はじめに:すでに経営管理ビザを持っている方も無関係ではない──2028年10月が「デッドライン」
外国人が日本で会社を立ち上げ、「経営管理ビザ」を取得するのは今後、ますます難しくなります。
特に、2025年10月16日以降に適用される新基準では、次の4つの要件が申請時の”前提条件“として課されることが明らかになりました。
しかし、この改正で最も深刻な影響を受けるのは、実は「これから取得する人」だけではありません。
すでに経営管理ビザを保有し、日本で事業を営んでいる外国人経営者の方々にとっても、これは極めて重大な問題なのです。
【重要】更新時にも新基準が適用される──猶予期間は実質3年のみ
入管当局の方針として、2025年10月16日以降は、新規取得だけでなく、ビザの更新申請時にも新基準が適用されることが明確にされています。
つまり、現在すでに経営管理ビザを持っている方であっても、遅くとも2028年10月までには、以下の4つの要件をすべて満たしていなければ、更新が不許可となり、日本での在留資格を失う可能性があるのです。
- 資本金3,000万円以上
- 日本人または永住者の常勤従業員1名以上
- 日本語N2以上の能力(経営者または従業員)
- 独立した事務所の確保
2028年10月が事実上の「デッドライン」
現行の経営管理ビザの在留期間は、通常1年、3年、5年のいずれかです。
仮に2025年10月時点で5年の在留期間を持っていたとしても、次回の更新は2030年となり、その時点では確実に新基準が適用されます。
しかし実際には、多くの経営管理ビザ保有者は1年または3年の在留期間であり、遅くとも2028年10月までには更新申請のタイミングが訪れます。
つまり、実質的な猶予期間は3年程度しかないのです。
これは「ビザ剥奪」にも等しい衝撃
私は長年、外国人のビザ申請・入管業務を専門に扱う申請取次行政書士として、数多くの経営管理ビザ案件をサポートしてまいりました。
これまでの入管実務において、「既得権の保護」という考え方は一定程度尊重されてきました。つまり、制度変更があっても、既にビザを持っている人には急激な影響を与えないよう、経過措置や緩和策が設けられるのが通例でした。
しかし今回の改正は、既存のビザ保有者に対しても容赦なく新基準を適用するという、極めて厳格な姿勢を示しています。
これは実質的に、「現在の経営実態が新基準を満たしていない経営者は、3年以内に日本を去らなければならない」という通告に等しいものです。
特に影響を受けるのはこんな経営者
以下のような状況で経営管理ビザを保有している方は、今すぐ対応を始めなければ、更新が極めて困難になります。
- 資本金500万円で会社を設立した方
→ 2,500万円の増資が必要 - 従業員を雇用していない、または家族や留学生アルバイトのみの方
→ 日本人または永住者の正社員雇用が必須 - 自宅兼事務所で事業を行っている方
→ 独立した事務所への移転が必要 - 日本語がビジネスレベルに達していない経営者(従業員もN2未保持)
→ JLPT N2取得、またはN2保持者の採用が必須
これらの要件を満たすには、資金調達、人材採用、オフィス移転、語学学習など、多大な時間とコストが必要です。
「そのうち何とかなるだろう」と先延ばしにしていると、更新のタイミングで間に合わず、日本での事業継続そのものが不可能になるという、極めて深刻な事態に直面します。
本記事の目的:危機感を持ち、今すぐ準備を始めるために
本記事では、それぞれの要件の背景と、どのような準備が必要になるかを実務視点で詳しく解説いたします。
特に、すでに経営管理ビザを保有している方が、次回の更新に向けてどのような対策を講じるべきかを重点的にお伝えします。
この問題は、決して他人事ではありません。
あなた自身、あるいはあなたの知人が経営管理ビザで日本に滞在しているなら、今この瞬間から準備を始める必要があるのです。
【要件1】法人の資本金が3,000万円以上でなければならない
従来との比較:6倍の資金調達が必要に
従来、経営管理ビザの取得には資本金500万円以上が最低基準とされていました。この金額は、外国人起業家にとっても現実的な範囲内であり、個人の貯蓄や親族からの援助で準備できるケースが大半でした。
