はじめに|北海道・浦河町にインド人労働者が急増中
北海道の日高地方に位置する人口約1万1千人の町、浦河町。ここ数年で急速に増加している外国人住民の存在が注目を集めています。特に目立つのが、インド人労働者の存在です。かつてはゼロだったインド人の数が、現在ではおよそ400人近くにまで増え、町の人口の約3%を占めるまでになっています。
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この急増の背景にあるのは、浦河町を含む日高地方が日本の競走馬育成の一大拠点であるという事実です。日本で生まれるサラブレッドのうち、実に98%がこの地域で育成されており、競走馬の調教や育成に携わる「乗り役」の人材は慢性的に不足してきました。
そこで注目されたのが、インド人労働者です。インドはかつてイギリスの植民地だった影響もあり、今でも競馬が盛んです。特に北西部のラジャスタン州などでは、馬に乗る文化が根強く、若者の中にも乗馬経験を持つ者が少なくありません。彼らは、競走馬育成の現場において即戦力として重宝されているのです。
競馬に関する基礎知識や騎乗スキルをすでに身に付けている人材を受け入れることは、企業にとっても非常に魅力的です。特に、新たに日本人を一から育てるには時間とコストがかかる分野においては、その効果は絶大と言えるでしょう。
このように、外国人労働者が地域の産業を支える「新たな担い手」として活躍する一方で、そこには法的・文化的・生活的な課題も多く潜んでいます。本記事では、企業が外国人労働者を雇用する際に直面するリアルな課題と、その解決のための法的支援や仕組みづくりについて、行政書士の視点から解説していきます。
企業にとっての現実的メリットと法的な壁
外国人労働者を受け入れる最大のメリットは、なんといっても人手不足の解消です。特に浦河町のような地方では、少子高齢化と若者の都市流出が進んでおり、農業・畜産・建設といった「体を動かす」業種での人手確保は年々困難を極めています。その中で、既に技術を持ち、やる気に満ちた外国人労働者は、企業にとってまさに救世主とも言える存在です。
また、先に述べたように、インド人労働者の中には乗馬経験を持つ者が多く、即戦力として現場に入ってもらいやすいという利点もあります。これは、未経験の日本人を一から育成するコストや時間を考えると、非常に大きなメリットです。
しかし、このような「雇用のしやすさ」の裏には、複雑で厳格な法的制度が存在しています。外国人を雇用する場合、最も重要なのは「在留資格(ビザ)」の確認と管理です。たとえば、現在多く活用されているのは「技能実習」や「特定技能」といった在留資格ですが、それぞれに定められた業務範囲や滞在期間、受け入れ条件などが細かく規定されています。
これらの制度を十分に理解しないまま雇用を進めると、思わぬトラブルに発展するリスクがあります。例えば、「特定技能」で入国した人に本来の業務範囲を超えた作業を任せた場合、入管法違反として企業側が処罰される可能性もあります。
さらに、在留期間の更新手続き、転職や離職に伴う在留資格の変更、法改正への対応など、企業として継続的な法的管理が求められる点も見落としがちです。多くの企業では、こうした法務の専門知識を持った人材が社内におらず、結果として申請ミスや不備が起きやすい状況になっています。
こうした背景を踏まえると、外国人雇用を検討する企業には、在留資格制度に精通した行政書士のサポートが不可欠です。正しい手続きを踏んで適切な人材を受け入れることが、企業にとっても、働く本人にとっても安心・安全な雇用関係を築く第一歩なのです。
「雇う」だけでは足りない。見落とされがちな“家族の支援”
外国人労働者を受け入れる際、つい注目が集まりがちなのは「本人の就労」に関する部分です。しかし、実際にはそれだけでは不十分であり、もう一つ重要な視点が「家族への支援」です。
浦河町では、インド人労働者の多くが「技能実習」や「特定技能」ではなく、「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)」や「経営・管理」など、帯同家族が可能な在留資格を持って来日しているケースも増えています。そのため、配偶者や子どもと共に日本で生活している世帯が少なくありません。
