目次
  1. はじめに:衆院選で問われる外国人政策の在り方
  2. 在留外国人395万人の時代:もはや「お客様」ではなく「隣人」
    1. 急増する在留外国人の現状
    2. 2019年の転機:人手不足と外国人労働者受け入れ拡大
  3. 「移民政策ではない」という矮小化がもたらした問題
    1. 国の責任が曖昧になり、自治体・民間に丸投げ
    2. 顕在化する問題:日本語習得、生活適応、社会保険料未納
  4. 高市政権の外国人政策:「秩序が共生社会の土台」でいいのか?
    1. 政府が打ち出した外国人政策の柱
    2. 「秩序が共生社会の土台」という考え方の危うさ
    3. 根拠のない「治安悪化論」
  5. 共生の土台は「秩序」ではなく「人権の尊重」
    1. 西日本新聞社説の核心的メッセージ
    2. 外国人を「労働力」ではなく「隣人」として
  6. 行政書士の視点から見る在留資格・ビザ申請の現場
    1. 窓口で出会う外国人の方々の姿
    2. 企業が直面する外国人雇用の課題
  7. 「排外主義とは一線を画す」というなら、人権尊重を政策の中心に
    1. 高市首相の「排外主義とは一線を画す」発言
    2. 規制強化より先にすべきこと
  8. 欧米の排外主義に日本はのみ込まれてはいけない
    1. 世界的に広がる排外主義の波
    2. 日本が選ぶべき道
  9. 外国人政策を「ひとくくり」にせず、一つ一つの課題と向き合う
    1. 有権者に求められる姿勢
    2. 行政書士としての役割
  10. 在留資格・ビザ申請でお困りの方へ
    1. 当事務所のサポート内容
    2. 企業向け外国人雇用サポート
  11. まとめ:人権尊重こそが真の共生社会への道

はじめに:衆院選で問われる外国人政策の在り方

2026年2月7日、西日本新聞が掲載した社説「外国人との共生 秩序より人権こそ土台に」が、大きな反響を呼んでいます。

現在、衆院選の争点の一つとなっている外国人政策。しかし、その議論の多くは規制強化に偏り、多文化共生や人権を重視する声がかすんでいるのが現状です。

行政書士として、日々ビザ申請や在留資格の手続きに携わる私たちにとって、この社説が投げかける問いは極めて重要です。

本記事では、西日本新聞の社説をもとに、外国人政策の現状と課題、そして真の共生社会を実現するために私たちが考えるべきことを、行政書士の視点から解説します。


在留外国人395万人の時代:もはや「お客様」ではなく「隣人」

急増する在留外国人の現状

2025年6月時点で、日本における在留外国人は約395万人。総人口の約3%に相当します。この数字は、この20年でほぼ倍増しており、将来的には欧米並みの10%を超えるという予測もあります。

もはや外国人は「一時的なお客様」ではなく、私たちの社会を共に支える「隣人」なのです。

2019年の転機:人手不足と外国人労働者受け入れ拡大

この変化の転機となったのが、2019年の政策転換です。当時の安倍晋三政権は、深刻な人手不足を補うため、外国人労働者の受け入れを大幅に拡大しました。

しかし、政府はこれを「移民政策」とは呼ばず、あくまで「人材活用の施策」として位置づけました。

この曖昧な位置づけが、その後の問題を生むことになります。


「移民政策ではない」という矮小化がもたらした問題

国の責任が曖昧になり、自治体・民間に丸投げ

政府が外国人労働者の受け入れを「移民政策」と認めなかったことで、何が起きたのでしょうか。

それは、国としての責任が曖昧になり、外国人が暮らすための環境整備が自治体や民間に丸投げされたということです。

顕在化する問題:日本語習得、生活適応、社会保険料未納

結果として、以下のような問題が顕在化しました。

  • 日本語習得の遅れ:体系的な日本語教育の機会が不足し、生活や仕事に支障をきたすケースが増加。
  • 生活文化への適応の遅れ:ゴミ出しのルールや騒音問題など、地域住民との摩擦が一部で発生。
  • 社会保険料の未納:制度の理解不足により、社会保険料や税金の未納が問題化。

これらの問題は、外国人個人の責任というよりも、受け入れ体制を整えなかった国や社会の責任と言えます。


高市政権の外国人政策:「秩序が共生社会の土台」でいいのか?

