1. 介護業界の人手不足が深刻化する中で
日本の介護業界が直面している最大の課題の一つが、慢性的な人手不足です。
高齢化の進行により介護を必要とする人口は年々増加している一方、介護職に就く日本人労働者の確保はますます困難になっています。
特に地方や中小規模の介護施設では、人材の確保が経営の存続に直結しており、スタッフの確保ができずにサービス提供が制限される、または閉鎖を余儀なくされるケースも出てきています。
そのような状況の中で、外国人介護人材の受け入れは、もはや「人手不足を補う手段」ではなく、「介護現場を支える柱」として不可欠な存在となりつつあります。
2. 介護福祉士の資格制度と「経過措置」とは?
介護職において専門性の高いポジションである「介護福祉士」は、国家資格に位置付けられており、2017年度以降は原則として国家試験への合格が必須となっています。
しかし、法改正前は、厚生労働省が指定する養成施設を卒業すれば、国家試験なしで介護福祉士の資格を取得できる制度がありました。
その経過措置として、養成施設を卒業した者には、一定期間(5年間)、国家試験を受けずに仮登録の形で介護福祉士として働くことが認められており、5年のうちに継続して介護現場で就労すれば、正式に資格取得が可能となります。
この経過措置は、介護業界の人手不足を背景に、2021年度から2026年度卒業者まで延長されました。
そして今、この措置のさらなる延長をめぐって、厚労省の専門委員会で議論が交わされています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bb2a76ebb1a4abfc1228289a74025e4f09aeea06
3. 最新の専門委員会報告と「結論の先送り」
2025年11月10日、厚労省の専門委員会が開かれ、介護人材の確保に関する報告書が取りまとめられました。
最大の焦点は、前述の「経過措置」の更なる延長について。
しかし結論は出されず、議論は継続されることになりました。
専門委内では次のような意見が見られました。
賛成意見:
- 「外国人介護人材は、介護現場において非常に重要な役割を担っている」
- 「国家試験の合格率が低い現状では、実務経験を通じて実力をつける道を残すべき」
反対意見:
- 「経過措置の延長は、介護福祉士資格の信頼性を損なう可能性がある」
- 「全ての職員が国家資格を持つことで、サービスの質を担保する必要がある」
このように、現場ニーズと制度的信頼性という二つの視点が鋭く対立していることがわかります。
4. 外国人介護人材の比率と現場の実情
厚労省のデータによると、2025年4月時点で、経過措置を活用して登録された介護福祉士は8,956人。
そのうち外国人が6,543人、日本人が2,413人と、全体の約73%を外国人が占めています。
これは単なる補助的な存在ではなく、すでに介護現場の中核を担っていることを意味します。
とくにEPAや技能実習、特定技能制度など、複数の在留資格で来日している外国人労働者は、日本人スタッフとの混在で現場を運営しているケースが多数です。
このような実態を無視した制度設計は、現場の崩壊を招きかねないという危機感を持つ経営者も少なくありません。
5. 企業側が抱えるリスクとは?
経過措置が打ち切られた場合、外国人介護職員が国家試験を受験し、合格しなければ正式に資格を得ることができなくなります。
しかし、外国人職員の国家試験合格率は依然として低く、語学の壁は大きなハードルとなっています。
その結果、以下のようなリスクが生じることが想定されます。
- 外国人職員の雇用継続が困難になり、離職や帰国を招く
- 新規採用が進まず、現場の稼働率が低下
- ベテラン職員への業務負担が過剰になり、職場環境の悪化
制度変更は一夜にして職場の人員構成を根底から揺るがすこともあるため、企業側には先を見越したリスクマネジメントが求められます。
6. 行政書士として提案する企業の備え方
当事務所では、外国人介護人材の受け入れに関して数多くの企業支援を行ってきました。
その経験から言えることは、「制度が変わってから対応するのでは遅い」ということです。
今すぐにでも以下のような準備が必要です:
✅ 国家試験の合格に向けた日本語学習支援プログラムの導入
✅ 受験スケジュール管理と勉強サポート体制の構築
✅ 特定技能への切替を想定した在留資格戦略の見直し
✅ 家族帯同や永住申請を含む長期雇用プランの検討
これらは単なる人事対応にとどまらず、企業の持続可能な成長にも直結する施策です。
7. 外国人介護人材支援に関する当事務所のサポート内容
ニセコビザ申請サポートセンターでは、外国人雇用に関する下記のような実務支援を提供しています。
- 在留資格(介護、特定技能、技能実習)の申請・更新手続き代行
- 国家資格取得に必要な情報提供および支援体制の構築支援
- 日本語試験(N3以上)対策の外部連携および運営支援
- 社内研修プログラムの整備と制度化サポート
- 外国人職員と企業間のトラブル予防・相談対応
単なる書類作成にとどまらず、「制度を活用して人を活かす」ことに重点を置いています。
8. 制度の未来は不透明でも、企業の対応は明確に
厚労省の方針が定まっていない今だからこそ、企業として「不確実な未来に備える力」が問われています。
資格制度や在留制度は、今後も柔軟に変化する可能性があります。
しかし、「変化が起きたとき」に慌てて動くのではなく、「変化に備えた仕組み」を今のうちに整えることが、企業と職員の双方にとっての安心につながります。
9. おわりに:今こそ、専門家の伴走支援が必要です
介護業界の未来を支えるのは、現場で働く一人ひとりの職員の力です。
その力を最大限に発揮してもらうためにも、制度理解と実務対応の橋渡し役として、行政書士の活用を強くおすすめします。
私たちは、単なる書類の専門家ではありません。
外国人雇用の複雑な制度と、企業現場のリアルなニーズをつなぐ“伴走者”として、ぜひお役立てください。
「まずは相談だけでも」という方も歓迎です。
一緒に、未来の介護現場をつくっていきましょう。
