- 1. はじめに:令和8年度予算案における外国人政策の大幅増額と社会的背景
- 2. なぜ今「在留管理の適正化」が求められるのか?政策意図を読み解く
- 3. 電子渡航認証制度(JESTA)導入と企業・個人への影響
- 4. 在留カードとマイナンバーカードの一体化と情報連携の意味
- 5. 社会保険料の未納が在留資格更新に影響?企業が押さえるべき実務ポイント
- 6. 入管と自治体・省庁の情報連携強化が意味するもの
- 7. 外国人雇用企業にとっての新たな責任とリスクとは?
- 8. 行政書士の視点で見る、制度改正と実務対応の全体像
- 9. 外国人本人に求められる意識と準備とは?
- 10. まとめ:制度強化の中でも選ばれる企業・安心される外国人へ
1. はじめに:令和8年度予算案における外国人政策の大幅増額と社会的背景
令和8年度の政府予算案において、外国人政策関連の経費が前年度比で約1300億円増額されることが発表され、大きな注目を集めています。これは単なる数字の増加ではなく、政府が外国人の在留管理制度を本格的に見直し、強化に乗り出すという強いメッセージです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/11593e8df78150ba237ae81f63d8868af4a7dc96
高市早苗首相は記者会見で、「一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対し、国民が不安や不公平を感じている」と述べ、在留管理の適正化が必要であることを強調しました。こうした発言の背景には、急速に進む外国人受け入れの現状と、それに伴う制度的な遅れ、社会的不安の拡大があります。
実際、日本国内における在留外国人数は年々増加しており、特に特定技能、技能実習、留学生など、多様な在留資格を持つ外国人が社会のあらゆる場面で活躍しています。企業にとっては人材不足の補完として外国人雇用が不可欠な存在となる一方で、「制度の抜け穴」や「管理の不徹底」が、国民感情の不安要素になっているのも事実です。
今回の予算案には、電子渡航認証制度(JESTA)の導入、マイナンバーと在留カードの一体化、情報連携の強化、さらには社会保険料未納による在留資格の制限措置など、複数の具体的な施策が盛り込まれています。
この動きは、単に外国人に対する監視を強めるものではなく、「制度の整合性」「公平性の担保」「社会保障制度との接続」を意識した包括的な政策であり、今後、企業活動にも直接的な影響を及ぼすことになるでしょう。
本記事では、こうした在留管理強化の内容と背景を踏まえ、企業や在日外国人がどのように対応していくべきか、行政書士の立場から実務的に解説していきます。
2. なぜ今「在留管理の適正化」が求められるのか?政策意図を読み解く
「在留管理の適正化」という言葉は、今回の令和8年度予算案の柱のひとつとなっています。では、なぜ今、このタイミングで制度強化が打ち出されているのでしょうか?その背景には、複合的な社会的・制度的な要因があります。
第一に、在留外国人数の急増があります。人手不足を背景に、日本は外国人労働者の受け入れを拡大してきましたが、その一方で、行政側の管理体制が追いついていない現状があります。入管庁、自治体、厚労省、文科省など、複数の機関が縦割りで制度を所管していることにより、情報の一元管理や迅速な対応が難しくなっています。
第二に、制度を悪用するケースや、滞納・違反事例の増加です。特に、社会保険料や税の未納、医療制度の「ただ乗り」など、一部の不適切なケースが報道を通じて広く知られるようになりました。こうした事例が国民の不安感や不信感を生み、「真面目に働く外国人」と「制度を悪用する者」との線引きが求められるようになったのです。
第三に、マイナンバー制度の整備が進み、行政のデジタル化が加速していることです。これにより、外国人の在留資格と社会保障、納税状況、労働状況を一元的に管理するインフラが整いつつあります。今後、外国人雇用の現場でも、こうしたデータ連携を前提とした採用・管理が必要となるでしょう。
つまり、「在留管理の適正化」は、外国人排除を目的としたものではなく、むしろ“正しく制度を活用している人”を守るための改革でもあります。企業や外国人本人が「見える化された制度」に順応していくためには、専門家の支援と最新情報の把握が不可欠です。
3. 電子渡航認証制度(JESTA)導入と企業・個人への影響
令和10年度の導入を目指して政府が動いているのが、「電子渡航認証制度(JESTA)」です。これは、アメリカのESTAやカナダのeTAのように、外国人が日本へ渡航する際、事前にオンラインで身元や目的、滞在計画などを申請し、一定の審査を受けてから渡航するという制度です。
