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🧠はじめに:なぜ今、永住権取得の基準が変わるのか

日本で安定した生活とビジネスを築くことを目指す外国人経営者にとって、「永住権の取得」は大きな目標の一つです。在留資格の更新という不安定な状況から解放され、日本での長期的な事業展開と生活基盤を確立できる──それが永住権の最大の魅力といえるでしょう。

特に経営管理ビザから永住を目指す方は、これまで「在留期間5年以上」「安定的な収入と納税」「素行善良」などの要件を満たすことが中心でした。多くの外国人経営者が、この基準を目指して事業を続けてこられました。

しかし──

2025年10月16日以降、永住申請の”出発点”である経営管理ビザの取得・維持自体が大幅に厳格化されることが決まりました。これは単なる「ハードルの引き上げ」ではなく、日本における外国人経営者の位置づけそのものを見直す、極めて重要な政策転換といえます。

本記事では、これまでの永住要件に加え、新たに導入される「3つの新要件」を含めて、申請の現実を徹底解説いたします。これから永住を目指す方はもちろん、すでに経営管理ビザをお持ちの方も、今後の対策を考える上で必読の内容となっております。

📌第1章:永住申請の基本要件(従来の要件)

まず、経営管理ビザから永住権を取得するための従来の基本要件を確認しておきましょう。これらは2025年10月以降も基本的に変更されない「土台となる要件」です。

永住申請の主な要件(経営管理ビザ保有者の場合)

要件項目詳細内容
在留期間原則10年以上(うち5年以上は就労系ビザ)。経営管理ビザの場合、5年以上の実績が必要。ただし、高度人材ポイント制度などで短縮措置あり。
収入・納税安定的かつ継続的な収入があること(扶養家族も加味)。直近5年の納税・保険料納付状況が良好であること。役員報酬が極端に低い場合は独立生計要件を満たさない可能性あり。
素行善良前科・交通違反がなく、社会的信用に問題がないこと。軽微な交通違反(駐車違反等)でも、複数回の場合は審査に影響する可能性あり。
独立性事業が実体を持ち、経営者としての独立性が確保されていること。名義貸しや形式的な設立は認められず、実際の事業活動が必要。
公共の負担にならない生活保護等を受けていないこと。家族を含めて自立した生計を営んでいることが求められる。
住民登録・年金加入住民登録が継続しており、国民年金・健康保険に適切に加入していること。未納期間があると審査に大きく影響する。
日本への定着意思長期的に日本で生活する意志が明確であること。日本での資産形成、家族の状況、地域社会との関わりなどが総合的に判断される。

これらの要件は、外国人が日本社会に安定的に定着し、公共の負担とならずに生活できるかを判断するための基準です。特に経営管理ビザの場合、「事業の継続性」と「経営者としての実績」が重視されます。

従来の審査で重視されていたポイント

従来の永住申請では、以下のような点が特に重視されてきました:

事業の安定性: 毎年黒字であることが理想ですが、一時的な赤字でも事業の継続性が説明できれば考慮される場合がありました。ただし、連続して赤字が続く場合や、売上が極端に少ない場合は、事業実態が疑われることがありました。

役員報酬の適正性: 経営管理ビザの場合、役員報酬が独立生計を営むのに十分な額であることが求められます。具体的な基準は公表されていませんが、一般的には扶養家族の人数に応じて年収300万円~500万円以上が目安とされてきました。

納税の完全性: 所得税、法人税、消費税、住民税など、すべての税目について適切に申告・納付していることが必要です。納税証明書で未納がないことを証明する必要があり、過去に未納があった場合でも、完納していれば考慮される場合がありました。

社会保険の加入状況: 健康保険・厚生年金への加入は必須です。国民健康保険・国民年金の場合でも、未納期間がないことが重要です。特に直近2年間の納付状況、未納がないだけでなく、期限内に全額納付されていたかも含め、厳しくチェックされます。

これらの基準は、多くの外国人経営者にとって「達成可能だが、きちんと準備が必要」というレベルのものでした。しかし、2025年10月以降は、これらに加えてさらに厳しい要件が追加されることになります。

