目次
  1. はじめに:「同情」ではなく「本質」を理解する
  2. 1. 経営・管理ビザの本来の目的とは何か?
    1. 経営管理ビザは「移住手段」ではない
    2. 資本金3000万円は「結果」であり「条件」ではない
  3. 2. 2025年10月改正:要件の詳細
    1. 改正前の要件(2025年10月15日まで)
    2. 改正後の要件(2025年10月16日以降)
  4. 3. 改正の背景:なぜ厳格化が必要だったのか?
    1. ペーパーカンパニーによる悪用の実態
    2. 改正の本質的な目的
  5. 4. 「2028年10月まで大丈夫」は大きな誤解
    1. 経過措置の内容
    2. 現実:審査の厳格化はすでに始まっている
    3. 「総合的に考慮」の本当の意味
  6. 5. 経営者が今すぐ取り組むべきこと
    1. 【対策1】売上・利益を増やす
    2. 【対策2】法令遵守を徹底する
    3. 【対策3】従業員の雇用(特に日本人)
    4. 【対策4】経営体制の強化
    5. 【対策5】資本金の計画的増強
    6. 【対策6】日本社会への貢献を可視化する
  7. 6. 在日外国人を雇用する企業がすべきこと
    1. 外国籍役員・管理職の在留資格管理
    2. 家族滞在ビザへの影響
  8. 7. 行政書士・専門家ができるサポート
    1. 私たちの基本的な考え方
    2. 具体的なサポート内容
    3. 私たちが大切にしていること
  9. 8. この改正をどう捉えるべきか
    1. 厳しいが、正当な改正である
    2. 「かわいそう」ではなく「当然」
    3. チャンスでもある
  10. 9. よくある質問
    1. Q1: 2028年10月まで何もしなくていいですか?
    2. Q2: 資本金3000万円は絶対に必要ですか?
    3. Q3: 日本人を雇いたいけど、採用できません。どうすればいいですか?
    4. Q4: 赤字が続いていますが、ビザは更新できますか?
    5. Q5: どのような記録を残しておくべきですか?
  11. 10. まとめ:今こそ「本質」に向き合う時

はじめに:「同情」ではなく「本質」を理解する

2025年10月、経営・管理ビザの要件が大幅に改正されました。資本金500万円から3000万円へ、日本人雇用が必須に。メディアでは「外国人経営者がかわいそう」という論調で報じているものもあります。

しかし、行政書士・ビザ専門家として、私はあえて異なる視点を提示したいと思います。

この改正は、経営管理ビザの本来の目的に立ち返った、正当な改正である。

本記事では、改正の本質、すでに始まっている審査厳格化の現実、そして経営者が今すぐ取り組むべき「健全経営への道」を、明確に解説します。


1. 経営・管理ビザの本来の目的とは何か?

経営管理ビザは「移住手段」ではない

多くの方が誤解していますが、経営・管理ビザは「日本に住むための手段」ではありません。

経営・管理ビザは「日本で事業経営を行うためのビザ」です。

つまり、その本来の目的は:

  • 適正な事業活動を行い、売上を上げる
  • 利益を残し、税金を納めて日本に貢献する
  • ビジネスの拡大に伴い、従業員を雇用する
  • 経営体制を強靭化し、財務を健全化する

そして、こうした健全な経営の積み重ねの結果として、「資本金3000万円」という財務基盤が自然に形成されるのです。

資本金3000万円は「結果」であり「条件」ではない

ここが最も重要なポイントです。

資本金3000万円は、突然要求された「無理難題」ではありません。

健全な事業経営を数年間継続すれば、絶対に無理だとは言えない指標なのです。

  • 売上が増える
  • 利益が残る
  • 内部留保が増える
  • 事業拡大のために増資する
  • 結果として資本金が増える

この流れが、本来の事業成長のあるべき姿です。


2. 2025年10月改正:要件の詳細

改正前の要件(2025年10月15日まで)

  • 資本金500万円以上 OR
  • 日本人または永住者を2名以上雇用

比較的緩やかな要件で、小規模事業者でも取得しやすい状況でした。

改正後の要件(2025年10月16日以降)

  1. 資本金:3000万円以上(従来の6倍)
  2. 雇用:日本人または永住者の常勤雇用が必須
  3. 日本語能力:N2相当
  4. 経営経験:3年以上
  5. 学歴:修士以上(一部緩和措置あり)

確かに厳格化されました。しかし、これは「いじわる」ではありません。

真に日本で事業経営を行う資格のある者を選別するための、正当な基準なのです。経営管理ビザは、個人事業主・フリーランスで活動する物ではなく、適正な会社経営をするものに与えられるということが、新要件によって明確化されただけなのです。


3. 改正の背景:なぜ厳格化が必要だったのか?