JESTAの目的は、不法就労や犯罪目的での入国を未然に防ぐことにあります。現在の仕組みでは、空港の入国審査の段階でしか十分な確認ができておらず、事後的にトラブルが発覚するケースが後を絶ちません。これに対し、事前段階での情報収集とリスク分析により、「防げるリスクを未然にカット」することが狙いです。
企業側への影響としてまず考えられるのは、招聘手続きの厳格化です。海外から外国人を呼び寄せる際、事前審査項目が増え、必要書類や情報提供の範囲も広がる可能性があります。特に技能実習生、特定技能など、労働目的での招聘には、企業側の信頼性や受け入れ体制がより厳しくチェックされるでしょう。
一方で、信頼できる企業にとっては、JESTAによる「スクリーニング機能」はメリットでもあります。悪質なブローカーや不適格な人材が水際でブロックされることで、採用後のトラブルリスクを軽減できるからです。
外国人本人にとっても、虚偽申請や不備があれば入国そのものができなくなるため、来日前から制度を理解し、書類の正確な準備が必要になります。結果として、日本社会への定着前から“制度順応力”が問われる時代に突入することになります。
行政書士としては、JESTAの導入に向け、企業がどのような事前準備をすべきか、また外国人本人への正しい情報提供やサポートをどう行うか、実務の現場での支援がますます重要になると感じています。
4. 在留カードとマイナンバーカードの一体化と情報連携の意味
今回の予算案で示されたもう一つの重要な施策が、「在留カードとマイナンバーカードの一体化」です。これは単なるカードの統合ではなく、外国人の在留状況・社会保障・納税情報などを包括的に把握する“行政横断型のデータ連携”を可能にする仕組みへの第一歩です。
これまで、在留資格に関する情報は入管庁、社会保険は厚労省、税務は国税庁や市町村と、縦割りで情報が管理されており、情報共有には時間と手間がかかっていました。このため、一部で“制度の抜け道”や“情報の死角”が存在し、不適切な事例が見逃される原因にもなっていたのです。
マイナンバーと在留カードを一体化することで、例えば「社会保険料の未納がある外国人が在留資格の更新を申請した場合」に、入管側が即座にその情報を確認できるようになります。これは企業側にとっても大きなインパクトをもたらします。
特に、外国人雇用企業が注意すべきなのは、「本人の社会保険加入義務を履行していなかった場合」、その責任が企業側に問われるリスクがあることです。今後は「社会保険に加入させない」「未加入を黙認する」といった対応が、在留資格の更新不可・取り消しにつながり、採用リスクとなる可能性があるのです。
また、在留資格の種類と職務内容の整合性、勤務実態との乖離なども情報として精緻に把握されることになるでしょう。企業は「うちは外国人を正しく扱っているか?」を再確認する必要があります。
この一体化によって、外国人雇用に関する実務の“透明化”が進みます。裏を返せば、制度理解と法令遵守を怠っている企業には非常に厳しい時代が到来するとも言えます。
行政書士として、ニセコビザ申請サポートセンターは、この変化の中で、制度の正しい運用とトラブル回避のための実務支援に尽力しています。
5. 社会保険料の未納が在留資格更新に影響?企業が押さえるべき実務ポイント
今回の制度見直しで注目されるのが、「社会保険料の未納がある外国人に対して、在留資格の更新・変更を認めない方針」です。これまで在留資格の審査では、勤務状況や収入の安定性が中心的な判断材料でしたが、今後は“社会保険の加入・納付状況”が重要な審査ポイントとして加わります。
これにより、企業が外国人を雇用する際に、単に在留資格があるかどうかを確認するだけでは不十分になります。例えば、企業側が正社員として雇用していながら社会保険に加入させていなかった場合、更新時に“適切な労働条件での雇用”と見なされず、不許可となるリスクが高まるのです。
特に注意すべきは、以下の2点です:
- 未加入のまま放置した場合の行政処分リスク
入管に対して、「適正な就労環境を提供していない企業」と判断されれば、次回以降の在留資格認定や更新が厳しくなるだけでなく、企業としての信頼も損なわれます。 - 外国人本人にも責任が及ぶ可能性
本人の責任ではない場合でも、「社会保険に加入していない=安定した生活が困難」と判断されるケースも出てくる可能性があります。結果として、外国人が自分の将来に不安を感じ、他国への就労を選択することも考えられます。
社会保険制度への適正な対応は、企業の義務であると同時に、“外国人材に選ばれる企業”であるための最低条件でもあります。今後の制度運用の厳格化を見据え、雇用契約書、就業規則、保険加入手続きのすべてを点検することが急務です。
