1. 自動車整備業界の深刻な人手不足
自動車整備業界では、深刻な人手不足が長年にわたり続いています。2024年度の有効求人倍率は5.45倍と、全産業平均の1.25倍を大きく上回っており、この数字は単なる一時的な人材不足ではなく、構造的な問題であることを物語っています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a61893fa431950b2ebf3ba2525e2a397624a9dc5
背景にあるのは、少子高齢化と若年層の整備士離れです。近年、高校・専門学校卒業後に整備士を目指す若者の数が大幅に減少しており、整備士資格試験の申請者数も2004年度の7万2623人から、2024年度には約3万5500人にまで落ち込んでいます。整備士資格を持つ人材そのものが減っている中で、現場ではベテラン整備士の引退が相次ぎ、技術の継承にも課題が生じています。
また、EV(電気自動車)や先進運転支援システム(ADAS)といった新技術の普及により、整備現場に求められるスキルは年々高度化しています。単に経験年数だけでなく、デジタル技術への対応力も必要となっており、育成にも時間とコストがかかります。そのため、多くの整備工場では「人を育てる余裕がない」というジレンマに陥っているのが実情です。
このような背景から、国内の労働力だけでは需要に追いつけず、外国人材の活用が急務となっています。
2. 外国人材の受け入れが進む背景
こうした人材不足を補う手段として、外国人材の受け入れが注目されています。整備士の有資格者が減少する中、即戦力となる人材をどのように確保するかが、整備業界の持続可能性を左右する課題です。
国もこの状況を深刻に受け止めており、「技能実習制度」や「特定技能制度」など、外国人労働者の受け入れを促進する制度を整備してきました。特に2019年に創設された「特定技能1号」は、一定の技能水準と日本語能力を持つ外国人に在留資格を認めるもので、自動車整備分野も対象となっています。
実際、2024年10月時点で日本国内には5,845人の外国人自動車整備士が在籍しており、これは今後も増加が見込まれる数字です。特定技能制度の導入により、企業側はより長期的かつ安定的な雇用が可能となり、従来の技能実習制度に比べて教育投資の回収もしやすくなっています。
さらに、外国人整備士の多くは、母国で機械工学などの専門教育を受けており、日本での実務経験を通じて高いスキルを身に付けています。言語面の壁はあるものの、整備マニュアルや基準を英語に置き換えることで理解できるケースも多く、職場での適応力は想像以上に高いと言えます。
このように、外国人材は“補充人員”ではなく、“未来の整備士”として期待されているのです。
3. オートバックスの先行事例に見る成功ポイント
外国人整備士の受け入れを先駆けて進めてきた企業の一つが、オートバックスセブンです。同社は2006年からフィリピンのパーペチュアル・ヘルプ大学と提携し、技能実習生の受け入れをスタート。以来、全国のフランチャイズ店舗において、延べ800人以上の外国人スタッフが活躍しています。
このプログラムの特徴は、単なる労働力として外国人を受け入れるのではなく、教育とキャリア形成を重視している点にあります。例えば、整備知識だけでなく、日本語教育や生活支援も充実しており、現場でのコミュニケーションを円滑に進める工夫がされています。
また、採用される外国人の多くは機械工学の学士を持っており、技術への理解が深いため、現場での即戦力となっています。マニュアルの読解や保安基準の理解も比較的スムーズで、日本人スタッフと遜色ないパフォーマンスを見せているケースも少なくありません。
こうした成功事例から学べるのは、「制度と教育体制の両輪」が整えば、外国人整備士は企業にとって大きな戦力になり得るということです。オートバックスのように長期的な視点で人材育成に取り組む姿勢が、今後の整備業界には求められています。
4. 技能実習から特定技能1号への移行プロセス
外国人整備士が日本で長く働くためには、在留資格のステップアップが不可欠です。その代表的な流れが「技能実習」から「特定技能1号」への移行です。
まず、技能実習制度は最長で3年(または条件を満たせば5年)までの在留が可能で、「技能の習得」を目的としています。一方、特定技能1号は「人手不足分野での就労」を前提とし、最長5年間の在留が可能です。特定技能に移行するには、日本語能力試験(N4以上)や分野別の技能評価試験に合格する必要がありますが、自動車整備分野では実務経験を活かしやすいのが特徴です。
このプロセスにより、企業は長期間にわたって熟練度の高い外国人整備士を雇用できるようになり、教育・研修への投資がより意味のあるものとなります。また、技能実習終了後すぐに帰国させる必要がないため、現場の安定運営にもつながります。
現在、技能実習から特定技能への移行率は年々上昇しており、国もこの流れを後押ししています。今後は特定技能2号(在留期限の制限なし、家族帯同も可能)も整備される予定であり、優秀な外国人整備士を長期的に戦力化するチャンスが広がっています。
このように、制度の正しい理解と運用が、外国人材の活躍を左右します。当事務所では、在留資格の取得・更新はもちろん、制度変更への対応、生活支援までトータルでご支援しています。外国人整備士の受け入れをご検討の企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
5. 外国人整備士の労働条件と生活環境
外国人整備士を雇用する上で、企業が配慮すべき大きなポイントの一つが「労働条件」と「生活環境」です。せっかく採用した人材が短期間で離職してしまうことのないよう、現場での待遇や日常生活への支援を整えることが重要です。
