はじめに:北海道で増加する「白タク」問題
2026年2月、新千歳空港で北海道警察が外国人観光客に対し、違法な「白タク」を利用しないよう注意喚起を行いました。千歳警察署交通第1課の笹森慎太郎課長は「白タクと呼ばれる行為が年々増えてきている。このように危機感を持っています」とコメントしています。
2025年、北海道では白タク行為で7人が検挙されており、警察は外国人観光客を狙った違法営業に警戒を強めています。
この問題は、観光客だけでなく、在日外国人の方々や外国人を雇用する企業の経営者・人事担当者にとっても無関係ではありません。
本記事では、行政書士・ビザ申請の専門家として、白タク問題の法的リスク、在留資格への影響、企業が取るべき対策、そして適法なタクシー営業の始め方まで、わかりやすく解説します。
1. 「白タク」とは?法的にどんな問題があるのか
白タクの定義
「白タク」とは、道路運送法に基づく営業許可(緑ナンバー)を取得せずに、有償で旅客を運送する違法行為を指します。
正規のタクシー・ハイヤー事業を行うには、国土交通大臣または地方運輸局長の許可が必要で、車両には緑色のナンバープレート(事業用自動車)が交付されます。これを取得せずに営業すると、道路運送法違反となります。
罰則は?
事業者(運転者):
- 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(道路運送法第78条違反)
利用者:
- 明確に違法と知りながら利用した場合、幇助罪が成立する可能性もあります。
なぜ増えているのか?
- 外国人観光客の増加
- SNSやメッセージアプリでの勧誘の容易化
- 言葉の壁を利用した巧妙な勧誘
2. 在日外国人が白タクを利用するリスク
(1)法的トラブルへの巻き込まれリスク
白タク利用者が警察の取締りに遭遇した場合、事情聴取を受ける可能性があります。違法行為に関与したとみなされれば、後々の在留資格申請や更新に悪影響を及ぼす恐れがあります。
(2)在留資格審査への影響
在留資格の許可・更新審査では、「素行の善良性」が重視されます。違法行為への関与が記録されると、以下のような影響が考えられます。
- 在留資格更新の不許可
- 永住許可申請の却下
- 帰化申請の不利益
(3)事故やトラブル時の保障がない
白タクは保険に未加入のケースが多く、事故に遭った場合、適切な補償を受けられない可能性があります。
(4)犯罪に巻き込まれるリスク
違法営業を行う者の中には、悪質な犯罪者も含まれます。料金トラブル、恐喝、誘拐などのリスクもゼロではありません。
3. 外国人雇用企業が注意すべきポイント
なぜ企業が関心を持つべきか?
外国人社員が来日時や出張時に白タクを利用してトラブルに巻き込まれた場合、以下のような企業リスクが発生します。
- 業務開始の遅延
- 社員の在留資格に悪影響が及ぶ可能性
- 企業の管理体制への疑念
- ブランドイメージの低下
企業が取るべき対策
(1)来日前オリエンテーションでの情報提供
外国人社員の来日前に、以下の情報を提供しましょう。
- 正規タクシーの見分け方(緑ナンバー)
- 配車アプリ(JapanTaxi、Uber、DiDiなど)の使い方
- 公共交通機関の案内
- 違法な白タクに関する注意喚起
(2)送迎サービスの手配
重要な人材の来日時には、企業が送迎サービスを手配することも有効です。信頼できる運送会社と契約することで、安全性と企業イメージの両方を守れます。
(3)社内マニュアルの整備
外国人社員向けに、日本での交通ルールや適法なサービスの利用方法をまとめたマニュアルを作成しましょう。多言語対応が望ましいです。
(4)定期的な注意喚起
社内メールや掲示板で、違法サービスに関する注意喚起を定期的に行うことも効果的です。
4. 正規のタクシーを見分ける方法
緑ナンバーを確認
営業用車両には緑色のナンバープレートが付いています。白いナンバープレートの車両でタクシー営業をしている場合は違法です。
タクシー表示灯の確認
屋根にタクシー表示灯がついているか確認しましょう。
