はじめに|総務省が「外国人の住民税未納」実態調査へ
2025年7月、総務省が外国人労働者の出国後に発生する「住民税の徴収漏れ」について実態調査を検討していることが報じられました。
日本では、住民税は“前年の所得”をもとに課税され、毎年6月から翌年5月までの期間に分割で支払います。
つまり、前年に収入がある外国人が翌年に帰国してしまった場合、6月から始まる住民税を未納のまま出国するケースが少なくないのです。
制度の背景|住民税の基本的な仕組み
まず、住民税の仕組みを簡単に整理しておきましょう。
- 対象者:1月1日時点で日本に住所がある人
- 課税対象:前年の1年間の所得
- 支払方法:毎年6月から市区町村が12回に分けて請求(給与天引きまたは普通徴収)
このように、「今年の収入に対して課税されるのではなく、前年の所得が対象」になる点が重要です。
外国人労働者が直面する課題とは?
外国人労働者の多くは、日本での在留資格の期限や契約期間が満了すると帰国します。
例えば、2024年12月に帰国したとしても、2025年6月から始まる住民税の納付義務が発生する可能性があります。
しかしそのころにはすでに国外にいるため、納税の案内も届かず、支払いも実質不可能となるケースが発生します。
このような「制度を知らなかった」が原因の未納が全国で多数起きており、総務省も問題視しています。
総務省の対応方針と今後の見通し
総務省は現在、一部自治体に対し、
- 住民税徴収の実務対応状況
- 出国予定者の把握方法
- 納税管理人の利用実態
などについてのヒアリングを進めており、内容を踏まえて全国的な調査に乗り出す方針です。
制度の周知徹底とともに、より確実に税収を確保する新たな対応策が検討される見通しです。
企業が知っておくべき「2つの対策」
総務省が推奨しているのが以下の2つの方法です。
① 一括徴収制度の活用
帰国する前に、未納の住民税をまとめて支払ってもらう仕組みです。
企業が帰国予定を把握し、自治体に問い合わせれば、納税額の試算を出してもらえます。
退職・出国の手続きと併せて案内することで、スムーズな清算が可能になります。
② 納税管理人の指定
外国人が日本を離れたあとも、納税の手続きを代行する人(例:知人、勤務先など)を市区町村に届け出る制度です。
これにより、住民税の通知や支払いを帰国後も継続して行うことができます。
外国人労働者本人の不利益も深刻
住民税を未納のまま帰国してしまうと、次のような不利益を被る可能性があります。
- 将来、日本への再入国がスムーズにできない
- 信用情報に影響が出る
- 退職金や年金給付などに支障が出るケースも
こうした事態を防ぐには、企業が早めに本人に説明し、制度理解を促すことが重要です。
雇用主として取るべき具体的な対応
外国人を雇用している企業は、以下の点に注意してください。
- 退職・帰国時に住民税の納付確認を行う
- 市区町村に問い合わせて納付額を把握する
- 本人に一括徴収や納税管理人制度の案内を行う
- 会社として納税管理人になる場合は書類提出を支援する
- 住民税関連の案内資料を多言語で用意しておく
行政書士としてできるサポート
行政書士は、以下のような場面で企業や外国人本人をサポートできます。
- 在留期限と納税期限の管理、支払期日の明確化
- 外国人向けの納税制度の説明会・資料作成
- 税理士と連携して出国に伴う税務書類の作成支援
- 自治体との連絡調整
専門家が関与することで、手続きの漏れや誤解を未然に防ぐことが可能になります。
まとめ|外国人雇用の“出口対応”こそが企業の信頼を守る
外国人雇用は「入国・採用」だけでなく、「退職・帰国」までをトータルで考える時代です。
特に住民税のような公的義務について、企業がどれだけきちんと対応できるかは、
外国人労働者本人からの信頼はもちろん、自治体・行政からの評価にもつながります。
住民税未納問題を“他人事”にせず、制度の正しい理解と、実効性ある対策を今こそ整えておきましょう。
行政書士として、企業と外国人の架け橋となり、法令遵守と円滑な退職支援をサポートいたします。
ご不明な点がありましたら、ニセコビザ申請サポートセンターまでお気軽にご相談ください。