1. はじめに:実際に起きた事件から考える外国人雇用リスク

2025年10月、東京・品川区で実際に起きた事件が、外国人労働者を雇用する企業にとって無視できない課題を突きつけました。

報道によると、ベトナム国籍の30歳男性が、無免許で車を運転中に事故を起こし、その場から逃走。その後、事故とは関係のない知人を「身代わり」として警察に出頭させたという事実が明らかになり、犯人は最終的に逮捕されました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7c670cd397c3d86d50a00d4f0cdb7cb196ef7147

一見すると、これは個人によるモラルの問題、不法行為の問題のように映るかもしれません。しかし、視点を変えると、こうした事件は「外国人を雇用する企業」や「人事担当者」にとって、重大なリスクとして浮き彫りになります。

とくに運送・配送・建設業など、外国人労働者が社用車を運転する業務に携わる企業にとっては他人事ではありません。「運転免許を持っていると思っていた」「本人が大丈夫と言っていた」という曖昧な確認では、企業が責任を問われる可能性が高まるのです。

また、このような事件が一度報道されると、企業名や関係者がメディアに取り上げられることで、企業イメージへの影響、信用低下、取引先からの信頼喪失といった「副次的なダメージ」も大きくなります。

外国人の雇用は、労働力確保という観点では非常に重要な経営戦略ですが、同時に「外国人特有のリスク」に対しても企業側が理解し、対策を講じる必要があります。特に今回のように、運転免許、交通ルール、法令遵守に関する認識ギャップは、重大なトラブルに直結します。

この記事では、この事件を切り口に、外国人雇用にまつわる交通違反や身代わり出頭といった事案が企業に与えるリスク、法的責任、そして防止のために企業が今すぐできる対策について、行政書士の立場から詳しく解説していきます。


2. 事件概要:無免許・事故・逃走・身代わり出頭の一連の流れ

まず、事件の全体像を改めて整理しておきましょう。

報道によれば、逮捕されたのはベトナム国籍の無職の男性(30歳)。彼は2025年10月、東京都品川区の山手通りを無免許で運転中に、他の車両と接触事故を起こしました。通常であれば、交通事故が発生すればその場で警察を呼び、必要な対応を取るのが当たり前です。しかし、彼は事故現場からそのまま逃走してしまいます。

なぜ逃走したのか。その理由は、「無免許運転であることが発覚するのを恐れたため」でした。免許を所持していないことは、重大な道路交通法違反です。行政処分だけでなく、刑事罰の対象にもなります。おそらく、彼はその重さを理解していたのでしょう。

翌日、彼は驚くべき行動に出ます。なんと、事故とは全く無関係な知人に「自分の代わりに警察に出頭してほしい」と依頼し、その知人とともに警察署に向かいました。つまり、「身代わり出頭」をさせたのです。

しかし、現在はドライブレコーダーの映像がほぼ全ての車に搭載されており、事故当時の様子が記録されていました。警察がドライブレコーダーの映像を確認した結果、「実際に運転していたのは知人ではなく、本人だった」ことが判明。身代わり工作はすぐに露呈し、本人が逮捕に至りました。

ここで考えなければならないのが、「もしこの人物がある企業に雇用されており、その企業の社用車を使っていたらどうなっていたか?」という点です。企業が業務の一環として外国人に車の運転を任せていた場合、その雇用主の管理責任、指導監督責任が問われる可能性は非常に高くなります。


3. 企業への影響:雇用企業が巻き込まれる可能性

このような事件が発生した場合、直接の加害者はあくまで個人です。しかし、雇用していた企業が「業務中の事故だった」「社用車を使っていた」「免許の有無を確認していなかった」などの状況にあった場合、その企業が社会的・法的な責任を負うことになるケースは少なくありません。

