2026年4月15日から、在留資格「技術・人文知識・国際業務」(いわゆる技人国ビザ)の新規申請・更新・変更において、新たな提出書類と要件が追加されました。

この改正は、外国人を雇用する企業の経営者・人事担当者、そして外国人本人にとって、非常に大きな影響を与えるものです。

本記事では、行政書士として日々ビザ申請の実務に携わる立場から、今回の改正ポイントを丁寧に解説します。「何が変わったのか」「自社にどう影響するのか」「今からどう準備すればいいのか」——この3つの疑問にお答えする内容になっています。

■ 技人国ビザ改正の背景|なぜ今、新ルールが導入されたのか

今回の制度改正の背景には、大きく2つの目的があります。

1つ目は、外国人が経営する企業における雇用管理の適正性を確認すること。
2つ目は、業務内容に見合った言語能力が備わっているかどうかを確認することです。

近年、日本で外国人が起業するケースが増えています。しかし一方で、設立間もない企業や小規模企業の中には、雇用契約や就業規則の整備が不十分なケースも見られました。

入国管理局としては、「ビザを出す以上、その企業がきちんと法令を守り、外国人従業員を適切に管理できるか」を、より厳格に確認するようになったのです。

また、業務内容が「通訳」「翻訳」「営業」などコミュニケーションに関わるものであるにもかかわらず、実際にはその言語をほとんど使えないケースも問題視されていました。こうした背景から、言語能力の証明が制度として明文化されました。

■ 新ルール①|「所属機関の代表者に関する申告書」とは何か

今回新たに提出が求められる書類の1つが、「所属機関の代表者に関する申告書」です。

▼ 申告書に記載する内容
・会社代表者の氏名
・代表者の国籍(日本人・特別永住者・それ以外のいずれか)
・外国人の場合は、在留カード番号

この申告書には、代表者本人の署名が必要です。さらに、記載内容が事実と異なる場合には、申請自体の信頼性が損なわれ、「別個の申請」として取り扱われる可能性がある旨が明記されています。

つまり、虚偽の申告があった場合には、その企業からの申請全体が不利に扱われるリスクがあるということです。

▼ なぜこの書類が必要になったのか

この制度の狙いは、特に外国人が代表を務める企業に対して、日本の労働関連法規や社会的規範をきちんと理解し、遵守しているかを確認することにあります。

日本人や特別永住者が代表である企業と比べると、外国人経営企業に対しては追加的な確認が入る形になります。

▼ 対象企業はどこか——カテゴリー3・4の企業が対象

ここで非常に重要なのが、この申告書はすべての企業に求められるわけではないという点です。

対象となるのは、入管が定める以下のカテゴリーに該当する企業です。

・カテゴリー4:設立からおおよそ1年以内で、法定調書合計表が未作成・未提出の企業
・カテゴリー3:前年分の法定調書合計表における源泉徴収税額が1,000万円以下の比較的小規模な企業

つまり、大企業や上場企業は対象外であり、新設企業・小規模企業・外国人経営の企業に限定して、追加の書類提出義務が課されている形です。

なお、申告書の様式は入国管理局のホームページからダウンロードできます。
https://www.moj.go.jp/isa/content/001460221.pdf

■ 新ルール②|CEFR B2相当の言語能力証明が必要に

今回の改正で2つ目の大きな変更点は、業務内容に応じて「CEFR B2以上の言語能力」を証明する必要が生じた点です。

CEFR(セファール)とは、欧州で広く使われている外国語能力の国際基準で、B2は「自立した言語使用者」に相当するレベルです。

▼ どんな業務が対象になるのか

以下のように、「言語力が業務の成果に直結する職種」が対象になります。

・通訳・翻訳・語学指導(いわゆる国際業務)
・日本人従業員のマネジメント業務
・営業・広報・マーケティング業務(日本人顧客対応を含むもの)

一方で、ITエンジニアなど技術職で、主に技術的スキルが求められる業務については、現時点で言語能力証明は必須とはされていません(ただし、業務内容によっては例外あり)。

▼ 言語能力の証明方法

日本語でのCEFR B2相当の能力の場合は、以下のいずれかで証明できます。

・JLPT(日本語能力試験)N2以上の合格
・BJTビジネス日本語能力テスト 400点以上
・日本の大学を卒業していること
・日本での教育歴があること(義務教育を含む)
・日本での長期居住歴があること(目安として20年以上)

