1. はじめに|「働く」から「暮らす」へ。外国人材の新たな定着モデル
近年、日本で働く外国人の姿は、都市部に限らず地方の中小企業でもすっかり定着した光景になりました。
特に製造業やサービス業、建設、介護といった人手不足が深刻な業種では、外国人材がいなければ事業が立ち行かないケースも珍しくありません。
実際、兵庫県では2024年時点で約6万6000人の外国人労働者が登録されており、これは10年前の約4倍にあたる規模です。全国的にもその数は右肩上がりで増加しており、「外国人とともに働く」ことは、今や日本の企業にとって日常の一部となっています。
しかし、ここであえて問いかけたいのは――
「外国人材は本当に“定着”しているのか?」という点です。
確かに働く場所はある。住む場所もある。
けれども、地域とのつながりがなければ、それは“根付いた”とは言えません。
職場と住居の往復のみで孤立し、生活不安や精神的ストレスから早期帰国につながるケースも少なくありません。
私たち行政書士が現場で感じるのは、企業が制度の上では適法に雇用していても、定着支援まで手が回っていないという現実です。
とくに「技能実習」から「特定技能」への切り替えが進む今こそ、「暮らす支援」こそが重要なキーワードとなってきています。
今回ご紹介するのは、ベトナム出身の2人の女性が技能実習から特定技能に移行し、さらに地域消防団の一員として活躍するまでの実例です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/39026688f929b1d719cbe05da7847b85bbfcddff
単なる労働力ではなく、地域社会の担い手として自らの役割を見出した外国人材の姿は、今後の日本社会の在り方に大きなヒントを与えてくれるものでしょう。
そしてそれを実現したのは、「雇用主の視点」と「制度の正しい活用」、そして「地域との橋渡し」を一体で行った、まさに理想的な関わり方だったのです。
2. 事例紹介|技能実習から特定技能、そして消防団員へ
ニュースで取り上げられたのは、兵庫県尼崎市にある自動車部品メーカーに勤務する、ベトナム出身のチュックさん(33歳)とバンさん(26歳)の二人。
彼女たちは技能実習生として来日後、企業の支援を受けて特定技能1号へと移行し、長期的な日本での就労が可能となりました。
ここまでは、いわば制度に沿った“理想的なステップアップ”です。
しかし、注目すべきはその後です。
彼女たちは会社だけでなく、地域の消防団にも参加するようになったのです。
2025年12月に開催された小学校での防災イベントでは、子どもたちに心肺蘇生の指導を行い、消防団の一員として堂々と活動。
周囲からは「チュックちゃん」「バンちゃん」と親しみを込めて呼ばれ、イベント終了後には地元の人々と自然に笑い合う姿も見られたといいます。
彼女たちの入団を後押ししたのは、雇用主でもある朝日工業の田簑社長。
ご自身もベテラン消防団員であり、海外留学の経験から「異国で生きる大変さ」を肌で知っていた人物です。
チュックさんが特定技能資格を得たタイミングで、「地域との接点をつくることで、もっと安心して暮らせるように」と消防団への参加を提案したそうです。
「特定技能人材を“使う”のではなく、“共に生きる仲間”として迎える」――
こうした経営者のマインドが、制度の枠を越えて人材を活かす力につながっていることは明らかです。
この事例は、外国人材を雇用する企業にとって、まさにその先”を考えるヒントになるのではないでしょうか。
3. 入管の壁と乗り越えたプロセスに学ぶ「制度活用力」
消防団は、非常勤の地方公務員にあたるため、報酬が発生する活動に分類されます。
そのため、特定技能1号の在留資格を持つ外国人が参加する場合、「資格外活動」に該当するかどうかが大きな争点になります。
今回のケースでは、入管からすぐに許可が下りたわけではありません。
