特定技能外国人と日本人の両輪で築く持続可能な交通インフラ


1. はじめに:交通インフラと地域社会の密接な関係

「移動する自由がある」──これは、日常に溶け込んでいて見過ごされがちな、非常に大切な社会的資本です。

病院に行く、学校に通う、買い物をする、友人と会う。これらの生活行動は、すべて「移動」が前提にあります。とくに地方部では、車を持たない高齢者や学生、障がいを持つ方々など、多くの人々が公共交通、とりわけ路線バスに頼っています。

そのバスが「走らない」状況が、今、現実に各地で起こりつつあります。

https://carview.yahoo.co.jp/news/detail/89cce92770483289fef81f55decff2dc75a1e50f/

「路線バスがなくなる」「本数が減る」「値上げされる」──これらは単なる利便性の問題ではなく、生活の質そのもの、さらには地域社会の存続に関わる問題です。

実際、交通弱者と呼ばれる方々が孤立し、生活圏が狭まり、引いては地域から人が流出する現象も報告されています。

しかし、その根本にあるのは「人手不足」という構造的な問題。ドライバーが足りない。運行が維持できない。だから減便や路線廃止を余儀なくされる。

この問題をどう解決するかは、交通だけでなく、地方創生や福祉政策の文脈でも極めて重要なテーマとなっています。

私たち行政書士がこの課題に向き合うのは、単に在留資格を扱うという視点ではなく、「社会に必要なインフラをどう守るか」「そのために制度をどう活用するか」という、より根本的な意義があると考えています。


2. 路線バス危機の現状と背景:ドライバー不足が生む社会課題

全国の交通事業者に共通する最大の悩み──それは「バス運転手のなり手がいない」ことです。

高齢化が進み、かつて主力だった中高年ドライバーの引退が相次ぐ一方で、若手の確保は極めて困難。長時間勤務、不規則なシフト、高い責任、そして思ったほど高くない賃金。敬遠されるのも無理はありません。

とくに地方ではこの傾向が顕著です。人口減少によって利用者が減り、収益が確保できない。そこにドライバー不足が重なり、やむを得ず減便や路線廃止に踏み切るケースが後を絶ちません。

この悪循環は、利用者側にも深刻な影響を及ぼします。

バスが来なくなれば、自家用車を持たない人は移動ができず、買い物や通院すら困難に。高齢者や障がい者、子育て中の家庭など、いわゆる交通弱者が最も打撃を受けます。

さらに、地域に人が住み続けられなくなり、空き家が増え、商店が閉じ、公共サービスの縮小が進むという“地域崩壊”の引き金にすらなりかねません。

このように、バス路線の維持は単なる交通の問題ではなく、社会インフラの根幹を支える重要課題です。

だからこそ、人手不足という課題に対して、国・自治体・民間企業、そして私たちのような専門職が一体となって取り組む必要があります。


3. 特定技能外国人の導入が示す希望

この課題に対する新たなアプローチの一つが、「特定技能外国人」の活用です。

現在、バス運転手は「特定技能2号」への追加検討が進められており、すでに一部地域では、外国人ドライバーの採用・実践投入が始まっています。

導入に際しては、運転技術はもちろん、日本の交通ルール、接客マナー、多言語対応など多岐にわたる研修が必要となります。

また、文化や宗教の違いに対する理解、乗客とのコミュニケーション方法など、事業者側の受け入れ体制整備も重要です。

しかし、これらのハードルを乗り越えられれば、優秀な外国人材は、地域の交通インフラを支える貴重な存在になり得ます。

実際、既に外国人運転手が活躍している地域では、乗客から「とても丁寧で安心できる」といった声が寄せられ、好意的に受け止められている事例もあります。

単なる人手不足の補填ではなく、「制度を活かして地域を守る」新たなチャレンジとして、私たちはこの取り組みを積極的に支援しています。


4. 日本人ドライバーの復帰・登用の意義

外国人材の活用が注目される一方で、日本国内にもまだ活かしきれていない人材資源があります。

たとえば:

  • かつてバス運転手として働いていた元ドライバーの再登用
  • 定年退職後のセカンドキャリアとしての再雇用
  • 子育てを終えた女性の社会復帰
  • 地元志向の若年層

これらの層に対して、「働きやすい環境」「柔軟なシフト」「再教育機会の提供」などを整備すれば、地域に根付いた安定した人材として活躍してもらえる可能性があります。

また、日本人ならではの地理的知識や、日本語でのスムーズな対応力も大きな強みです。

外国人か日本人か、という二者択一ではなく、“両者の適材適所”をどうデザインするかこそが、今求められている視点です。

この“人材の多様化”が、バス業界全体の魅力向上、さらには持続可能な地域社会の実現につながると確信しています。


5. 外国人と日本人、どちらが良いではなく「共存」が鍵

「人材が足りないから外国人を雇う」「できれば日本人で回したい」──そんな二元論的な議論は、もはや時代遅れです。

現実はもっと複雑で、求められるのは“どちらが優れているか”ではなく、“どう共に働き、補い合うか”。

外国人ドライバーは、国際感覚や語学力を活かし、観光地や都市部の多国籍な乗客に対応できる可能性を持っています。対して、日本人ドライバーは地域の地理や文化的背景に精通しており、高齢者や地元住民とのコミュニケーションに長けています。

