はじめに|なぜ今、制度改正なのか?
8月26日に出入国在留管理庁が発表した「経営・管理ビザ」の上陸基準、2025年10月に大きく改正される予定です。
これまで比較的取得がしやすかったこのビザは、外国人が日本で起業するための主要な手段として利用されてきました。
しかし、ペーパーカンパニーを利用した不正取得の増加を背景に、「本気の起業家だけを受け入れる」方向へと舵を切る動きが本格化しています。
この記事では、改正の内容をわかりやすく解説し、起業予定者や外国人雇用企業が今後注意すべきポイントを整理します。
変更の概要(政府パブリックコメントのサイト)はこちら
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&Mode=0&id=315000115
1. 改正の背景|「外国人材の適正な受入れ」へ
今回の改正は、令和7年度版「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」に基づくものです。
この中で、外国人の就労資格の見直しが示されており、特に「経営・管理」ビザについては諸外国の制度を参考に、以下のような点が問題視されてきました:
- ペーパーカンパニーによる不正申請
- ビザ取得後の事業実態の欠如
- 十分な雇用創出や経済貢献がされていないケースの増加
これに対して、出入国在留管理庁は上陸許可基準および提出書類の厳格化を進めています。
2. 改正のポイント①|資本金要件の引き上げ
現行:500万円以上 → 改正後:3000万円以上
これは最もインパクトの大きい改正点です。
これまでは500万円の資本金でも申請が可能でしたが、新制度では3000万円が最低ラインとなります。
【注意点】
- 融資や共同出資による調達も含め、実質的に自己資金が必要
- ペーパーカンパニーでは到底対応不可
- 雇用計画と資金計画の整合性が問われる
3. 改正のポイント②|常勤職員の雇用義務
現行:本人以外に2人以上の常勤職員 → 改正後:1人以上でOKだが必須要件に格上げ
以前は「2人以上」もしくは「資本金500万円」のいずれかでクリアできましたが、今後は「最低1名以上の雇用」が必須になります。
これにより、事業の実態を示すための雇用が必要不可欠となります。
【提出書類】
- 雇用契約書
- 賃金台帳
- 被雇用者の住民票・在留カード
4. 改正のポイント③|学歴または経営経験の証明
新制度では、申請者本人にも「経営に関する実績や専門性」が求められます。
いずれかを満たす必要あり:
- 「経営管理」に従事する場合、経営・管理または関連分野で修士・博士・専門職学位を有している
- 「経営」に従事する場合、経営経験3年以上
このように、「ただの出資者」ではなく、「経営能力を持つ実務家」であることが問われます。
5. 改正のポイント④|事業計画の専門家チェックが義務化
新要件:中小企業診断士など専門家による評価が必要に
これまで任意だった事業計画書の評価が義務化されます。
【評価者の要件】
- 経営に関する知識を有する者(例:中小企業診断士、公認会計士等)
【目的】
- 実現性のある事業計画かどうか
- 雇用創出・収益モデルの現実性
- 提出書類との整合性
6. 改正のポイント⑤|更新申請時も新基準が影響
既に「経営・管理」ビザを取得済みの方も、更新時に新基準の一部が影響する可能性があります。
出入国在留管理庁は「即不許可にはしないが、柔軟に個別審査を行う」としています。
しかし、現状の体制や計画が新基準に近づいていない場合、今後の更新時に注意が必要です。
7. 改正スケジュールとパブリックコメント
【スケジュール】
- パブリックコメント受付:〜2025年9月24日
- 施行予定:2025年10月中旬
今後変更の可能性はあるものの、現行案のまま施行される可能性が高いです。
8. 企業側が注意すべき点
外国人社員を「経営者」としてビザを取らせていたケースでは、以下の点を再検討すべきです:
- 資本金3000万円の資本準備があるか?
- 学歴・経営経験を証明できるか?
- 雇用・事業体制を整備できているか?
これまでの「形式整えればOK」な感覚では、通用しなくなる可能性が高いです。
9. 行政書士の視点|変化にどう対応するか?
私たち行政書士は、制度の変化を「障害」ではなく「事前準備で乗り越えられる壁」と捉えています。
- 起業前の事業計画作成支援
- 学歴や経営経験の整理
- 資金調達計画の見直し
- 専門家評価の段取り
など、早めの段階から伴走することで、申請の成功率は大きく変わります。
10. まとめ|今すべきアクション
- 今後申請予定の方:早めに資本金・人材・書類を揃える準備を開始
- すでに在留中の方:更新タイミングでの影響をシミュレーション
- 企業の採用担当者:外国人幹部登用スキームの再設計を
制度が変わるときこそ、正しい情報と専門家との連携が重要です。
ニセコビザ申請サポートセンターは、起業家と企業の架け橋として、この制度改正を共に乗り越えるお手伝いをいたします。