1. はじめに|外国人による農地取得が「過去最多」に
2024年、農林水産省が発表した調査によれば、外国人およびその関係法人による農地取得面積が175.3ヘクタールに達し、統計が取られ始めた2022年以降で最多となりました。
特に注目すべきは、「日本在住の外国人個人」が営農目的で取得するケースが全体の54%を占めたという点です。
外国資本による土地買収では?と不安を感じる方もいるかもしれませんが、実際には「日本で生活し、農業を営みたい」という実需が背景にあります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/21884dd66b0021cf4e2860b4058096a13ca2bfe3
2. 外国人が農地を取得する背景とは?
今回の調査で明らかになった背景には、いくつかの社会的要因があります。
- 地方農業の後継者不足
- 耕作放棄地の増加
- 日本で永住を目指す外国人の増加
- 外国人による農業法人設立の動き
たとえば、特定技能等で来日した外国人が、一定の経験を経て永住権や配偶者ビザを取得し、地域に根付こうとする中で「農業を続けたい」と考えるケースが増えています。
このような個人や法人が農地を取得することは、単なる投資ではなく、地域課題の解決につながる可能性を秘めています。
3. 法制度の現状|農地法・入管法・GATSの影響
農地取得には、さまざまな法律が関係しています。
■ 農地法
農地の取得は、「営農目的でなければならない」と定められています。
不動産投資や転売を目的とした取得は厳しく制限されており、農業委員会の許可が必要です。
■ 入管法(出入国管理及び難民認定法)
在留資格によって、外国人が行える活動は制限されています。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」ビザでは原則として農業就労はできません。
一方、「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」などは農業就労が可能です。
■ GATS(サービス貿易一般協定)
日本はWTO加盟国として、GATSの規定により外国人差別的な規制を設けにくい状況です。
そのため、外国人であることを理由に農地取得を制限することが困難となっています。
4. 統計データから見る国籍別の傾向
今回の調査によれば、農地取得者の国籍は以下のようになっています:
- 中国:102人(27%)
- 韓国:42人(11%)
- ブラジル:42人(11%)
- アメリカ:27人(7%)
- ベトナム:24人(6%)
法人取得では中国・韓国・ニュージーランドが上位を占めています。
日本国内に拠点を持ち、理事や出資者として関与する外国人が農業法人を通じて農地を取得するケースも増えており、今後ますます多様化していくと考えられます。
5. 企業として注意すべき点とは?
外国人雇用を検討する企業や、農業分野への新規参入を考える経営者にとって、以下の点に注意が必要です。
- 外国人の就労ビザで農業が許可されているかを確認
- 農地取得にあたって、農業委員会の許可が得られるかの精査
- 法人が取得する場合、代表者・理事の国籍や在留資格との整合性
- 地元自治体や農業委員会との連携の必要性
特に中小企業の場合、「外国人雇用=人手不足解消」と安易に考えるのではなく、法的リスクや地域との調和を意識した計画的な運用が重要です。
6. 行政書士として現場で見えてきたこと
私たち行政書士は、在日外国人の生活・労働・起業・相続といった様々な手続きを支援してきました。
その中で土地取得に関心を持つ外国人の声も年々増加しています。
- 「この土地を引き継いで耕作を続けたい」
- 「特定技能で得た経験を生かして、日本で起業したい」
- 「子どもと一緒に地域に住みながら農業をしたい」
これらは決して例外的な声ではなく、日本の地域社会にとっても希望につながる動きです。
7. よくある誤解と現実
「外国人に土地を奪われるのでは?」という懸念の声もありますが、農地法の運用実態を知れば、そのような事態が簡単には起こらないことが理解できます。
- 無条件に農地を購入することは不可
- 地元農業委員会が許可するには耕作実態や計画の審査あり
- 投機的目的は排除される仕組みがある
こうした制度を前提にしたうえで、外国人が農業参入することは、地方活性化・耕作放棄地対策に直結する有効なアプローチです。
8. 外国人の農業参入における企業のメリットとは?
企業が農業分野において外国人と連携することのメリットには、以下のようなものがあります。
- 多様な価値観・知識の導入(例:海外農法)
- 地域との関係強化(移住・定住を前提とするため)
- ESG/SDGs観点での社会貢献性の向上
- 長期雇用による定着化の期待
ただし、これらを活かすには制度的理解と適切な伴走支援が不可欠です。
9. 企業や人事担当者へのアドバイス
もし、貴社が以下のような取り組みを考えているのであれば、行政書士として法的支援が可能です。
- 外国人従業員の地方移住+農業副業の支援
- 外国人が役員を務める農業法人の設立
- 地域農家との連携を見据えた土地活用計画
- 外国人への農地相続・贈与に関する法的アドバイス
一見、専門外に思える「農業」と「外国人雇用」は、実は密接につながっています。
10. まとめ|正しく活用すれば、農地取得は地域の希望に変わる
外国人による農地取得が増えるなか、企業や自治体、地域社会がとるべき姿勢は「排除」ではなく「共存と制度設計」です。
ニセコビザ申請サポートセンターは、行政書士として、法的リスクの最小化とチャンスの最大化をサポートしながら、持続可能な地域経済の発展と外国人活用の橋渡し役を担っていきます。まずはお気軽にご相談ください。