1. 育成就労制度とは?背景と目的を整理
2027年に導入が予定されている「育成就労制度」は、現行の技能実習制度に代わる新たな外国人受け入れ制度です。
これまでの技能実習制度は、「国際貢献」と位置付けられながらも、実態は人手不足の補填が目的となっており、転籍(職場変更)が原則認められないなど、労働者の人権保護の面で国際的な批判も受けてきました。
その反省を踏まえ、より実務的かつ人権尊重型の仕組みとして打ち出されたのが「育成就労制度」です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a186f7d19ff4d872865709860fce8b20a2a08f5d
2. 制度の基本枠組みと、対象となる外国人労働者
育成就労制度では、外国人が原則3年間、企業で就労しながら日本の現場で必要な技能を身につけ、
その後「特定技能1号」にスムーズに移行することを前提としています。
主な特徴は以下のとおりです:
- 原則3年間の有期就労
- 一定条件下で転籍(職場変更)が可能
- 技能レベルの明確化
- キャリア支援義務の明文化
技能実習と異なり、最初から「人材育成」が明確な目的として掲げられている点が大きな違いです。
3. 転籍制限の内容と業種ごとの違い
今回の制度で最も注目されているのが「転籍制限期間」です。
基本方針では「1年」の転籍制限とされていますが、介護・建設・外食など8分野では「2年間」の制限が導入される方向です。
【介護分野】転籍制限が2年となる理由:
- 日本語力や介護スキルの習得には時間がかかる
- 地方から都市部への人材流出を防ぐため
- 高齢者や利用者との信頼関係構築が必要
つまり、単なる労働力としてではなく、“戦力化”するには最低2年の定着が必要という行政判断です。
4. 雇用企業に求められる新たな義務と対応
育成就労制度では、企業側にもこれまで以上に明確な義務が課されます。
とくに重要なのが以下の2点:
① 就労1年後の待遇改善義務
外国人が不当に安価な労働力とならないよう、就労1年後には昇給などの待遇改善を義務づけ。
企業には、雇用契約や評価制度の整備が求められます。
② キャリアプランの作成(特に介護分野)
介護職は公定価格(介護報酬)の影響があるため、昇給が困難。
その代替措置として、以下の2点が求められます。
- 処遇改善加算の取得
- キャリアプランの策定・提示
これは形だけでなく、外国人本人が将来を描ける支援体制を求める内容です。
5. 制度移行スケジュールと今後の流れ
2025年〜2026年:詳細制度設計、ガイドライン策定
2027年:正式施行
現在は有識者会議で制度の最終調整が進んでおり、2025年12月に政府が正式決定を予定しています。
企業が準備できる時間は、実質1〜2年程度。
対応が後手に回れば、外国人材の確保競争で不利になることも十分ありえます。
6. 行政書士の視点:見逃しがちな実務の注意点
行政書士として、企業支援の現場に立って感じるのは、
「制度理解」と「現場運用」にギャップがあるケースが非常に多いということです。
たとえば、
- 転籍のルールを知らずに契約を締結してしまう
- キャリアプランの内容が不十分で、在留資格更新に支障が出る
- 処遇改善加算の手続きを外注任せにし、制度を活用しきれていない
こうした事例は、実務のちょっとした見落としから発生します。
新制度への対応は、専門家との連携がますます重要になります。
7. 外国人材活用における「育成」の重要性
企業にとって、外国人材は単なる“労働力の補填”ではありません。
言語・文化の壁を超えて、長く活躍してもらうには、育成・評価・定着の仕組みが必要です。
育成就労制度は、まさにそれを制度化したもの。
企業にとっては「育てる責任」が明確に問われる時代に突入することになります。
8. 今、企業が取り組むべき具体的な準備
- 制度の全体像を把握する
- 転籍制限・待遇改善に関する就業規則の見直し
- キャリア支援・日本語教育の体制整備
- 外国人本人との双方向コミュニケーション
制度の背景や目的を理解したうえで、単なる法対応に留まらない、戦略的な雇用設計が求められます。
9. 専門家と連携して、計画的な制度移行を
育成就労制度は、制度理解と現場実行の“橋渡し”がカギになります。
私達はその間に立ち、在留資格の取得・更新支援だけでなく、
雇用契約書の整備、キャリアプラン設計、転籍対応のルール整備など、実務全体を支援できます。
10. まとめ:育成就労制度をチャンスに変えるために
2027年の制度開始を前向きなチャンスと捉え、
外国人材を「戦力」として本気で育てる企業こそが、今後の人材難の中で勝ち残っていくでしょう。
育成就労制度の目的は、“共に働き、共に育つ”仕組みづくり。
企業の未来のためにも、今からの準備がカギになります。
制度対応でお困りの際は、ぜひ、ニセコビザ申請サポートセンターまでお気軽にご相談ください。