ニセコビザ申請サポートセンターは、こうした雇用環境の整備を法的観点から支援し、企業がトラブルなく優秀な外国人材を安定的に受け入れられるよう、実務対応をサポートしています。
6. 入管と自治体・省庁の情報連携強化が意味するもの
今回の改革では、入管庁を中心に、厚生労働省、国税庁、地方自治体などとの情報連携が強化されます。この背景には、これまでの制度運用において、機関ごとの情報断絶がトラブルの温床となっていた現実があります。
たとえば、入管は在留資格の判断を行っても、社会保険の加入有無は厚労省や自治体が把握しており、情報共有が十分でなければ“不適切な在留”を見逃してしまうことになります。今回の制度改革では、マイナンバーを軸にこれらの情報を一元的に照合・管理できる仕組みが整備されつつあります。
この情報連携により、例えば次のような管理が可能になります:
- 社会保険の未納者に対する在留資格の更新制限
- 過去の就労状況、転職履歴、収入状況の把握
- 留学生の出席率や成績など教育情報の連携
企業側としては、「在留資格の確認さえしていればOK」という時代ではなくなります。企業が提供する労働環境が、制度的にも“健全”でなければ、入管との信頼関係が築けず、外国人の新規採用や更新許可が下りにくくなるリスクがあります。
また、外国人本人にとっても、「バレないから」と安易に非正規雇用や未申告労働を選ぶことが、将来の在留継続に大きな影響を与えることになります。
情報が共有される時代において、透明性と法令遵守が求められるのは当然の流れです。企業は、「誰が管理するか」ではなく、「全体で守る仕組みをどう構築するか」という視点が求められます。
当事務所では、こうした制度変化に対応した社内規定の見直しや、運用マニュアルの作成支援、入管への説明責任の整理などを通じて、現場が混乱しないための体制作りをお手伝いしています。
7. 外国人雇用企業にとっての新たな責任とリスクとは?
これまで外国人雇用においては、「在留資格の有無」と「職務内容の整合性」だけが重要視されてきました。しかし今回の制度改正により、企業にはさらに多くの“法的責任”と“情報管理リスク”が加わります。
具体的には次のようなポイントです:
- 社会保険や税の未納が企業の管理責任とされる可能性
- 外国人の在留資格に関する情報の誤認・誤記による行政処分リスク
- 会社側の過失によって在留資格が更新できなかった場合の訴訟リスク
特に深刻なのは、“無自覚の不法就労助長”です。本人の在留資格の確認を怠ったり、業務内容が資格に合っていないにも関わらず放置した場合、「知らなかった」では済まされません。結果として、企業にも刑事罰や行政指導が及ぶケースもあります。
また、マイナンバー情報と連動することで、外国人労働者の労務管理も「デジタルで証拠が残る」時代となります。曖昧な運用や口頭の指示が通用しない場面が増え、書面・記録の整備が必須となります。
しかし、これは裏を返せば、“しっかりと制度対応している企業”にとっては、大きな安心材料になります。入管との信頼関係が構築され、ビザの更新や追加採用がスムーズに進みやすくなるのです。
ニセコビザ申請サポートセンターとしては、企業が“見えないリスク”を正しく把握し、それを制度設計・社内運用・法的書類に落とし込めるよう、包括的に支援いたします。
8. 行政書士の視点で見る、制度改正と実務対応の全体像
在留管理制度の改正は、表面的には「ルールの強化」に見えますが、実務レベルでは「管理体制の大変革」を意味します。これに適切に対応できなければ、企業も外国人本人も不利益を被ることになりかねません。
ニセコビザ申請サポートセンターでは、以下のような場面で具体的な支援を提供できます:
- 在留資格の種類や活動範囲の適正診断
- 在留資格認定・更新・変更の申請書類作成と代理申請
- 社内就業規則や労働契約書の外国人対応版の作成支援
- 入管・行政庁への説明文書の作成サポート
- トラブル発生時の事実整理と初期対応のアドバイス
特に今後は、入管への説明責任を果たすための「書類の整備」と「社内の運用ルールの可視化」がカギを握ります。どんなに制度を理解していても、第三者にその適正さを証明できなければ意味がありません。
また、外国人本人への情報提供、母国語対応の契約書の用意、やさしい日本語による社内研修の実施など、“共に働くための基盤”を整えることも重要です。
当事務所では、単なる申請手続き代行ではなく、企業が外国人材と継続的・安定的に向き合うための“制度設計パートナー”としての役割を果たしています。
今後も予算案に盛り込まれた内容を注視しながら、企業と外国人双方の「安心と信頼の橋渡し役」として、制度対応を全力で支援してまいります。
9. 外国人本人に求められる意識と準備とは?
