はじめに:増加する来日外国人犯罪と在留資格管理の重要性
2025年、警察庁が発表したデータによれば、来日外国人による犯罪の摘発人数が1万2777人に達し、3年連続で増加しました。この数字は、外国人雇用を行う企業や、在日外国人の方々にとって見過ごせない現実です。
しかし、この統計を「外国人は危険」という短絡的な結論に結びつけるべきではありません。むしろ、私たち行政書士やビザ申請の専門家としては、「なぜ増加しているのか?」「どうすれば防げるのか?」という視点で、この問題を深く掘り下げる必要があると考えています。
本記事では、警察庁発表のデータを詳しく分析し、在留資格管理の観点から企業と外国人本人が取るべき対策について、実務経験に基づいて解説します。
警察庁データから見る来日外国人犯罪の実態
摘発人数・件数の推移と国籍別内訳
- 摘発人数: 1万2777人(3年連続増加)
- 摘発件数: 2万5480件(同じく3年連続増加)
国籍別では:
- ベトナム: 4167人(全体の32.6%)
- 中国: 2062人(全体の16.1%)
- フィリピン: 714人(全体の5.6%)
ベトナムと中国の2カ国だけで、全体の約50%を占めている状況です。特にベトナム国籍の方による犯罪が急増しており、かつては中国籍が最多だった状況から大きく変化しています。
刑法犯の内訳:窃盗が半数以上
ベトナム国籍の方の刑法犯では:
- 窃盗: 51.9%(うち万引きが28.8%)
- その他の犯罪: 48.1%
窃盗犯罪、特に万引きが突出して多いことがわかります。これは組織的な万引きグループの存在を示唆しています。
在留資格別の傾向:技能実習・特定技能での増加
特に深刻なのが、技能実習や特定技能といった就労系在留資格を持つ方々による刑法犯が増加傾向にある点です。これらは本来、日本の労働力不足を補うために設けられた制度ですが、その制度設計や運用上の課題が、犯罪増加の一因となっている可能性があります。
共犯事件の割合が日本人の4倍
来日外国人が関与した刑法犯の45.3%が共犯事件でした。これは日本人の11.5%と比べて約4倍にのぼります。この高い共犯率は、外国人犯罪が組織化されやすい傾向を示しています。
来日外国人犯罪増加の背景要因を探る
言語・文化の壁と孤立
日本語が十分に話せない、日本の法律や慣習を理解していない、相談できる人がいない——こうした孤立状態が、犯罪組織につけ込まれる隙を作ります。SNSで母国語で声をかけられ、気づいたら犯罪の片棒を担がされていた、というケースも少なくありません。
技能実習制度の構造的問題
技能実習制度には、以下のような構造的課題があります:
- 転職の自由がほとんどない(原則として実習先を変えられない)
- 劣悪な労働環境でも我慢せざるを得ない
- 賃金未払いや長時間労働などの労働法違反が横行
- 借金を抱えて来日するケースが多く、経済的に追い込まれやすい
こうした状況下で、「すぐにお金が稼げる」という誘いに乗ってしまう技能実習生がいるのも、残念ながら現実です。
特定技能制度の課題
技能実習から移行した特定技能でも、同様の問題が起きています。転職は可能になったものの、適切な情報やサポートがなければ、結局は不安定な状況に置かれたままです。
SNSを通じた犯罪組織への接触
現代の犯罪組織は、FacebookやTelegram、LINEなどのSNSを巧みに利用して、母国語でターゲットに接触します。「簡単に稼げる」「仲間がいるから安心」といった甘い言葉で誘い、気づいたときには犯罪に加担させられているのです。
外国人雇用企業が取るべき在留資格管理とコンプライアンス対策
採用時の在留資格チェックは必須
外国人を雇用する際は、必ず以下を確認してください:
- 在留カードの原本確認(コピーだけでは不十分)
- 在留資格の種類と就労可能範囲
- 在留期限の確認
- 資格外活動許可の有無(アルバイトの場合)
「技術・人文知識・国際業務」「技能実習」「特定技能」など、在留資格ごとに働ける職種や時間が決まっています。違反すると、雇用主も罰せられます。
定期的な在留管理の見直し
採用時だけでなく、継続的な管理が重要です:
- 在留期限の管理台帳作成
- 更新手続きのリマインド
- 転職や配置転換時の在留資格適合性チェック
- 労働条件の定期的な見直し
外国人従業員向けサポート体制の構築
犯罪に巻き込まれるのを防ぐには、日頃からのサポートが不可欠です:
- 母国語での相談窓口設置
- 生活オリエンテーションの実施
- 日本の法律や文化に関する研修
- 困ったときの相談先リストの配布
- 定期的な面談で悩みを聞く
行政書士など専門家との連携
在留資格の手続きは複雑で、頻繁に法改正もあります。自社だけで対応しようとせず、行政書士などの専門家と連携することをお勧めします。
私たち行政書士は:
- 在留資格申請・更新の代行