しかし、2025年10月16日以降は最低でも3,000万円の資本金が求められます。これは従来の6倍という水準であり、単なる「引き上げ」ではなく、事実上の参入障壁の大幅な引き上げと言わざるを得ません。
なぜ3,000万円なのか?──背景にある入管の意図
この変更の背景には、資金力=実行力・雇用創出力という考え方があります。
入管当局は、これまで500万円で設立された企業の多くが、実際には事業活動が乏しく、経営者本人が生活費を稼ぐための「自営業」にとどまっているケースが多いことを把握していました。また、十分な運転資金がないまま事業を開始した結果、早期に経営が行き詰まり、ビザの更新ができなくなる事例も多発していました。
そこで入管は、「本気で日本に投資し、雇用を生み出す意思と能力がある企業」を選別するために、資本金という客観的な指標を大幅に引き上げたのです。
【既存ビザ保有者への影響】増資手続きが必須に
すでに資本金500万円〜1,000万円程度で会社を設立し、経営管理ビザを保有している方にとって、この要件は極めて重い負担となります。
増資には以下の手続きが必要です:
- 株主総会の決議
増資の内容(増資額、新株発行数、募集方法等)を決定 - 出資金の払込
新たな出資者からの資金を、会社の口座に入金 - 登記申請
法務局で資本金変更の登記を実施(司法書士への依頼を推奨) - 財務諸表の修正
貸借対照表に増資後の資本金を反映 - 入管への説明資料作成
増資の経緯、出資者との関係、資金の出所等を詳細に説明
増資に伴うリスクと注意点
増資は単なる「数字の操作」ではありません。以下のようなリスクや注意点があります。
1. 出資者の権利関係が変化する
新たな株主が加わることで、経営権が分散する可能性があります。特に外部投資家を入れる場合は、株主間契約を慎重に作成する必要があります。
2. 資金の出所が厳しく問われる
「どこから資金を調達したのか」を証明する書類(送金記録、贈与契約書、融資契約書等)が必須です。不明瞭な資金源は、入管審査で重大な疑義を生じさせます。
3. 増資後の運転資金計画が必要
増資した資金を「見せ金」として放置するのではなく、実際の事業活動に投入する計画を示す必要があります。
実務上の壁:調達手段の多様化が必須
資本金3,000万円という金額は、個人で準備するには非常に困難です。実務上、以下のような調達手段を組み合わせる必要があります。
- 個人の貯蓄:自己資金として証明できる預金
- 親族・知人からの出資:出資契約書と送金証明が必須
- 第三者投資家からの資金調達:エンジェル投資家、VC、海外投資家など
- 共同出資者との資本提携:複数名での法人設立、または既存法人への出資受入
行政書士としてのアドバイス
私がこれまでサポートしてきた案件の中でも、資金調達の証明書類の不備によって不許可となるケースは少なくありません。以下の準備を強く推奨します。
- 出資者との契約書を事前に整備する
出資者が複数いる場合は、出資比率・議決権・配当方針などを明確にした株主間契約書を作成しましょう。入管は「本当に出資したのか」「名義貸しではないか」を厳しくチェックします。 - 送金ルートの透明性を確保する
海外からの送金の場合、銀行の送金証明書(Swift Copyなど)を取得し、送金目的を「出資金」と明記してもらうことが重要です。 - 登記時の増資手続きに注意
会社設立後に増資を行う場合、払込証明書・株主総会議事録・資本金変更登記などの手続きが複雑になります。司法書士との連携も視野に入れ、適切なタイミングで増資を完了させてください。 - 資金の「一時的な借り入れ」は厳禁
資本金を見せ金として一時的に借り入れ、申請後に返済するような行為は、発覚すれば即座に不許可となり、今後の申請にも悪影響を及ぼします。 - 【既存ビザ保有者向け】増資は次回更新の1年前までに完了を
増資手続きには数ヶ月を要する場合があります。更新申請の直前に慌てて増資しても、「実態がない」と判断される恐れがあります。遅くとも更新の1年前には増資を完了し、その資金で実際に事業を拡大している実績を示すことが理想です。
