1. はじめに:外国人雇用に関する新たな動き

日本で働く外国人にとって、そして彼らを雇用する企業にとって、大きな制度変更が迫っています。
政府は2027年から、在留資格の審査をより厳格化する方針を打ち出しました。
その中でも注目されているのが、マイナンバー制度を活用した「税・社会保険料の納付状況」の一元管理です。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7207c99191a926cc7dadc22fb49f5b180353ba46

これまで、税金や保険料の滞納が在留資格の審査に直結するケースは限定的でしたが、
新制度では、未納があった場合に在留資格の更新が認められない可能性が明確に打ち出されました。
つまり、個人の納税・保険料管理が不十分であれば、「働き続けられない」リスクが現実となるのです。

この変更は、外国人本人にとっての問題にとどまらず、企業側の管理責任にも大きく影響します。
雇用後のフォローが不十分で、従業員が未納の状態にあった場合、突然更新が不許可となり、
現場の人手が不足する、業務が停滞する、といった深刻な事態を招くおそれがあります。

今後は、「採用後の管理こそが最も重要」となる時代に入っていくでしょう。
このブログでは、今回明らかになった政府の制度見直し案の全体像と、
企業・人事担当者が押さえておくべきポイント、そして行政書士としての具体的な支援策について解説していきます。


2. 制度見直しの背景|「秩序ある共生社会」への方針転換

今回の制度見直しの背景には、日本における外国人との共生に関する国家的な課題があります。
政府は、「秩序ある共生社会」の実現を掲げ、外国人受け入れ制度の整備を急速に進めています。
その中で強調されているのが、「適正な在留管理」と「不正行為の排除」です。

政府は2025年1月をめどに新たな基本方針を策定するとし、
外国人による違法就労や医療費の不払い、福祉制度の不正受給などへの対策を強化する方針を示しました。

見直し案には、以下の3つの柱が明示されています。

  • 税金や社会保険料の未納情報を、マイナンバーを使って政府と自治体間で共有
  • 訪日前に、外国人に対して民間医療保険への加入を義務づけ
  • 仮放免者や不法就労者の情報を地方自治体とリアルタイムで共有

これらはいずれも、「制度を利用する側」と「制度を提供する側」の双方に、
透明性と責任を求める内容です。

背景には、外国人の数が増える一方で、制度の不備や連携不足によるトラブルが増えてきた現状があります。
これを受け、政府は「事後対応型」から「事前抑止型」へと舵を切ろうとしているのです。


3. 企業に影響大|マイナンバー活用による在留資格更新の厳格化

特に企業にとって無視できないのが、「マイナンバーを通じた納税・社保情報の参照」が可能になる点です。
これにより、出入国在留管理庁は、外国人の経済的義務履行状況を、
各自治体や関係省庁のシステムを横断して確認できるようになります。

その結果、以下のようなケースで在留資格更新が却下されるリスクが高まります:

  • 外国人労働者が住民税を納めていない
  • 社会保険料の納付が数か月滞っている
  • 離職後に未納状態のまま、本人が気づかず更新申請を行った

一見、本人の責任に見えるこれらのケースでも、企業としてのリスク管理は避けられません。
たとえば、勤続年数の長い外国人材が突然「更新不可」で退職せざるを得なくなれば、
現場の混乱は避けられず、人事評価や採用戦略にも影響が出ます。

さらに、こうした制度変更に対応していない企業は、将来的に
「外国人雇用に消極的な企業」「コンプライアンス意識が低い企業」
と見なされかねません。

そのため、これからの外国人雇用は、「採用」だけでなく「継続的な支援」が不可欠です。
マイナンバー情報を通じて企業がどこまで関与できるか、どのように本人と協力体制を築くかが重要な課題となります。

次章では、医療費未払いへの対策や、民間医療保険加入義務の新設について詳しく見ていきます。

4. 医療費未払い対策|1万円以上で入国審査に影響も

訪日外国人による医療費の未払いは、ここ数年で大きな社会問題となっており、特に緊急搬送や高度な医療サービスを受けた後に支払いをせず帰国するケースが問題視されてきました。

これを受け、政府は2026年度から以下の2つの施策を導入する方針を打ち出しています:

  • 外国人が入国する前に、民間医療保険への加入を義務づけ
  • 医療費未払いが1万円以上あれば、入国審査の判断材料とする

これまで、入国審査で問題視されるのは20万円以上の未払いに限られていましたが、この基準が一気に1万円へと引き下げられることになります。つまり、ちょっとした通院費や薬代の未払いでも、今後は入国が制限される可能性が出てくるということです。

