2026年3月、立命館アジア太平洋大学(APU)が「適正校」から除外されたというニュースが報じられました。このニュースは、外国人留学生を受け入れる教育機関だけでなく、外国人を雇用する企業にとっても大きな教訓を含んでいます。
本記事では、行政書士・ビザ申請の専門家として、このニュースから読み解くべき在留資格管理のポイントを詳しく解説します。
1. 何が起きたのか?立命館APU適正校除外の概要
立命館アジア太平洋大学(大分県別府市)は、学生数の約半数を留学生が占めるグローバルな大学として知られています。
しかし2025年10月、入管難民法に基づく届出を怠ったことで「適正校」から除外されました。
その結果、2026年4月入学予定の留学生約330人のうち、約100人の入国が遅れ、新学期に間に合わない恐れが出ています。
適正校とは?
「適正校」とは、出入国在留管理庁が大学などの教育機関に対して与える選定制度です。
適正校に選定されると、留学生の在留資格取得手続きが簡素化され、以下のようなメリットがあります:
- 在留資格認定証明書の審査期間が短縮される
- 提出書類が簡略化される
- 留学生の受け入れがスムーズになる
しかし、適正校に選定されるためには条件があります。
【適正校の条件】
- 留学生の氏名、国籍、在籍状況などの情報を適切に届け出ること
- 不法残留者の発生率が低いこと
- 入管法令を遵守していること
そして、届出の不備などで連続して2回指導を受けると、適正校から除外されます。
今回のケースで何が起きたのか?
2024年11月
福岡出入国在留管理局から、2023年分の届出がないとする指導書がAPUに届きました。
しかし、同時に「引き続き適正校に選定する」とした書類も同封されていました。
APUの担当者は、この書類を見て「指摘について対応不要」と判断しました。
2025年10月
2度目の指導書と、適正校から除外されたことを連絡する文書が送付されました。
この時点で、APUは適正校ではなくなり、留学生の在留資格申請は通常の審査プロセスに戻されました。
結果として、約100人の新入生の入国が遅れる事態となりました。
2. なぜこのようなことが起きたのか?原因を分析する
今回の事態の根本原因は、「指導書の意味を正しく理解していなかった」ことにあります。
指導書=改善が必要なサイン
入管行政において、「指導書」が送られてくるということは、何らかの不備や問題があるというサインです。
たとえ同時に「適正校選定」の書類が送られてきたとしても、指導書に記載された内容については必ず対応する必要があります。
今回のケースでは、APU側が「適正校に選定されているから問題ない」と判断してしまったことが、次の除外につながりました。
組織内のコミュニケーション不足
大学や企業のような大きな組織では、入管関連の業務が特定の担当者に任されていることが多くあります。
しかし、担当者が入管法令の理解が不十分だったり、上司への報告・相談が適切に行われなかったりすると、今回のような事態が起こり得ます。
「届出義務」の軽視
入管法では、教育機関や企業に対して様々な届出義務が課されています。
しかし、日常業務に追われる中で、こうした届出が後回しにされたり、忘れられたりすることがあります。
今回のAPUのケースも、2023年分の届出が漏れていたことが発端でした。
3. 企業における外国人雇用でも同じリスクがある
このニュースは、教育機関だけの問題ではありません。
外国人を雇用する企業においても、同様のリスクが存在します。
企業に課される届出義務
外国人を雇用する企業には、以下のような届出義務があります:
【ハローワークへの届出】
外国人を雇用した場合、または離職した場合、ハローワークに「外国人雇用状況届出」を提出する義務があります。
【入管への届出(所属機関による届出)】
就労系の在留資格を持つ外国人を雇用する企業は、以下の事項について入管に届け出る必要があります:
- 外国人の受入れ・離脱
- 氏名変更
- 所属機関の名称・所在地変更
- その他の変更事項
これらの届出を怠ると、次回の在留資格更新時に不許可となるリスクが高まります。
在留資格の管理ミスが招く事態
企業が在留資格の管理を怠ると、以下のような事態が起こり得ます:
【在留資格の更新・変更が不許可になる】
届出義務を怠っていたり、外国人社員が本来の業務と異なる仕事に従事していたりすると、更新・変更申請が不許可になる可能性があります。
【社員が働けなくなる】
在留資格の期限が切れてしまうと、その外国人社員は日本で働くことができなくなります。
【企業の信用が損なわれる】
入管法令違反が発覚すると、企業の社会的信用が損なわれるだけでなく、今後の外国人雇用にも影響が出る可能性があります。
4. 外国人雇用・在留資格管理で企業が押さえるべきポイント
それでは、企業はどのようにして外国人雇用・在留資格管理のリスクを避けるべきでしょうか?