運賃メーターの有無
正規のタクシーは運賃メーターを装備しています。事前交渉で「定額」を提示してくる場合は要注意です(一部の空港定額タクシーを除く)。
配車アプリの利用
JapanTaxi、Uber、DiDiなどの配車アプリを利用すれば、正規のタクシーを安全に手配できます。
5. もしタクシー事業を始めたいなら?緑ナンバー取得の流れ
ここからは、適法にタクシー事業を始めたい方に向けて、緑ナンバー取得の流れを解説します。
タクシー営業に必要な許可
タクシー事業(一般乗用旅客自動車運送事業)を始めるには、以下の許可が必要です。
- 一般乗用旅客自動車運送事業の許可(国土交通大臣または地方運輸局長)
- 緑ナンバー(事業用自動車)の登録
許可取得の要件
- 営業所・車庫の確保
- 営業所と車庫の設置(都市計画法、建築基準法などに適合)
- 車両の確保
- 最低車両数(地域により異なる。一般的に5台以上)
- 資金要件
- 所要資金の50%以上の自己資金
- 運転資金(2か月分)の確保
- 運行管理体制
- 運行管理者の選任
- 整備管理者の選任
- 損害賠償能力
- 自動車損害賠償責任保険および任意保険への加入
許可取得の流れ
- 事前相談(運輸支局)
- 申請書類の準備
- 申請書の提出
- 審査(法令試験を含む)
- 許可の交付
- 運輸開始前の準備(車両登録、保険加入など)
- 運輸開始届の提出
- 営業開始
外国人ドライバーの雇用について
外国人をタクシードライバーとして雇用する場合、以下の在留資格が必要です。
- 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者などの身分系在留資格
- 特定技能(自動車運送業)
就労系の在留資格(技術・人文知識・国際業務など)では、原則としてタクシー運転業務は認められません。
6. ニセコビザ申請サポートセンターのサポート内容
ニセコビザ申請サポートセンターでは、以下のサポートを提供しています。
(1)在留資格申請・ビザ申請サポート
- 在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格変更許可申請
- 在留期間更新許可申請
- 永住許可申請
- 帰化申請サポート
(2)企業向け外国人雇用コンサルティング
- 雇用可能な在留資格の診断
- 雇用契約書・雇用条件書の作成支援
- 外国人社員向けオリエンテーション資料作成
(3)緑ナンバータクシー営業許可申請支援
- 一般乗用旅客自動車運送事業許可申請
- 営業所・車庫の要件確認
- 申請書類の作成・提出代行
- 外国人ドライバー雇用に関する在留資格相談
(4)その他許認可申請
- 旅館業許可
- レンタカー業許可
- 古物商許可
- など
7. まとめ:法令遵守が安全と信頼を守る
新千歳空港での白タク取締り強化は、単なる観光客向けの注意喚起にとどまりません。
在日外国人の方々にとっては、在留資格に影響を及ぼしかねないリスク。
外国人を雇用する企業にとっては、社員の安全と企業の信頼性を守るためのリスク管理の課題。
タクシー事業を始めたい方にとっては、適法に事業を行うための重要な知識。
それぞれの立場で、法令を正しく理解し、適切に行動することが求められています。
もし、
- 在留資格についてお悩みがある
- 外国人雇用の手続きでお困りの方
- タクシー事業の許可取得を検討している方
- 外国人ドライバーの雇用を考えている方
がいらっしゃいましたら、ぜひニセコビザ申請サポートセンターにご相談ください。
私たち行政書士は、法令を守りながら、皆様のビジネスと生活を支えるパートナーです。
些細なことでも構いません。お気軽にお問い合わせください。
参考記事:
HBCニュース北海道「【新千歳空港】違法”白タク”利用防止を外国人観光客に呼びかけ 北海道では去年、7人が検挙」
https://news.yahoo.co.jp/articles/68077fb979d0d266f23401e42c96505cbc6f4368
