1. 外国人労働者の運転免許取得に異変が起きています
近年、外国人労働者の日本国内での活動はますます活発化しています。製造業、農業、介護、建設、物流業界など、あらゆる分野で外国人材が重要な役割を果たしており、特に地方都市では彼らの存在なくして事業が成り立たないケースも増えています。そうした中で、2025年10月に施行された「外免切替(外国免許切替)」制度の厳格化が、大きな波紋を呼んでいます。
これまで、一定の条件を満たした外国人労働者は、自国で取得した運転免許を比較的簡単な審査で日本の運転免許に切り替えることが可能でした。しかし、今回の改正によりその“簡便ルート”が事実上ほぼ封鎖された状態となっています。特に地方で勤務する外国人労働者にとって、自動車運転は通勤や業務に不可欠。例えば、工場への早朝出勤や、複数の農地を巡回する農作業、介護現場での利用者送迎など、車の運転が前提となっている業務は少なくありません。
この制度改正により、従来のように外免切替で短期間かつ低コストで運転免許を取得することが難しくなった結果、多くの外国人が“ゼロから”自動車学校に通い直す必要が出てきました。これは、本人にとっても企業にとっても時間的・金銭的な負担が増すことを意味します。
企業側からすれば「運転ができる」という前提で採用や配属計画を立てていたところに、急な制度変更が入り、計画の練り直しを迫られているケースも増えています。また、在留資格の更新や業務開始予定に間に合わないといった問題も現場では発生しており、制度変更の影響は想像以上に広範囲に及んでいます。
2. 「外免切替」の何がどう変わったのか?
今回の制度変更の中心は、外免切替の審査基準の大幅な引き上げです。具体的には、筆記試験の出題数が従来の10問から50問に増加し、しかも正解率90%以上が合格ラインとされるようになりました。さらに、実技試験の内容もより厳格に審査されるようになり、運転技術に加えて交通ルールへの理解や安全運転意識まで問われるようになっています。
これまでは、海外で免許を取得し、一定の条件(滞在期間や有効な免許証の保持など)を満たすことで、日本での運転が可能になる「外免切替」は、比較的手続きがスムーズで外国人労働者や技能実習生にとっても心強い制度でした。しかしながら、2025年5月に発生したペルー人ドライバーによる高速道路での逆走事故(外免切替で免許取得)を契機に、国は安全確保の観点から制度見直しに踏み切りました。
背景には、国際免許や外免切替によって運転免許を得たドライバーによる交通事故が社会問題化していた事情があります。特に日本独自の交通ルールや運転マナーに不慣れなまま運転を行うケースが多く、安全意識の醸成が不十分とされていました。
その結果、形式上の「免許保有」だけでなく、実質的な運転能力と法令遵守の理解を重視した審査体制が構築されたのです。
3. 外免切替の合格率はわずか3%?驚きの実態
制度が厳格化されて以降、すでにその影響は数字として現れています。三重県のデータでは、2024年10月に外免切替試験を受けた87人中、合格者はわずか3人。合格率はなんと約3.4%。以前と比較して、極端に低い数字です。
これは決して三重県だけの特殊事例ではなく、今後全国的に同様の結果が広がっていくと見られています。外免切替を希望する外国人の多くは、日本の運転ルールに慣れていない、あるいは日本語による筆記試験に不安を抱えているケースがほとんどです。しかも、新たに導入された50問の筆記試験は、交通標識、法規、運転マナー、危険予測など幅広い範囲をカバーしており、合格には相当の準備が必要とされます。
企業としては、業務上どうしても運転が必要なポジションにおいて、従来のように「外免があるから大丈夫」と安心して採用することができなくなっているのが現状です。
4. なぜ今、外国人はゼロから教習所に通い始めているのか
外免切替による運転免許取得が難しくなった今、多くの外国人は「だったら最初から日本の教習所でしっかり学んで取得しよう」と方向転換を始めています。
この動きは、単なる“制度の厳格化”への対応というだけでなく、日本で安全に運転するための前向きな選択ともいえるでしょう。特に注目されているのが、三重県伊勢市にある「ほめちぎる教習所 伊勢」。ここでは、ベトナム語、中国語、インドネシア語など、外国人向けに母国語での教習を提供しており、全国から外国人が集まっています。
