2025年11月、政府は不動産登記に国籍記載を義務化する方針を検討中です。従来は氏名・住所のみの記載でしたが、外国人の不動産取得の実態を把握し、市場の健全性を高める狙いがあります。国土交通省は春から登記データに基づく調査を進め、外国に住所を持つ人の東京都内マンション購入は約3%、1年以内の売却は8.5%と報告。都市部では外国人による高額購入や転売が市場価格に影響を与えるとの懸念も強まっています。本記事では、この制度見直しの背景と意義、今後企業・個人がとるべき具体的な対応について、行政書士の視点で解説します。
https://news.yahoo.co.jp/articles/13ab68174dbf4e7bdeeab1698cf8f81ff6166181
■ 国籍記載義務化の背景とは?
今回の見直しの背景には、不動産価格の高騰と投機的な取引への警戒感があります。とくに東京・大阪・京都など都市部では、富裕層外国人による購入が目立ち、それが価格を押し上げ、国内居住者の取得ハードルを高めているという現状があります。調査の結果、外国に住所がある人による新築マンションの取得が3%、1年以内に売買されたケースは8.5%という数字が示されたことで、実態を可視化し政策対応を取る必要性が強まりました。国籍情報を登記に記録することで、行政は投機的な動きを把握しやすくなり、結果的に市場の安定化につながると期待されています。国籍情報の導入は排外的な意図ではなく、市場の透明性を高める手段です。
■ 「外国人」というだけで線引きするのか?
国籍記載に対しては、「外国人差別ではないか」といった批判も一部ありますが、これは区別であって差別ではありません。むしろ、現在の制度では外国に住所があるか否かでしか把握できず、日本に住む外国人による取得は統計から漏れているのが実情です。制度改正により国籍が登記上で明確になれば、どの国の出身者による取得が多いか、短期転売に関係があるのかといった分析が可能になり、正確な政策判断や市場の安定的運営につながります。また、透明性を高めることで不正取得や違法転売への対策にもなり、適正な市場運営を支える基盤整備とも言えるでしょう。
■ 在日外国人・外国人雇用企業が注意すべきポイント
国籍記載が義務化された場合、日本に居住する外国人も当然その対象となるため、企業としては在日外国人従業員や関係者に対し十分な情報提供とサポート体制を整えておく必要があります。特に社宅名義貸し、不動産の共同購入、投資用不動産取得のケースなど、在留資格と不動産の利用目的が合致しているか、今後は厳密にチェックされる可能性があります。登記情報が行政に可視化されることで、名義の不一致や利用目的との乖離が指摘されれば、企業の信頼性にも影響を与えかねません。外国人が安心して住宅取得できる環境をつくるためにも、制度改正に伴う教育・契約管理・書類整備を今から見直しておくことが重要です。
■ 投資規制・短期転売規制の流れも視野に
国籍記載義務化は制度改正の第一歩にすぎません。今後は短期転売の抑制や、事前報告義務、さらには購入目的の明示などの規制強化も検討される見通しです。不動産業界団体では、引き渡し前の転売を制限する自主ルールの策定が進んでおり、売買契約や重要事項説明の段階で新たな注意事項が追加される可能性もあります。これにより、正規の流通ルートを通じた取引が重視され、買い手・売り手双方の責任が問われる時代へとシフトします。企業や外国人投資家は、既存の商習慣が通用しなくなるリスクも認識し、契約時の説明責任や書面整備を徹底することが求められます。行政書士としても、制度変化に即した助言とサポート体制の構築が重要になります。
■ 行政書士の視点:今からできる対応とは?
制度改正を受けて、企業や不動産オーナーが今から実施すべき対策はいくつかあります。まず、外国人を対象とした不動産購入マニュアルやFAQの整備、社内での制度研修の実施。次に、外国籍を理由にした不適切な対応が発生しないよう、内部チェック体制とコンプライアンス意識の徹底が重要です。また、短期転売が疑われるケースでは事前確認の手続きを導入し、契約内容にリスク説明を明記するなどの防止策も有効です。制度が整う“前”にこそ、正しい理解と準備がリスク回避と信頼獲得につながります。今のうちに一緒に備えておきましょう。