むしろ、前例がなく、報酬の有無が問題視され、認可を得るためには相当の説明が必要だったと報じられています。
田簑社長は、消防団活動の公益性や就労先への影響がないことを粘り強く説明し、最終的に認可を得るに至りました。
ここにあるのは、「制度の壁」ではなく、制度を乗り越えるための“理解と応用力”です。
私たち行政書士の目線から見ても、このケースは非常に意義深いものです。
制度の枠組みを理解し、その運用可能性をきちんと読み解くことで、企業や外国人材にとって“新しい選択肢”を生み出すことができるのです。
「入管が無理だと言っているから…」と諦めるのではなく、
どうすれば可能になるかを共に考える“制度の伴走者”としての行政書士の存在意義が、ここに凝縮されています。
制度活用とは、単なる手続きの問題ではなく、
「人の可能性を広げる手段」でもあるということを、あらためて私たちも実感させられる事例です。
4. 地域社会とのつながりが外国人の“定着意欲”を育てる
「来日したときは、お金のためでした。でも今は、日本が大好きです」
この一言に、外国人雇用の本質が詰まっています。
仕事のために来日した外国人材が、時間と共に地域に馴染み、人と繋がり、自らの役割を見出していく――。
そこにあるのは、ただの「労働」ではなく、“生活者”としての成長と定着のストーリーです。
消防団に入ったことで、チュックさんとバンさんは会社以外にも“仲間”を得ました。
日本語や文化、日常生活の知識などを教えてもらいながら、自然と日本社会への理解と愛着が深まっていったのです。
これは、決して特別なことではありません。
ちょっとした接点や関わりが、外国人にとっては「社会に受け入れられた」という実感となり、大きな安心感と自信に変わるのです。
企業にとっても、こうした定着は非常に重要です。
優秀な外国人材を雇用しても、地域に孤立したままでは、長続きしません。
だからこそ、企業が地域との橋渡し役となり、
消防団や地域イベント、語学教室などへの参加機会を提供することは、人材定着とリスク軽減の両面で非常に有効なのです。
外国人を“活かす”企業は、地域と“つなげる”企業。
その先にこそ、本当の意味での「外国人と共に生きる社会」が実現します。
5. なぜ今「企業×地域×行政書士」の連携が求められているのか
外国人材を「単なる労働力」として見る時代は、もはや過去のものです。
今、日本企業が直面しているのは、“外国人材とどう共に働き、共に地域社会を築いていくか”という課題です。
本記事で紹介したような成功事例の裏には、企業単独では実現が難しい複合的な支援体制があります。
特に重要なのが、企業・地域・専門家(行政書士など)との連携です。
雇用主が就労の場を提供し、地域が生活基盤を支え、行政書士が法的な支援と制度活用の橋渡しを担う。
この三者がそれぞれの役割を果たしてこそ、外国人材の“定着”と“活躍”が実現するのです。
実際、制度の解釈や申請実務においては、企業や自治体だけでは限界があります。
たとえば、今回の消防団入団に関しても、「資格外活動」の扱いや公益性の説明など、専門知識と経験に基づく入管対応が求められました。
また、地域活動や日本語学習の場を紹介・仲介する上でも、行政書士のネットワークや相談対応が大いに活かされる場面が多々あります。
さらに最近では、企業のSDGsや地域貢献の観点からも、外国人材の地域参加を推進することが「企業価値の向上」に直結するという認識が高まりつつあります。
今後、外国人材の受け入れ数が増えれば増えるほど、“制度の知識”と“定着支援の視点”の両方を持った専門家の存在がますます重要になります。
行政書士は、「書類代行」だけの存在ではありません。
制度・実務・地域との橋渡しを担う、外国人雇用における“戦略パートナー”なのです。
6. 企業ができる実践アクション|特定技能人材を“人財”に変える3つの視点
では、企業は実際にどのような行動を取るべきなのでしょうか?