例えば、神奈川県在住のベトナム人労働者が、わざわざ合宿でこの教習所を訪れるほどの人気ぶり。母国語での授業に加えて、「褒める文化」で学びやすい環境を整えており、初めて日本で免許を取る外国人にとって大きな安心材料となっています。
さらにこの教習所では、日本人教官でも外国人に指導できるよう、独自に翻訳アプリを開発し、5か国語に対応しています。これは単なる語学支援にとどまらず、「理解できる言語で、理解できる内容を伝える」教育の基本を実現している好例といえるでしょう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/43466823d15fab041c40b6180eca493483b3d76a
こうした施設が増えつつあることは喜ばしいことですが、外国人が通える教習所はまだ限られており、地域によっては十分な支援が整っていないのも事実です。企業が積極的に情報収集し、外国人社員の教習所選びを支援していくことが、今後ますます重要になっていくでしょう。
5. 「母国語対応」が自動車学校選びのカギに
外国人教習生が運転免許取得において最も苦労するポイントの一つが「学科試験」です。日本の道路交通法や標識の知識は、日本語で受講・受験することが前提とされており、日常会話レベルの日本語ができても、専門用語や法令の表現となると理解が難しいケースが少なくありません。
このような状況の中、「母国語で教習が受けられるかどうか」が、教習所選びにおける最大の判断基準になりつつあります。中国語やベトナム語、インドネシア語、ミャンマー語など、外国人労働者の多い国々の言語に対応した教習を行う自動車学校が、徐々に注目を集め始めています。
例えば、先述の「ほめちぎる教習所 伊勢」では、中国語・ベトナム語・インドネシア語を含む5言語に対応した翻訳アプリを独自開発し、日本語が不自由な外国人教習生でも安心して受講できる環境を整えています。さらに、教官自身がベトナム語で直接指導を行う場面もあり、言語の壁を超えた指導が実現しています。
このように、外国人の運転免許取得においては、「日本語能力」だけでなく、「情報提供の多言語化」が鍵を握るようになっています。企業としても、外国人社員がどのような環境で教習を受けられるか、教習所の対応力を見極めることが、採用後の定着や早期戦力化に直結する重要なポイントとなります。
現状では、こうした多言語対応の教習所は全国的にはまだ限られており、情報も断片的です。だからこそ、企業側が積極的に調査し、行政書士など専門家のネットワークを活用して、適切な教習所を案内する仕組みづくりが急務だと言えるでしょう。
6. 外国人雇用企業が直面する新たな課題とは
外免切替の厳格化により、外国人労働者の運転免許取得に想定外の時間と費用がかかるようになったことで、企業は新たな課題に直面しています。とりわけ深刻なのが、「業務遂行における支障」と「配属スケジュールの乱れ」です。
まず、運転免許が必要な業務(配送・送迎・現場移動など)において、配属予定の外国人社員が予定通り免許を取得できない場合、業務全体の進行に影響が出る可能性があります。既存の社員に負担がかかったり、契約の遅延が生じたりと、現場での混乱は避けられません。
また、地方での勤務が予定されている外国人にとって、車がなければ通勤そのものが困難です。バスや電車などの公共交通機関が限られている地域では、車がなければ生活そのものが成り立たず、結果として勤務地の変更や、就業自体の見直しが必要になるケースもあります。
さらに、就労ビザや技能実習のスケジュールにも影響が出ています。免許取得の遅れがタイムラインを狂わせ、在留資格の変更や手続きの再調整が必要になることもあるのです。
このような事態は、外国人本人だけの問題ではなく、企業の採用・配置計画全体に影響を及ぼします。つまり、「免許が取れないから仕方がない」で済まされる話ではなく、リスク管理の一環として、制度の変化に即応した雇用体制の見直しが迫られているのです。
行政書士として、こうした現場の実情を踏まえた上で、個別事情に合わせた実務的なアドバイスや書類作成、教習所選びの支援を行っています。単なる“手続き代行”にとどまらず、「実現可能な採用と定着支援」をトータルで考えるサポートが、今後ますます求められていくと感じています。
7. 今後の対応策:企業が取るべき3つの選択肢