しかし、ここで問題となるのが「生活の壁」です。特に日本語が話せない妻や子どもにとって、日本での生活は想像以上にハードルが高いものです。買い物ひとつとっても、言葉が分からなければ必要な物を手に入れることすら困難ですし、病気になっても医療機関へのアクセスが難しくなります。
実際、あるインド人家庭では、妻が体調不良で苦しんでいたにもかかわらず、救急車の呼び方も分からず、病院に行けなかったという深刻な事例も報告されています。こうした問題は、本人のせいではなく、明らかに「情報不足」や「地域の支援不足」が原因です。
企業が外国人を雇用するということは、単に「働く人」を迎え入れるだけではなく、「その家族の生活」も視野に入れて受け入れるということです。安心して働いてもらうためには、本人だけでなく、家族も地域で安心して生活できる環境が必要不可欠です。
たとえば、地域の日本語教室の紹介、通訳者の手配、生活ルール(ゴミ出し、災害時の対応など)の説明書の整備、子どもの就学先の案内など、企業として取り組むべき課題は多岐にわたります。
行政書士として、私たちができるのは、家族の在留資格手続きだけではありません。地域との橋渡し役として、行政や教育機関、地域ボランティアとの連携体制の構築にも尽力しています。「雇う」だけでなく、「共に暮らす」ための仕組みを整えることこそが、これからの外国人雇用に求められる本質だと考えています。
生活支援のリアル|現地で起きている事例
外国人労働者の受け入れにおいて、最も見落とされがちなのが「日常生活」の支援です。仕事の場では通訳やマニュアル、研修などのサポート体制が整っている企業も増えてきましたが、ひとたび職場を離れると、言語の壁、文化の違い、制度の不案内などが一気に表面化します。
浦河町で実際にあった事例として、あるインド人女性が腹痛に苦しんでいたにもかかわらず、どこに相談してよいか分からず、救急車の呼び方すら知らなかったという出来事がありました。彼女の夫もまた、110番や119番に電話をかけるという知識がなく、ただ戸惑うばかりだったのです。
最終的には、ヒンディー語通訳者が病院まで同行することで無事に診察を受けることができましたが、これは氷山の一角に過ぎません。医療機関の利用、学校の手続き、行政サービスの申請、日本のルールに基づいた生活のあらゆる場面で、こうした「知らないがゆえの不便」や「通じないがゆえの孤立」が存在しています。
たとえ在留資格が適正で、企業が労働条件をきちんと整備していたとしても、生活の基盤が不安定では、労働者本人のモチベーションやメンタルヘルスにも悪影響を及ぼします。特に家族を伴って来日している場合、その妻や子どもが抱える不安は、家族全体の生活満足度を左右し、結果的に離職や帰国といった事態につながることもあるのです。
こうしたリアルな声に耳を傾けること、そして一つひとつの課題に対して具体的なサポートを提供することが、企業・地域・専門家の責務と言えるでしょう。
通訳・生活ガイドブック・行政との連携体制の重要性
生活支援のカギを握るのは、地域全体での「連携体制」です。浦河町では、ヒンディー語を話す通訳士のが、インド人住民の生活を多方面からサポートしています。稲岡さんは元々東京でインド料理店を経営し、インド人スタッフとの関わりからヒンディー語を習得。地域からの要請を受けて浦河町に移住し、通訳のみならず、地域住民との橋渡し役としても活動しています。
印象的なのは、支援の“丁寧さ”です。例えば、地域住民から「近所にインド人が引っ越してきたけれど、どう接すればいいか分からない」と相談を受けた際には、インド人向けの引っ越し挨拶カードを自主制作。さらに、ゴミ出しのルールや災害時の行動などをまとめた「生活ガイドブック」の制作にも取り組んでおり、2026年3月には完成予定だといいます。
