1. はじめに|外国人留学生の不法就労が増える背景

ここ数年、日本国内の人手不足は深刻さを増すばかりです。とくに飲食業や宿泊業、介護・小売業など、いわゆるサービス業の現場では、「人が足りない」「求人を出しても応募がない」といった声が後を絶ちません。そのような状況の中で、頼りにされているのが、外国人留学生の存在です。

外国人留学生は、勉学を目的として日本に滞在している若者たちですが、生活費や学費を補うためにアルバイトとして働いているケースが非常に多くなっています。店舗のスタッフや清掃員、ホテルの客室係、工場の作業員として、日本人学生よりも「真面目で辞めない」「覚えが早い」と好評を得ている一方で、法的には注意すべき点が多くあります。

たとえば、「週28時間」という勤務時間の上限を超えて働いているケースが見られます。これには、店側が気付いていながら目をつぶっている例も少なくありません。また、「現金手渡し」での給与支払い、「複数のアルバイト掛け持ち」など、制度の抜け道を利用するようなグレーゾーンな働き方も実在しています。

このような状況は、単なる個人の問題ではなく、企業と留学生、双方の切実な事情が交錯した構造的な問題です。そしてその結果、「不法就労」という法的リスクが企業側にも降りかかってくるのです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/369624b0f5768527f7ffcc1d839ea2fb962a6631

本記事では、外国人留学生の雇用に関する制度の基本から、現場で起こっている問題の実態、法的リスク、そして企業としての適切な対応策について、行政書士の立場から具体的に解説します。


2. 外国人留学生の在留資格とアルバイトのルール

まず押さえておくべき前提として、外国人留学生が日本に在留している目的は「就学」です。つまり、学校に通うために日本に来ているのであり、働くことが目的ではありません。そのため、留学生がアルバイトをするためには、「資格外活動許可」を取得しなければなりません。

この「資格外活動許可」は、入国管理局への申請によって得られます。許可が下りると、原則として週28時間以内(長期休暇中は1日8時間)の範囲でアルバイトを行うことができます。これを超えると、不法就労と見なされ、在留資格の取消や強制退去といった厳しい処分が下される可能性があります。

ここで重要なのは、この「週28時間」という制限はすべてのアルバイトの合計時間であるという点です。たとえば、コンビニと飲食店でそれぞれ週20時間働いていた場合、合計40時間となり、完全に違法になります。掛け持ち先にその事実を申告していなかったとしても、企業側が「知らなかった」では通用しないリスクもあるのです。

また、労働時間や業務内容、雇用契約の締結においても、留学生であることを踏まえた適切な対応が求められます。
つまり、留学生のアルバイト採用は、単なる人手確保の手段ではなく、法令遵守と人権配慮を両立した慎重なマネジメントが求められるのです。


3. 週28時間制限を超える勤務の実態とその背景

とはいえ、現場ではこの「週28時間のルール」が守られていないケースが多数存在します。特に、都心部の飲食店やコンビニ、ホテルなどでは、留学生が週40時間以上働いているといった話も珍しくありません。問題は、それが本人の意思だけでなく、雇用側の事情とも密接に結びついている点です。

一つは、外国人留学生の経済的な事情です。多くの留学生は、出身国で借金をして来日しています。たとえば、ネパールからの留学生は、入学金や学費、ビザ取得費用、紹介業者への手数料などで、100万円以上の負債を抱えているケースもあります。この金額は、彼らの母国の数年分の年収に相当することもあり、日本でできるだけ多く稼がないと返済できないという切迫した事情を抱えているのです。

また、企業側にも「人が集まらない」「日本人学生はすぐ辞めてしまう」という悩みがあります。特に地方や24時間営業の業種では、留学生に依存せざるを得ない現実があります。そのため、店長や人事担当者が「本当はオーバーワークだと分かっているが、見て見ぬふりをする」という構造が生まれています。

なかには、タイムカードを2枚使わせたり、現金手渡しで勤務時間を隠すような悪質なケースもあります。これは立派な不法就労助長行為であり、企業にとっても大きなリスクです。

このように、制度と現実の乖離は、留学生の事情と雇用側の切実さが絡み合って生まれているのです。
それでも、「知らなかった」では済まされない時代が来ているのです。


4. 不法就労がバレた場合の企業リスクとは

では、外国人留学生を不適切に雇用し、不法就労と判断された場合、企業側にはどのようなリスクがあるのでしょうか?