企業にとっては、外国人材を招聘する際の「事前確認業務」が増えることになります。これまであまり意識されていなかった「医療保険への加入状況」や「未払いの有無」について、在留資格の取得・更新に影響するリスクとして明確に捉える必要があります。

特に、技術・人文知識・国際業務や特定技能で外国人を採用している企業は、内定段階で医療保険への加入を義務化するなど、採用フロー自体の見直しが求められるでしょう。

「うちの会社には関係ない」と思っている方ほど、制度施行後に大きな混乱を招く可能性があります。今のうちに、医療費未払いに対する企業としてのリスク管理体制を整備することが重要です。


5. 児童手当の不正受給対策と仮放免者情報の共有

今回の見直し案では、税や医療費に限らず、日本の社会保障制度を守るための対策が盛り込まれています。その一つが「児童手当の不正受給防止」です。

これまでは、国内に実際の居住実態がない外国人でも、制度上の抜け穴を突いて児童手当を受け取るケースが問題になってきました。今後は、出入国管理庁の情報を各自治体とリアルタイムで連携させることで、こうした不正を未然に防ぐ措置がとられることになります。

また、健康上の理由などで仮放免されている外国人に関しても、入管庁が保有する情報を「プッシュ型」で自治体に共有する体制が整備されます。これにより、仮放免者が所在不明となったり、不法就労に流れるのを防止する狙いがあります。

一見すると、これらの施策は行政側の業務改善に過ぎないようにも見えますが、企業にとっても他人事ではありません。特に建設業や農業、サービス業などで短期的に仮放免者を雇用してしまった場合、「知らなかった」では済まされず、不法就労助長罪として処罰の対象になることも考えられます。

行政の情報連携が進むということは、裏を返せば「確認を怠った企業の責任も問われる時代」に入ることを意味しています。事前確認の徹底、就労資格のチェック体制強化が今後さらに求められるでしょう。


6. 外国人労働者と企業が直面するリスクとは

制度改正によって、外国人雇用に伴う企業側の責任とリスクはこれまで以上に増大しています。
在留資格の取得・更新がより厳格に審査されるようになることで、企業に以下のような現実的なリスクが迫っています:

  • 外国人従業員が在留資格を更新できず、突然退職せざるを得なくなる
  • 在留資格不許可に納得できない外国人から企業が訴訟を起こされる可能性
  • 就労資格がない状態で勤務させたことが発覚し、「不法就労助長罪」に問われるリスク

特に、「社保加入は本人任せ」「税金も本人がやること」と考えていた中小企業にとっては、大きな落とし穴となる可能性があります。制度の変更を知らず、従来通りの運用を続けていた企業が、意図せず違法状態に陥るリスクも現実的です。

さらに問題なのは、こうしたトラブルは「起きてからでは手遅れ」だという点です。たとえば、更新申請時に未納が発覚し、そのまま不許可となってしまえば、慌てて支払っても即座に取り消しが覆るとは限りません。

永住や帰化申請のように、期日内に完納している状態が2年以上ないと許可にならない、といった要件が、就労ビザにおいても適用される可能性もあります。

また、行政側も一度「信用できない雇用主」と判断した企業には、今後の在留審査において厳しい目を向ける傾向があります。いわゆる「ブラック企業認定」とも言える状況に陥れば、採用にも事業展開にも大きな影響が出るでしょう。

このように、制度変更に対する無関心は、企業の将来を脅かす重大リスクとなり得ます。必要なのは、「雇って終わり」ではなく、「雇ってからがスタート」という認識の転換です。


7. ニセコビザ申請サポートセンターの出来るサポート

これからの外国人雇用は、制度対応の知識と実務運用の両立が求められます。
そこで、私たちが行政書士として果たすべきすべき役割はますます重要になっていると考えます。

まず、外国人従業員の税金・社会保険料の納付状況を、企業と本人の両方に確認・指導し、
在留資格更新時にリスクが発生しないよう事前にチェックを行います。
また、多言語対応の社労士と提携して、医療保険加入の確認と、加入書類の作成・翻訳支援も業務の一環として提供可能です。
今後は、保険加入の証明が入国審査に必要となるため、企業と外国人双方の負担を軽減する支援が求められます。

さらに、企業向けには以下のような実務支援を行っています:

  • 就労ビザに適した雇用契約書の作成
  • 労務管理体制の整備とコンプライアンスチェック
  • 在留資格の種類ごとに必要な申請書類の整備・提出代行
  • 不許可リスクを抑えるための戦略的な更新スケジュールの策定

これらは、単に書類を提出するだけではない、「企業のパートナー」としての支援です。
企業側が制度を正しく理解し、外国人とともに成長できる体制を構築するために、私たちは伴走型のサポートを提供しています。

制度変更に不安を感じている企業の方こそ、今こそ専門家とタッグを組むべきタイミングです。
「うちはまだ大丈夫」ではなく、「今のうちに備える」が新たなスタンダードとなります。

8. 今すぐ始めるべき企業の対策とは?