こうした取り組みは、一見すると地味ですが、外国人と地域が共生していく上で非常に重要です。「ルールが分からず、地域住民とのトラブルになる」「災害時に避難の仕方が分からない」など、小さなミスが大きな不信感につながることもあります。そうしたリスクを減らすには、事前に丁寧な案内をすることが何よりも効果的です。
そして何より、こうした生活支援の取り組みは「自治体単位」で推進される必要があります。行政が通訳を配置したり、日本語教室を設置するなどの体制を整えることで、民間の努力と連動しながら、より持続可能な受け入れ体制が実現できるのです。
外国人雇用における“共生”の本質とは
外国人を雇用する際、「人手不足の解消」という側面がクローズアップされがちですが、それだけでは本質を見失ってしまいます。外国人雇用の本質とは、「労働力の補填」ではなく、「人として地域に迎え入れる」という視点に立つことです。
浦河町のように、産業を支えるためにインド人労働者を積極的に受け入れている地域では、単なる労働力の確保にとどまらず、「地域社会の一員」として迎え入れるための努力が求められます。それは、仕事の場だけでなく、生活・文化・教育といったあらゆる場面での支援と理解によって成り立ちます。
例えば、働く本人が地域の行事に参加したり、子どもが地元の学校に通い、保護者同士の交流が生まれたりすることで、真の意味での“共生”が始まります。そうした中で、日本人住民もまた異文化への理解が深まり、地域社会全体がより柔軟で寛容なものへと変化していくのです。
企業にとっても、外国人従業員が地域に定着することは、長期的な雇用の安定につながります。生活基盤が整っていれば、離職率は下がり、モチベーションや生産性も向上します。つまり、“共生”は企業にとっての経営課題でもあるのです。
また、今後の日本社会を考える上でも、「共に働き、共に暮らす」外国人との関係性は避けて通れません。2024年以降、外国人労働者の受け入れ制度はさらに拡大が見込まれており、地域ごとの対応力が問われる時代になります。
行政書士は、そうした“共生社会”を実現するための制度設計や、現場との橋渡し役として重要な役割を果たすことができます。単なる書類手続きの代行ではなく、企業・外国人・地域が三位一体となって共に歩んでいくためのサポートを提供していくことが、これからの私達に求められる使命です。
行政書士が果たすべき役割
外国人を雇用する際、企業が直面するのが「どの在留資格を選べばいいのか分からない」という初期の疑問です。在留資格の種類は非常に多く、目的に応じて選定する必要があります。たとえば、競走馬の調教スタッフであれば「技能」や「特定技能」、技術職なら「技術・人文知識・国際業務」、マネジメント層であれば「経営・管理」などが考えられます。
行政書士は、このようなビザ選定から申請書類の作成、入国管理局との調整まで、外国人雇用の初動を支える専門家です。とりわけ、初めて外国人を雇用する企業や、複数名を一括して雇用する中小企業にとっては、正確かつ迅速な対応が非常に重要になります。
また、在留資格の取得は一度で終わりではありません。滞在期間の更新や、業務内容の変更に伴う在留資格変更、家族の帯同や永住権の取得など、外国人のライフステージやキャリアに応じて柔軟な対応が求められます。
さらに重要なのが、自治体や地域支援団体、学校、病院などの関係機関との連携です。行政書士は「法的な手続き」にとどまらず、「人と人」「企業と地域」をつなぐハブ的な役割を担うことが求められています。
弊所でも、外国人雇用に関するご相談を多くいただいておりますが、単なる書類作成ではなく、雇用から生活支援までを見据えた「伴走型」のサポートを提供しています。外国人雇用に不安を感じている企業様、制度の複雑さに戸惑っている人事担当者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
「外国人雇用は、制度と心の両面から整えることが成功の鍵です」
私たちは、そんな企業様の“最初の一歩”を全力で支援いたします。
弊所のサポート内容
外国人労働者の受け入れには、法的な整備、生活支援、地域との連携といった多面的な取り組みが求められます。私たち行政書士事務所は、そうした企業や自治体の課題に対して、実務に即したトータルサポートをご提供しています。