つまり、それぞれに異なる「強み」があるのです。

運行エリアの特性や乗客層、業務内容に応じて、適材適所の配置ができれば、交通事業者のサービス品質は大きく向上します。

これは「多様性」の実現でもあり、イノベーションと持続可能性を生み出す土台になります。

また、多様な人材が共に働く職場は、固定観念が壊れ、新しい発想や柔軟性が育ちやすいという利点もあります。

私は、行政書士として、こうした共存体制の構築に必要な制度支援・相談対応を行うことは、社会的使命だと感じています。


6. 公共インフラを守るという視点から考える雇用戦略

忘れてはならないのは、路線バスや地域交通は“公共財”であるということです。

地方自治体の委託で運行されていたり、税金による補助が行われていたり、バス事業は純粋な民間ビジネスとは異なる性質を持っています。

ゆえに、短期的な利益追求ではなく、「持続的に地域のために機能し続ける」ことが重視されなければなりません。

そのためには、雇用戦略も“今を凌ぐため”ではなく、“10年先を見据えた人材投資”が必要です。

例えば、

  • 外国人材向けの日本語教育支援や運転研修制度
  • 日本人若年層への職業訓練とキャリア設計支援
  • 育児・介護と両立できる柔軟な勤務体制の整備
  • 地域外からの移住者に向けた住宅支援や生活サポート

これらは単なる福利厚生ではなく、「人が定着し、成長し、長く働ける環境づくり」という戦略的な視点です。

当事務所でも、企業がそうした仕組みを導入しやすくするための制度設計、補助金・助成金の活用、地方自治体との連携構築などをサポートしています。


7. 地域・利用者・労働者の三方良しを目指す制度設計へ

「人手不足だから、とにかく人を集めればいい」──この短絡的な発想では、持続可能な公共交通は実現できません。

本当に必要なのは、地域、利用者、働く人すべてが納得し、利益を感じられる制度をつくること。

私たちが目指すべきは、次のような“トリプル・ウィン”の構図です:

  • 地域にとって: 交通インフラが維持され、移住促進・経済活性化につながる
  • 利用者にとって: 安心・快適で、誰でも使える公共交通が維持される
  • 労働者にとって: 適切な労働環境と待遇、成長機会が提供される

このような設計がなされて初めて、地域交通は「存続するための制度」から、「成長するための制度」へと進化します。

外国人材の活用も、この“共に成長する制度”の一環として活かすべきです。


8. 実務における留意点と制度活用の現場支援

理想を掲げるだけでは、現場は動きません。

実際に外国人材を採用しようとすれば、入管手続き、ビザの取得、住環境の整備、教育制度の構築など、多くの課題が待ち構えています。

たとえば、「特定技能」で外国人を受け入れるには:

  • 該当する業種であることの確認
  • 技能試験・日本語試験の合格証明
  • 受け入れ機関の責任体制(支援計画の策定など)
  • 入国後の生活支援(住居、銀行口座、携帯電話等)

これらをすべて自社だけで行うのは、現実的には難しいケースが多いです。

だからこそ、私たち行政書士のような専門家が関与し、スムーズな制度導入と運用支援を行う意義があるのです。

当事務所では、外国人雇用に関する法務支援、特定技能に係る申請・支援計画の作成、制度導入コンサルティング、労務管理上のリスク対策まで、一貫したサービスを提供しています。

人材の力を、混乱なく、そして前向きに取り入れるために──
制度活用における伴走者として、ぜひご活用ください。


9. 当事務所の支援体制と行政書士の役割

路線バスをはじめとした地域交通インフラを守るうえで、「人材確保」は最重要課題のひとつです。

特に特定技能制度などを活用して外国人を受け入れる際には、入管法・労働法・地方自治体の条例など、複数の法分野が関わるため、慎重かつ的確な対応が求められます。

行政書士は、その複雑な実務において、制度の設計から運用までを一貫して支援できる法務の専門家です。

当事務所では以下のような支援を提供しています:

  • 特定技能・技人国などの在留資格申請代行
  • 外国人受け入れ企業の登録支援機関業務の代行
  • 生活支援計画の作成・実行支援
  • 外国人雇用に関する労務・コンプライアンス体制の整備
  • 日本人採用に向けた地域連携・助成金活用サポート

また、路線バス業界に限らず、介護・宿泊・建設・製造など、特定技能制度を活用する幅広い業種にも対応可能です。

さらに、在日外国人の定住支援や家族帯同に関する手続き、永住・帰化など長期的なライフプランにも寄り添ったサポートを行っています。

企業にとっても、外国人本人にとっても、「安心して働ける環境」があることが最も大切です。

その環境づくりを、私たちが法務の面からしっかりとサポートいたします。

「制度をどう使えばいいかわからない」「手続きが煩雑で対応しきれない」「行政とのやりとりに不安がある」──

そんなときこそ、私たちニセコビザ申請サポートセンターの出番です。


10. 最後に:持続可能な交通社会を実現するために今すべきこと

路線バスは、人々の移動を支える「社会の血流」ともいえる存在です。

この交通インフラが絶え間なく流れ続けることは、地域社会の命を守ることに他なりません。

その実現のためには、日本人・外国人という立場を超えて、それぞれの持つ力を活かし合う社会づくりが必要不可欠です。

「外国人を使うか、日本人にこだわるか」ではなく、「どうすれば共にこの社会を支え合えるか」という発想への転換が、今まさに求められています。

制度は、活かし方次第で未来を変えます。

国が用意した特定技能制度や支援体制を、現場にフィットする形で使いこなすためには、現実を知り、ルールを理解し、そして戦略的に動くことが大切です。

そして、これを支えるのが、企業・自治体・住民、そして私たち専門家の「連携」です。

私たち行政書士は、制度と現場をつなぐ“橋渡し役”として、持続可能な社会の実現を全力でサポートします。

「人材」は、単なるリソースではありません。地域や社会の未来を築く、かけがえのない“資産”です。

その資産をどう活かすか──
今こそ、私たち全員がその問いに真摯に向き合うときです。