制度の施行は2027年以降とされていますが、「まだ時間がある」と油断してはいけません。
法改正が正式にスタートする頃には、すでに準備を終え、社内体制を整えておくことが前提となります。
逆に言えば、「今からの動き出し」が、今後の外国人雇用におけるリスク回避と信頼構築の鍵を握るのです。

では、企業が今すぐ始めるべき対策とは何か?以下の4点を基本として取り組むことが重要です。

  1. 外国人従業員のマイナンバー管理体制を整備する
    マイナンバーを使って在留審査が行われる以上、企業としてもその適切な収集・保管・運用体制が必須です。
    管理台帳の整備や情報アクセス制限の設定など、社内規定の見直しが求められます。
  2. 税・社会保険料の納付確認の仕組みを導入する
    本人任せにせず、納付状況を定期的に確認する体制づくりが大切です。
    行政書士や社労士と連携し、「問題が起きる前に対応する」仕組みが理想です。
  3. 医療保険加入の義務化に備えた情報提供を始める
    内定通知時や雇用契約時に、保険加入の重要性を明確に伝える文書を作成し、本人の理解を促進することが必要です。
    言語サポートやFAQもあると、外国人本人の安心感が高まります。
  4. 専門家との連携体制を築く
    制度の運用や最新情報の取得には限界があります。
    行政書士と顧問契約を結び、いつでも相談できる体制を整えることで、突発的なトラブルにも迅速に対応できます。

これらの取り組みは、単なる「義務」ではなく、「企業としての信頼力アップ」につながります。
早期対応が、優秀な人材から選ばれる企業になるための第一歩です。


9. 外国人雇用は「制度理解」が競争力になる時代

少子高齢化が加速する日本において、外国人労働者の存在はすでに不可欠です。
しかし、「ただ雇う」だけではもはや通用しない時代がやってきました。

今後、企業が選ばれるか否かを左右するのは、「制度をどれだけ理解しているか」です。
外国人本人にとっても、「安心して働けるかどうか」は、企業選びの最重要ポイントとなっています。

  • 適切に在留資格の更新ができるか
  • 医療や税金に関するサポートがあるか
  • 自分の将来設計が企業と共に描けるか

これらはすべて、「制度理解のある企業」でなければ実現できません。

また、制度変更を前向きに捉え、先手を打って準備を進める企業は、行政からの評価も高まりやすく、
助成金・支援制度の活用もしやすくなります。

制度は確かに「制限」かもしれません。しかし、逆に言えば、
その制限をクリアできる企業こそが、長期的な外国人雇用に成功し、競争力を持てるのです。

つまり、制度を知り、備え、実行すること自体が、差別化につながる最大の武器となるのです。


10. まとめ|今後の見通しと当事務所からのご案内

これまで見てきたように、外国人雇用に関連する制度は、今後ますます「厳格化」の方向に進むと考えられます。
その背景には、不正防止、制度悪用対策、そして共生社会の持続可能性という大きなテーマがあります。

企業に求められるのは、「ただ採用する」だけではありません。

  • 制度の変更を正しく理解し
  • 外国人本人にとって安心・安全な労働環境を整備し
  • 不測のトラブルを未然に防ぐ体制を構築すること

こうした体制を築いていくことが、結果的に企業の成長、信頼構築、そして優秀な人材の定着につながっていきます。

ニセコビザ申請サポートセンターでは、行政書士としてこれまで数多くの企業様の外国人雇用に関する課題をサポートしてまいりました。

  • 在留資格取得・更新のご相談
  • 外国人労務管理のコンプライアンス対策
  • 医療保険・納税状況の確認支援(多言語対応社労士との提携)
  • 外国人従業員向け研修資料の作成や翻訳

など、実務に直結する支援をワンストップでご提供しています。

「制度が変わる前に、動いておいてよかった」
そう思っていただけるよう、伴走型でサポートいたします。

まずはニセコビザ申請サポートセンターまで、お気軽にお問い合わせ・ご相談ください。