1. はじめに:通訳人不足は他人事ではない
最近、外国人が関与する事件で「通訳人が足りない」というニュースを目にする機会が増えています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a253cb7455e016160815f9880904886664ff1c0e
通訳がいないと、被告人が裁判の内容を正しく理解できない。つまり、「公正な裁判」が成立しなくなるという重大な問題です。
しかしこの問題、司法の現場だけに限った話ではありません。
外国人を雇用している企業や人事担当者の皆さんにとっても、実は無関係ではないのです。
この記事では、法廷通訳人を取り巻く現状と、企業が直面しうるリスク、そして今すぐできる備えについて、行政書士の立場からわかりやすく解説します。
2. 外国人被告が急増中——なぜ今通訳人不足が問題に?
2024年、最高裁のデータによれば、通訳人が必要な外国人被告は全国で4649人。
これは2015年の約1.7倍という驚くべき増加です。
一方で、通訳人候補者の数は15年間で約20%減少。
このミスマッチが「通訳人不足」という事態を招いているのです。
背景には、以下の要因があります:
- 外国人技能実習生や観光客の増加
- 特殊詐欺や傷害事件などで外国人の関与が増加
- 通訳人の負担に対して報酬が不十分
- 研修制度が追いついていない
つまり、日本社会全体が多文化化しているにもかかわらず、司法の体制がそれに追いついていないのです。
3. 法廷通訳人の実態とは?
法廷通訳人の仕事は、ただ「言葉を訳す」だけではありません。
- 法律用語を被告に分かるよう平易に訳す
- 公判資料を事前に読み込み、内容を正確に理解
- 複雑な証言や尋問をリアルタイムで訳出
- 多様な文化的背景への配慮
これらをこなすために、1時間の公判のために2〜3時間以上の準備が必要になることも。
ところがこの「準備時間」には報酬が出ないことが多く、現場ではボランティアに近い状態も見られます。
また、裁判での通訳報酬も、事件ごとに裁判所が判断するため、報酬の基準が不透明である点も問題です。
4. 企業にとって“言葉の壁”は重大なリスク
この法廷通訳人不足の問題は、企業が外国人を雇用している場合、以下のようなリスクに直結します:
- 労働トラブルが発生した際に、本人の主張が正しく伝わらない
- トラブルが刑事事件に発展した場合、意思疎通が取れず不利な扱いを受ける可能性
- 外国人従業員の不信感や不安が高まり、職場環境の悪化に繋がる
- 適切な対応ができず、企業の社会的信用を損なう
例えば、外国人従業員が通勤途中に交通トラブルを起こし、警察対応が必要になったとします。
このとき、通訳がいなければ、企業として適切なサポートができない可能性があります。
5. 実際に起きている現場の声
長年ロシア語の法廷通訳を務めた通訳人は、こう語っています:
「準備だけでノート一冊を使い切ることも。裁判員裁判では、徹夜で訳す日もあった。」
また、フィリピン語の通訳経験者500名へのアンケートでも、約8割が「報酬が少ない」と回答しています。
これは単なる待遇の問題ではなく、日本の司法インフラの持続可能性に関わる話でもあるのです。
6. 外国人雇用企業が今すぐできる備えとは?
企業として、「通訳人がいないと困る場面」は意外と多くあります。
そこで、今すぐに取り組める備えをいくつか紹介します:
- 多言語対応の契約書や就業規則を用意する
- 緊急時に通訳を確保できるネットワークを持つ(行政書士・弁護士等)
- 外国人向けの研修・説明会を実施する
- 通訳人との連携体制を社内マニュアルに組み込む
特に中小企業では、「通訳できる人がいないから何もできない」といった状況にならないよう、事前の備えが重要です。
7. 行政書士ができるサポートとは?
行政書士は、外国人の在留資格やビザ申請を行うだけでなく、次のようなサポートも提供可能です:
- 外国人雇用に関する契約書作成・翻訳
- 労務トラブル発生時の対応支援
- 弁護士や通訳士との連携サポート
- トラブル時の通訳人手配の相談窓口
企業の現場で、「法的な手続き×言語サポート」が求められる場面で、行政書士は心強いパートナーとなります。
8. 通訳制度の未来と、民間の役割
裁判所でも通訳人の研修や模擬裁判などを通じた取り組みが進められていますが、年数回にとどまっているのが現状です。
これから必要になるのは、
- 公的支援の拡充
- 報酬制度の見直し
- 民間との連携強化(企業・専門職)
特に民間レベルでのサポート体制構築は、今後の日本社会において重要な役割を果たすでしょう。
9. 外国人従業員が安心して働ける環境づくりを
通訳人が足りない社会では、外国人自身が声を上げられない状況が生まれます。
これは、企業にとっても大きな損失です。
「言葉の壁」で従業員が不安を抱えている職場よりも、
通訳体制やサポートが整っている職場の方が、定着率もモチベーションも高いのは当然です。
10. まとめ:通訳人不足時代に、企業が果たすべき役割とは
通訳人不足は、今や司法だけの問題ではありません。
外国人を雇用する企業のリスクにも直結しています。
行政書士として、私は「外国人が安心して暮らせる・働ける社会づくり」に貢献したいと考えています。
「いざという時、どうすればいいか分からない」
そんな企業担当者の方は、ぜひ、ニセコビザ申請サポートセンターまでお気軽にご相談ください。
あなたの企業の“備え”が、外国人従業員の“安心”に繋がります。