【要件2】常勤の従業員が1名以上必要、しかも「日本人または永住者」でなければならない
「従業員がいる」だけではNG──就労制限のない人材が必須
従来の経営管理ビザでも、「常勤従業員2名以上」または「資本金500万円以上」という選択肢がありましたが、実際には資本金の方が選ばれるケースが多く、従業員の雇用実態はあまり重視されていませんでした。
しかし、新基準では「日本人・永住者・定住者・特別永住者など、就労に制限のない人材」を1名以上雇用していることが必須となります。
つまり、以下のようなケースは認められません。
- 留学生アルバイト(週28時間制限があるため)
- 技能実習生(就労内容が限定されているため)
- 家族滞在ビザの配偶者(資格外活動許可が必要)
- 経営者自身の親族で、実態として働いていない名義上の従業員
背景:雇用創出の実態確保、および「名ばかり会社」の排除
入管がこの要件を課した理由は明確です。
「本当に事業を運営し、日本社会に貢献する企業なのか」を見極めるためです。
実際、これまでの審査では「従業員がいることになっているが、実際には稼働していない」「給与の支払い実態がない」といった虚偽申告が散見されました。そこで入管は、実態のある雇用を証明させることで、ペーパーカンパニーを排除する狙いがあるのです。
【既存ビザ保有者への影響】一人で事業を回してきた経営者は要注意
これまで、経営者一人、または家族のみで事業を運営してきた方にとって、この要件は極めて大きな変更です。
特に以下のような状況の方は、今すぐ採用活動を開始する必要があります:
- 経営者一人で事業を回している方
- 配偶者(家族滞在ビザ)が手伝っているが、正式な従業員ではない方
- 留学生アルバイトを雇用しているが、正社員はいない方
- 外国籍の従業員のみで、日本人・永住者がいない方
実務上の課題:設立直後・小規模事業者にとっての人材確保は極めて困難
会社設立直後や小規模事業者が適切な人材を確保するのは、実務上非常に困難です。特に以下の点が障壁となります。
- 採用コスト:求人広告費、人材紹介手数料など
- 給与支払いの継続性:少なくとも数ヶ月分の給与を前払いで準備する必要がある
- 社会保険加入義務:健康保険・厚生年金の事業主負担が発生
- 労務管理体制:労働契約書、就業規則、勤怠管理などの整備が必須
入管が求める「実態の証明書類」とは?
入管審査では、以下のような書類提出が求められます。
- 労働契約書(雇用期間・職務内容・給与額が明記されたもの)
- 給与明細(実際に支払われたことを示す銀行振込記録)
- 社会保険加入証明書(健康保険・厚生年金の資格取得確認通知書)
- 住民票(従業員が実際に日本に居住していることの証明)
- 在留カード写し(永住者の場合)
- 出勤簿・勤怠記録(実際に勤務している実態の証明)
これらの書類が揃っていない場合、「実態がない」と判断され、不許可となる可能性が高まります。
行政書士としてのアドバイス
- 雇用予定者と事前に内定契約を結んでおく
会社設立前から採用活動を開始し、確実に雇用契約を締結できるよう準備しておくことが理想です。 - 人材紹介会社やハローワークの活用を視野に
信頼できる人材紹介会社や、外国人雇用に理解のあるハローワークを活用することで、適切な人材と出会える可能性が高まります。 - 給与支払いの継続性を担保する
少なくとも6ヶ月分の給与支払い実績を示せるよう、運転資金を十分に確保してください。入管は「本当に継続して雇用する意思があるのか」を見ています。 - 労務管理の専門家と連携する
社会保険労務士と連携し、労働契約書・就業規則・給与計算などを適切に整備することで、入管審査においても信頼性が高まります。 - 【既存ビザ保有者向け】更新の6ヶ月前には雇用実績を作る
更新申請の直前に慌てて従業員を雇っても、「見せかけの雇用」と疑われます。少なくとも更新の6ヶ月前には雇用を開始し、給与支払い・社会保険加入・実際の業務遂行の実績を積み上げておくことが重要です。
【要件3】日本語力の証明:常勤従業員、または経営者自身が日本語N2以上であること
日本語能力が経営の「前提条件」に