- 企業の外国人雇用コンプライアンスチェック
- トラブル発生時の対応アドバイス
- 最新の入管法改正情報の提供
など、幅広くサポートできます。
労働環境の適正化
技能実習生や特定技能外国人が犯罪に走る背景には、劣悪な労働環境があることも少なくありません。
以下の点を必ず守ってください:
- 最低賃金以上の支払い
- 労働時間の適正管理(残業代の支払い含む)
- 労働安全衛生の確保
- 有給休暇の付与
- 社会保険への加入
「技能実習生だから安く使える」という考えは大きな間違いです。日本人と同等以上の待遇が求められます。
在日外国人の方々が気をつけるべきこと
在留資格のルールを正しく理解する
ご自身の在留資格で何ができて、何ができないのかを正確に理解してください。
- 就労制限:働ける職種や時間が決まっています
- 在留期限:期限が切れると不法滞在になります
- 届出義務:住所変更、勤務先変更などは届出が必要です
わからないことがあれば、行政書士や入管に相談しましょう。
SNSでの怪しい誘いには絶対に乗らない
「簡単に稼げる」「短時間で高収入」といった誘いは、ほぼ100%詐欺か犯罪です。
以下のような誘いには特に注意してください:
- 「荷物を運ぶだけ」→運び屋(薬物・盗品など)
- 「買い物を代行するだけ」→組織的万引き
- 「口座を貸すだけ」→犯罪収益の隠匿
- 「携帯電話を契約するだけ」→特殊詐欺への加担
たとえ知らなかったとしても、犯罪に加担すれば、あなたも罰せられます。在留資格の取消しや強制退去にもつながります。
困ったときは一人で悩まず相談する
- 勤務先でトラブルがある
- 給料が払われない
- 在留資格の更新ができるか不安
- 借金を抱えている
こうした悩みを一人で抱え込まないでください。以下の相談先があります:
- 行政書士(在留資格の専門家)
- 外国人在留支援センター(FRESC)
- 労働基準監督署(労働問題)
- 法テラス(法律相談)
- 母国の大使館・領事館
真面目に働いている外国人を守るための制度やサポートは、たくさんあります。
在留期限は絶対に守る
在留期限が切れた瞬間に、あなたは「不法滞在者」になります。不法滞在は犯罪です。
更新申請は、期限の3ヶ月前から可能です。早めに準備して、必ず期限内に申請してください。
行政書士に依頼すれば、書類の準備から申請まで代行できます。
行政書士としてできること:在留資格の専門家によるサポート
在留資格申請・変更・更新の代行
在留資格の手続きは複雑で、書類も多く、日本語での記入が必要です。少しのミスで不許可になることもあります。
私たちニセコビザ申請サポートセンターは、以下の手続きを代行(申請取次)できます:
- 在留資格認定証明書交付申請(海外から呼び寄せる場合)
- 在留資格変更許可申請(資格を変える場合)
- 在留期間更新許可申請(期限を延長する場合)
- 永住許可申請
- 帰化許可申請
企業向けコンプライアンスチェック
外国人を雇用している企業に対して:
- 現在の雇用状況が法令に適合しているかチェック
- 在留管理台帳の作成支援
- 社内研修の実施
- 定期的なコンプライアンス診断
トラブル発生時の対応支援
- 不法就労が発覚した場合の対応
- 在留資格取消処分への対応
- 退去強制手続きへの対応
- 労働トラブルの解決支援(社労士と連携)
最新情報の提供とアドバイス
入管法は頻繁に改正されます。最新の情報をキャッチアップし、適切なアドバイスを提供します。
まとめ:適正な在留資格管理が、共生社会の基盤を作る
来日外国人による犯罪が増加しているというデータは、決して外国人全体を危険視するためのものではありません。むしろ、「なぜ増えているのか?」「どうすれば防げるのか?」を考えるための材料です。
真面目に働き、日本の法律を守っている外国人の方々が圧倒的多数です。その方々が安心して働き、暮らせる環境を整えることが、結果的に犯罪を減らすことにもつながります。
企業には、適正な在留資格管理とコンプライアンス遵守、そして外国人従業員へのサポート体制構築が求められます。
外国人の方々には、在留資格のルールを正しく理解し、困ったときは一人で悩まず相談することが大切です。
そして、私たち行政書士は、企業と外国人、双方の「架け橋」として、適正な在留資格管理をサポートします。
少しでも不安なことがあれば、お気軽にご相談ください。
【参考資料】
警察庁「来日外国人犯罪の検挙状況(令和6年)」
https://news.yahoo.co.jp/articles/2cc94955976fe499020a78607d355999e35a5c1f
【お問い合わせ】
在留資格申請、外国人雇用コンプライアンスに関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。初回相談は無料です。
