はじめに:外国人労働者の現状と「マーチ・イン・マーチ2026」

2026年3月15日、東京・上野公園周辺で「マーチ・イン・マーチ2026」というデモ行進が行われました。このデモには、日本で働く外国人労働者を中心に約350人が参加し、差別や排外主義に反対し、共生社会の実現を訴えました。

「マーチ・イン・マーチ」は、1993年から始まった「外国人労働者の春闘」をルーツとする歴史ある活動です。外国人労働者の労働条件向上と権利獲得を目指し、多様なルーツを持つ労働者たちが一斉に声を上げることで、「私たちはここにいる」というメッセージを社会に発信してきました。

本記事では、このデモが示す外国人労働者の現状、企業が知っておくべき法的義務、そして行政書士としてどのようなサポートが可能かについて詳しく解説します。


外国人労働者を取り巻く現状:増える差別と排外主義

昨年の参院選以降に顕在化した問題

全国一般労働組合京南部の中島由美子委員長によると、昨年の参院選以降、外国籍の組合員から「電車の中で冷たい視線を感じる」「職場で差別的な扱いを受けている」といった相談が急増しているといいます。

中島委員長は「30年外国人問題に取り組んでいるが、ヘイトの広がりに危機感を感じる」と語っており、外国人労働者を取り巻く環境が悪化していることが伺えます。

デモで訴えられた「見えない労働者」の存在

デモでは、参加者たちが「コンビニのお弁当を作っているのは私です」「クリーニング店でアイロンをかけているのは私」といったプラカードを掲げました。これらのメッセージは、私たちの日常生活が外国人労働者の貢献によって支えられていることを示しています。

ある外国人労働者の男性は「この国で働き、税金を払い社会に貢献している。移住は犯罪じゃない、生きることは犯罪じゃない」と訴えました。この言葉には、差別や偏見と闘いながらも、日本社会の一員として貢献し続けている彼らの強い思いが込められています。


外国人労働者の権利:法的保護と企業の義務

労働基準法は国籍を問わず適用される

日本の労働基準法は、外国人労働者にも日本人労働者と同様に適用されます。つまり、賃金、労働時間、休日、安全衛生など、労働条件に関するすべての規定が外国人にも保障されています。

しかし現実には、言葉の壁や文化の違い、在留資格への不安などから、外国人労働者が不当な扱いを受けても声を上げにくい状況があります。

外国人雇用状況の届出義務

企業が外国人を雇用する際には、ハローワークへの「外国人雇用状況届出」が義務付けられています。これは、外国人労働者の適切な雇用管理と、就労支援を目的とした制度です。

届出を怠ると、30万円以下の罰金が科される可能性があります。

差別禁止と職場環境配慮義務

労働施策総合推進法では、事業主に対して「国籍、信条、社会的身分を理由とする差別的取扱いの禁止」が定められています。また、職場におけるハラスメント防止措置も義務化されており、外国人労働者に対する差別的言動やヘイトスピーチも当然、これに含まれます。


在留資格と就労:企業が理解すべきポイント

在留資格による就労制限

外国人が日本で働くためには、就労が認められる在留資格が必要です。主な就労可能な在留資格には以下があります。

  • 技術・人文知識・国際業務:いわゆるホワイトカラー業務
  • 特定技能:人手不足分野での就労(介護、建設、農業など)
  • 技能実習:技能移転を目的とした研修的就労
  • 永住者・定住者・日本人の配偶者等:就労制限なし

在留資格に応じて就労できる業務内容が定められているため、企業は雇用前に必ず在留カードを確認し、業務内容が在留資格の範囲内であることを確認する必要があります。

資格外活動による不法就労のリスク

在留資格で認められていない業務に従事させた場合、企業も「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されるため、十分な注意が必要です。

在留期間の管理

在留資格には期限があり、更新手続きが必要です。企業としては、従業員の在留期限を把握し、更新手続きのサポートを行うことが望ましいでしょう。


企業が取り組むべき外国人労働者の受け入れ環境整備

言語サポート体制の構築

職場での日本語教育、多言語での業務マニュアル作成、通訳の配置など、言語面でのサポートは非常に重要です。コミュニケーション不足は、業務上のミスだけでなく、孤立感や差別感を生む原因にもなります。

文化・宗教への配慮

食事(ハラール対応など)、礼拝の時間・場所の確保、服装規定の柔軟化など、多様な文化・宗教的背景への理解と配慮が求められます。

相談窓口の設置

外国人労働者が困ったときに相談できる窓口を社内に設けることで、問題の早期発見・解決が可能になります。また、外部の専門家(行政書士、社会保険労務士、弁護士など)との連携も有効です。

ダイバーシティ研修の実施

既存の日本人従業員に対して、多様性を尊重する意識を育てる研修を実施することも重要です。無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)に気づき、誰もが働きやすい職場環境を作ることが、企業の競争力強化にもつながります。


行政書士ができる外国人雇用・在留資格サポート

在留資格申請の代理・サポート

行政書士は、外国人の在留資格申請(新規、変更、更新)を本人や企業に代わって行うことができます。複雑な書類作成や添付資料の準備、出入国在留管理局とのやり取りを代行することで、スムーズな手続きが可能になります。

就労資格証明書の取得サポート

就労資格証明書は、現在の在留資格で特定の業務に従事できることを証明する書類です。転職時や業務内容変更時に取得しておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。

企業向けコンサルティング

外国人雇用に関する法令遵守のアドバイス、雇用契約書のチェック、社内規程の整備、外国人雇用管理体制の構築など、幅広いサポートを提供しています。

トラブル発生時の初動対応

在留資格の取消リスク、不法就労の疑い、退去強制手続きなど、トラブルが発生した際の初動対応をサポートします。必要に応じて、弁護士や社会保険労務士と連携して対応します。


共生社会の実現に向けて:企業と外国人労働者が共に歩むために

外国人労働者は「コスト」ではなく「仲間」

外国人労働者を単なる労働力や人手不足を補う存在として見るのではなく、共に働く仲間として尊重する姿勢が重要です。彼らは日本社会に貢献し、税金を納め、地域経済を支えています。

多様性は企業の競争力を高める

多様なバックグラウンドを持つ人材が集まることで、新しいアイデアやイノベーションが生まれやすくなります。また、外国人労働者が安心して働ける環境を整えることは、企業のブランド価値向上にもつながります。

「共生」は与えるものではなく、共に創るもの

共生社会は、誰かが一方的に与えるものではなく、すべての人が対等な立場で共に創り上げていくものです。外国人労働者の声に耳を傾け、彼らが「ここで働けて良かった」と思える職場を作ることが、企業にとっても、社会にとっても大きな価値を生み出します。


まとめ:外国人労働者の権利を守り、共に成長する社会へ

「マーチ・イン・マーチ2026」で示された外国人労働者たちの声は、私たちに多くのことを問いかけています。差別や排外主義ではなく、共生と尊重の精神が求められています。

企業には、法令を遵守し、外国人労働者が安心して働ける環境を整える責任があります。そして私たち行政書士は、その実現をサポートする専門家として、企業と外国人労働者の橋渡し役を担っています。

在留資格の申請、雇用管理のコンサルティング、トラブル対応など、外国人雇用に関するお困りごとがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。共に、より良い職場環境、より良い社会を作っていきましょう。


参考記事:
「外国人労働者の春闘」でデモ行進 差別にも反対 東京・上野(毎日新聞・Yahoo!ニュース)
https://news.yahoo.co.jp/articles/bd3a4b56cf448a95be619436d243454dd05e7d8b


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