これまで、経営管理ビザの審査において日本語能力は**「あれば有利」程度の位置づけでした。しかし、新基準では「常勤従業員または経営者自身がJLPT N2以上の日本語能力を持つこと」が必須**となります。
この要件が設けられた背景には、以下のような問題意識があります。
- 行政手続きの円滑化:税務申告、社会保険手続き、許認可申請などを日本語で行う必要がある
- 取引先・顧客との円滑なコミュニケーション:契約交渉、クレーム対応、営業活動において日本語が不可欠
- 地域社会との連携:近隣住民、商工会議所、自治体との関係構築に日本語力が求められる
対象者:経営者自身、または常勤従業員のいずれか
この要件は、経営者自身がN2を持っていなくても、常勤従業員がN2以上であれば満たされるという点がポイントです。
つまり、以下の2パターンが考えられます。
パターンA:経営者自身がN2以上を保持
- JLPT N2以上の合格証明書を提出
- 日本の大学・大学院を卒業した場合も、一定の日本語能力があると認められる場合がある
パターンB:常勤従業員がN2以上を保持
- 日本人従業員を雇用する場合は自動的にクリア
- 永住者・定住者などの外国籍従業員を雇用する場合は、その従業員がN2以上を保持している必要がある
【既存ビザ保有者への影響】日本語学習が間に合わない可能性も
すでに経営管理ビザを保有している方の中には、日常会話レベルの日本語は話せても、ビジネスレベル・N2レベルには達していないという方が多くいらっしゃいます。
JLPT N2は、「日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる」レベルとされており、通常800〜1,000時間以上の学習が必要です。
更新までの猶予期間が1〜3年しかない場合、学習が間に合わない可能性も十分にあります。
実務への影響:海外起業家にとっては極めて高いハードル
特に、海外から来日した外国人起業家にとって、この要件は非常に厳しいものとなります。
事業の立ち上げ・運営に追われる中で、並行して日本語学習を進めるのは容易ではありません。
日本語力をどう証明するか?
入管が認める日本語能力の証明方法は、以下の通りです。
- JLPT N2以上の合格証明書
- BJTビジネス日本語能力テストの一定スコア以上
- 日本の大学・大学院の卒業証明書(日本語で授業を受けていた場合)
注意すべきは、英語で授業を受けるプログラム(英語MBA等)の卒業生は、日本語能力の証明とは認められないことです。
行政書士としてのアドバイス
- JLPT受験スケジュールと連動した事前準備を
JLPTは年に2回(7月・12月)しか実施されません。ビザ更新のタイミングを逆算し、計画的に受験してください。 - 語学学校との連携
日本語学校や、企業向け日本語研修サービスを活用することで、短期間で効率的にN2レベルに到達できる可能性があります。 - 社員の育成プラン作成も有効
雇用する従業員がまだN2を持っていない場合でも、「今後N2取得を目指す育成プラン」を事業計画に盛り込むことで、入管への説得材料となる場合があります。 - 通訳スタッフの配置も一つの手段
経営者自身が日本語を習得するまでの間、N2以上の日本語能力を持つ従業員を「業務統括責任者」として配置し、その者が日常業務を日本語で遂行できる体制を整えることも有効です。 - 【既存ビザ保有者向け】日本人・永住者従業員の雇用が現実的
経営者自身がN2を取得するには時間がかかるため、日本人または永住者の従業員を雇用する方が現実的です。この場合、従業員は自動的に日本語要件を満たすため、経営者はN2取得を焦る必要がなくなります。
【要件4】自宅兼事務所は不可、自宅と事務所を完全に分け、従業員を使って仕事ができる環境を確保すること
「自宅の一室で起業」は認められない時代へ
これまでの経営管理ビザ審査でも、事務所の実態は確認されていましたが*自宅の一部を事務所として使用する「自宅兼事務所」は、条件付きで認められるケースもありました。
しかし、2025年10月以降は、自宅と事務所を完全に分離し、従業員が実際に働ける環境を整えることが必須となります。
なぜ自宅兼事務所がNGになったのか?
