1. はじめに:災害が“日常”にある日本で、外国人を雇うということ
日本は世界有数の地震大国です。
しかし、海外から来た多くの外国人労働者にとって、地震は“未知の体験”。
能登半島地震の際、ベトナム出身の就労者が「怖い、どうしたら」と勤務先に連絡した事例も報道されました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/84930b7b8bbd1e6dfa9d0bde6b9357c8010c5463
こうした不安は、言語の壁だけでなく、「災害リテラシーの不足」によるものです。
今や企業にとって「外国人を雇う」=「防災教育の責任を持つ」時代が到来しています。
2. 日本で働く外国人は増加の一途|特に中小企業での影響大
総務省の統計によると、2018年から2023年の5年間で、
外国人住民の数は多くの地域で急増。京都府南部では特に顕著です。
中小企業においても特定技能制度などを利用し、外国人材を受け入れるケースが増えています。
しかし、採用後の“生活面”まで見ている企業はまだ少数。
災害対策を含めた包括的な受け入れ体制が求められているのです。
3. 外国人労働者が直面する「日本の災害文化」とのギャップ
外国人労働者にとって、日本の地震は「突然の恐怖」。
それもそのはず、出身国では地震そのものが存在しない、あるいは頻度が低いためです。
たとえば以下のような“常識”が通じないこともあります:
- 地震の際に机の下に隠れる
- 避難所の場所や意味を知らない
- 緊急地震速報の通知が読めずパニックになる
- 「外に逃げる」より「家にこもる」が安全だと誤解している
こうしたギャップを埋めるのが「企業の教育」と「仕組み」なのです。
4. 法改正により「多文化共生」への対応が義務化
2024年4月の省令改正により、特定技能外国人を受け入れるすべての事業所は、
「多文化共生施策への協力確認書」を自治体に提出する義務が課されました。
これはつまり、企業が地域社会とのつながりの中で、
外国人の生活支援や防災対策に積極的に関与していく必要があるということ。
確認書を通じて、企業と自治体が初めて“顔の見える関係”を築けるようになったのです。
5. 企業が今すぐ取り組むべき5つのステップ
① 外国人向けのやさしい防災マニュアルを整備する
- やさしい日本語・母国語併記のガイドを準備
- 写真やイラスト付きで視覚的に理解できる資料が効果的
② 勤務時間外も想定した避難訓練を実施する
- 居住エリアを考慮し、集合場所や避難ルートを事前に確認
- 有志社員を「防災リーダー」に任命し、責任と役割を明確化
③ 外部機関と連携して研修を導入する
- 自治体、JICA、国際交流協会、防災士などの専門機関と連携
- 地域の訓練にも積極的に参加することで、地域住民とのつながりも強化
④ 社内の相談体制を整備する
- 不安なときに相談できる日本語・母国語対応の窓口設置
- 外国人労働者の声を拾い、フィードバックする仕組みづくり
⑤ 行政書士など専門家と連携し、制度面も整える
- 「協力確認書」や就労ビザ関連の整備
- 災害時の安否確認体制や連絡網の整備まで含めた総合的な支援
6. 実際の好事例に学ぶ:企業と地域が連携した防災のかたち
京都の企業「鶴見製作所京都工場」では、ベトナム人従業員向けに以下の取り組みを導入:
- 防災士による研修
- 居住地別の避難グループ編成
- UR団地内の一時集合場所設定
- 自治体やJICAとの訓練連携
このように「業務外の生活時間」も含めた支援体制が、
外国人従業員の安心と定着に大きく寄与しています。
7. 外国人労働者が安心して働ける環境は「企業価値」にもつながる
災害時に「何も知らされていない」と言われる企業と、
「ここまで備えてくれていた」と信頼される企業。
その差は非常に大きく、定着率やリファラル採用にも直結します。
外国人を“戦力”としてではなく、“生活者”として受け入れる姿勢が、
企業のブランドや価値向上にもつながっていくのです。
8. まとめ:今こそ、制度と行動で「命を守る企業」へ
地震や災害の多い日本で外国人を雇うということは、
“命を守る”責任を持つということでもあります。
行政書士として、これまで多くの外国人支援や企業支援に関わってきました。
法務、在留資格、マニュアル整備、自治体との連携サポートまで、
現場で培った知見をもとに、具体的なアドバイスが可能です。
企業として「何から始めればいいかわからない」とお悩みの方は、
どうぞお気軽に、ニセコビザ申請サポートセンターまでご相談ください。