1. はじめに|なぜ今、日本国籍取得の要件が変わるのか?
2025年11月、政府は外国人の日本国籍取得に関する要件について、「原則10年以上の居住」へ引き上げる方向で動き出しました。
これは、現在の「5年以上」という基準から倍に引き上げる形となり、事実上の制度厳格化と言えます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b63429d0136992298397617673df6c2bce099536
このような見直しの背景には、以下の3つの要素が複合的に絡んでいます。
まずひとつ目は、「国籍取得と永住許可の要件の整合性」の問題です。
現状では、永住許可に求められる居住年数が原則10年であるのに対し、より重い法的地位である国籍取得が5年で可能という逆転現象が生じており、これに対する違和感や批判が以前から存在していました。
二つ目は、「外国人政策の見直し・厳格化」の流れです。
近年、外国人の受け入れ制度に対して「秩序ある共生社会」の実現が求められる中で、不法滞在や制度の濫用を防ぐための動きが強まっています。国籍取得もその一環として、より慎重かつ厳正な審査体制への転換が進められています。
そして三つ目は、政治的な判断です。
日本維新の会を中心とした一部政党がこの問題を強く問題視し、制度改革を政府に求めてきた結果、高市首相が運用見直しの指示を出したという経緯があります。
これらの要素が重なり、国籍取得の運用が大きく変わろうとしている今、在日外国人ご本人にとっても、また外国人を雇用する企業にとっても、極めて重要なタイミングを迎えていると言えます。
2. 現在の国籍取得要件とは?おさらい
まず、現在(2025年時点)の日本国籍取得の基本要件を整理しましょう。
国籍法上、外国人が日本国籍を取得するためには、以下の条件を満たす必要があります:
- 継続して5年以上、日本に住んでいること
- 申請時点で18歳以上であること
- 素行が善良であること(法令違反歴がない、納税義務を果たしている等)
- 自分の力で生活を営める経済的な基盤があること
- 日本語で日常会話ができるレベルの言語能力(法律には明記されていないが運用上の要件)
これらの条件を満たしていれば、原則として法務大臣の裁量により国籍取得が認められます。
ただし、審査は非常に細かく、実際には書類不備や確認事項が多く、許可が下りるまでに1年〜1年半以上かかるケースも少なくありません。
つまり、現行制度でも「5年住めば誰でも取れる」わけではなく、法的・実務的ハードルが元々存在しているのです。
今回の見直しは、この「5年以上」という基準がさらに引き上げられる点で、大きな影響を及ぼすと予想されます。
3. 今回の見直しの内容とその意味
今回報道された見直しは、「国籍法そのものの改正」ではなく、「運用の変更」によって実施される見込みです。
つまり、国会を通さず、行政の裁量によって現場の審査基準が変更される形になります。
これにより、法律の条文上は「5年以上」でも、実際の審査では「10年未満だと通りにくくなる」という事実上の運用厳格化が行われるのです。
この新運用における主な変更点は以下の通りです:
- 国籍取得に必要な日本での居住年数が、「原則10年以上」に
- 例外的に、「日本社会に顕著な貢献をしている」と認められる人物(例:著名なスポーツ選手等)には短縮措置が適用される
- 実際の審査では、これまで以上に厳密な審査が行われる可能性が高い
このような変更は、単に年数だけでなく、審査全体の「質」や「判断基準」にも影響を及ぼすことが想定されます。
つまり、これまで以上に計画的な準備と、専門的な申請書類の整備が求められるということです。
4. なぜ10年なのか?永住許可との整合性
ここで多くの方が疑問に思われるのが、「なぜ10年なのか?」という点です。
その背景には、「永住許可」とのバランスの問題が存在します。
現在、永住者としての在留資格を取得するためには、原則として10年以上の日本での居住歴が必要です。
ところが、より強い法的地位である「日本国籍」は、現行では5年で取得可能となっており、この“逆転現象”に対して政策上の疑問の声が上がっていました。
特に、維新の会は2025年に出した政策提言の中で「国籍取得の方が永住よりも簡単というのはおかしい」と指摘。
この声を受けて、政府が「制度の整合性を図る」という名目で運用変更に踏み切ったとされています。
確かに、国籍取得は選挙権の付与、国家公務員への道、パスポートの取得など、社会的にも政治的にも極めて大きな意味を持つ制度です。
その要件が「永住より軽い」ということに対しては、制度全体のバランスを考えると見直しが必要だという考え方も理解できます。
ただし、現実問題としてこの変更は、在日外国人の生活設計やキャリアプランに大きな影響を及ぼすため、制度変更の前後で十分な周知と支援が求められることは言うまでもありません。
5. 影響を受けるのは誰?在日外国人と雇用企業
今回の運用変更が実施された場合、最も大きな影響を受けるのは、以下の2つの立場の方々です。
第一に、日本国籍の取得を検討している在日外国人の方々です。
特に、「5年以上10年未満」の在留歴を持ち、すでに要件を満たしていると考えていた方にとっては、取得のタイミングが大きく変わる可能性があります。