入管がこの要件を厳格化した理由は、以下の点にあります。
1. 事業実態の不透明性
自宅兼事務所の場合、「本当にそこで事業活動が行われているのか」「単なる住居ではないのか」を判断することが困難でした。
2. 従業員雇用の実効性
自宅の一室では、従業員を雇用しても実際に働くスペースがなく、雇用実態が疑わしいケースが多発していました。
3. 賃貸契約上の問題
多くの賃貸住宅は「居住用」として契約されており、事業利用が禁止されています。契約違反を承知で申請するケースが後を絶たなかったため、入管も厳格化に踏み切りました。
【既存ビザ保有者への影響】自宅兼事務所で事業を行っている方は移転必須
現在、自宅の一部を事務所として登記し、経営管理ビザを保有している方は、次回の更新までに独立した事務所へ移転しなければなりません。
これは単なる「住所変更」ではなく、以下のような大きな変更を伴います。
- 賃貸契約の新規締結:事業用物件の契約
- 法人登記の変更:本店所在地の移転登記
- 設備・什器の新規購入:オフィス家具、PC、通信環境等
- 賃料負担の増加:居住用と事務所用の二重の家賃
入管が求める「独立した事務所」の基準とは?
入管が認める事務所の要件は、以下の通りです。
1. 独立性
- 住居とは別の物件であること
- 同じ建物内でも、住居部分と事務所部分が明確に区分されていること(玄関が別、等)
2. 事業使用の合法性
- 賃貸契約書に「事業用」または「事務所使用可」と明記されていること
- 法人名義での契約、または個人名義でも「事業使用許可書」を取得していること
3. 従業員が働ける環境
- デスク・椅子・PC等の業務設備が整っていること
- 複数名が同時に業務できる広さ(目安:15㎡以上)
- 看板や表札により、事務所の存在が対外的に明示されていること
実務上の課題:コストと物件探しの困難さ
独立した事務所を確保することは、特にスタートアップ企業にとって大きな負担となります。
- 賃料の負担:都市部では月額10万円〜数十万円の固定費が発生
- 敷金・礼金・仲介手数料:初期費用として数十万円〜100万円以上が必要
- 事業用物件の審査:外国人名義・新設法人では、賃貸契約を断られるケースも多い
バーチャルオフィスやシェアオフィスは認められるか?