まず、最も多くご相談いただくのが「在留資格の選定と取得」に関する手続きです。外国人を雇用する際、どのビザを選ぶべきかは非常に重要で、誤った選定は後々大きなトラブルを招きかねません。当事務所では、求人内容や職務内容、将来的な人材配置計画までヒアリングし、貴社に最適な在留資格の種類をご提案。必要書類の作成、入管対応、スケジュール管理まで一貫して行います。
また、「家族帯同ビザ」や「配偶者・子どもの在留資格」など、家族に関する手続きも多く扱っています。本人が安心して働くためには、その家族が安心して生活できる環境づくりが欠かせません。
さらに、外国人従業員向けの「生活オリエンテーション」も実施可能です。日本の生活ルール、交通、災害対策、病院や行政サービスの利用方法などをわかりやすく説明した資料や動画を用意し、入社時や来日直後に実施することで、生活トラブルの防止につながります。
企業規模や業種に応じた柔軟なプランで対応しておりますので、初めて外国人を雇用される企業様も、すでに多くの外国人を抱えている企業様も、安心してご相談ください。法律の専門家として、そして実務に寄り添う伴走者として、御社の外国人雇用を全力で支援いたします。
今後の法改正と企業が備えるべきポイント
外国人雇用に関する制度は、常に変化の途上にあります。とくにここ数年は、技能実習制度の見直しや、新たな在留資格制度の導入など、国の政策としても大きな転換点を迎えています。
2027年には「育成就労制度」という新しい制度が創設され、従来の技能実習制度が段階的に廃止される見通しとなりました。育成就労制度は、より実践的かつ人権に配慮した制度設計となっており、労働者にとっても企業にとっても「より公平で透明性の高い制度」へと進化しています。
このような法改正に対して企業が備えるべきことは、大きく以下の3つです。
① 常に最新の情報を収集・確認すること
② 現行制度からの移行手続きや、新制度での受け入れ基準を把握しておくこと
③ 専門家と連携し、制度変更に伴うリスクを未然に防ぐこと
特に法改正が発表されてから実施されるまでの間は、制度が“グレー”な部分も多く、解釈の相違がトラブルの原因になります。この時期こそ、行政書士などの専門家と連携し、正確な理解のもとで行動することが非常に重要です。
また、制度の変化は単に「申請方法が変わる」だけではありません。労働条件、受け入れ体制、教育・研修の内容、さらには地域住民との共生の仕組みなど、雇用の在り方そのものを見直す好機でもあります。
当事務所では、法改正への対応支援はもちろん、制度変更に伴う社内体制の再構築、ガイドラインの整備、社内研修資料の作成など、総合的なコンサルティングも行っております。これからの外国人雇用に備え、ぜひ早めの情報収集と準備をおすすめいたします。
まとめ|外国人雇用は“人を迎える”覚悟と仕組みが必要
北海道・浦河町の事例が示すように、外国人労働者は、地域の重要な産業を支える「なくてはならない存在」になっています。人手不足の現場で即戦力として活躍する彼らの存在は、地方経済にとって大きな支えであり、同時に、今後の日本社会の在り方を映す鏡でもあります。
しかし、その受け入れには「人を迎える」ための覚悟と仕組みが必要です。ただ労働力として雇うだけでは、真の意味での成功とは言えません。言語の壁、文化の違い、生活環境の整備、法制度への対応といった多くの課題があり、それを一つひとつ乗り越えていく体制こそが求められます。
企業としては、採用前のビザ選定から始まり、家族帯同の支援、生活オリエンテーション、地域との関係づくりまでを見据えた、包括的な視点での取り組みが必要不可欠です。行政書士は、そうした取り組みを法務面・実務面の両側から支えるパートナーとして、企業と外国人の“間”をつなぐ役割を担っています。
私たちの事務所では、単なるビザ取得代行ではなく、「人と人」「企業と地域」をつなぐための具体的なサポートを行っております。
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