政府が打ち出した外国人政策の柱

高市早苗首相率いる政権は、衆院解散の当日、外国人政策の基本方針を発表しました。その柱は以下の通りです。

  • 国籍取得や永住許可の要件の厳格化
  • 税や社会保険料の未納防止
  • 土地取得ルールの策定

一見すると、社会秩序を守るための合理的な政策に見えます。しかし、ここには大きな問題があります。

「秩序が共生社会の土台」という考え方の危うさ

政府は「秩序が共生社会の土台」という考え方を前面に打ち出しています。

しかし、西日本新聞の社説は、この考え方に鋭く疑問を投げかけています。

「前提として、外国人を社会の安定を脅かす存在と見ていないか。違法行為は外国人に限らない。『外国人の増加で治安が悪化した』とする言説に確かな根拠はない。」

つまり、「秩序」を強調することで、外国人を「管理すべきリスク」として捉えていないか、という問いです。

根拠のない「治安悪化論」

「外国人が増えると治安が悪化する」という言説は、しばしば耳にします。しかし、この主張には確かな根拠がありません。

警察庁のデータを見ても、刑法犯の認知件数は長期的に減少傾向にあり、在留外国人の増加と治安悪化の間には因果関係が認められていません。

にもかかわらず、こうした言説が繰り返されることで、外国人に対する偏見や差別が助長されてしまいます。


共生の土台は「秩序」ではなく「人権の尊重」

西日本新聞社説の核心的メッセージ

西日本新聞の社説は、次のように主張しています。

「共生の土台を成すのは、日本人と外国人が尊重し合う人権重視の理念であるべきだ。」

これこそが、真の共生社会を実現するための核心的なメッセージです。

外国人を「労働力」ではなく「隣人」として

外国人を単なる労働力として見るのではなく、隣人として迎え入れて共に生きていく。そのためには、人権を尊重し、相互に尊重し合う社会を作ることが不可欠です。

行政書士として、私は日々、外国人の方々と接しています。彼らは日本で真面目に働き、家族を養い、地域社会に貢献しようと懸命に努力しています。

しかし同時に、言葉の壁、複雑な制度、そして時に偏見に直面しながら生活しているのです。


行政書士の視点から見る在留資格・ビザ申請の現場

窓口で出会う外国人の方々の姿

行政書士として、私はビザ申請や在留資格の手続きを日々サポートしています。

窓口で出会う外国人の方々は、日本での生活に希望を抱き、一生懸命努力されています。

  • 日本語学校に通いながら、アルバイトで生計を立てる留学生
  • 技能実習を終えて、特定技能ビザに切り替え、日本での定住を目指す若者
  • 日本人と結婚し、家族を守りながら地域社会に溶け込もうとする配偶者

こうした方々が、複雑な在留資格制度に翻弄され、不安を抱えながら手続きを進めている姿を、私は日々目にしています。

企業が直面する外国人雇用の課題

また、外国人を雇用する企業の経営者や人事担当者の方々も、多くの課題に直面しています。

  • 在留資格の種類や要件が複雑で、適切な雇用形態がわからない
  • 社会保険や税金の手続きが煩雑で、対応に苦慮している
  • 日本語でのコミュニケーションが難しく、職場での定着に課題がある