考えられる企業側の影響は以下の通りです。

  • 企業名が報道されるリスク
    「〇〇会社に勤務する外国人労働者が…」というように、企業名がメディアで報道される可能性があります。これにより、会社の信用が著しく低下し、顧客や取引先からの信頼を失うことにもつながります。
  • 業務上過失責任を問われるリスク
    雇用主としての管理監督が不十分だったと判断されれば、業務上過失による民事・刑事責任を問われる可能性もあります。特に、業務時間内での事故や、社有車での運転中に起きた事故であれば、企業の責任は免れません。
  • 雇用管理体制の不備を指摘される
    「なぜ無免許であることを見抜けなかったのか」「採用時の確認体制に不備があったのではないか」など、内部管理体制の問題が浮き彫りになります。監査機関や取引先からも厳しい視線が向けられることになります。
  • 入管法上の問題に発展するケースも
    在留資格と実際の業務内容が一致していない場合や、違法行為が繰り返されている場合には、企業側に対しても入管法上の指導・調査が入ることがあります。悪質なケースでは、外国人雇用停止命令や罰則も視野に入ってきます。

企業としては、「うちはプライベートの運転まで管理できない」というスタンスでは済まされない時代になっています。特に、外国人労働者が業務で車を使用する場合、運転免許の有無を確認しないまま業務に就かせること自体がリスクであると強く認識すべきです。


4. 身代わり出頭の法的責任と罰則

今回の事件で特に注目すべきなのが、「身代わり出頭」の部分です。これは、単なる友人間の問題では済まされない、明確な刑事事件です。

日本の刑法では、「犯人隠避罪(刑法103条)」という罪があります。これは、犯罪を犯した者を隠したり、逃走を手助けした場合に適用されるもので、法定刑は3年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

さらに、虚偽の申告を行った場合には、「偽証罪」や「証拠隠滅罪」として処罰されることもあります。今回のように、他人を身代わりにして自分の犯罪を隠そうとした行為は、極めて悪質とみなされるでしょう。

また、身代わりになった知人も、「事実ではないと知りながら出頭した」場合には、共犯的な立場として処罰の対象となります。たとえ善意であったとしても、法律はその行為の結果を重視します。

そして重要なのが、企業がもしこの行為を黙認、あるいは把握していたにもかかわらず対応しなかった場合。企業もまた「組織として不正を見逃した」と判断されれば、刑事・行政上の責任を問われる可能性があります。

つまり、身代わり出頭は個人の問題に留まらず、企業を巻き込む大きなリスクに発展しかねないということです。

外国人労働者の中には、「日本語が不自由で警察とのやりとりが不安」「母国では身代わりが黙認されていた」など、日本と異なる法意識を持っている方も少なくありません。企業はこうした文化や背景も踏まえた上で、適切な教育・指導体制を構築しておく必要があります。


5. 外国人労働者の交通ルール認識と文化ギャップ

外国人労働者を雇用する企業にとって、「交通ルールの認識の違い」は見落としがちなリスクの一つです。
今回のような無免許運転、そして事故後の逃走・身代わり出頭という行為は、日本人の感覚からすると「絶対にやってはいけない」と理解されている行為ですが、外国人労働者にとっては、同じような倫理観や法意識を持っているとは限りません。実際に、日本の厳格な交通ルールや法制度は非常に理解しづらく、時には「なぜそこまで厳しいのか」と疑問を感じることさえあるようです。

たとえば、一部のアジア諸国では運転免許制度が形骸化しており、形式的に取得できるケースもあります。また、交通違反をしても罰金さえ払えば問題にならない国も存在します。
このような環境で育った外国人が日本で「無免許運転は犯罪である」「身代わりはさらに重大な犯罪である」と言われても、ピンと来ない可能性があるのです。

だからこそ、企業としては「交通ルールを守るのは当たり前」という前提で考えるのではなく、外国人労働者がどのような価値観・法意識を持っているかを踏まえた上で、教育・説明を行う必要があります。

採用時や業務開始時には、以下のような説明を明確に行うことが求められます。

  • 日本の交通ルールの厳しさと遵守義務
  • 無免許運転・事故逃走・身代わり行為が持つ重大な意味
  • 違反した場合の刑罰や、企業への影響

こうしたポイントを「わかるように伝える」努力を怠ってはなりません。

日本語が得意でない外国人に対しては、母国語の資料を準備したり、図解や動画で説明したりと、工夫が必要です。
企業が「知らなかった」「教えたつもりだった」では済まされないのです。文化ギャップは企業が埋めるべき責任であると強く認識しましょう。


