2026年2月10日、国土交通省から全国の自治体に対して、外国人が公営住宅へ入居する際に国籍や在留資格を把握するよう求める重要な通知が出されました。

この通知は、政府が1月23日に決定した外国人政策の基本方針「総合的対応策」に基づくものであり、外国人材の受け入れを進める日本社会にとって、大きな転換点となる可能性があります。

本記事では、在留資格・ビザ申請を専門とする行政書士の立場から、この通知の背景、意味、そして在日外国人や外国人雇用企業が今後どのように対応すべきかを、わかりやすく解説します。

1. 国土交通省の新通知とは?──何が変わったのか

通知の概要

2026年2月10日付で、国土交通省住宅総合整備課長名により、全国の都道府県と政令市に対して通知が出されました。その内容は以下の通りです。

  • 新規入居者について、国籍や在留資格を把握すること
  • 緊急時の連絡先は、日本語で円滑にやり取りできる人とすること
  • 既存の入居者についても、業務に過度な負担が生じない範囲で実態把握を促すこと

これにより、今後は公営住宅への入居時に、外国人の国籍や在留資格が確認されることになります。

14年前との違い──方針の変化

注目すべきは、14年前の平成24年(2012年)には、外国人の公営住宅入居について「可能な限り認める」という方針だったということです。

当時は、外国人登録証が廃止され在留カードへ切り替わったタイミングで、外国人の受け入れを促進する方向で通知が出されました。同様の通知は平成30年(2018年)にも、「特定技能」制度の導入時に出されています。

しかし今回は、「可能な限り入居を認める」という文言はなく、むしろ実態把握を強化する方向へと変わっています。

この変化の背景には、何があるのでしょうか?

2. なぜ今、この通知が出されたのか?──背景にある課題

外国人集住地域での課題

政府が1月23日に決定した基本方針「総合的対応策」では、公営住宅や都市再生機構(UR)賃貸住宅などへ外国人が多く住むことにより、以下のような問題が生じていると指摘されています。

  • 近隣の学校で外国籍児童が急増し、学校側に過大な負荷がかかっている
  • 一部の地域で問題が生じているとの指摘がある

たとえば、ある公営住宅に外国人が集住した結果、近隣の小学校では半数以上が外国籍児童となり、日本語指導が追いつかず、教育現場が混乱しているケースがあります。

これは外国人の子どもたちにとっても、日本人の子どもたちにとっても、決して望ましい状況ではありません。

自治体による実態把握のばらつき

また、自治体によって外国人入居者の実態把握にばらつきがあることも課題として挙げられています。

ある自治体では入居時に在留資格を確認しているのに対し、別の自治体では全く確認していないというケースもあります。この「ばらつき」が、緊急時の対応を困難にしています。

緊急時の対応が困難

災害時や感染症発生時など、緊急時に国籍や言語がわからないと、迅速な対応が難しくなります。

たとえば、多言語での避難情報を提供する際、事前に外国人住民の国籍や使用言語を把握していなければ、適切な情報提供ができません。

今回の通知は、こうした課題を解決し、外国人住民が安心して暮らせる環境を整えるための施策と言えます。

3. 在留資格の専門家が解説──この通知の本当の意味

「管理強化」ではなく「適切な情報管理」

今回の通知を「外国人への管理強化」と捉える声もあるかもしれません。しかし、在留資格申請を専門とする行政書士の立場から言えば、これは管理強化ではなく、適切な情報管理によって共生社会を実現するための施策です。

在留資格制度は、日本に滞在する外国人が適法に滞在し、活動するためのルールです。このルールを守ることで、外国人は安心して日本で生活でき、日本社会もまた安心して外国人を受け入れることができます。

在留資格の確認は「差別」ではない

「外国人だけが国籍や在留資格を確認されるのは差別ではないか?」という疑問もあるかもしれません。

しかし、在留資格は日本国籍を持たない外国人にのみ適用される法的制度であり、これを確認することは法的義務です。日本人には戸籍や住民票があるように、外国人には在留カードがあります。

これは差別ではなく、法制度の違いに基づく必要な確認手続きです。

トラブルを未然に防ぐために

実際、在留資格を確認しないまま住居契約を結んだ結果、後から在留資格が不適切であることが判明し、トラブルになるケースは少なくありません。

たとえば、在留資格「留学」で入国した方が、資格外活動許可を得ずにフルタイムで働いていた場合、不法就労として摘発される可能性があります。また、在留期間が切れているのに更新手続きをしていなければ、不法滞在となります。

こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、入居時に在留資格を確認することは非常に重要です。

4. 外国人材を雇用する企業が知っておくべきこと

従業員の住居確保は企業の責任

外国人材を雇用する企業にとって、従業員の住居確保は重要な課題です。安心して暮らせる住まいがなければ、優秀な人材の定着は難しくなります。

特に、地方で外国人材を採用する企業にとっては、公営住宅は貴重な選択肢の一つです。今回の通知により、公営住宅への入居時に在留資格の確認が求められるようになるため、企業側もこれを理解しておく必要があります。

在留資格の確認はコンプライアンス

在留資格の確認は、企業のコンプライアンス強化にもつながります。不法就労を防ぐためには、雇用時に在留資格と資格外活動許可の有無を確認することが法的義務です。

同様に、住居契約時にも在留資格を確認することで、企業は従業員が適法に滞在していることを再確認できます。

住居サポートが採用・定着の鍵

今後、外国人材の採用競争はますます激しくなります。その中で、企業が選ばれるためには、住居サポートが重要な差別化要因となります。

たとえば、以下のようなサポートが考えられます。

  • 公営住宅や社宅の提供
  • 不動産会社との提携による住居探しのサポート
  • 保証人代行サービスの提供
  • 行政書士などの専門家と連携した在留資格確認のサポート

こうした取り組みが、外国人材の安心感と企業への信頼につながります。

5. 在日外国人の方々へ──今後の対応と注意点

公営住宅への入居時に求められること

今回の通知により、今後は公営住宅への入居時に以下が求められます。

  • 国籍の確認
  • 在留資格の確認
  • 緊急時の連絡先(日本語で円滑にやり取りできる人)

これらは、あなたが安心して暮らせる環境を整えるための仕組みです。決して外国人を排除するためのものではありません。

在留資格の確認は早めに

もし公営住宅への入居を検討している場合は、まず自分の在留資格を確認しましょう。在留カードに記載されている在留資格と在留期間を確認し、期限が近い場合は早めに更新手続きを行ってください。

在留期間が切れてしまうと、不法滞在となり、公営住宅への入居どころか、日本に滞在すること自体ができなくなります。

専門家のサポートを活用しよう

在留資格の更新や変更、住居契約など、わからないことがあれば、ぜひ行政書士などの専門家に相談してください。

私たち行政書士は、外国人の皆さまが安心して日本で暮らせるよう、在留資格申請から住居確保まで、トータルでサポートしています。

6. 都市再生機構(UR)の対応──すでに実施済み

今回の通知では、都市再生機構(UR)賃貸住宅については特段の通知はなされませんでした。

その理由は、URはすでに外国人入居者の国籍や在留資格について、入居時に住民票などにより審査し、把握しているからです。

つまり、URはすでに今回の通知で求められている対応を実施しており、公営住宅もURと同様の対応を求められることになったと言えます。

7. 過去の通知との比較──政策の変遷

平成24年(2012年)の通知

外国人登録証を廃止し在留カードへ切り替えた改正入管難民法施行に伴い、「地域の実情を勘案の上、可能な限り認める」という方針が示されました。

平成30年(2018年)の通知

人手不足が深刻な業界で外国人労働者を受け入れる「特定技能」制度の導入を決めた改正入管法が成立した際にも、同様の通知が出されました。

令和8年(2026年)の通知

今回の通知では、「可能な限り入居を認める」という文言はなく、むしろ実態把握を強化する方向へと変化しています。

この変化は、外国人受け入れ政策が「量」から「質」へ、そして「受け入れ」から「共生」へとシフトしていることを示しています。

8. 共生社会の実現に向けて──私たちにできること

適切なルールと温かい理解の両立

共生社会の実現には、適切なルールと温かい理解の両方が必要です。

今回の通知は、外国人を排除するものではなく、適切な情報管理を通じて、外国人も日本人も安心して暮らせる環境を整えるための施策です。

私たち行政書士は、この通知を前向きに捉え、外国人の皆さまが安心して日本で暮らせるよう、そして企業が安心して外国人材を雇用できるよう、サポートを続けていきます。

専門家の役割

行政書士は、在留資格申請のプロフェッショナルです。在留資格の確認、更新、変更、そして住居契約のサポートまで、トータルでお手伝いできます。

外国人の皆さま、そして外国人材を雇用する企業の皆さま、ご不安なことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

今回の国土交通省の通知は、外国人の公営住宅入居に関する実態把握を強化するものです。これは、外国人を排除するためではなく、適切な情報管理を通じて、外国人も日本人も安心して暮らせる共生社会を実現するための施策です。

在日外国人の皆さま、外国人材を雇用する企業の皆さま、そして地域社会の皆さまが、互いに理解し合い、支え合いながら、より良い社会を築いていくことを願っています。

私たちニセコビザ申請サポートセンターは、その架け橋として、これからもサポートを続けてまいります。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/2cd94d010135acd5fbcea4d7bf9602773b351feb


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