ペーパーカンパニーによる悪用の実態

出入国在留管理庁によると、以下のような問題が増加していました:

  • 経営実態のないペーパーカンパニーの設立
  • 事業活動の実態がない
  • 売上・経費の記録がない
  • 実質的に「移住の手段」として悪用

経営管理ビザ保有者は2025年末で約4万7000人と、10年前の倍以上。急増の背景には、こうした不正利用がありました。

改正の本質的な目的

当時の鈴木法務大臣の発言:

「許可基準が諸外国と比べて緩く、一部の外国人に移住の手段として悪用されている」

つまり、改正の目的は:

「日本人を雇用し、利益の再配分を行い、日本の国益に貢献する法人に、事業継続の機会を与える」

これは、極めて正当な考え方です。

  • 雇用創出による失業率の低下
  • 税収増による財政貢献
  • 地域経済の活性化
  • 社会保険料の納付による社会保障制度の維持

こうした形で日本社会に貢献する企業こそが、長期的に事業を継続する資格を持つのです。


4. 「2028年10月まで大丈夫」は大きな誤解

経過措置の内容

既に経営・管理ビザを持っている方は、2028年10月までであれば、新要件を満たさなくても更新できる可能性があります。

しかし、この情報が独り歩きし、「2028年10月までは現状のままでも大丈夫」という誤解が広がっています。そして、この甘い認識で更新申請を行い、「追加書類提出」が来て慌てる経営者。不許可になって「どうしよう…」と困惑する経営者が出てきています。

現実:審査の厳格化はすでに始まっている

これは大きな誤解です。審査の厳格化は、すでに始まっています。

現在、更新申請をされた方々から、以下のような報告が寄せられています:

(1) 提出書類の精査が非常に細かい

  • 決算書の詳細な説明を求められる
  • 売上の内訳を詳しく確認される

(2) 事業実態の厳格なチェック

  • 事業所の実地調査が増えている
  • 従業員への聞き取り調査が行われる
  • 顧客リストや取引記録の提示を求められる

(3) 財務状況の詳細な審査

  • 売上・利益の推移を細かく見られる
  • 赤字の理由を詳しく説明する必要がある
  • 資金繰りの状況を確認される

(4) 法令遵守状況の確認

  • 税金の納付状況
  • 社会保険、年金、雇用保険の納付状況
  • 必要な許認可の取得・更新状況
  • 労働基準法の遵守状況

つまり、2028年10月は「猶予期間」ではなく、「適正な経営を積み重ね、証明する準備期間」なのです。

「総合的に考慮」の本当の意味

入管庁のガイドラインには「3000万円がなければ一律に不許可とするわけではなく、総合的に考慮する」とあります。

これは「甘い」ことを意味するのではありません。

「事業の実態、社会貢献度、法令遵守状況などを総合的に評価する」という意味です。

つまり:

  • 真に健全な事業経営をしているか?
  • 日本社会に貢献しているか?
  • 法律を守って事業を行っているか?
  • 今後も継続的に成長する見込みがあるか?

こうした点を厳しく審査する、ということなのです。


5. 経営者が今すぐ取り組むべきこと

嘆いたり、不安になったりしている時間はありません。

今すぐ、目の前のビジネスに真剣に向き合い、健全な経営を積み重ねることが、唯一確実な対策です。

【対策1】売上・利益を増やす

なぜ重要か?
事業の健全性を示す最も基本的な指標です。

具体的なアクション:

  • 商品・サービスの質を向上させる
  • マーケティング活動を強化する
  • 新規顧客の開拓
  • リピート率の向上
  • 客単価の向上
  • コスト削減による利益率改善

記録すべきこと:

  • 月次・年次の売上推移
  • 利益率の推移
  • 顧客数の推移
  • リピート率

【対策2】法令遵守を徹底する

なぜ重要か?
法令を守らない企業に、ビザを認める理由はありません。

具体的なアクション:

(1) 税金関係

  • 法人税、消費税を期限内に納付
  • 納税証明書を常に取得できる状態に
  • 税理士と連携し、適正な税務処理

(2) 社会保険関係

  • 健康保険、厚生年金を適切に納付
  • 従業員全員を加入させる
  • 未納がある場合は即座に納付

(3) 雇用保険・労災保険

  • 従業員を適切に加入させる
  • 保険料を期限内に納付

(4) 許認可

  • 飲食店営業許可などの必要な許認可を取得・更新
  • 有資格者を適切に配置する、欠員が出ればすぐに補充する
  • 有効期限を管理する

(5) 労働基準法

  • 適正な雇用契約書の作成
  • 労働時間の管理
  • 最低賃金の遵守
  • 残業代の適切な支払い

記録すべきこと:

  • 納税証明書
  • 社会保険料納付証明書
  • 許認可証の写し
  • 雇用契約書、就業規則

【対策3】従業員の雇用(特に日本人)

なぜ重要か?
日本社会への貢献の最も直接的な形が「雇用創出」です。

具体的なアクション:

  • 日本人従業員の積極的な採用
  • 求人サイトの活用
  • 労働環境の改善(働きやすい職場づくり)
  • 適正な給与水準の設定
  • 従業員の定着率向上

記録すべきこと:

  • 従業員名簿(国籍、在留資格含む)
  • 雇用契約書
  • 給与支払い記録(年金・社会保険・源泉所得税の支払い)
  • 雇用保険被保険者証

【対策4】経営体制の強化

なぜ重要か?
「しっかりした会社」であることを証明するためです。

具体的なアクション:

  • 正確な会計処理(帳簿の整備)
  • 明確な事業計画の策定
  • 組織体制の整備(役割分担の明確化)
  • 内部統制の構築
  • 定期的な経営会議の実施

記録すべきこと:

  • 正確な決算書(貸借対照表、損益計算書)
  • 事業計画書
  • 組織図
  • 議事録

【対策5】資本金の計画的増強

なぜ重要か?
財務健全性の証であり、新要件の中心です。

具体的なアクション:

  • 利益を内部留保として蓄積
  • 計画的な増資
  • 株主からの増資
  • 金融機関からの融資(資本性ローンなど)

記録すべきこと:

  • 資本金の変遷
  • 増資の計画
  • 財務諸表

【対策6】日本社会への貢献を可視化する

なぜ重要か?
「総合的に考慮」される際の重要な判断材料です。

具体的なアクション:

  • 地域イベントへの参加
  • 地域団体への加入
  • ボランティア活動
  • メディアへの露出
  • 顧客からの評価の記録

記録すべきこと:

  • 地域活動の写真・記事
  • メディア掲載記録
  • 顧客からの感謝の声
  • 口コミサイトの評価

6. 在日外国人を雇用する企業がすべきこと

外国籍役員・管理職の在留資格管理

経営・管理ビザを持つ役員や管理職がいる企業は、以下を確認してください:

(1) 現状確認

  • 在留資格の種類と有効期限
  • 次回の更新時期
  • 新要件への適合状況

(2) 法令遵守状況の確認

  • 税金、社会保険の納付状況
  • 必要な許認可の取得状況
  • 労働法の遵守状況

(3) 事業実績の記録

  • 売上、利益の推移
  • 雇用創出の実績
  • 社会貢献活動

(4) 早めの対策

  • 専門家への相談
  • 必要に応じた増資の検討
  • 日本人従業員の採用計画

家族滞在ビザへの影響

経営・管理ビザが更新できないと、家族滞在ビザで日本に住む配偶者や子供も影響を受けます。

従業員の家族全体の生活に関わる問題として、真剣に取り組む必要があります。


7. 行政書士・専門家ができるサポート

私たちの基本的な考え方

「ビザを取ること」が目的ではありません。

「真に日本で成功し、社会に貢献する企業を育てること」が目的です。

具体的なサポート内容

(1) 経営状況の診断

  • 現在の事業実態の分析
  • 財務状況の評価
  • 法令遵守状況のチェック
  • 新要件への適合可能性の評価

(2) 健全経営への道筋の提示

  • 売上・利益向上のアドバイス
  • 法令遵守チェックリストの提供
  • 雇用戦略の立案
  • 資本金増強の方法の提案

(3) 事業計画の策定支援

  • 中長期事業計画の作成
  • 財務計画の立案
  • 成長戦略の構築

(4) ビザ申請のサポート

  • 更新申請書類の作成・代行
  • 入管への説明資料の作成
  • 事業実態を適切に伝える資料の整備
  • 面接対策

(5) 継続的なフォロー

  • 定期的な経営状況の確認
  • 法令遵守状況のモニタリング
  • 更新スケジュールの管理

私たちが大切にしていること

「本質的な経営改善を行えば、ビザは自然とついてくる」

ビザのための表面的な対策ではなく、本当に強い企業を作ることが、最も確実なビザ対策なのです。


8. この改正をどう捉えるべきか

厳しいが、正当な改正である

確かに、今回の改正は厳しいものです。

しかし、経営管理ビザの本来の目的を考えれば、当然の基準だと言わざるを得ません。

  • 日本で事業経営をするということは、日本社会に貢献するということ
  • 貢献するとは、雇用を創出し、税金を納め、地域経済を活性化すること
  • そのための基盤として、一定の資本金と経営体制が必要

