1. 白タクとは?外国人観光客に広がる違法営業の実態
白タク(しろたく)とは、自家用車(白ナンバー)を使って、道路運送法上の許可を受けずに乗客を有償で運ぶ行為を指します。通常のタクシーは「緑ナンバー」を取得し、営業許可と商用保険の加入が義務付けられていますが、白タクはそれらを無視して営業する違法行為です。
2025年11月には、神奈川県鎌倉市で白タク営業をしていた中国籍の男性が現行犯逮捕され、ニュースやSNS上で話題になりました。
白タクは、成田空港・羽田空港・富士山・京都・沖縄など外国人観光客に人気のある地域で密かに広がっており、観光地のタクシー業界にとっても深刻な脅威となっています。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/8fe0cffb917a6acb932bbacfc09c990692a3986b
2. なぜ外国人観光客が白タクを利用してしまうのか
背景には、言語の壁・文化の違い・情報格差があります。中国人観光客を中心に利用されているSNS「小紅書(シャオホンシュー)」では、富士山周辺や京都などの“映えスポット”をめぐる貸切チャーター(包車)プランが多く掲載されています。
一見すると正規のサービスに見えますが、実際には無許可の白タクが紛れており、「安さ」で集客しているケースが多数。観光客が“合法か違法か”を見極めるのは非常に困難です。
「緑ナンバーか」と問い合わせると、「緑ナンバーなら追加料金」と返ってくる投稿もあり、制度を理解している中国人でさえ判断を迷う実態があります。
3. 交通事故・無保険・補償なし……白タクのリスクとは
白タクは商用保険に加入しておらず、事故に遭っても被害者に十分な補償が支払われないことが大きな問題です。
実際、2025年6月には富士スバルラインで白タク車両がバスと正面衝突し、5人が怪我を負う事故が発生。運転していたのはパキスタン国籍の外国人でした。
このような事故で正規のタクシーならば保険で対応できますが、白タクでは保険が適用されず、被害者が泣き寝入りすることもあります。
さらに、白タク営業は収入申告も行われず、消費税・所得税の納税義務も果たしていません。経済的にも大きな損失を生み出す構造です。
4. 白タク営業に関与した外国人が負うリスクと処罰
白タク運転を行った外国人には、以下の重大なリスクがあります。
- 道路運送法違反による罰則(懲役または罰金)
- 所得未申告による税法違反
- 在留資格の取消・退去強制処分
「たまたま知人を乗せただけ」という言い訳も通用せず、アプリ決済や事前予約があれば“有償性”が成立し、違法と判断されます。
短期滞在・留学・特定技能など、どの在留資格であっても、白タク行為は即座に資格外活動違反に該当します。
5. 在日外国人・留学生・短期滞在者にも波及する白タクの誤解
日本に住む外国人の中には、「自国では許されていたから」「お金をもらっていないから大丈夫」と誤解している方もいます。
しかし日本では「業として人を運ぶ」には明確な許可とナンバープレートの種類が決められており、その違反は“無意識”であっても重大な犯罪となります。
在日外国人がこのような誤解から違法行為に巻き込まれないよう、明確な情報提供と制度理解が必要です。
6. 白タク送迎のつもりが企業責任に?雇用主が気をつけるべきポイント
実はこの問題、外国人を雇用している企業側にも波及します。
たとえば:
- 空港送迎を頼んだら「有償性がある」と見なされる
- 業務中に第三者を車に乗せて報酬が発生した
- SNS等で「副業的に送迎をしている」ことが発覚
など、社員の行為が会社の責任につながる場合もあります。
企業としても、外国人従業員に対して「送迎=要許可」であることを伝え、社内規定に明記しておくことが必要です。
7. 行政書士から見た「よくある違反とトラブル」ケース
当事務所に寄せられる相談でも、以下のような誤解が多く見られます:
- 「通訳として雇ったが、来客送迎も頼んでいた」
- 「社長が送ってくれと言うから断れなかった」
- 「特定技能外国人の空港送迎にどの車を使ったらいいのか」
これらはすべて、状況次第で“違法輸送”とされる可能性があります。
8. 企業が取るべき実践的な対策とルール整備
企業が白タク・違法輸送問題を回避するためには:
✅ 採用時に「業務内容の明確化」 ✅ 社内マニュアルに送迎業務・私的運送のガイドライン明記 ✅ 外国人従業員への交通・労務研修(言語別対応) ✅ 在留資格の範囲と職務内容の照合
こうしたルール整備が、リスク回避に直結します。
9. 外国人への法令教育・社内マニュアルの整備がカギ
制度違反の多くは、「知らなかった」から起こります。
だからこそ、雇用する側が:
- わかりやすく制度を伝える
- 具体例を交えて教育する
- 勤務初日から就業ルールを共有する
といった“予防的アプローチ”を取ることが、企業の信用を守る第一歩です。
10. まとめ:白タク問題をきっかけに、制度理解の再構築を
白タク問題は、観光客だけの話ではありません。
在日外国人や外国人を雇用する企業にとっても、「制度理解」と「リスク回避」の重要性を改めて考える機会となります。
当事務所では、 ・外国人雇用のための在留資格確認 ・労務トラブル防止の社内規定整備 ・法令教育プログラムの構築支援 など、包括的な支援を行っております。
「これって違法かも?」「会社としてどこまで責任があるの?」 といった疑問をお持ちの方は、ぜひ一度ニセコビザ申請サポートセンターまでご相談ください。
制度を知らないことが、最大のリスクになり得る時代。
今こそ、専門家と連携しながら、安心できる外国人雇用環境を整えていきましょう。