⚠️第2章:2025年10月以降、経営管理ビザに「3つの追加要件」が登場

ここが本記事の最も重要なポイントです。2025年10月16日以降、経営管理ビザの取得・更新に際して、以下の3つの新要件が追加されることが決定しました。

これは単に「これから経営管理ビザを取る人」だけの問題ではありません。すでに経営管理ビザをお持ちの方が永住申請をする際にも、申請時点でこれらの要件を満たしているかが審査されるのです。

つまり、経営管理ビザからの永住申請における「経営実績」としてカウントされるためには、以下の3点を全て、永住申請時に満たしていることが重要です。

🧱新要件1:資本金3,000万円以上

従来の基準: 資本金500万円以上

新基準: 資本金3,000万円以上

この変更は、経営管理ビザの要件として最も大きなインパクトを持つものです。従来の6倍という大幅な引き上げであり、多くの外国人経営者にとって最大のハードルとなるでしょう。

なぜ3,000万円なのか?

この基準の背景には、以下のような政策意図があると考えられます:

日本経済への実質的貢献の担保: 500万円という従来の基準では、実質的な事業活動を行わない「ペーパーカンパニー」や「名目的な会社設立」が可能でした。3,000万円という基準は、本格的な事業活動を行う意思と能力がある経営者を選別するための水準といえます。

形式的設立・ペーパーカンパニーの排除: 近年、経営管理ビザを利用した実態のない会社設立が問題視されてきました。高額の資本金要件を設けることで、このような形式的な設立を防止する狙いがあります。

国際的な基準との整合性: 他の先進国における投資家ビザや起業家ビザと比較すると、従来の500万円という基準は低すぎるという指摘がありました。3,000万円という水準は、国際的にも妥当な範囲といえます。

📌実務ポイント:資本金対策

この要件に対応するためには、以下のような準備が必要です:

資金調達の計画: 3,000万円という金額は、個人で用意するには相当な額です。自己資金だけでなく、外部投資家からの出資、親族からの贈与、金融機関からの借入など、複数の資金源を組み合わせることが現実的でしょう。

出資者の選定と説明責任: 外部から出資を受ける場合、その出資者の身元と資金源の正当性を説明する必要があります。マネーロンダリング防止の観点から、出資金の出所を明確に証明できる書類(銀行の残高証明書、送金記録など)が求められます。

払込証明書の整備: 資本金の払込については、銀行の払込証明書が必要です。現金での払込ではなく、必ず銀行口座を通じた手続きを行い、明確な記録を残すことが重要です。

増資のタイミング: すでに経営管理ビザをお持ちの方で、現在の資本金が3,000万円未満の場合、2028年の経営管理ビザ更新までに増資を完了させる必要があります。増資の手続きには、株主総会の決議、登記申請など、一定の時間がかかりますので、早めの準備が必要です。

👥新要件2:常勤の日本人等従業員を1名以上雇用していること

新基準: 常勤の日本人等従業員を1名以上雇用すること

この要件は、事業の「実体性」と「日本経済への貢献」を担保するための重要な基準です。

「常勤の日本人等従業員」とは?

この要件を正しく理解するために、各要素を詳しく見ていきましょう:

「常勤」の定義: 単なるアルバイトやパートタイムではなく、フルタイムで勤務し、社会保険(厚生年金・健康保険)に加入していることが条件です。具体的には、週30時間以上の勤務が目安となります。

「日本人等」の範囲: これには以下の方々が含まれます:

  • 日本国籍者
  • 永住者
  • 定住者
  • 特別永住者
  • 日本人の配偶者等

逆に、就労ビザを持つ外国人(技術・人文知識・国際業務、技能など)はこの要件の対象外となります。

「実際に稼働していること」: 単なる雇用契約の存在だけでは不十分です。実際に出勤し、業務を行っていることを証明する必要があります。親族や知人の名義貸しは認められません。

なぜこの要件が導入されるのか?