新運用が始まる前に申請しなければ、「10年在住していないから審査が通らない」という事態になりかねません。
第二に、外国人を雇用する企業の経営者・人事担当者も大きな影響を受けます。
日本国籍を取得することで、社員がビザの更新や在留資格の制約から解放され、長期的なキャリア形成が可能になります。
企業としても、定着率の向上や戦力化を目的として、国籍取得を後押ししてきた事例は少なくありません。
ところが、今回の見直しにより、そうした支援策のタイミングや制度設計を再考する必要が出てきます。
「今のうちに国籍取得の申請をサポートするのか」「別の在留資格へ切り替えるのか」など、各企業にとって重要な判断の分岐点となるでしょう。
6. 申請者の現状と数字で見る影響
制度変更がもたらす影響をより具体的に理解するには、現在の申請状況を数字で確認することが有効です。
法務省の発表によると、2024年の日本国籍取得申請件数は12,248件。
このうち、許可されたのは8,863件で、許可率は約72%にのぼります。
これは、おおむね3人に2人以上が許可を得ている計算となり、現行制度下では、条件を満たしていれば比較的スムーズに国籍取得ができている実態が見て取れます。
しかし、運用が「原則10年」に切り替わった場合、この数字が大きく変動する可能性があります。
具体的には、
- 審査が長期化し、許可までの期間がさらに延びる
- 居住年数が足りないことを理由に申請自体を断念するケースが増える
- 不許可率が上昇し、再申請が必要になる人が増加する
といった変化が予想されます。
制度変更のタイミングを見誤ることで、申請のチャンスを逃すことにもなりかねません。
今すぐに現行要件を満たしている方にとっては、「今が申請の最終チャンス」という意識が重要です。
7. 特別措置の「例外」とは?スポーツ選手だけではない
報道によると、政府は「原則10年」とする新たな運用においても、一部の例外を認める方針です。
たとえば、以下のようなケースが想定されています:
- 長年にわたって日本国内で活躍してきたプロスポーツ選手
- 芸術・文化・科学などの分野で日本社会に大きく貢献している外国人
- 災害対応や社会活動などで顕著な功績があると判断される人材
このように、日本に対して「特別な貢献」があると認定される場合には、10年に満たない在留歴でも国籍取得が許可される可能性があります。
ただし、ここで注意すべきなのは、「貢献」の定義が非常に曖昧であり、明確な基準が示されていないという点です。
そのため、一般の外国人の方々にとっては、この例外規定に期待をかけるよりも、原則10年という基準を前提とした上で、計画的に行動することが現実的です。
8. 外国人雇用企業が取るべき3つの対策
今回の制度見直しは、外国人を雇用している企業にも明確な「行動の必要性」を突きつけています。
以下の3つの対策が特に重要です。
1. 国籍取得希望の有無を早期にヒアリング
社員一人ひとりのキャリア設計を把握するためにも、まずは「国籍取得を希望しているか」を確認しましょう。
希望がある場合は、今後の申請スケジュールを逆算し、現行制度での申請に間に合うかを判断する必要があります。
2. 職場環境・支援体制の見直し
長期的に日本に定住しやすい環境を整備することが、社員の定着と企業の競争力向上につながります。
語学サポート、生活支援、家族のフォロー体制など、トータルでの支援が求められます。
3. 在留資格・永住への選択肢も視野に入れる
仮に国籍取得が難しくなる場合、永住許可の取得をサポートすることで、類似の安定性を提供することが可能です。
在留資格から永住、さらには将来的な国籍取得へとつなげるステップを構築することで、社員との信頼関係を深められます。
制度変更はリスクであると同時に、「仕組みづくりのチャンス」とも言えます。
9. 当事務所のご提案とサポート内容
当事務所では、外国人の国籍取得をはじめとした在留・永住・企業向け支援を専門的に扱っています。
今回のような制度変更に対応するために、以下のようなサポートをご提供しています。
▼ ご提供できるサービス内容
- 国籍取得の現行制度下でのスピード申請サポート
→ 書類の準備から法務局とのやりとりまで一貫対応 - 制度変更を見据えた長期的な在留戦略の構築
→ 永住や配偶者ビザへの切り替え支援、更新管理サポート - 外国人雇用企業向けの定着支援・制度設計のアドバイス
→ 社内規定、就労ビザ更新、社員向けセミナーなど
「うちの社員も当てはまりそう」「現時点で申請できるか確認したい」
そう感じられた方は、どうぞお気軽にご相談ください。
10. まとめ|制度は変わるが「チャンス」は今ここに
日本の国籍取得制度は、今まさに大きな転換点を迎えようとしています。
今後、審査は厳格化し、要件も高くなる見込みです。
しかし、今ならまだ現行の「5年以上」で申請できる可能性があります。
この“制度の狭間”にいる方々にとって、いま行動するかどうかが大きな分かれ道です。
また、外国人雇用企業にとっても、社員のキャリア支援と組織の安定性をどう確保するかが問われるタイミングです。
繰り返しになりますが、「情報を知っているかどうか」「早く動けるかどうか」で、未来は確実に変わります。
制度の変化に不安を感じている方、自社として何をすべきか悩んでいる企業様。
まずは一度、ニセコビザ申請サポートセンターに相談してみませんか?