例えば、前述のフィリピン人整備士たちの場合、手取り月給はおよそ20万円前後で、社宅が提供されるケースが多くあります。家賃は無料、水道・光熱費のみ自己負担とすることで、生活コストを抑えつつ、日本での経済的自立を支援する形です。また、月5万〜10万円を仕送りに回せるだけの収入が確保されており、これは本人たちにとって大きなモチベーションとなっています。
加えて、勤務形態や休日取得の整備、労働時間の適正化など、一般労働者と同様の環境整備も不可欠です。外国人材だからといって過度な労働を強いるような体制では、長期雇用には繋がりません。労働基準法や出入国在留管理庁のガイドラインを遵守した運営が求められます。
生活面では、銀行口座の開設、スマートフォンの契約、地域コミュニティとの接点づくりなど、日本での暮らしを安定させる支援が重要です。企業によっては、通訳スタッフの配置や、通院・行政手続きのサポートなども行われており、こうした手厚い対応が定着率の向上に繋がっています。
労働環境と生活環境は表裏一体です。双方が整ってこそ、外国人整備士が安心して能力を発揮できる土壌が育ちます。企業としては“採用したら終わり”ではなく、“共に育てていく”という視点が大切です。
6. 整備士に求められるスキルと語学力
外国人整備士を受け入れるにあたって、企業が気になるポイントの一つが「日本語力」と「整備スキル」のバランスです。
整備現場では、自動車の構造理解はもちろんのこと、整備マニュアルの読解、法定点検の記録、顧客への説明対応など、一定の日本語理解が求められます。一方で、外国人材の多くは、母国で機械工学などの専門教育を受けており、理論面では十分な知識を備えています。問題は、それを日本の現場でどう応用するかにあります。
特に道路運送車両法や保安基準など、日本独自の法制度を理解するためには、日本語の習熟度が鍵を握ります。現場での安全確保にも関わるため、企業側は採用後の日本語研修を組み込むことが望まれます。中には、業務に必要な用語だけを集中的に学ぶ「整備業特化型日本語講座」を社内で実施している企業もあります。
また、ツールやマニュアルを多言語対応にしたり、図解・動画マニュアルを活用したりする工夫も効果的です。これにより、言語の壁をテクノロジーで補完することが可能となり、作業効率も向上します。
とはいえ、最終的には現場での“体験”が何よりの学習機会です。日本人スタッフが丁寧に業務を教え、フィードバックを重ねる中で、外国人整備士も自然と語学力と実務力を磨いていきます。この過程で生まれる“信頼関係”が、チームとしての一体感を育て、離職率の低下にも繋がるのです。
整備スキルと語学力、どちらが欠けても現場での活躍は難しいですが、両方をバランスよく育てる仕組みづくりこそ、企業が果たすべき役割です。
7. 「みなし公務員」自動車検査員という選択肢
外国人整備士の中には、単なる整備士にとどまらず、「みなし公務員」である自動車検査員を目指す人も出てきています。これは企業にとっても、新たな可能性を秘めた人材育成の道と言えます。
自動車検査員は、指定工場で車検を行う際に不可欠な国家資格者であり、法令に基づいて車両の安全性を判断する責任ある立場です。つまり、整備だけでなく法的判断力や書類作成能力も求められるため、一定の語学力や実務経験が必要とされます。
これまで日本人中心だったこのポジションに、外国人が挑戦する背景には、「長く日本で働きたい」「キャリアアップしたい」という意欲が見られます。前述のフィリピン人整備士マークさんも、自動車検査員資格の取得を目指していると語っており、日本の制度や社会に適応しようという意志が伝わってきます。
企業側にとっては、自社内に検査員資格者が増えることで、車検業務の自社完結が可能となり、業務効率と信頼性の向上に繋がります。また、外国人社員が検査員になることで、他の外国人社員のロールモデルにもなり、人材育成の好循環が生まれます。
もちろん、言語の壁や制度的なハードルは依然として存在しますが、それを乗り越えようとする外国人整備士の姿勢を企業が応援することで、強い信頼関係とチーム力が築かれるでしょう。
このように、検査員という上位資格を目指す道を提示することは、外国人材の長期雇用とモチベーション維持に大いに役立ちます。単なる人手ではなく、“育てる人材”として捉える視点が、これからの整備業界に求められています。
8. 雇用企業が準備すべき法的・実務的対応
外国人整備士を受け入れるにあたって、企業が最も注意すべきなのが「法的な整合性」と「実務的な運用体制」です。手続きを誤ると、不法就労や在留資格の取消といった重大なリスクを招きかねません。
まず基本となるのは、適切な在留資格の取得と更新管理です。技能実習・特定技能いずれの場合でも、在留資格の種別・期間・活動内容に応じて、定められた手続きを確実に履行する必要があります。これには、出入国在留管理庁(入管)への申請書類の作成や、受入機関としての適格性証明など、多岐にわたる事務作業が含まれます。
また、労働契約や就業規則の整備も欠かせません。外国人労働者にも労働基準法が適用されるため、日本人と同様に適正な労働条件を提示しなければなりません。さらに、トラブル防止のためには、契約書を英語等でも作成することが望ましいでしょう。
企業側の教育・管理体制も重要です。技能実習生の場合、監理団体との連携が必須となり、定期的な面談や報告義務があります。特定技能の場合も、生活支援計画の策定や、定住支援サービス(銀行口座、住居確保など)の実施が求められます。
このような煩雑な事務を自社だけで対応するのは現実的ではないケースも多いため、行政書士のような専門家に依頼することで、制度上のミスを未然に防ぐことができます。当事務所では、制度の解釈から書類作成・提出、監査対応までワンストップでサポートしております。
正しい知識と体制が整ってこそ、外国人材の活躍が実現するのです。
9. 当事務所ができるサポートとは?