まず、もっとも直接的な影響として、「不法就労助長罪」が適用される可能性があります。この罪は、不法就労であることを知りながら雇用した場合に成立しますが、「知らなかったが、確認もしていなかった」「黙認していた」というケースも、実務上は責任を問われることが少なくありません。

不法就労助長罪に該当すると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。これは、単なる労働トラブルではなく、刑事罰の対象となる重大な違法行為なのです。

さらに、企業にとって深刻なのは「風評リスク」です。不法就労が発覚すれば、メディアやSNSを通じてその事実が拡散され、企業の信頼は大きく揺らぎます。場合によっては、取引先や顧客から契約打ち切りやクレームが発生する恐れもあるでしょう。

また、コンプライアンス体制の甘さを指摘されれば、行政指導や立ち入り調査の対象になることもあります。
とくに多店舗展開を行っている企業にとっては、1店舗の問題が全体の経営リスクに波及するケースもあります。

このように、不法就労を放置したまま雇用を続けることは、企業にとって「見えない爆弾」を抱えているようなものです。人手不足だからといって、違法リスクを容認してよい理由にはなりません。

ニセコビザ申請サポートセンターは、行政書士として、企業の就労体制や契約書、労務管理の見直しなどを通じて、こうしたリスクを未然に防ぐサポートが可能です。少しでも心当たりのある企業様は、早めの対応をご検討ください。


5. なぜ「知らないふり」が横行するのか?

外国人留学生の不法就労が後を絶たない背景には、「現場の切実な事情」が存在します。
企業、特に中小規模の店舗や事業所にとって、外国人留学生はもはや欠かせない存在となっています。

「この子がいなければお店が回らない」「真面目で優秀な人材だから辞めてほしくない」といった現場の声は、決して珍しくありません。
その結果、掛け持ち勤務や時間超過に気づいていながら、あえて目をつぶる…つまり、“知らないふり”をするケースが増えているのが現実です。

例えば、飲食店やコンビニなどの小規模店舗では、スタッフが日々ギリギリの人数で回していることも少なくありません。急に1人抜ければ、営業に支障が出ることさえあります。そのため、「多少オーバーしていても黙認しよう」「書類上は大丈夫に見せかけよう」といったグレーな対応が横行しているのです。

さらに悪質なケースでは、タイムカードを2枚使わせる、別名義で雇う、現金手渡しで記録を残さないなど、組織的な不正行為も存在します。こうした対応は、企業にとって法的・倫理的リスクが極めて高いと言えます。

「うちの規模では人事管理まで手が回らない」「制度が複雑でわかりにくい」という声もありますが、だからこそ、制度を熟知した専門家と連携することが求められる時代になってきています。

行政書士として現場で感じるのは、多くの企業が「違法になると知らなかった」「つい見過ごしていた」という、いわば“意図的ではない不法行為”に陥っていることです。しかし法律は、知らなかったでは済まされません。

今後、制度の監視強化が進めば、これまで以上に厳格な取締りが行われることは確実です。企業として「うちは大丈夫か?」を今一度見直す時期に来ているのではないでしょうか。


6. 法令遵守しながら外国人を戦力化するには?

「違法ではない形で、外国人留学生を戦力化するにはどうすればよいか?」
これは、今や多くの経営者・人事担当者が抱える共通の課題です。

まず大前提として、「合法的に雇用する仕組みづくり」が必要です。
これは、単なる書類の整備ではありません。採用から退職までのプロセス全体における、適法かつ透明な運用体制の構築を意味します。

最初に確認すべきは、「資格外活動許可」の有無です。留学生がアルバイトをするには、この許可が必須であり、許可を得ずに働かせることは不法就労になります。
在留カードの確認だけでなく、許可内容の明示と管理を徹底することが第一歩です。

次に重要なのが、「労働時間の一元管理」です。掛け持ちの勤務を把握していない企業も多いですが、週28時間の上限は、すべての勤務先の合計で判断されます。たとえ自社で20時間しか働いていなくても、他社で10時間働いていればアウトです。
そのためには、採用時に掛け持ちの有無を確認し、定期的に申告させるルールを設ける必要があります。

さらに、雇用契約書やシフト表の整備も欠かせません。
外国人留学生は日本語が母語ではないため、多言語対応の契約書や労務ルールの提供も考慮するべきです。
誤解やトラブルを防ぐためにも、視覚的にわかりやすい資料やマニュアルの整備が有効です。

そして、長期的な人材戦略として、「特定技能」への切替も視野に入れましょう。留学生から特定技能への移行は、合法的により長く、制限なく働いてもらえる手段となります。

当事事務所では、これら一連の制度設計・運用・手続きの支援を通じて、企業がリスクを抱えず、安心して外国人材を活用できる体制づくりをお手伝いしています。


7. 「特定技能」との違いと使い分け

外国人材を雇用する上で、しばしば混同されがちなのが「留学生アルバイト」と「特定技能」の違いです。
この2つは在留資格として全く別のカテゴリであり、それぞれの特性とメリット・デメリットを理解して、状況に応じて使い分けることが非常に重要です。