これらの課題は、外国人個人や企業の努力だけでは解決できません。国による体系的な支援と、社会全体の理解が不可欠です。


「排外主義とは一線を画す」というなら、人権尊重を政策の中心に

高市首相の「排外主義とは一線を画す」発言

高市首相は、外国人政策について「排外主義とは一線を画す」と述べています。

しかし、西日本新聞の社説は、次のように問いかけています。

「言葉通りであるなら、差別や偏見を助長しかねない規制には慎重であるべきだ。人権を軽視した共生はあり得ない。」

つまり、言葉だけでなく、実際の政策が人権尊重に基づいているかが問われているのです。

規制強化より先にすべきこと

外国人政策において、規制を強化する前にすべきことがあります。

  1. 日本語教育の体系的な整備:就学前の「プレスクール」構想など、子どもを含めた日本語教育の充実。
  2. 生活支援の強化:自治体や民間任せではなく、国が責任を持って支援体制を構築。
  3. 社会保険・税制の理解促進:制度の複雑さを解消し、外国人にもわかりやすい情報提供を。
  4. 偏見・差別の解消:メディアや教育を通じた啓発活動の推進。

こうした取り組みを先行させることで、地域との摩擦や未納問題の多くは解決できるはずです。


欧米の排外主義に日本はのみ込まれてはいけない

世界的に広がる排外主義の波

現在、欧米諸国では移民政策を巡る排外主義が拡大しています。

アメリカではトランプ政権下で厳格な移民規制が進められ、ヨーロッパでも極右政党が台頭し、移民排斥を訴える動きが強まっています。

日本が選ぶべき道

しかし、日本はこの不寛容な世界の潮流にのみ込まれてはいけません。

日本は、少子高齢化と人口減少という構造的な課題を抱えています。外国人材なしには、社会や経済を維持することができません。

だからこそ、外国人を排除するのではなく、共に生きる社会を作るという選択をすべきです。


外国人政策を「ひとくくり」にせず、一つ一つの課題と向き合う

有権者に求められる姿勢

西日本新聞の社説は、有権者に対しても次のように呼びかけています。

「国民の不満のはけ口を外国人に向けさせる言動も見受けられる。外国人政策をひとくくりにせず、一つ一つの課題と丁寧に向き合う姿勢が有権者にも求められる。」

外国人政策を感情的に語るのではなく、具体的な課題を一つ一つ冷静に議論する。それが、真の共生社会への道です。

行政書士としての役割

行政書士として、私たちには専門知識を活かして、外国人の方々と企業をサポートする役割があります。

同時に、人権尊重の理念を社会に広め、偏見や差別を解消する役割も担っています。


在留資格・ビザ申請でお困りの方へ

当事務所のサポート内容

当事務所では、以下のような在留資格・ビザ申請のサポートを行っています。

  • 就労ビザ:技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能など
  • 身分系ビザ:配偶者ビザ、永住ビザ、定住者ビザなど
  • 留学・研修ビザ:留学ビザ、文化活動ビザなど
  • 経営・管理ビザ:起業や事業拡大を目指す外国人経営者向け
  • 帰化申請:日本国籍の取得サポート

企業向け外国人雇用サポート

また、外国人を雇用する企業様向けに、以下のサポートも提供しています。

  • 在留資格の適切な選択と申請手続き
  • 社会保険・税務手続きのアドバイス
  • 外国人社員の定着支援(日本語教育、生活サポートの紹介)
  • 入管法令遵守のコンサルティング

まとめ:人権尊重こそが真の共生社会への道

西日本新聞の社説「外国人との共生 秩序より人権こそ土台に」は、今の日本社会が向き合うべき本質的な問いを投げかけています。

共生の土台は「秩序」ではなく、「人権の尊重」です。

外国人を「管理すべきリスク」として見るのではなく、「共に生きる隣人」として尊重する。その覚悟を持つことが、真の共生社会への第一歩です。

行政書士として、私は日々の業務を通じて、この理念を実現するために努力していきます。

在留資格やビザ申請でお困りのことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。


参考記事
西日本新聞「【社説】外国人との共生 秩序より人権こそ土台に」(2026年2月7日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/3dcb65121c59766d542c9803a4873e262151cc2c