制度変更による影響を最小限に抑え、外国人雇用を安定的に継続するためには、企業として以下の3つの対応が重要です。
① 雇用計画の見直し
運転を要する業務に外国人を配属する際は、「免許取得が前提」の計画は見直す必要があります。事前に免許取得状況を確認し、必要があれば他の業務やエリアへの仮配属、または教習期間中の業務代替策を講じるなど、柔軟な人員配置を検討すべきです。
② 教習所選びの支援
外国人が自力で教習所を探し、対応言語を確認し、手続きするのは非常に負担が大きいものです。企業として、母国語対応の教習所情報を集約し、紹介や費用補助などのサポートを行うことで、早期取得への道筋をつけることが可能です。
③ 専門家への早期相談
行政書士など、外国人関連の手続きを熟知した専門家に早い段階で相談することが、制度変更に対応する最短ルートです。外免切替が可能かどうか、教習所に通うべきか、どんな在留資格の影響があるかなど、的確な判断をスピーディに行うための支援を得ることができます。
この3つのステップを意識することで、企業は「外国人が運転できない」という想定外のリスクを未然に防ぎ、より円滑な雇用体制の構築が可能になります。
8. 当事務所のサポート体制とご相談の流れ
制度の変更により、外国人労働者の運転免許取得が以前よりも格段に難しくなった今、企業としても個人としても「どこから手をつければいいのか分からない」という声を多く耳にします。
ニセコビザ申請サポートセンターでは、そうしたお悩みにワンストップで対応できる体制を整えています。
まず、外免切替に関する制度や審査基準について、最新の情報をもとに判断・アドバイスを行います。たとえば、「この国の免許証は外免切替の対象になるのか?」「本人の経歴や滞在期間は条件に合致しているのか?」といった初期判断を明確にし、無駄な手続きを省くことが可能です。
また、免許取得に付随して必要となる在留資格や活動内容の見直しについても、適切なアドバイスを行います。たとえば、技能実習や特定技能の範囲内で運転が業務に含まれるかどうか、家族滞在ビザで教習を受ける場合の制約は何か、など、単なる免許手続きにとどまらず、法的な観点から全体像を整理しながら支援します。
さらに、外国人本人の母国語による翻訳書類の作成も対応可能です。免許証の翻訳、公的書類の記載内容確認、企業側のサポート文書の整備など、細かな部分まで丁寧にサポートいたします。
ご相談の流れは以下の通りです:
- お問い合わせ(メール・電話・フォーム)
- 初回ヒアリング(Zoomまたは来所)
- 必要情報の確認と方針のご提案
- 手続きの開始または教習所への橋渡し
- 就労・在留資格に関する継続サポート
「困ってから対応」ではなく、「困る前に備える」ことが今後の外国人雇用には重要です。初回相談は無料ですので、少しでも不安や疑問がある方は、お気軽にご連絡ください。
9. まとめ:外国人ドライバーの免許問題は”放置できない”時代へ
2025年10月の制度改正により、「外免切替」は実質的に非常に高いハードルとなり、従来のようなスムーズな免許取得が難しくなっています。
その結果として、多くの外国人労働者が日本の教習所に通う必要が出てきており、母国語対応の整った教習所の選定や、企業側の支援体制の構築が急務となっています。
この問題は、単なる個人の資格取得にとどまらず、企業の採用計画や配属スケジュール、さらには業務の遂行自体に大きな影響を及ぼしかねません。免許が取れなかったことで就業が遅れたり、地方勤務が困難になったりといったリスクは、これからますます現実味を帯びてくるでしょう。
こうした課題に対して、企業ができることは決して少なくありません。免許取得を前提とした雇用計画の見直し、適切な教習所情報の提供、そして行政書士など専門家との連携があれば、制度変更にも柔軟に対応できます。
私たちニセコビザ申請サポートセンターは、単に書類を整えるだけでなく、実務に即した「現場と制度の橋渡し役」として機能すべきだと考えています。外国人と企業、両者の不安を取り除き、スムーズな就業と生活を実現するためのサポートに尽力しています。
外国人雇用は、これからの日本社会にとって欠かせない要素です。そして、その雇用を支えるインフラの一つである「運転免許制度」に、今まさに変革の波が訪れています。
その波を乗り越えるために、早めの対策と正確な情報、そして信頼できるパートナーを持つことが、企業にとって最も重要な備えになるのではないでしょうか。
