1. はじめに|特定技能制度の現状と課題

2019年にスタートした「特定技能制度」は、一定の技能と日本語能力を持つ外国人に対して、在留資格を付与し、特定の業種での就労を認める仕組みです。

現時点では介護、建設、農業、外食業など16分野が対象となっており、各業界で深刻な人手不足を補う重要な制度となっています。

一方で、対象外だった物流や廃棄物処理などの分野では、制度の恩恵を受けられないという課題もありました。


2. 政府発表の改正案とは?追加される3分野

2025年5月20日、政府は特定技能制度に新たに以下の3分野を追加する案を発表しました。

  • 物流倉庫業
  • 廃棄物処理(資源循環)
  • リネン製品の供給業務

この追加によって、特定技能の対象分野は16→19へと拡大する見通しです。これらの業種も慢性的な人手不足に直面しており、制度の拡大は大きな支援となります。


3. 各分野の人手不足の実態と外国人材のニーズ

物流倉庫業: EC市場の拡大に伴い、倉庫内作業員や配送拠点での人手不足が顕著です。
資源循環業(廃棄物処理): 高齢化が進み、若年層の人材確保が難しい状況が続いています。
リネン供給業: ホテルや病院向けのクリーニング・納品業務は肉体労働も多く、人材定着が難しい現場です。

これらの分野では、意欲的な外国人材にとっても就労チャンスが広がることになります。


4. 特定技能外国人の採用条件と必要な手続き

外国人を特定技能として採用するためには、以下のような要件を満たす必要があります。

  • 指定試験(技能・日本語)の合格
  • 日本国内での受け入れ企業との雇用契約
  • 登録支援機関を活用した生活支援体制の整備

申請には煩雑な手続きや書類準備が求められ、法務省・出入国在留管理庁との連携も必要です。


5. 今後導入される「育成就労制度」との関係

「技能実習制度の代替」として2027年までに導入予定の「育成就労制度」では、外国人を段階的に育成しながら長期的な定着を図る仕組みが整備されます。

この新制度と特定技能との連携が進むことで、「採用→育成→定着」の流れがより明確になります。


6. 雇用企業が準備すべき3つのポイント

外国人材を受け入れる企業は、以下の3点を事前に整備することが重要です。

  1. 業務内容の明確化と制度適合性の確認
  2. 職場内でのコミュニケーション体制の強化
  3. 生活支援・日本語教育支援体制の整備

これにより、定着率の向上と現場トラブルの回避が期待できます。


7. 対象業務の確認と「適切なマッチング」の重要性

制度の対象となる業務は細かく定められており、「物流業なら何でもOK」というわけではありません。

業務内容が制度に合致するかの確認や、技能レベルと業務要件のマッチングが非常に重要です。


8. 行政書士が見る実務上の注意点

現場では「制度は使えるが、使いこなせていない」というケースが多く見られます。

例えば、

  • 受け入れ企業側の体制整備不足
  • 支援責任者の不在
  • 在留資格と実際の業務の不一致

こうしたミスマッチは、法的なリスクにもつながります。

行政書士としては、制度の運用ルールや審査基準を正しく理解し、実務に落とし込む支援が求められます。


9. 外国人雇用の成功に必要な社内体制とは

単なる「人手確保」ではなく、外国人材を中長期的に活かすためには、社内に以下のような環境づくりが必要です。

  • 文化的な配慮を含んだ職場風土
  • キャリアパスを描ける制度設計
  • 日本人社員への多文化研修や意識改革

これらを整備することで、採用した外国人が「ここで働き続けたい」と感じられる職場を実現できます。


10. まとめ|制度改正をチャンスに変えるために

今回の制度改正案は、人手不足に悩む企業にとっては大きなチャンスです。

しかしその反面、制度理解や実務対応の準備が不十分だと、せっかくの制度も活用できずに終わってしまいます。

自社の業務が対象かどうか、受け入れの体制は整っているか――
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