目次
  1. はじめに:在日外国人社会に広がる不安の背景
  2. 【実例】10年在住でも在留期間短縮に—何が起きているのか
    1. 在留資格更新で実際に起きた事例
    2. SNSに広がる在日外国人の不安
  3. 【データで見る】外国人の社会保険料納付率と医療費未払いの実態
    1. 国民健康保険料・国民年金の納付率
    2. 医療費未払いの増加
  4. 【制度解説】外国人の社会保険加入義務とは
    1. 3カ月を超える滞在者は加入義務あり
    2. 未納が在留資格審査に与える影響
  5. 【政府方針】在留管理厳格化の具体的な内容
    1. 石破茂前首相・高市早苗首相の方針
    2. 永住権・帰化要件の見直しも議論中
  6. 【行政書士の視点】在留資格更新で重視されるポイント
    1. 「完璧な納付実績」ではなく「納付意思」が重要
    2. 一時的な資金繰り問題と悪質な未納の区別
  7. 【企業向け】外国人従業員の在留資格管理でやるべきこと
    1. 企業が直面するリスク
    2. 企業が今すぐ取るべき5つの対策
    3. 社会保険加入は「コスト」ではなく「投資」
  8. 【在日外国人向け】在留資格更新で困らないための具体的対策
    1. 今すぐ確認すべき3つのポイント
    2. 分割納付中でも更新は可能
    3. 専門家への相談タイミング
  9. 【よくある質問】在留資格と社会保険料未納に関するQ&A
    1. Q1. 数万円の未納でも更新できなくなりますか?
    2. Q2. 永住者でも影響を受けますか?
    3. Q3. 会社員は大丈夫ですか?
    4. Q4. 家族の在留資格にも影響しますか?
    5. Q5. 更新申請中に納付すれば大丈夫ですか?
  10. 【専門家の見解】制度の課題と今後の展望
    1. 「抑制」だけでなく「支援」も必要
    2. 外国人労働力への依存と在留管理のバランス
    3. 多文化共生社会の実現に向けて
  11. まとめ:早めの相談と対策が最善の道
    1. 在日外国人の皆さまへ
    2. 企業の経営者・人事担当者の皆さまへ
    3. ニセコビザ申請サポートセンターからのメッセージ

はじめに:在日外国人社会に広がる不安の背景

2026年現在、日本で働く外国人労働者は増加の一途をたどっています。しかし、その一方で在留資格の審査が厳格化され、特に社会保険料の未納が理由で在留期間の短縮や更新拒否に至るケースが増えています。

約21万人の在日ブラジル人コミュニティを中心に、SNS上では「永住者でも安心できない」「数万円の未納で更新できなくなるのか」といった不安の声が広がっています。

この記事では、行政書士としてビザ申請・在留資格申請を専門とする立場から、在日外国人の皆さま、そして外国人を雇用する企業の経営者・人事担当者の皆さまに向けて、最新の状況と具体的な対応策を解説します。


【実例】10年在住でも在留期間短縮に—何が起きているのか

在留資格更新で実際に起きた事例

10年以上日本で暮らしてきた日系ブラジル人の自営業男性(45歳)が、国民健康保険料約30万円の未納を理由に長期在留ビザ更新時に出国命令を受けました。未納分を完済したことで更新自体は認められましたが、在留期間は3年から1年に短縮されました。

この事例が示すのは以下の点です:

  • 長期在住歴があっても未納は審査に影響する
  • 完済すれば更新は可能だが、在留期間が短縮されるリスクがある
  • 一度短縮されると、信頼回復に時間がかかる可能性がある

SNSに広がる在日外国人の不安

実際にSNS上では以下のような声が相次いでいます:

  • 「数万円の未納でも更新できなくなるのか」
  • 「分割払いを始めていても不利になるのではないか」
  • 「自営業は収入が不安定な年もある。制度が現実を見ていない」
  • 「家族のうち一人だけが更新できなかった場合、生活は成り立つのか」
  • 「子どもが日本で育っている家庭ほど影響が大きい」

【データで見る】外国人の社会保険料納付率と医療費未払いの実態

国民健康保険料・国民年金の納付率

厚生労働省の調査(2024年度)によると:

国民健康保険料の納付率

  • 日本人:93%
  • 外国人:63%
    → 30ポイントの差

国民年金の納付率

  • 全体平均:84.5%
  • 外国人:49.7%
    → 約35ポイントの差

この大きな差が、政府が在留資格審査を厳格化する背景となっています。

医療費未払いの増加

外国人患者による未払い医療費:

  • 2021年:約8億8,500万円
  • 2023年:約13億3,000万円
    → 約1.5倍に増加

全体の未払い額の約1.5%を占めており、訪日外国人の増加とともに医療機関側の負担が拡大しています。


【制度解説】外国人の社会保険加入義務とは

3カ月を超える滞在者は加入義務あり

日本は3カ月を超えて滞在する外国人に対し、社会保険への加入を義務付けています。これは在留資格の種類を問わず適用されます。

対象となる社会保険

  1. 国民健康保険または健康保険(会社員の場合)
  2. 国民年金または厚生年金(会社員の場合)

未納が在留資格審査に与える影響

従来、在留資格の更新審査では主に以下の点が重視されていました:

  • 在留目的との整合性
  • 素行の善良性
  • 独立生計能力

しかし近年、これに「社会保険料・税金の納付状況」が明確に加わりました。


【政府方針】在留管理厳格化の具体的な内容

石破茂前首相・高市早苗首相の方針

2025年8月:石破茂首相(当時)の表明
税金や保険料などの未納がある外国人に対し、在留資格更新を制限する方針を表明。

2025年10月:高市早苗首相の方針
不法滞在や制度未遵守への対応強化を掲げ、医療費未納者の再入国制限などを検討。

永住権・帰化要件の見直しも議論中

現在議論されている内容:

  • 永住許可に必要な収入水準の引き上げ
  • 日本語能力要件の引き上げ
  • 帰化に必要な居住年数の延長

日本に約93万人いる永住外国人のうち、約11万7,000人を占めるブラジル人にとって影響は小さくありません。


【行政書士の視点】在留資格更新で重視されるポイント

「完璧な納付実績」ではなく「納付意思」が重要

行政書士として多くの在留資格申請をサポートしてきた経験から申し上げると、審査で重視されるのは「完璧な納付実績」だけではありません。

評価されるポイント

  1. 未納に対する認識と改善の姿勢
  2. 分割納付の相談や実行の有無
  3. 専門家への相談などの問題解決行動
  4. 今後の納付計画の具体性

一時的な資金繰り問題と悪質な未納の区別

自営業者や非正規就労者の場合、一時的な収入減による未納は起こり得ます。重要なのは:

  • 未納を放置せず、自治体に相談している
  • 分割納付などの手続きを取っている
  • 改善の意思と計画を示せる

これらの事実は、審査時にプラスに働く可能性があります。


【企業向け】外国人従業員の在留資格管理でやるべきこと

企業が直面するリスク

外国人従業員の在留資格が更新できない場合:

  • 即戦力の喪失
  • 採用・教育コストの損失(数百万円規模)
  • 業務の停滞
  • 他の従業員への影響
  • 企業の信頼性への影響

企業が今すぐ取るべき5つの対策

1. 入社時の社会保険加入の徹底

  • 雇用契約時に社会保険加入を確実に実施
  • 加入状況の書類保管

2. 外国人従業員向けの説明会実施

  • 社会保険制度のわかりやすい説明(多言語対応)
  • 未納がもたらすリスクの周知
  • 納付方法・相談窓口の案内

3. 定期的な納付状況の確認

  • 年1回程度のヒアリング
  • プライバシーに配慮しつつ、困っていることがないか確認

4. 相談窓口の設置

  • 人事部門での相談受付
  • 行政書士など専門家との連携体制

5. 在留資格更新スケジュールの管理

  • 更新時期の3〜6カ月前からの準備
  • 必要書類の事前確認

社会保険加入は「コスト」ではなく「投資」

社会保険料の事業主負担を「コスト」と捉えるのではなく、優秀な人材の定着と安定就労のための「投資」と考えることが重要です。


【在日外国人向け】在留資格更新で困らないための具体的対策

今すぐ確認すべき3つのポイント

1. 納付状況の確認

  • 国民健康保険料の納付状況
  • 国民年金の納付状況
  • 住民税の納付状況

役所で「納税証明書」「納付証明書」を取得して確認しましょう。

2. 在留期限の確認

  • 在留カードに記載された期限
  • 更新申請は期限の3カ月前から可能

3. 未納がある場合の対応

  • 絶対に放置しない
  • すぐに役所に相談する
  • 分割納付の相談をする

分割納付中でも更新は可能

分割納付の計画を立て、実際に納付を始めている場合は、その事実を申請時に説明することで、審査にプラスに働く可能性があります。

準備すべき書類

  • 分割納付の相談記録
  • 実際に納付した領収書
  • 今後の納付計画書

専門家への相談タイミング

以下の場合は、早めに行政書士などの専門家に相談することをお勧めします:

  • 未納額が10万円以上ある
  • 在留期限まで6カ月を切っている
  • 過去に在留期間を短縮されたことがある
  • 家族の在留資格にも影響が及ぶ可能性がある

【よくある質問】在留資格と社会保険料未納に関するQ&A

Q1. 数万円の未納でも更新できなくなりますか?

A. 金額だけで一律に判断されるわけではありません。未納の期間、理由、改善の姿勢などが総合的に判断されます。少額でも長期間放置している場合は厳しく見られる可能性があります。

Q2. 永住者でも影響を受けますか?

A. はい。永住者であっても、重大な法令違反や公的義務の不履行がある場合、永住許可の取消事由になり得ます。「永住者だから安心」という時代ではなくなっています。

Q3. 会社員は大丈夫ですか?

A. 会社で厚生年金・健康保険に加入し、給与天引きで納付されている場合は問題ありません。ただし、住民税の納付漏れには注意が必要です。

Q4. 家族の在留資格にも影響しますか?

A. 世帯主が家族滞在などの身元保証人になっている場合、世帯主の未納は家族の在留資格にも影響する可能性があります。

Q5. 更新申請中に納付すれば大丈夫ですか?

A. 審査中に納付しても遅くはありませんが、申請前に納付状況を整えておく方が望ましいです。更新申請時には過去の納付状況が審査されます。


【専門家の見解】制度の課題と今後の展望

「抑制」だけでなく「支援」も必要

専門家からは「未納を抑制するには、更新制限だけでなく、分割納付や多言語相談体制の強化など制度的な補完が不可欠だ」との指摘が出ています。

外国人労働力への依存と在留管理のバランス

日本の労働市場は外国人材なしには成り立たない段階に入っています。特に:

  • 製造業
  • 建設業
  • 介護・医療
  • 農業
  • サービス業

これらの業界では外国人労働者が不可欠な存在です。

在留管理の厳格化と人材確保のバランスをどう取るか—これは政府だけでなく、企業や私たち専門家にも問われている課題です。

多文化共生社会の実現に向けて

外国人を「労働力」としてだけ見るのではなく、地域社会の一員として受け入れる体制づくりが求められています:

  • 多言語での行政サービス
  • 社会保険制度のわかりやすい説明
  • 相談しやすい窓口の設置
  • 文化的背景への理解

まとめ:早めの相談と対策が最善の道

在日外国人の皆さまへ

  • 在留期限と納付状況を今すぐ確認してください
  • 未納がある場合は放置せず、すぐに役所に相談してください
  • 困ったときは専門家に相談してください

「永住者だから大丈夫」「少額だから問題ない」という考えは危険です。早めの対応が、あなたとご家族の日本での生活を守ります。

企業の経営者・人事担当者の皆さまへ

  • 外国人従業員の社会保険加入を徹底してください
  • 定期的な説明会や相談体制を整えてください
  • 在留資格の更新スケジュールを人事管理に組み込んでください

優秀な外国人材の定着は、企業の競争力に直結します。社会保険料の負担を「コスト」ではなく「投資」と捉え、従業員が安心して働ける環境を整えることが、長期的な企業価値の向上につながります。

ニセコビザ申請サポートセンターからのメッセージ

私たち行政書士は、在留資格申請の専門家として、皆さまの不安を少しでも軽減し、安心して日本で生活できるようサポートすることが使命です。

在留資格の問題は、放置すると取り返しのつかない事態になることもあります。しかし、早めに対応すれば解決できることがほとんどです。

一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。


参考記事
《ブラジル》在日ブラジル人社会に不安拡大=社会保険未納で在留審査厳格化=「永住者でも安心できない」
https://news.yahoo.co.jp/articles/162359e988d11ac476cf3076e538fae9dadda351


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