2024年6月、山形県内で無許可風俗営業を行っていたとして、タイ国籍の女性3人が逮捕されました。今回のケースは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(いわゆる「風営法」)と出入国管理及び難民認定法(「入管法」)に抵触する重大な違反でした。
この記事では、この事件の概要をもとに、外国人雇用を行う事業者が見落としがちな法的リスクや、今後の対応策について、行政書士の視点から解説します。
■事件の概要
山形市および天童市にある2店舗の飲食店において、無許可での接待が行われていたとして、経営者とみられるタイ国籍の女性と、従業員の外国籍女性2人が逮捕されました。
彼女たちは風営法の営業許可を取得しておらず、また従業員2名は既に在留期限が切れた状態で就労していたことが判明。風営法違反および入管法違反が同時に問われた形です。
なお、この摘発は2024年6月28日に施行された風営法の罰則強化後、東北地方で初のケースとして報道されました。
■「接待行為」とは何か?
風営法では、「接待行為」に該当する業務には、所轄の公安委員会からの許可が必要です。
接待行為の定義は非常に広く、「客の近くに座って会話する」「お酌をする」「カラオケでデュエットをする」など、飲食店でもよく見られるサービスが含まれます。
たとえ小規模なスナックやバーでも、こうした行為を行っていると判断された場合、風営法違反と見なされる可能性があります。
■「在留資格」の確認は企業の責任
さらに重要なのが、外国人従業員の在留資格と就労範囲の確認です。
今回のケースでは、2名の従業員が在留期限を超えて日本に滞在し、かつ無許可の職種で働いていたことが問題視されました。
企業側が「知らなかった」としても、不法就労助長罪として経営者が処罰される可能性があります。
入管法は年々厳格化されており、特に2020年以降は入国在留管理庁と警察の連携も強化されています。外国人を雇用する企業は、在留カードの確認だけでなく、その資格で認められている業務範囲を把握しておくことが求められます。
■企業が直面するリスクとは?
外国人雇用における法的違反は、単なる労務上のミスでは済まされません。
・会社名の公表
・営業停止処分
・刑事罰(罰金や懲役)
・企業ブランドの毀損
・既存従業員や取引先の離反
こうしたリスクは、企業の信用と存続に直結します。
特に飲食・サービス業では外国人労働力への依存度が高まっている一方、法令に対する認識が不十分なまま採用しているケースも多く見受けられます。
■今すぐ見直すべき3つのポイント
① 在留資格のチェック体制の構築
採用時だけでなく、定期的な在留カードの有効期限確認を行う仕組みを整えましょう。更新手続きの有無や変更申請の状況も把握する必要があります。
② 就労内容と在留資格の整合性の確認
在留資格ごとに就労可能な業務は異なります。「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務」など、それぞれの制限を理解し、業務内容が適合しているかを確認しましょう。
③ 業種に応じた営業許可の有無確認
飲食店や接客業で「接待行為」を行う場合、風営法に基づく許可が必要です。許可の取得有無や更新状況も定期的に見直すべきです。
■専門家との連携でリスクを未然に防ぐ
これらのチェック体制を現場で完璧に実施することは簡単ではありません。
そこで有効なのが、行政書士などの専門家と連携したリスク管理体制の整備です。就労資格確認、在留期間管理、必要許可のアドバイスなど、専門的な知見を導入することで、未然に法令違反を防ぐことが可能になります。
■まとめ
山形県での今回の摘発は、法令違反への取締り強化が現実のものとなっていることを示しています。
「うちは関係ない」「うっかりミスだった」では済まされない時代。
外国人雇用は今後も拡大が見込まれる分野ですが、それに比例して法的リスクへの対応も重要性を増しています。
今一度、自社の雇用体制・許可取得状況を見直し、「安心して働ける職場づくり」を進めていきましょう。