6. 雇用時の確認ポイント:免許の有無・有効性チェック

外国人労働者を雇用し、業務上運転を伴う場合には、「免許があるかどうか」の確認だけでは不十分です。
その免許が日本で有効なものであるか、正式に切り替えが完了しているかまで、しっかりと確認する必要があります。

以下のポイントを徹底して確認しましょう。

  • 有効な日本の運転免許証の所持
    単に「母国の免許証を持っている」だけでは、日本国内で運転することはできません。特定の国では、条件を満たせば日本の運転免許への切り替えが可能ですが、その手続きが済んでいなければ違法運転となります。
  • 免許の期限と在留カードとの整合性
    運転免許証と在留カードの記載内容(氏名、在留期間など)が一致しているかを確認し、不審な点がないかチェックします。場合によっては、在留資格の更新と免許の更新タイミングがズレていることもあるため注意が必要です。
  • 過去の違反歴や運転経歴
    可能であれば、過去の違反歴や事故歴も確認しましょう。これは法的な義務ではありませんが、採用リスクを下げる上で有効な手段です。
  • 書類の保管と社内共有
    口頭確認で「免許持ってます」と言われただけで済ませていませんか? 必ず免許証の写しを取得し、社内の担当者が確認・保管する体制を整えてください。

特に、派遣会社を通じて外国人労働者を受け入れている企業は、「派遣元に任せきり」にするのではなく、自社でも必ず免許の確認を行うことを推奨します。
実際にトラブルが起きた際、「うちは派遣元の責任だから」と言っても、社会的な責任を完全に免れることはできません。

「見た目がしっかりしているから」「日本語が上手だから大丈夫」といった感覚的な判断ではなく、証拠として書類で残すことが企業リスクの最小化につながるのです。


7. 社内体制構築:交通ルール教育とリスク管理

外国人労働者が安心して働ける環境を整えるためには、「交通ルール教育」を社内制度としてしっかり構築していくことが求められます。特に運転を業務に含む場合、その教育は「義務」といっても過言ではありません。

まずは、初期教育として、入社時に「日本における交通ルールの基本」を伝える機会を設けましょう。
たとえば以下のような内容です。

  • 歩行者優先の原則
  • 一時停止の重要性と標識の意味
  • 飲酒運転の厳罰性
  • 無免許運転の刑罰と企業への影響
  • 事故発生時の対応(警察への連絡など)

これらは、日本人であればある程度当然の知識として身についていますが、外国人労働者にとっては「初耳」の内容である場合も少なくありません。

次に、継続的な教育体制が重要です。年1回でも構いませんので、定期的に交通ルールについて再確認の場を設けることで、意識の維持とリスクの低減につながります。

また、教材の工夫も必要です。以下のような取り組みが効果的です。

  • 母国語で翻訳された教育資料の用意
  • 図解・イラストを多用した資料
  • 実際の事故例をもとにしたケーススタディ
  • YouTube動画やeラーニングによる反復学習

外国人労働者が日本語を完璧に理解できるとは限りません。「伝えたつもり」が一番危険です。

最後に、教育の記録をしっかりと残しておくことも忘れないでください。事故や違反が起きた際、「適切な教育をしていたか」が企業責任の判断基準の一つとなるためです。

企業としては、教育の質と頻度を明確に可視化できる体制を構築することが、法的リスクを回避し、外国人雇用の健全性を維持する鍵となります。


8. 行政書士ができる支援:入管・在留資格・企業側体制整備

「外国人を雇っているが、実は法律的なリスクが分からない」
「うちは大丈夫だと思っていたが、最近不安になってきた」
そんな声を、私たち行政書士は日々多く聞いています。

行政書士は単に在留資格申請をサポートするだけでなく、企業に対して包括的なリスク管理の支援を行うことが可能です。特に以下のようなサポートに強みがあります。

  • 入管法に基づく在留資格の適正運用
    在留資格に適さない業務を任せていないか、資格外活動に該当しないかなどをチェックし、違反のリスクを未然に防ぎます。
  • 外国人雇用に関する社内体制の整備
    雇用契約書の見直し、教育体制の構築、トラブル時の対応マニュアルの整備など、実務的な面から企業の支援を行います。
  • 外国人本人との適切なコミュニケーション支援
    法律用語や契約内容を外国人が理解できているかを確認し、必要に応じて母国語での説明資料の作成や通訳の手配も可能です。
  • 社内研修の実施・資料提供
    人事担当者向けに、外国人労働者の管理やリスク対策について研修を実施し、継続的な社内理解の向上を図ります。

