外国人の運転免許切替、2024年10月から厳格化へ|企業が押さえるべきポイントとは?

2024年10月1日から、外国免許切替(外免切替)の制度が大幅に見直され、
外国人が日本で運転免許を取得する際のハードルが大きく上がります。

これまで比較的簡単に取得できていた外免切替ですが、
制度改正により、観光客など短期滞在者の申請が原則不可になり、
知識・技能の確認も厳格化されるため、
在日外国人を雇用する企業にとっても見過ごせない変更となっています。

本記事では、今回の制度改正のポイントと、
企業が採用活動でどのような点に注意すべきかを解説します。


外免切替とは?簡単におさらい

外免切替とは、外国で取得した有効な運転免許証を、
日本国内で有効な運転免許証へ切り替える手続きのことを指します。

通常の日本の免許取得と比べて、運転教習所に通う必要がないなど、
外国人にとっては手軽な取得手段となってきました。

しかし近年、「観光ビザでの申請」「住所確認の甘さ」「簡単すぎる知識試験」などの問題が指摘され、
制度の見直しが急がれていました。


2024年10月からの主な改正点

警察庁が発表した制度改正の概要は以下の通りです。

1. 住民票の提出が必須に

これまでは、ホテルの住所などを申請住所としていた例も存在しましたが、
今後は原則として住民票の写しの提出が必須になります。

これにより、短期滞在(観光ビザなど)の外国人は原則申請不可となり、
長期滞在者(在留資格保有者)でなければ、切替手続き自体ができなくなります。

2. 知識確認の試験が大幅変更

現在のイラスト中心の試験(10問・正解率7割)から、
文章問題50問・正解率9割以上という内容に変わります。

より実践的で、日本の交通ルールをしっかり理解しているかを重視する方向です。

3. 技能確認(実地試験)も厳格化

運転試験においても、
・合図不履行
・右左折の方法ミス
・踏切、横断歩道の通過方法
などが新たに重点チェック項目となり、
形式的な運転では合格できない基準に改められます。


外国人本人と企業、両方に影響がある改正

外国人本人の影響

・観光ビザでは申請不可になるため、「旅行ついでの取得」は完全にできなくなります。
・試験が格段に難しくなるため、交通ルールの理解が不十分なままでは不合格のリスクが高まります。

外国人を雇用する企業への影響

・業務で運転を必要とする外国人の採用には、在留資格と免許取得可能性の両面から事前確認が必要になります。
・免許取得に時間がかかるケースも出てくるため、採用計画に余裕をもたせる必要があります。


採用時に企業が押さえておくべきポイント

  1. 運転業務があるポジションでの採用かどうかを確認
    運転が必要な職種の場合、外免切替の可否が業務に直結します。
  2. 長期在留資格の有無を確認
    短期滞在では切替できないため、ビザの種類も重要なチェック項目です。
  3. 日本語力と交通ルール理解度の確認
    知識確認試験が難化するため、日本語の読解力や事前学習が必須となります。
  4. 免許取得までのスケジュール設計
    即戦力として採用したつもりが、免許がなかなか取れず業務に支障が出る――
    そんなケースを避けるためにも、採用時から計画を立てておくことが大切です。

行政書士としてできること

行政書士は、外国人の在留資格手続きだけでなく、
運転免許切替に関するアドバイスや必要書類の案内なども行っています。

例えば:

・切替要件の確認と事前アドバイス
・住民票など必要書類の取得サポート
・在留資格や就労制限と運転業務の整合性チェック

特に企業の方からは、採用前の相談やリスク管理の観点での問い合わせが増えています。


制度改正まであとわずか。今こそ行動を

今回の改正は2024年10月1日から実施予定。
つまり、すでにカウントダウンは始まっています。

これまでのように「簡単に切替できる」という認識のままだと、
採用現場や外国人本人にとって、思わぬ支障が出かねません。

雇用主として、また外国人本人として、
正確な情報をもとに、早めの準備を進めましょう。

行政書士として、私たちも最新の情報に基づいた支援を行っていますので、
ご不安な点があればお気軽にご相談ください。