結論から言うと、原則として認められません。
バーチャルオフィスは、住所貸しサービスに過ぎず、実際にそこで業務を行うことができないため、入管は「事業実態がない」と判断します。
シェアオフィスについては、以下の条件を満たせば認められる可能性があります。
- 専有スペース(個室またはブース)があること
- 法人登記が可能であること
- 賃貸契約書に法人名が明記されていること
- 従業員が常駐できる環境であること
ただし、フリーアドレス型(席が固定されていない)のコワーキングスペースは、実態確認が困難なため認められにくい傾向にあります。
行政書士としてのアドバイス
- 物件探しは法人登記前から開始する
法人設立と同時に賃貸契約を締結できるよう、事前に物件を内見・仮押さえしておくことが重要です。 - 不動産仲介業者に「法人登記可能」を明確に伝える
すべての物件が法人登記可能なわけではありません。最初から「経営管理ビザ申請用の事務所」として物件を探すことを伝えましょう。 - 賃貸契約書の記載内容に注意
「居住用」と記載されている契約書では、入管審査で不利になります。必ず「事業用」または「事務所使用可」と明記してもらってください。 - 写真撮影を忘れずに
入管審査では、事務所の外観・内観の写真提出が求められます。看板、デスク配置、業務設備などを撮影し、「実際にここで事業を行っている」ことを視覚的に証明しましょう。 - レンタルオフィスを活用する場合の注意点
レンタルオフィス業者によっては、入管申請に慣れており、必要な書類(使用許可書、建物図面等)を提供してくれる場合があります。事前に確認しておきましょう。 - 【既存ビザ保有者向け】移転は更新の6ヶ月前までに完了を
オフィス移転には、物件探し・契約・引越し・登記変更などで数ヶ月を要します。更新の直前に慌てて移転しても、「実態がない」と判断される恐れがあります。遅くとも更新の6ヶ月前には移転を完了し、その事務所で実際に事業を行っている実績を示すことが重要です。
まとめ:経営管理ビザは「資金・人材・言語・拠点」の四位一体で問われる時代へ──2028年10月までに対応できなければ、日本での在留継続は不可能に
改めて整理:4つの必須要件
2025年10月以降、経営管理ビザは単なる「会社設立の証明」だけでは不十分です。
4つの柱が揃って初めて、申請のスタートラインに立てる──それが新時代の経営管理ビザです。
- 資本金3,000万円以上
→ 真剣に日本で事業を行う資金力の証明 - 日本人または永住者の常勤従業員1名以上
→ 雇用創出の実態と、事業継続性の担保 - 日本語N2以上の能力(経営者または従業員)
→ 行政・取引先・地域社会との円滑なコミュニケーション能力 - 独立した事務所の確保
→ 従業員が実際に働ける環境の整備と、事業実態の可視化
【最重要】これは新規取得者だけの問題ではない──すでにビザを持っている方も例外ではない
繰り返しになりますが、この新基準は、新規取得時だけでなく、更新時にも適用されます。
つまり、現在すでに経営管理ビザを保有している方であっても、次回の更新時(遅くとも2028年10月まで)にはこれらの要件をすべて満たしていなければ、更新が不許可となり、日本での在留資格を失うのです。
これは単なる「審査の厳格化」ではなく、事実上の「ビザ剥奪」に等しい衝撃です。
猶予期間は実質3年のみ──今すぐ行動を始めなければ間に合わない
多くの経営管理ビザ保有者の在留期間は1年または3年です。
つまり、実質的な猶予期間は3年程度しかありません。
そして、4つの要件をすべて満たすには、以下のような準備期間が必要です。
- 資本金3,000万円への増資:資金調達・出資者との交渉・登記手続き → 3〜6ヶ月
- 日本人・永住者従業員の採用:求人・面接・雇用契約・社会保険加入 → 3〜6ヶ月
- 日本語N2の取得:学習・受験・合格 → 6ヶ月〜2年
- 独立事務所への移転:物件探し・契約・移転・登記変更 → 3〜6ヶ月
これらを並行して進めたとしても、最低でも1年、現実的には1年半〜2年程度の準備期間が必要です。
つまり、2026年中には準備を開始しなければ、2028年10月の更新に間に合わない可能性が高いのです。
「そのうち何とかなる」では絶対に間に合わない
私は長年、申請取次行政書士として多くの経営管理ビザ案件を扱ってきましたが、「ギリギリになって相談に来て、結局間に合わなかった」というケースを数多く見てきました。
特に今回の改正は、単なる書類準備だけでは対応できない、根本的な事業体制の変更を求めるものです。
- 増資には株主総会決議や登記手続きが必要
- 従業員の採用には求人・面接・契約というプロセスが必要
- 日本語N2の取得には長期間の学習が必要
- オフィス移転には物件探しから契約、引越しまでの時間が必要
これらはいずれも、「明日やればいい」というレベルのものではありません。
対応できなかった場合の結末:事業の終焉と帰国
もし、次回の更新時に新基準を満たせなかった場合、どうなるのでしょうか?