▼ 外国語の場合も証明が必要——「母語だから不要」ではない

ここが実務上の大きな注意点です。

例えば、中国語が母語の方が英語を用いて営業業務を行う場合、英語についてもCEFR B2以上の証明が必要になります。

つまり、「母語だから証明はいらない」という扱いではなく、あくまで「業務で使用する言語」ごとに証明が求められるという考え方です。

採用時にこの点を見落としてしまうと、申請時に追加書類を求められたり、不許可のリスクが生じたりする可能性があるため、十分に注意が必要です。

▼ 対象企業はどこか——カテゴリー3・4の企業が対象

ここで非常に重要なのが、この申告書はすべての企業に求められるわけではないという点です。

対象となるのは、入管が定める以下のカテゴリーに該当する企業です。

・カテゴリー4:設立からおおよそ1年以内で、法定調書合計表が未作成・未提出の企業
・カテゴリー3:前年分の法定調書合計表における源泉徴収税額が1,000万円以下の比較的小規模な企業

つまり、大企業や上場企業は対象外であり、新設企業・小規模企業・外国人経営の企業に限定して、追加の書類提出義務が課されている形です。

■ 企業と申請者が押さえるべき実務対応のポイント

今回の改正によって、実務上は以下の3点が特に重要になります。

▼ ポイント①:企業側の雇用管理体制が問われる

代表者の在留状況が明確であること、適切な雇用契約が締結されていること、就業規則や労務管理の仕組みが整備されていること——これらが不十分な場合、在留資格の許可判断に直接影響する可能性が高まりました。

特にカテゴリー3・4に該当する企業は、今回の改正で「追加書類の提出」が義務付けられたことで、書類審査のハードルが一段上がったと考えるべきです。

▼ ポイント②:業務内容の説明がより具体的に求められる

これまでは「営業職」「通訳」といった職種名で説明が通るケースもありましたが、今後は「誰に対して」「どの言語で」「どのような業務を行うのか」を、申請書類の中で具体的に記述する必要があります。

この部分の記載が曖昧だと、言語能力要件の適用有無の判断に影響し、審査が長引いたり、不許可になったりするリスクがあります。

▼ ポイント③:言語能力の裏付け資料を事前に準備する

言語試験の結果、学歴証明書、職務経歴書など、言語能力を裏付ける資料は、申請前に漏れなく整理しておくことが重要です。

特に、試験結果が古い場合や、証明手段が限られている場合には、代替手段の検討も含めて早めに専門家に相談されることをお勧めします。

■ 行政書士に相談するメリット|制度改正時こそ専門家の知見が活きる

今回の改正は、一見すると「提出書類が1つ増えた」「言語の要件が加わった」だけに思えるかもしれません。

しかし実務上は、審査の視点そのものが変わったと言って差し支えありません。

特に以下の判断は、制度と実務の両方に精通していなければ難しいものです。

・自社がどのカテゴリーに該当するかの正確な判断
・申請する業務が言語能力要件の対象になるかどうかの判断
・業務内容の説明と言語能力の証明をどう整合させるかの戦略設計

不適切な申請を行ってしまった場合、不許可という結果だけでなく、再申請までの時間的ロス、企業としての信用低下といった二次的なリスクも生じます。

「自社が対象になるのか分からない」
「どの書類を準備すべきか判断がつかない」
「採用を予定している外国人が要件を満たすか不安」

こうしたお悩みをお持ちの方は、ぜひ早めにご相談ください。適切な準備と戦略設計によって、許可の可能性を大きく高めることができます。

■ まとめ|技人国ビザ改正への対応は「事前準備」がすべて

2026年4月15日以降の技人国ビザ申請では、以下の3つがこれまで以上に厳しくチェックされます。

・企業の信頼性(雇用管理体制、代表者情報)
・業務の実態(具体的な業務内容の説明)
・言語能力の合理性(業務に必要な言語力の証明)

特にカテゴリー3・4に該当する企業においては、新たに追加された書類と要件を正しく理解し、万全の準備で申請に臨むことが、許可取得への確実な一歩となります。

制度が変わった今こそ、「なんとなく」で進めるのではなく、専門家と一緒に正確な準備を進めましょう。

※本記事は2026年4月時点の制度情報に基づいて作成しています。最新の運用や解釈については、専門家へお問い合わせください。

参考URL:https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html