更新の審査時にプラス評価される場合があります。特に特定技能や技術・人文知識・国際業務などの在留資格では、企業の支援体制が評価対象になることがあるのです。
さらに、私たちは単なる書類作成の代行者ではありません。企業と外国人社員の橋渡し役として、就業規則や社内体制の見直し、労務管理の相談など、実務に即した支援を行っています。日本語教育に関しても、NPOや語学講師、専門団体とのネットワークを活かして、企業に最適な支援方法をご提案することが可能です。
「日本語教育ってどう始めたらいいの?」
「どの程度の支援が必要なのかわからない…」
そんなお悩みを抱えている企業の皆様、ぜひ一度ニセコビザ申請サポートセンターにご相談ください。あなたの会社に合った支援の形を、一緒に考えていきましょう。
8. 当事務所の支援体制とサポートメニュー紹介
外国人を雇用する企業にとって、「在留資格の取得・更新」はもちろんのこと、その後の「定着支援」まで含めたトータルサポートが求められる時代です。当事務所では、行政書士業務の枠を超え、企業と外国人社員の“橋渡し役”として、より実務に即した支援体制を整えています。
中でも、近年ニーズが高まっているのが「日本語教育」に関するサポートです。外国人社員の定着や生産性向上には、日本語スキルの向上が不可欠であるという認識が広がりつつあり、多くの企業からご相談をいただいております。
ニセコビザ申請サポートセンターで提供している主なサポートメニューは以下のとおりです:
- 外国人社員向け「やさしい日本語」講座の企画支援
社内研修として導入しやすい形で、日本語初級者でも理解しやすい内容を企画・カスタマイズいたします。 - 日本語教育の外部連携先のご紹介
信頼できる語学講師やNPO団体など、目的や地域に応じた最適なパートナーをご紹介可能です。 - 社内マニュアルや掲示物の「やさしい日本語」翻訳
難解な日本語を簡素化し、外国人社員でも理解できる形式に再構成。安全マニュアルや労働条件通知書などに特に有効です。 - 就労ビザ更新時に必要な「企業の支援内容報告書」の作成
企業が行っている支援体制を明確に示すことで、更新審査時にプラス評価が得られる可能性があります。
「日本語教育の支援を始めたいけど、何から手をつけたらいいのかわからない」
そんな企業の皆様に対して、ニセコビザ申請サポートセンターは一から丁寧にご案内いたします。制度の理解、実施内容の検討、実務への落とし込みまで、総合的にお手伝いしますので、ご安心ください。
9. まとめ:言語支援は「定着支援」の第一歩
外国人材の雇用が一般的になってきた今、企業が取り組むべきなのは「採用」だけではありません。むしろ、雇用した人材が安心して長く働けるよう「定着」させることが、企業の安定経営と成長にとって最も重要な鍵となります。
その定着支援の中心にあるのが「言語支援」です。
日本語が十分に理解できない状態では、仕事上の指示が伝わらないだけでなく、職場での孤立やトラブルの原因にもなりかねません。逆に、日本語教育を通じて円滑なコミュニケーションが実現すれば、業務効率が上がり、職場の雰囲気も良くなり、離職率の低下につながります。
日本語教育支援は、決して「教育機関や行政がやること」だけではありません。企業が自らの責任として積極的に関与することで、外国人社員との信頼関係が深まり、長期的な雇用関係の構築が可能になります。
ニセコビザ申請サポートセンターでは、行政手続きの代行だけでなく、日本語教育支援を含めた総合的な外国人雇用支援サービスを提供しております。外国人社員の言語面・制度面の両方からのサポートを通じて、企業の人材戦略を力強く後押しいたします。
もし、外国人社員の言語支援、あるいは在留資格に関してお悩みがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
初めての企業様にも分かりやすく、丁寧にご説明いたします。