結論:経営管理ビザの更新が不許可となり、日本での在留資格を失います。
その結果、
- 日本から出国しなければならない(強制帰国)
- 会社は残るが、経営者が不在となる(事実上の事業停止)
- 従業員・取引先・顧客に多大な迷惑をかける
- これまで築いてきた日本でのビジネス基盤が失われる
これは決して大げさな話ではなく、現実に起こり得る事態です。
この変化をどう捉えるべきか?──ピンチではなくチャンス
確かに、これらの要件は外国人起業家にとって非常に高いハードルです。しかし、逆に言えば、これらをクリアできる企業は、入管から「本物の事業者」として信頼されるということでもあります。
実際、私がサポートしてきた案件の中でも、最初からしっかりとした事業計画・資金計画・人材計画を立てていた企業は、ビザ取得後も順調に事業を拡大し、永住許可や高度専門職ビザへのステップアップを実現しています。
一方で、「とりあえず会社を作ってビザを取ろう」という安易な姿勢で臨んだ案件は、審査の途中で行き詰まるか、仮に取得できても更新時に苦労するケースが多いのが現実です。
今回の改正を「ピンチ」と捉えるか、「事業を本格化させるチャンス」と捉えるかは、あなた次第です。
申請取次行政書士としての総括:「今すぐ動く」ことが唯一の解決策
私は長年、外国人のビザ申請をサポートする中で、入管審査が年々厳格化していることを肌で感じてきました。
今回の改正は、その集大成とも言えるものです。
しかし、これは決して「外国人起業家を排除する」ためのものではありません。
本当に日本で価値ある事業を創り、雇用を生み出し、社会に貢献する意思と能力を持つ人材を歓迎する──それが、今回の改正の真意です。
だからこそ、これから経営管理ビザを目指す方、そしてすでに経営管理ビザを保有している方には、以下のことを強く訴えたいと思います。
- 中長期的な事業計画を描く:1年後、3年後、5年後にどうなっていたいかを明確にする
- 専門家と早期に連携する:行政書士、司法書士、税理士、社労士などの専門家チームを組む
- 書類準備を徹底する:曖昧な書類、不完全な証明は審査で必ず見抜かれる
- 実態を最優先する:見せかけの体裁ではなく、本当に事業を動かす体制を整える
- 「今すぐ動く」:猶予期間は思っているより短い。今日から準備を始めるべき
特に既存ビザ保有者の方へ:今すぐ無料相談を
もしあなたが、
- すでに経営管理ビザを保有しているが、新基準を満たしていない
- 次回の更新が不安で、何から手をつければいいかわからない
- 増資・採用・オフィス移転など、具体的な準備方法を知りたい
- 自分のケースが更新できる可能性があるか、専門家の意見を聞きたい
という状況にあるなら、一刻も早く専門家にご相談ください。
私たち申請取次行政書士は、単に「書類を作成して提出する代行業者」ではありません。
クライアントの夢を実現するために、入管法の専門知識を駆使し、最適な戦略を提案し、ともに困難を乗り越えるパートナーです。
今回のような大幅な制度変更があったとき、「もう無理だ」と諦めるのではなく、「どうすれば実現できるか」を考え抜くことが私たちの使命です。
最後に:2028年10月は「デッドライン」──今日が準備開始の日
2028年10月──これが、多くの経営管理ビザ保有者にとっての事実上の「デッドライン」です。
この日までに新基準を満たせなければ、日本での事業継続は不可能になります。
しかし、今日から準備を始めれば、まだ間に合います。
資金調達、人材採用、日本語学習、オフィス移転──これらすべてを計画的に進めるには、少なくとも1年〜2年の準備期間が必要です。
「いつか対応しよう」ではなく、「今日から対応する」──その決断が、あなたの日本でのビジネスと人生を守ります。
私たちは、本気で日本で挑戦する外国人起業家を全力でサポートします。
新しい時代の経営管理ビザを、一緒に乗り越えていきましょう。
今すぐご相談ください。明日ではなく、今日が行動の日です。