今回の予算案に盛り込まれた制度改革は、企業だけでなく外国人本人にも大きな影響を及ぼします。特に、在留資格の更新や変更が「納税状況」「社会保険加入」「就労実態」などのデータに基づいて審査されるようになることで、これまで以上に“自己管理能力”が問われる時代となります。
まず、外国人自身が「自分の在留資格が何を許可していて、何が制限されているのか」を正確に理解しておくことが極めて重要です。例えば「技術・人文知識・国際業務」の資格を持っている場合、単純労働や工場作業は原則認められていません。しかし、生活のためにそうした仕事に従事してしまい、結果的に不法就労と判断されるケースが増えています。
また、社会保険の加入義務についても同様です。「会社が手続きをしてくれなかった」「よく分からなかった」といった理由で未加入のまま過ごしていると、次回の在留資格更新が不許可になるリスクもあります。つまり、“知らなかった”では済まされない状況が、今まさに始まろうとしているのです。
そのため、外国人本人には以下のような意識と準備が求められます:
- 自分の在留資格と就労範囲を明確に理解しておく
- 雇用契約書をよく読み、社保加入の有無を確認する
- 税金や保険料は期日通りに納付する
- 転職や退職の際は必ず入管や専門家に相談する
- 生活に関わる情報(住所変更、結婚、離婚など)も速やかに届け出る
このような管理を個人だけで完結するのは難しいため、企業側や専門家のサポートが欠かせません。信頼できる行政書士とつながり、相談できる体制を持っておくことが、長期的に安定した日本での生活を築くうえでの鍵となります。
10. まとめ:制度強化の中でも選ばれる企業・安心される外国人へ
令和8年度予算案に見られるように、外国人政策は今、大きな転換期を迎えています。政府による在留管理の適正化は、「排除」ではなく「信頼の可視化」への第一歩です。つまり、“真面目に働く外国人”と“適切に雇用する企業”を守るための制度設計が始まったとも言えるのです。
企業側にとっては、これまで以上に法令遵守が求められ、「知らなかった」「うっかり」では済まされない時代へと突入します。在留資格の正確な理解、社会保険制度の適用、マイナンバーを活用した情報管理といった要素を踏まえた体制整備は、今や“採用の入口”となりつつあります。
一方、外国人本人にとっても、自己管理の重要性が増しています。制度への正しい理解と、それに基づいた生活・就労が、在留継続を左右する時代です。今後の社会では、“制度に強い外国人”こそが長期滞在のチャンスを得られると言っても過言ではありません。
私たちニセコビザ申請サポートセンターは、単なる申請代行者ではなく、「企業と外国人の橋渡し役」として、制度を正しく理解し、安心・安全な労働環境を整えるための実務支援を行っています。
- 「制度が難しくて社内で対応しきれない」
- 「外国人の在留資格と業務内容が合っているか不安」
- 「更新申請で不許可にならないか心配」
このようなお悩みをお持ちの企業様、外国人の皆様は、どうぞお気軽にご相談ください。最新制度への対応をスピーディーに、かつ的確にサポートいたします。