ポイント①:在留資格の種類と業務内容を一致させる
外国人が日本で働くためには、その業務内容に合った在留資格を持っている必要があります。
例えば:
- 「技術・人文知識・国際業務」→エンジニア、通訳、マーケティングなど
- 「技能」→コック、パイロットなど
- 「特定技能」→介護、建設、飲食料品製造など
業務内容と在留資格が一致していない場合、不法就労となります。
ポイント②:在留期限を管理する
在留資格には必ず期限があります。
期限が切れる前に更新申請を行う必要がありますが、申請には時間がかかるため、期限の3か月前から準備を始めることをお勧めします。
ポイント③:届出義務を確実に履行する
前述の通り、企業には様々な届出義務があります。
これらを確実に履行するために、以下の対策が有効です:
- 届出のチェックリストを作成する
- 担当者を明確にする
- 期限管理表を作成する
- 専門家(行政書士)に相談する
ポイント④:指導や通知を軽視しない
今回のAPUのケースのように、入管からの指導や通知を軽視すると、取り返しのつかない事態になる可能性があります。
入管からの連絡は必ず内容を確認し、適切に対応しましょう。
ポイント⑤:専門家のサポートを活用する
在留資格の手続きは複雑で、法改正も頻繁に行われます。
自社だけで対応するのが難しい場合は、行政書士などの専門家のサポートを活用することをお勧めします。
5. 在留資格申請を行政書士に依頼するメリット
在留資格申請を行政書士に依頼することで、以下のようなメリットがあります:
メリット①:申請の成功率が高まる
行政書士は入管法令の専門家です。
申請書類の作成や必要書類の準備を適切に行うことで、不許可のリスクを大幅に減らすことができます。
メリット②:時間と手間を節約できる
在留資格申請には多くの書類が必要で、準備に時間がかかります。
行政書士に依頼することで、企業の担当者は本来の業務に集中できます。
メリット③:最新の法令に対応できる
入管法令は頻繁に改正されます。
行政書士は常に最新の情報を把握しているため、法改正にも適切に対応できます。
メリット④:トラブルを未然に防げる
行政書士は、企業の外国人雇用に関するコンプライアンス体制の構築もサポートします。
届出義務の履行や在留資格管理のアドバイスを受けることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
6. まとめ:適正な在留資格管理が企業の未来を守る
立命館APUの適正校除外のニュースは、私たちに重要な教訓を与えてくれました。
「届出義務を軽視しない」
「指導や通知を適切に対応する」
「専門的な知識を持って在留資格を管理する」
これらは、外国人を雇用する企業にとっても同様に重要なポイントです。
グローバル化が進む現代において、外国人材は企業の貴重な戦力です。
その力を最大限に活かすためにも、適切な在留資格管理とコンプライアンス体制の構築が不可欠です。
もし貴社で外国人雇用や在留資格申請についてお困りのことがあれば、ぜひ専門家にご相談ください。
私たちニセコビザ申請サポートセンターは、企業と外国人材の架け橋として、安心して働ける環境づくりをサポートいたします。
【関連記事】
元記事:立命館アジア太平洋大、留学生「適正校」から除外
https://news.yahoo.co.jp/articles/97f3020c3e635085bd158f63edeca286d317548b
