■ はじめに:いま、外国人IT人材が注目されている理由

日本企業における深刻なIT人材不足が続く中、「海外の優秀なエンジニア」を活用する動きがますます広がっています。
2025年3月にヒューマンリソシアが実施した調査によると、約6割の企業が「海外IT人材の採用は必要」と回答。
大企業に至っては、すでに66%が実際に採用を進めており、全体の89.5%が「採用に前向き」との結果が出ました。

もはや外国人ITエンジニアの採用は、一部の大企業だけが行う特別な戦略ではなく、企業規模を問わず「現実的な選択肢」となりつつあります。

しかし、ここで重要になるのが「法務的な備え」です。

本記事では、外国人IT人材の採用を検討・実施している企業や人事担当者向けに、採用時に押さえておきたい在留資格・入管対応・社内体制の整備など、実務で重要な法務対応のポイントを解説します。


■ 外国人IT人材を採用する企業が増加中

まず、調査データから現状を整理しましょう。

  • 「外国人IT人材の採用が必要」…58.8%
  • 「優秀なら国籍を問わず採用すべき」…63%
  • 実際に海外人材を採用している企業…63.4%
  • さらに「採用は検討中」…18.5%

このデータからわかるのは、企業の多くが「国籍ではなくスキルや経験で採用すべき」と考え、その動きがすでに加速しているということです。

人手不足のIT業界において、採用の選択肢を広げることは喫緊の課題と言えるでしょう。


■ 採用前に確認すべき「在留資格」とその要件

外国人を採用する際、まず最初に確認すべきは「在留資格(ビザ)」です。
特にIT人材の場合、多くは「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当します。

この資格で働くためには、以下の条件を満たす必要があります:

  • 大学等で情報系の専攻を修了していること
  • 職務内容が高度な専門業務であること(例:システム開発、プログラミングなど)
  • 単純労働とみなされる業務は含まれていないこと(例:オペレーター、テスターのみの業務)

採用後に「業務内容が適正でない」と入管に判断されれば、ビザの更新ができない、あるいは不許可となるリスクがあります。


■ 採用後のサポート体制も“法務リスク”に直結

外国人材を採用した後も、適切な支援体制を構築しなければ、労務トラブルや定着率の低下に直結します。

たとえば:

  • 雇用契約書に就労可能な業務範囲が明記されていない
  • 在留カードの有効期限管理が曖昧
  • 更新書類の準備を怠って不許可になる
  • 日本語が通じず、労働条件の認識にズレが生じる

こうしたリスクを回避するためには、人事・総務部門と連携して、以下のような体制を整えることが重要です:

  • ✅ 在留カードの期限管理とリマインド体制の構築
  • ✅ 就労資格証明書の取得支援
  • ✅ 労働条件の明文化と翻訳対応
  • ✅ 社内での多言語サポート体制の整備

■ 「特定技能」「高度専門職」などの別制度との比較

近年は「特定技能」や「高度専門職」といった新たな在留資格制度も整備されつつあります。
IT分野においても、条件によってはこれらの制度の活用が可能です。

たとえば:

  • 高度専門職:高い年収や学歴、業務内容の要件を満たせば、配偶者の就労や永住申請の優遇措置あり
  • 特定技能:現在は介護・建設等が中心だが、将来的にIT分野へ拡大される可能性も?

制度ごとの特徴と要件を理解し、自社にとって最適な選択をすることが求められます。


■ 採用担当者が知っておきたい「入管対応」のポイント

入管業務は行政手続きであり、ミスや漏れが命取りになります。

実際に多い相談として:

  • 必要書類がそろっておらず、審査に時間がかかる
  • 職務内容が曖昧で、補足資料を求められる
  • 採用後に部署異動させた結果、業務内容が変更され、資格外活動とみなされる

こうした問題を未然に防ぐには、外国人雇用に強い専門家(行政書士など)のサポートを受けながら、制度に準拠した採用・管理を行うことがカギとなります。


■ 外国人雇用を「戦略的に進める」ための法務アプローチ

単なる労働力確保ではなく、「多様な人材との共創」を企業の戦略に組み込むためには、法制度との適合が前提になります。

  • ✅ 外国人材の活用に関する社内マニュアルの整備
  • ✅ 就労ビザの取得・更新フローの明文化
  • ✅ 日本人社員向けの異文化理解研修の導入
  • ✅ 外部専門家との連携体制の構築

これらを通じて、外国人材にとっても働きやすい、そして安心して活躍できる環境づくりが実現できます。


■ まとめ:外国人IT人材を“活かす”ための法務体制を整えよう

外国人IT人材は、いまや企業成長の鍵を握る存在です。
しかし、採用さえすればすべてうまくいくわけではありません。

「どの資格で、どのように採用するのか」
「就労条件と実務の整合性は取れているのか」
「更新や変更の際にどんな手続きが必要か」

これらを整理し、法務面からのリスクマネジメントを進めることで、
外国人材との共創がより確かなものになります。

行政書士として、入管手続きから制度設計、社内体制づくりまで、現場に即した支援を行っています。
外国人IT人材の採用を検討されている企業様は、ぜひ一度ご相談ください。