まず、「留学生アルバイト」は、あくまで“就学が本分”であり、その補助的な形で週28時間までの就労が認められている立場です。雇用期間にも限りがあり、学業を終えると基本的に帰国か、別の在留資格への変更が必要になります。

一方で、「特定技能」は、明確に“労働力”としての在留資格です。日本語能力や技能試験に合格する必要はありますが、週28時間といった時間制限がなく、フルタイムで働けることが大きな特徴です。外食業、宿泊業、介護、建設など16業種において、企業は労働者としてしっかりと戦力化できます。

また、特定技能では、最長で通算5年まで在留可能であり、雇用契約も一般の労働契約とほぼ同様の取り扱いができます。
給与水準や労働条件についても、日本人と同等以上でなければならないというルールがあり、結果的に企業としても「適正な雇用管理体制」を求められることになります。

では、なぜ多くの企業が今も「留学生ルート」を活用しているのでしょうか?
答えはシンプルで、留学生は制度上のハードルが低いからです。
「日本語学習歴が150時間以上ある」など、特定技能に比べて要件が緩く、送り出し業者にとっても手間が少ないのです。

しかし、制度が厳格化されるこれからの時代には、“グレーゾーン”を活用する雇用形態は大きなリスクになります。
むしろ、特定技能という「正攻法」で、安定かつ継続的な雇用を目指すことが、結果的に企業の成長につながるのです。

当事務所は、このような特定技能への移行サポート、書類作成、監理体制の構築など、制度面での支援をトータルで行うことができます。


8. ニセコビザ申請サポートセンターができるサポートとは?

外国人留学生を雇用するうえで、多くの企業が感じているのは「何が正解かわからない」「どこまでやれば安全なのか判断できない」という不安です。制度は複雑で、しかも年々運用が厳格化されています。こうした状況の中で、行政書士は外国人雇用における“法務と実務の橋渡し役”として重要な役割を果たします。

まず基本となるのが、留学生本人の在留資格や資格外活動許可の確認です。在留カードを見ただけで安心してしまう企業は少なくありませんが、実際には「許可の有無」「許可内容」「在留期限」など、細かく確認すべきポイントが存在します。行政書士は、これらを専門的にチェックし、現時点での雇用が適法かどうかを明確にします。

次に、資格外活動許可の取得や更新の手続き支援です。留学生本人が申請するものではありますが、書類不備や説明不足によって不許可となるケースもあります。企業側が関与することで、より実態に即した、トラブルの少ない申請が可能になります。

さらに重要なのが、労務管理ルールの作成・見直しです。
・週28時間を超えないためのシフト設計
・掛け持ち申告ルールの整備
・雇用契約書や就業規則の見直し
これらを曖昧なまま運用していると、意図せず不法就労を助長してしまうリスクがあります。行政書士は、企業の規模や業種に応じて、現実的かつ実行可能なルール設計を支援します。

そして、将来的に「特定技能」への切替を見据えたサポートも重要です。必要書類の作成だけでなく、切替のタイミングや要件整理、社内体制の整備まで含めて支援できるのは、入管業務に精通した行政書士ならではと言えるでしょう。

当事務所は、単なる「書類屋」ではありません。
企業を守り、外国人材を守り、長期的に安定した雇用を実現するためのパートナーなのです。


9. まとめ|安心して外国人留学生を雇用するために

外国人留学生のアルバイトは、今や多くの業界にとって欠かせない存在です。真面目で意欲的、そして人手不足を補ってくれる大切な戦力であることは間違いありません。しかしその一方で、制度を正しく理解せずに雇用を続ければ、企業にとって大きな法的リスクとなることも事実です。

「みんなやっているから大丈夫」「今まで問題なかったから平気」
こうした考え方は、これからの時代には通用しません。監視体制は確実に強化されており、不法就労が発覚した場合のダメージは、企業規模に関係なく深刻です。

重要なのは、留学生を“使い捨ての労働力”として扱うのではなく、制度の枠内で、長く活躍してもらう仕組みを作ることです。
正しい知識と適切な手続きを踏めば、企業にとっても、外国人留学生にとっても、健全で持続可能な関係を築くことができます。

問題が起きてからではなく、「問題が起きないようにする」ためにこそ、私たちは存在しています。

外国人留学生の雇用について、少しでも不安や疑問があれば、ぜひ一度ご相談ください。
それが、企業を守り、未来の安定した人材確保につながる第一歩となるはずです。