外国人整備士の受け入れを成功させるには、複雑な法手続きと現場の実情を両立させる必要があります。そこで重要な役割を果たすのが、私たち行政書士です。
行政書士は、入管への在留資格申請・更新といった法務手続きのプロフェッショナルであり、雇用側・外国人双方にとっての“橋渡し役”を担います。具体的には、以下のような支援が可能です:
・技能実習や特定技能に必要な在留資格の取得申請書類の作成・提出 ・監理団体との連携、申請内容の整合性チェック ・雇用契約や就業規則などの法定文書の整備と翻訳 ・生活支援計画の作成、地域との連携構築 ・制度変更への迅速な対応とアドバイス
また、採用前の事前相談から、受け入れ後の運用フォローアップまで、一貫した支援が可能です。外国人材の受け入れは「やってみよう」と思っても、実際の手続きや書類作成において多くの企業が壁にぶつかります。特に中小企業にとっては専任の人材を配置することが難しいため、専門家のサポートが鍵を握ります。
私たちニセコビザ申請サポートセンターは、単に「書類を作る人」ではありません。法制度を熟知し、企業と外国人労働者が安心して協働できる環境づくりをサポートする“実務の専門家”です。外国人整備士を受け入れ、長期的な戦力として育てていきたい企業の皆様、まずはお気軽にご相談ください。
10. 外国人整備士受け入れの成功事例を作るには
外国人整備士を採用し、企業にとっての戦力として育成するには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。単に「人手が足りないから雇う」という発想ではなく、「共に働き、共に成長するパートナー」という視点が欠かせません。
まず第一に必要なのが、「制度理解」です。技能実習と特定技能、それぞれの目的や制限、必要な手続きを正確に理解すること。これを怠ると、法令違反や不適切な雇用となり、企業側に大きなリスクをもたらします。
次に求められるのが「受け入れ体制の整備」です。日本語研修や生活支援、労働環境の整備など、外国人材がスムーズに職場に馴染める仕組みづくりが、定着率向上に直結します。これには人事・現場・経営層が一体となった取り組みが不可欠です。
そして、最も重要なのが「信頼関係の構築」です。文化や言葉の違いがある中で、外国人材が安心して働ける職場を提供すること。たとえ失敗やミスがあっても、建設的に改善していける風土が、外国人整備士の成長を後押しします。
これらの要素をバランス良く整えることで、企業は単なる人手不足の解消だけでなく、将来の中核人材を確保することができます。実際に、継続的に外国人整備士を採用し、リーダー層へと育て上げている企業も存在しています。
外国人材受け入れの成功とは、「制度に従った採用を行うこと」ではなく、「共に働き、成果を生み出す仕組みを作ること」にあります。
まとめ:外国人整備士は“未来の戦力”です
自動車整備業界の人手不足は、今後ますます深刻化していくと予測されます。その中で、外国人整備士の活用は決して一時的な補充手段ではなく、企業の未来を担う“戦略的投資”です。
本記事でご紹介したように、制度理解、受け入れ体制の構築、信頼関係の育成をしっかり行うことで、外国人材は企業にとって欠かせない存在となり得ます。そして、そうした取り組みを円滑に進めるためには、行政書士など専門家のサポートが極めて重要です。
「人材がいない」と嘆く前に、「どうすれば育てられるか」を一緒に考えていきましょう。
ニセコビザ申請サポートセンターでは、外国人整備士の受け入れを全力でサポートしております。まずは無料相談から、お気軽にお問い合わせください。
