1. はじめに:バス・タクシー業界に迫る人手不足
日本全国で深刻化する運転手不足。特に地方では、バスの路線廃止が相次ぎ、住民の移動手段が失われつつあります。こうした中、政府は外国人労働者の力を活用すべく、「特定技能」制度を用いてバス・タクシー運転手の受け入れを進めています。
この流れの中で今、注目されているのが「日本語能力要件の緩和」です。この記事では、その背景や今後の影響、受け入れ企業が押さえるべきポイントを行政書士の視点で詳しく解説します。
2. 特定技能制度とは?
特定技能とは、即戦力となる外国人労働者を受け入れるための在留資格で、2019年に創設されました。14業種が対象で、運輸業界はその中でも後発で2023年に追加されました。
特定技能には「1号」と「2号」があり、1号は最長5年の在留が可能で、家族の帯同は不可。2号になると在留期間の更新が可能で、家族の帯同も認められます。バスやタクシー運転手も、まずは1号からのスタートとなります。
3. なぜ日本語能力の要件を緩和するのか?
従来、外国人運転手には日本語能力試験の「N3」レベルが求められていました。これは「日常的な場面で日本語をある程度理解できる」水準で、新聞の見出しや概要を把握できるレベルです。
しかし、N3を求めると受験者数が限られ、制度の活用が進まない現状がありました。そこで国土交通省は、「N4」でも可能とする案を提示。N4は「基本的な日本語を理解できる」程度で、ゆっくりと話される会話なら理解できるレベルです。
4. 「日本語サポーター」の同乗とは?
N4レベルで乗務する運転手には、「日本語サポーター」の同乗が義務づけられます。これは、元バス運転手やバスガイド、バス会社の事務員などの日本人が想定されており、運行中の補助を行う役割です。
一方、事故率の低いとされる半島部や離島では、N4の単独乗務も認められる予定です。これは地域の事情を踏まえた柔軟な対応と言えるでしょう。
5. 現場の声と制度のギャップ
現場では「安全性は本当に大丈夫か?」「乗客とのトラブルは防げるのか?」といった不安の声も聞かれます。特に緊急時の対応や、外国人運転手が日本語で正確な情報を即時に理解・伝達できるかは、重要な論点です。
国交省は「運転技能や接客能力は日本人と同水準で確保している」と説明していますが、制度運用には現場との丁寧な調整が求められます。
6. 雇用企業がすべき準備
外国人運転手の受け入れを検討する企業は、以下のような準備が必要です:
- 特定技能に関する正確な知識の習得
- 日本語サポーターの確保と教育
- 外国人ドライバーへの研修体制の整備
- 住居や生活支援の仕組みづくり
制度導入だけでなく、日常生活や労務管理まで含めた包括的な支援が欠かせません。
7. 行政書士ができるサポート
行政書士は、特定技能に関する以下の業務で企業や本人をサポートできます:
- 在留資格申請・更新手続きの代理
- 外国人雇用に関するアドバイス
- 支援計画書の作成
- 監督機関との調整や相談
制度と現場をつなぐ役割として、企業と外国人の双方にとっての橋渡し役を果たします。
8. 制度のメリットと課題
この制度には以下のようなメリットがあります:
- 慢性的な人手不足の緩和
- 多様な人材による新たな視点の導入
一方で課題も:
- 日本語力の差による接客品質のばらつき
- 地域住民とのコミュニケーション問題
- 外国人労働者の定着率
特定技能制度は万能ではなく、現実とのすり合わせが不可欠です。
9. 社会全体での受け入れ体制が必要
制度導入は行政や企業だけでなく、地域社会全体の理解と協力が求められます。特に乗客や地域住民に対して、制度の目的や仕組みを丁寧に説明することも、受け入れの鍵になります。
また、外国人運転手自身が地域に溶け込みやすくなるよう、語学学習支援や交流の場の提供も今後の課題となるでしょう。
10. まとめ:共に未来を走るために
「外国人運転手が日本を走る」時代がすぐそこまで来ています。
その実現には、制度の枠を整えるだけではなく、運用面・生活面・地域との関係性まで含めたトータルなサポートが必要です。
外国人と共に未来を走る——その第一歩を、制度理解と現場の準備から始めてみませんか?
気になる方は、行政書士としていつでもご相談をお受けします。 未来の交通インフラを、共に支えていきましょう。