この論理は、極めて正当です。

「かわいそう」ではなく「当然」

一部のメディアは「外国人経営者がかわいそう」という論調ですが、私はそうは思いません。

事業経営者として、当然クリアすべき基準が示されただけです。

  • 売上を上げる
  • 利益を残す
  • 税金を納める
  • 従業員を雇用する
  • 法律を守る

これらは、日本人経営者も外国人経営者も、すべての経営者が当然行うべきことです。

チャンスでもある

この改正を「ピンチ」ではなく「チャンス」と捉えることもできます。

  • 経営を見直すきっかけになる
  • 健全な経営体制を構築するチャンス
  • 事業を次のレベルに引き上げる機会
  • 真に強い企業になるための試練

前向きに捉え、本質的な経営改善に取り組むべきです。


9. よくある質問

Q1: 2028年10月まで何もしなくていいですか?

A: いいえ。審査の厳格化はすでに始まっています。今すぐ、健全な経営に取り組むべきです。

Q2: 資本金3000万円は絶対に必要ですか?

A: 「総合的に考慮」されますが、それは「甘い」という意味ではありません。事業実態、社会貢献度、法令遵守状況などが厳しく審査されます。3000万円に近づける努力は必須です。

Q3: 日本人を雇いたいけど、採用できません。どうすればいいですか?

A: 採用活動を本気で行っていますか? 求人サイトの活用、労働環境の改善、適正な給与水準の設定など、やるべきことはたくさんあります。「採用できない」ではなく「どうすれば採用できるか」を考えるべきです。

Q4: 赤字が続いていますが、ビザは更新できますか?

A: 厳しいです。経営管理ビザは「事業経営のためのビザ」です。赤字が続くということは、事業として成り立っていないということ。抜本的な経営改善が必要です。

Q5: どのような記録を残しておくべきですか?

A: 売上・利益の推移、納税証明書、社会保険料納付証明書、雇用契約書、従業員名簿、事業計画書、地域貢献活動の記録など、事業の健全性を証明できるあらゆる記録を残しておくべきです。


10. まとめ:今こそ「本質」に向き合う時

2025年10月の経営・管理ビザ要件改正は、多くの外国人経営者に衝撃を与えました。

しかし、この改正の本質を正しく理解すれば、やるべきことは明確です。

【改正の本質】

  • 経営管理ビザは「日本で事業経営を行うためのビザ」
  • 適正な事業活動→売上増→利益確保→税金納付→雇用創出→財務強化→資本金増強
  • この一連の流れが、本来の健全な事業成長の姿
  • 資本金3000万円は「条件」ではなく「健全経営の結果」

【現実】

  • 審査の厳格化はすでに始まっている
  • 2028年10月は「猶予期間」ではなく「準備期間」
  • 提出書類、事業内容、決算内容が細かく精査されている

【今すぐやるべきこと】

  1. 目の前のビジネスに真剣に向き合い、売上・利益を増やす
  2. 税金、社会保険、許認可など、法令遵守を徹底する
  3. 従業員(特に日本人)を雇用し、日本社会に貢献する
  4. 経営体制を強化し、財務を健全化する
  5. 資本金を計画的に増強する
  6. 日本社会への貢献を記録・可視化する

この積み重ねが、新要件クリアへの唯一確実な道です。

確かに、今回の改正は厳しいものです。

しかし、経営管理ビザの本来の目的を考えれば、当然の基準だと言わざるを得ません。

真に日本社会に貢献する意思と実績のある経営者であれば、この基準をクリアすることは決して不可能ではありません。

今こそ、目の前のビジネスに真剣に向き合い、健全な経営を積み重ねる時です。

私たち行政書士・ビザ専門家は、その道のりを全力でサポートします。

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参考記事
「街からカレー店消えるかも」経営・管理ビザの要件厳格化で外国人オーナー苦悩 地元で人気の香港粥の店は閉店を決断
https://news.yahoo.co.jp/articles/b81ba765d0d5d4076902407484f7b0facea06939