ここでは、特定技能をはじめとした外国人材を“人財”として迎え入れるための3つの実践的アクションをご紹介します。
① 制度理解と採用戦略の再設計
「特定技能」「育成就労」などの制度は、表面的には似ていても目的や条件は大きく異なります。
採用時には、就労可能な業種・活動内容・期間・更新条件などをきちんと把握したうえで、制度に応じた採用計画を立てることが不可欠です。
採用ありきではなく、制度理解を前提とした“逆算型の採用戦略”を持つことが、リスクのない雇用の第一歩です。
② 就業環境と地域交流の整備
労働条件や生活環境だけでなく、精神的な安心感や人間関係の構築が、外国人の“定着”には不可欠です。
・日本語サポートや社内研修制度
・休日の地域イベント参加支援
・外国人同士や先輩との交流の場づくり
これらを企業側が意図的に設計することで、早期離職や孤立リスクを大幅に下げることが可能です。
③ 信頼できる専門家と連携する
外国人雇用は制度が複雑で、自己流の対応では思わぬリスクにつながります。
在留資格の確認・契約書の作成・労務管理・資格変更手続きまで、
実務に強い行政書士と早期に連携することで、トラブルを未然に防ぎ、制度活用の幅も広がります。
外国人材の受け入れは、ただ人を雇うことではありません。
「雇う前」「雇ってから」「その先」までを視野に入れた、継続的な関わり方こそが、企業の競争力を高める鍵となります。
7. ニセコビザ申請サポートセンターができる支援|在留資格だけじゃない「定着支援」の要
「行政書士に何を頼めるの?」と聞かれることがあります。
答えは、「雇用の前から、雇用の後まで」です。
行政書士は、在留資格の確認や申請代行に加え、就労条件の整備、地域との橋渡し、制度活用の設計まで、幅広く支援することが可能です。
たとえば、以下のような支援を日常的に行っています。
- 在留資格(特定技能・技術人文国際など)のチェックと取得支援
- 資格外活動の適否判断、申請書類作成と提出
- 外国人向け就業契約書、就業規則の整備(やさしい日本語・多言語対応)
- 労務管理(勤務時間・掛け持ち確認)のルールづくり支援
- 特定技能から2号へのステップアップ支援
- 企業と地域団体をつなぐイベント・活動参加の企画アドバイス
また、行政書士は入管庁の認可を受けて活動する「申請取次者」でもありますので、
企業の負担を最小限に抑えつつ、制度上確実な手続きを進めることができる点も大きなメリットです。
私たちニセコビザ申請サポートセンターでは、書類だけでなく、企業の課題やビジョンに合わせて、
外国人雇用全体を“経営戦略の一環”としてサポートする体制を整えています。
「雇って終わり」ではなく、「共に育つ雇用」の実現を。
その伴走役として、行政書士は最適なパートナーであることを、ぜひ知っていただきたいと思います。
8. まとめ|外国人と“共に生きる社会”をつくる企業こそ、生き残る
外国人材の活用は、単なる人手不足対策ではありません。
それは今、日本社会が直面している「人口減少」「地域衰退」「社会保障の担い手不足」といった課題に対する、
重要な解決の糸口でもあります。
そして何より、外国人一人ひとりが「働き手」である前に「生活者」であるという視点を、私たちは忘れてはなりません。
今回紹介した事例のように、
・特定技能への移行
・地域活動への参加
・人とのつながりから芽生える「この国で生きたい」という想い
これらを後押しするのが、企業であり、地域であり、そして制度を扱う私たち行政書士なのです。
✅ 自社で外国人を雇っているが、制度に自信がない
✅ 特定技能への切り替えや定着支援に不安がある
✅ 地域との連携やCSR的な取り組みに興味がある
そんな企業様は、ぜひ一度、私たちにご相談ください。
ニセコビザ申請サポートセンターでは、単なる申請サポートではなく、企業の未来を見据えた“共生型外国人雇用”の仕組みづくりをお手伝いしています。
制度が複雑な今だからこそ、専門家との連携が、貴社の“強み”になります。
