1. はじめに:外国人による不動産取得、なぜ注目されているのか?
近年、日本での外国人による不動産取得が注目を集めています。
2024年7月に行われた産経新聞社とFNNによる世論調査では、実に77.2%の回答者が「外国人による不動産取得を規制すべき」と回答しました。特定政党の支持層に限らず、保守系・リベラル系問わず広く規制の声が広がっています。
この流れを受けて、今後、外国人による土地取得に関する法的規制の強化が進む可能性が高まっている状況です。
2. 調査結果の概要:世論が示す危機感
今回の調査で明らかになった主なポイントは以下のとおりです。
- 「規制すべき」:77.2%
- 「規制すべきでない」:17.0%
- 政党別でも支持層の7割以上が規制を支持
- 参政党:92.6%
- 自民党:72.6%
- 立憲民主党:74.7%
つまり、外国人による不動産取得に対する「不安」や「警戒感」は、社会全体に広く共有されていると考えられます。
3. なぜ規制の声が強まっているのか?
具体的な懸念は以下のようなものです。
- 水源地や防衛施設周辺など、国家安全保障にかかわる土地の取得
- 山林やリゾート地などの“買い占め”による地域の実質的な支配
- 住宅地での生活習慣の違いによる地域トラブル
- 不動産投資目的での短期売買が地域コミュニティに与える影響
これらの問題は、報道やSNSなどを通じて目に見える形で拡散され、不安が高まっています。
4. 外国人の不動産取得に関する現行法の位置づけ
現在、日本の法制度においては、外国人が土地や建物を購入することに対する包括的な禁止・制限は存在しません。
日本では「外国人も内国人と同様に不動産取得が可能」とされており、居住用・事業用ともに制限なく売買できます。
ただし、特定の法制度が一部のケースを対象に制限しています。
5. 重要土地等調査法とは?
2021年に制定された「重要土地等調査法」は、外国人による不動産取得に初めて一定の歯止めをかける法律となりました。
【ポイント】
- 対象地域:防衛施設、原子力施設、国境離島などの周辺
- 主な規制内容:
- 一定規模以上の土地取得について事前届出義務
- 利用実態についての調査・勧告・命令が可能
- 違反があれば罰則の適用も
しかし、この法律は対象地域が限定的であるため、都市部や観光地の多くは規制対象外のままとなっています。
6. 外国人が不動産を取得する実務的な手続きとは?
外国人が日本で不動産を取得する際の流れは、日本人とほぼ同様です。
- 不動産仲介業者との契約
- 購入価格の支払い(日本国内口座での資金移動)
- 登記申請(司法書士が対応)
- 固定資産税などの納付
法的なハードルはほとんどないため、事実上の自由購入が可能です。ここに、今回の「規制すべき」という声の根拠があります。
7. 今後、規制強化はどう進むのか?
現段階では明確な改正案は出ていませんが、可能性のある動きとしては以下が考えられます。
- 届出制度の全国拡大
- 用途制限付き許可制(事業用 vs 居住用)
- 外国資本による取得に対する審査制度の導入
- 法人名義取得に対する実質的支配者の情報開示義務化
また、自治体単位での条例による制限も議論の余地があります。
8. 外国人起業家・投資家への影響は?
今後の規制強化は、以下のような場面に影響が出ると予想されます。
- 日本で会社を設立した外国人がオフィスや社宅を購入する場合
- 外国人富裕層が日本のリゾート地にセカンドハウスを購入する場合
- 外資系企業が倉庫や工場を土地付きで取得する場合
これまでスムーズにできていた不動産取得に、新たな審査・届出・時間的制約が加わる可能性があります。
9. 外国人を雇用する企業にも影響が
外国籍の従業員が住宅を購入する際に、新しい制度下では企業側からの説明責任や支援が必要になるかもしれません。
また、福利厚生の一環としての社宅制度にも影響が出る可能性があります。
企業の人事・法務部門としては、今後の制度改正に備えた以下の対応が求められます。
- 法律改正の動向チェック
- 在留資格と不動産取得の連動管理
- 外国人社員への情報提供体制の整備
10. まとめ:グローバル化と安全保障の両立へ
外国人による不動産取得に対する規制の動きは、単なる排外主義ではなく、安全保障・地域保全・経済秩序の再設計という文脈にあります。
行政書士としては、「すべてを制限すべき」とは思いませんが、適切なガイドラインと透明性のある制度運用が不可欠だと感じています。
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