また、「問題が起きてから」ではなく、問題を未然に防ぐ予防法務こそが行政書士の強みです。
企業の現状をヒアリングし、業種や雇用形態に応じた「オーダーメイドのアドバイス」を提供します。

外国人雇用は今後も増加傾向にありますが、同時にリスクも複雑化しています。
法改正や入管対応の最新情報を常に把握し、企業の立場でサポートできる存在が必要です。

「うちは問題ない」と思っている今こそ、専門家の目でチェックを。
無料相談からでも承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。


9. こうしたトラブルを未然に防ぐには

ここまで見てきた通り、外国人労働者による無免許運転や事故後の不適切な対応は、単なる本人の問題にとどまらず、雇用企業にとっても重大な影響を及ぼす可能性があります。
では、企業はどのようにしてこうしたトラブルを未然に防ぐことができるのでしょうか?

結論から言えば、「採用」「教育」「対応」この3つのステップを体系的に整備することが鍵となります。

1. 採用時に法令順守を徹底的に確認

採用時のチェックが最も重要です。
特に運転業務がある場合には、次のような確認を必ず行ってください。

  • 日本で有効な運転免許証の確認とコピー取得
  • 在留カードと免許の内容が一致しているかの確認
  • 免許の有効期限の把握と更新スケジュール管理
  • 外国免許の切替手続きが完了しているか

これらは形式的な確認で終わらせるのではなく、人事・現場・法務の連携によって一貫したプロセスとして運用される必要があります。

2. 就業中も定期的に教育・確認

初回教育だけでは十分とは言えません。
定期的な交通ルールの研修やリスクマネジメント教育を実施し、外国人労働者の法令順守意識を継続的に育てる仕組みが求められます。

また、日本語が苦手な方には、母国語対応の資料や映像教材を使う工夫も重要です。

「教育した」と言えるように記録を残すことも忘れずに。
事故発生時に「適切な教育をしていたか」は、企業責任の判断材料となります。

3. 問題発生時はすぐに専門家に相談

万が一、違反や事故が起きた場合、社内で抱え込まず、速やかに専門家に相談することが大切です。

初期対応を誤ると、企業への責任が拡大し、場合によっては入管からの指導や監査につながることもあります。
行政書士など外国人雇用に精通した専門家であれば、入管・労基署・警察との対応まで視野に入れたサポートが可能です。

事前の予防と、万一の際の的確な対応。この両輪を社内に根づかせることが、外国人雇用を継続的に成功させるカギとなります。


10. まとめ:採用前・採用後にやるべき対策と、無料相談のご案内

今回の無免許運転・事故逃走・身代わり出頭という一連の事件は、一個人のモラルの問題にとどまりません。
外国人を雇用する企業にとっては、自社の雇用管理体制のあり方を問われる重要な教訓となる出来事です。

企業に求められるのは、次の3つの観点です。

  • 採用時の法令順守チェック体制
  • 就業中の交通教育・リスク管理体制
  • 問題発生時の適切な専門対応

「うちのやり方は正しいだろうか?」
「事故や違反があったとき、対応できるマニュアルがあるか?」

今、そうした不安や疑問を感じているのであれば、それは危機管理意識の高い企業の証拠です。
その不安を放置せず、今すぐできるリスク対策に取り組みませんか?

ニセコビザ申請サポートセンターでは、外国人雇用に関する法令遵守・交通ルール教育・社内マニュアル整備など、企業の体制づくりを多方面からサポートしています。

✅ 在留資格に合った適切な業務内容か
✅ 運転業務を任せる上で必要な書類整備はできているか
✅ 日本語で伝わらない部分をどう補完するか
✅ 事故や違反が発生した場合の対応フローは整っているか

こうした点を無料でチェック・アドバイスいたします。

まずは一度、気軽にご相談ください。
外国人雇用に強いニセコビザ申請サポートセンターが、御社の現状を丁寧にヒアリングし、リスクを見える化・最適化いたします。

御社の「安心して雇える体制づくり」のお手伝いができることを、心より願っております。