事業の実体性の確認: 実際に日本人を雇用して事業を運営しているということは、事業が実体を持って継続していることの証明になります。ペーパーカンパニーでは日本人従業員を雇用することは現実的に困難です。

日本の雇用市場への貢献: 外国人経営者が日本で事業を行う以上、日本の雇用創出に貢献することが期待されます。この要件は、その最低限の基準といえます。

労働法令の遵守: 日本人従業員を雇用することで、労働基準法、労働契約法、社会保険関連法令など、日本の労働法制を遵守する必要が生じます。これにより、経営者の法令遵守意識が高まることが期待されます。

📌実務ポイント:従業員雇用対策

採用計画の前倒し: これまで「いずれは従業員を雇用したい」と考えていた方も、この要件に対応するために採用計画を前倒しする必要があります。ただし、事業規模に見合わない雇用は経営を圧迫しますので、慎重な判断が必要です。

労働契約書の整備: 雇用の実態を証明するために、労働契約書は必須です。勤務時間、給与、職務内容などを明確に記載した契約書を作成し、双方が署名・捺印したものを保管しておきましょう。

出勤記録の管理: タイムカードや勤怠管理システムなどで、従業員が実際に出勤していることを記録しておく必要があります。在宅勤務の場合でも、勤務実態を証明できる記録(業務報告書、メールのやり取りなど)を残しておきましょう。

給与明細と源泉徴収: 給与の支払いについては、銀行振込で行い、給与明細を発行することが重要です。また、源泉徴収を適切に行い、税務署への納付を忘れずに行いましょう。

社会保険の手続き: 従業員を雇用したら、5日以内に社会保険(厚生年金・健康保険)の加入手続きを行う必要があります。この手続きを怠ると、労働法令違反となり、ビザ審査に悪影響を及ぼします。

雇用の安定性: 短期間で従業員が辞めてしまうと、事業の安定性に疑問を持たれる可能性があります。従業員が長く働きたいと思える職場環境を整えることも重要です。

🗣新要件3:経営者または常勤従業員が日本語能力N2以上であること

新基準: 経営者本人または常勤従業員のいずれかが、日本語能力試験(JLPT)N2レベル以上の日本語能力を有すること

この要件は、事業運営における円滑なコミュニケーションと、法令遵守を担保するための基準です。

日本語能力N2とは?

日本語能力試験(JLPT)のN2レベルは、以下のような能力を指します:

読解能力: 新聞や雑誌の記事・解説、平易な評論など、幅広い話題について書かれた文章を読んで理解できる。

聴解能力: 日常的な場面に加えて、幅広い場面で、自然に近いスピードのまとまりのある会話やニュースを聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係を理解できる。

実務的には: ビジネス上の契約書や公的文書をある程度理解でき、取引先や行政機関との基本的なコミュニケーションが可能なレベルといえます。

なぜ日本語能力が求められるのか?

対外的な取引の円滑化: 日本で事業を行う以上、取引先、顧客、金融機関など、様々な関係者とコミュニケーションを取る必要があります。一定の日本語能力がなければ、円滑な取引は困難です。

行政との対応: 税務署、労働基準監督署、市区町村役場など、行政機関との手続きや対応には、日本語での文書理解と会話能力が不可欠です。

法令遵守の観点: 日本の法令は当然ながら日本語で書かれています。経営者が法令を理解し、遵守するためには、一定の日本語能力が必要です。

従業員とのコミュニケーション: 日本人従業員を雇用する場合、業務指示や労務管理において、日本語でのコミュニケーションが必要になります。

📌実務ポイント:日本語能力対策

経営者本人が取得する場合:

JLPT試験の日程を確認し、計画的に学習を進めることが重要です。JLPTは年2回(7月と12月)しか実施されませんので、受験機会を逃さないよう注意が必要です。

日本語学校やオンライン学習サービスを活用し、効率的に学習を進めましょう。N2レベルに達するには、一般的に600~800時間程度の学習が必要とされています。

試験対策だけでなく、実際のビジネス場面で使える日本語を学ぶことが、事業運営にも役立ちます。

N2相当の従業員を雇用する場合:

経営者本人が日本語能力を満たせない場合、N2以上の資格を持つ日本人または永住者等を雇用することで要件を満たすことができます。

この場合、その従業員が経営に実質的に関与し、対外的な対応を担当できることを証明する必要があります。単なる事務員やアルバイトでは、要件を満たさない可能性があります。

従業員が持つ日本語能力証明書(JLPT合格証など)のコピーを保管しておきましょう。

その他の日本語能力証明:

日本の大学や大学院を卒業している場合、その学位が日本語能力の証明として認められる場合もあります。

🔧第3章:今から備えるための実践アドバイス

では、これから永住を目指す外国人経営者は、どのように準備を進めればよいのでしょうか。具体的な対策を項目別に解説します。

包括的な対策表

対策項目具体的な内容優先度準備期間の目安
資本金対策増資の計画・タイミングの整理、外部出資者の活用、金融機関との交渉、払込証明書の準備★★★(最高)3~6ヶ月
従業員雇用雇用計画の前倒し、求人活動、労働契約書の整備、社会保険手続き、定着支援体制の整備★★★(最高)2~4ヶ月
日本語能力JLPT受験計画、語学学校利用、N2人材の先行採用、ビジネス日本語の実践的学習★★☆(高)6~12ヶ月
書類整備就労契約、出勤簿、給与台帳、語学証明、事業計画書、財務諸表の整理★★★(最高)随時・継続的
納税・社会保険過去の未納の解消、今後の確実な納付、納税証明書の定期確認★★★(最高)即時対応
事業の安定化売上・利益の確保、取引先の多様化、事業計画の明確化★★☆(高)継続的
専門家との連携行政書士、税理士、社会保険労務士との定期的な相談体制の構築★★☆(高)初期段階から

1. 資本金対策:3,000万円への道筋

資本金3,000万円という基準は、多くの方にとって最大のハードルとなるでしょう。以下のような方法を検討してください:

自己資金の準備:

  • 海外の銀行口座にある資金を日本に送金する(海外送金の記録を必ず保管)
  • 不動産や株式などの資産を売却して資金化する
  • 親族からの贈与を受ける(贈与契約書を作成し、贈与税の申告を適切に行う)

外部出資者の活用:

  • 事業計画を作成し、投資家やベンチャーキャピタルに出資を依頼する
  • 共同経営者を募り、出資を受ける(経営権の配分には注意が必要)
  • エンジェル投資家やクラウドファンディングの活用も選択肢

金融機関からの借入:

  • 日本政策金融公庫などの公的機関からの融資を検討(創業融資など)
  • 地方銀行や信用金庫との関係構築(ただし、返済計画は慎重に)

段階的な増資:

  • 一度に3,000万円を用意できない場合、事業の成長に合わせて段階的に増資する計画も有効
  • ただし、永住申請までに3,000万円を達成する必要があるため、タイミングには注意

重要な注意点:

  • 資本金は「会社の財産」であり、払い込み後に引き出すことは可能です。しかし、事業運営に必要な資金として適切に管理する必要があります。
  • 見せ金(一時的に借りて払い込み、すぐに返済する)は絶対に避けてください。資金の流れは入管が詳細にチェックします。
  • 資金の出所を明確に証明できる書類(銀行の残高証明書、送金記録、贈与契約書など)を必ず保管してください。

2. 従業員雇用対策:質の高い雇用を実現する

単に「雇用すればよい」というものではなく、実質的で継続的な雇用が求められます。

採用計画の策定:

  • 事業の規模と内容に見合った職種を明確にする(経理、営業、マーケティング、カスタマーサポートなど)
  • 給与水準を市場相場に合わせて設定する(安すぎると人材が集まらず、高すぎると経営を圧迫)
  • 採用時期を逆算し、永住申請までに一定期間の雇用実績を作る

求人活動:

  • ハローワーク、求人サイト、人材紹介会社などを活用
  • 外国人経営者であることを理解してくれる人材を探す(異文化理解がある人材は貴重)
  • 面接では、長期的に働く意思があるか、会社のビジョンに共感できるかを確認

労働環境の整備:

  • 労働契約書を適切に作成する(労働時間、休日、給与、職務内容などを明記)
  • 就業規則を作成する(従業員が10名未満でも、トラブル防止のために推奨)
  • 社会保険に確実に加入する(厚生年金・健康保険)
  • 労働基準法を遵守し、残業代の適切な支払い、有給休暇の付与などを行う

定着支援:

  • 従業員が辞めてしまうと、再度採用する手間とコストがかかります
  • 定期的な面談を行い、不満や要望を聞く
  • 適切な評価とフィードバックを行い、モチベーションを維持する
  • 可能であれば、昇給やボーナスなどのインセンティブを設ける

記録の保管:

  • 労働契約書、雇用保険・社会保険の加入証明、給与明細、出勤簿などを整理して保管
  • これらの書類は、永住申請時に提出を求められる可能性があります

3. 日本語能力対策:N2レベルへの挑戦

日本語能力N2は、ビジネスレベルとしては「最低限」のラインといえます。計画的な学習が必要です。

経営者本人が取得する場合:

学習計画の立案:

  • 現在の日本語レベルを客観的に評価する(模擬試験などを活用)
  • N2合格までに必要な学習時間を見積もる(一般的に600~800時間)
  • 週あたりの学習時間を確保し、継続的に学習する

学習方法:

  • 日本語学校に通う(対面授業で実践的な会話力が身につく)
  • オンライン学習サービスを活用する(時間の柔軟性が高い)
  • JLPT対策の教材を使用する(文法、語彙、読解、聴解を総合的に)
  • 日本人と積極的に会話する(取引先、従業員、地域住民など)

試験対策:

  • JLPTは年2回(7月・12月)のみ実施されるため、受験機会を逃さない
  • 試験の3ヶ月前からは、過去問を繰り返し解く
  • 特に聴解が難関なので、日本語のニュースやドラマを視聴する習慣をつける

N2相当の従業員を雇用する場合:

採用時の確認:

  • JLPTの合格証明書を提出してもらう
  • 面接で実際の日本語能力を確認する(書類だけでは不十分)
  • ビジネス日本語の能力があるかを見極める

役割の明確化:

  • その従業員が対外的な窓口として機能できるように、職務内容を設計する
  • 契約書作成、行政手続き、取引先との交渉などを担当させる
  • 経営者が最終判断を行うとしても、実務的な対応はその従業員に任せる

4. 書類整備:証拠を残すことの重要性

永住申請では、膨大な書類の提出が求められます。日頃から適切に書類を整理・保管する習慣をつけましょう。

会社関係の書類:

  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 定款
  • 株主名簿
  • 事業計画書
  • 財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)
  • 法人税・消費税の確定申告書と納税証明書

個人関係の書類:

  • 住民票
  • 戸籍謄本(家族がいる場合)
  • パスポートのコピー
  • 在留カードのコピー
  • 所得税の確定申告書と納税証明書
  • 住民税の納税証明書
  • 年金・健康保険の納付証明書

雇用関係の書類:

  • 労働契約書
  • 雇用保険・社会保険の加入証明
  • 給与台帳
  • 源泉徴収簿
  • 出勤簿

日本語能力関係:

  • JLPTの合格証明書
  • 日本語学校の修了証明書
  • その他の日本語能力証明

その他:

  • 賃貸契約書(住居)
  • 公共料金の領収書
  • 銀行口座の取引履歴
  • 交通違反がないことの証明(運転記録証明書)

これらの書類は、定期的にファイリングし、いつでも取り出せるようにしておくことが重要です。

5. 納税・社会保険対策:未納ゼロを目指す

永住申請において、納税と社会保険の納付状況は極めて重視されます。

過去の未納がある場合:

  • 速やかに完納する(分割納付の相談も可能)
  • 完納後、納税証明書を取得して確認する
  • 未納期間があった理由を説明できるように準備する(やむを得ない事情があった場合)

今後の確実な納付:

  • 納付期限を確実に守る(カレンダーに記入、リマインダー設定)
  • 可能であれば口座振替を利用する(納付忘れを防ぐ)
  • 税理士や社会保険労務士に定期的に確認してもらう

特に注意すべき税目:

  • 所得税・法人税(法人事業税を含む)
  • 消費税
  • 住民税(法人住民税を含む)
  • 固定資産税(不動産を所有している場合)
  • 自動車税(車を所有している場合)

社会保険:

  • 厚生年金
  • 健康保険
  • 雇用保険(従業員を雇用している場合は必須)
  • 労災保険(従業員を雇用している場合は必須)

6. 事業の安定化:継続的な成長を示す

永住申請では、「今後も日本で安定的に生活できるか」が審査されます。そのためには、事業が継続的に成長していることを示すことが重要です。

売上・利益の確保:

  • 毎年黒字を維持することが理想(一時的な赤字は説明可能であれば許容される場合も)
  • 売上が増加傾向にあることを示す
  • 新規事業や新商品の開発など、成長の取り組みを説明できるようにする

取引先の多様化:

  • 特定の取引先に依存しすぎないようにする
  • 複数の取引先と継続的な関係を築く
  • 取引実績を示す契約書や請求書を保管する

事業計画の明確化:

  • 今後3~5年の事業計画を作成する
  • 市場分析、競合分析、財務計画などを含める
  • 永住申請時に、今後の事業展開について説明できるようにする

社会的信用の構築:

  • 業界団体への加入
  • 地域の商工会議所への参加
  • 社会貢献活動(地域イベントへの協賛など)
  • これらの活動は、日本社会への定着意思を示すことにもつながります

7. 専門家との連携:早めの相談が成功の鍵

永住申請は複雑で専門的な手続きです。早い段階から専門家と連携することをお勧めします。

行政書士(入管専門):

  • ビザ申請の専門家
  • 永住申請の要件を満たしているかの診断
  • 申請書類の作成と提出代行
  • 入管との折衝

税理士:

  • 法人税・所得税の申告
  • 納税証明書の取得支援
  • 税務上のアドバイス
  • 財務諸表の作成

社会保険労務士:

  • 従業員の雇用に関する手続き
  • 労働契約書・就業規則の作成
  • 社会保険の加入手続き
  • 労務管理全般

弁護士:

  • 法的トラブルが発生した場合
  • 契約書のレビュー
  • 株主間の紛争など

これらの専門家と定期的に相談し、永住申請に向けた準備を進めることが、成功への近道です。

💡まとめ:経営管理ビザの「質」が問われる時代へ

2025年10月以降、経営管理ビザから永住権を取得するための道のりは、確実に厳しくなります。しかし、これは決して「不可能になる」ということではありません。

むしろ、「本気で日本で事業を行い、日本社会に貢献する意思のある経営者」を選別するという、本来あるべき姿に近づいたといえます。

永住申請のために必要な視点

永住申請のために必要な「在留実績」は、今後単なる”年数”ではなく、「内容のある在留」であったかが審査の本質となります。

具体的には:

実体のある事業運営: ペーパーカンパニーではなく、実際に売上を上げ、従業員を雇用し、日本経済に貢献している事業であること。

法令の遵守: 税金・社会保険の納付、労働法の遵守など、日本の法令を理解し、適切に守っていること。

日本社会への定着: 日本語能力を含め、日本社会に溶け込み、長期的に生活する基盤を築いていること。

経済的な安定性: 事業が継続的に利益を上げ、家族を含めて安定した生活ができていること。

これらの要素を総合的に満たしている経営者こそが、永住権にふさわしいと判断されるのです。

今すぐ始めるべきこと

これから経営管理ビザでの永住を目指す方は、以下のアクションを今すぐ開始してください:

  1. 現状の診断: 現在の自分の状況(資本金、従業員、日本語能力、納税状況など)を客観的に評価する
  2. ギャップの特定: 新要件と現状のギャップを明確にする
  3. 行動計画の作成: ギャップを埋めるための具体的な行動計画を立てる(いつまでに、何を、どのように)
  4. 専門家への相談: 行政書士などの専門家に早めに相談し、アドバイスを受ける
  5. 実行と記録: 計画を実行に移し、すべての過程を記録・保管する

長期的な視点を持つ

永住申請は、一朝一夕にできるものではありません。数年単位での長期的な準備が必要です。

しかし、その過程で築いた事業基盤、人材、社会的信用は、永住権の取得だけでなく、事業の成功そのものにつながります。

永住権取得は目的ではなく、日本で長期的に成功するための手段と考えれば、今から始める準備のすべてが、意味のある投資となるはずです。

最後に

日本は、真剣に事業を行い、社会に貢献する外国人経営者を歓迎しています。新しい要件は厳しく見えますが、それは「質の高い外国人経営者」を受け入れるための基準なのです。

この基準をクリアすることは簡単ではありませんが、決して不可能ではありません。計画的に、着実に準備を進めることで、永住権取得という目標を実現することができます。

本記事が、皆様の永住権取得への道のりの一助となれば幸いです。日本での成功を心よりお祈りしております。



📚参考情報・関連リンク

  • 出入国在留管理庁 公式サイト
  • 法務省 在留資格関連情報
  • 日本語能力試験(JLPT)公式サイト
  • 経営管理ビザに関する最新情報

※本記事は2026年2月時点の情報に基づいています。最新の情報は必ず入管の公式サイトや専門家にご確認ください。