■ はじめに
企業のグローバル化が進むなか、在日外国人を雇用するケースが増えています。特に地方では自動車通勤が必須な業種も多く、外国人に運転業務を任せる場面が少なくありません。
こうした背景で注目されているのが、外国人が自国の免許を日本の運転免許に切り替える「外国免許切替(通称:外免切替)」制度です。

2024年6月24日、政府はこの制度に関連し、「日本人と外国人の事故率の違い」を分析・検討する方針を閣議決定しました。本記事では、その背景や企業が取るべき対応について、行政書士の視点からわかりやすく解説します。


■ 外免切替とは?制度の基本をおさらい
「外国免許切替制度」は、一定の条件を満たした外国人が、日本の運転免許試験を省略して日本の免許を取得できる制度です。
主な条件は以下の通りです。

  • 有効な外国運転免許証を所持していること
  • その免許証の発行国に通算で3か月以上滞在していたこと
  • 国によっては学科・実技試験の一部が免除される

例えば、韓国、フランス、ドイツなどの一部の国は実技試験が免除される「相互承認国」に指定されていますが、中国、フィリピン、インドなどは実技試験が必要です。


■ 事故率に見るリスクの違い
2024年の政府答弁書で取り上げられたのは「交通事故総合分析センター」による平成26~30年の調査データです。

  • 日本人の相対事故率:2.5
  • 居住外国人の相対事故率:9.7
  • 訪日外国人の相対事故率:13.8

この「相対事故率」とは、事故において最も過失が重いとされる“第一当事者”になる確率を示しています。

この結果からわかるのは、外国人ドライバーが事故の主因者となる割合が、日本人に比べて格段に高いということ。
これは語学の壁や交通ルールの違い、運転マナーの文化差が影響していると考えられます。


■ なぜ企業が今、対応を見直すべきなのか
外国人を雇用している企業、とくに以下のようなケースでは注意が必要です。

  • 地方工場など、自動車通勤が前提の業種
  • 運送・配送・建設など運転を伴う業務がある職場
  • 技能実習生や特定技能の在留外国人を採用している

もし、外免切替で取得した免許に基づいて業務を行わせた結果、重大事故が起きた場合、企業側の安全配慮義務違反が問われるリスクもあります。
また、採用段階で事故歴や免許の正確な内容を確認していなければ、トラブルの火種にもなりかねません。


■ 企業がとるべき具体的な対策
① 外免切替の内容確認
採用時に提出された免許証がどの国のものか、切替後の条件がどうなっているかを必ず確認しましょう。

② 交通ルール研修の実施
日本の運転ルールは他国と大きく異なる点が多く、特に「歩行者優先」や「一時停止」の概念が薄い国もあります。
社内での安全講習や、外部講師による交通研修の導入も有効です。

③ 業務上の運転範囲と頻度の管理
無理な長距離運転や慣れない時間帯での運転は事故のリスクを高めます。個々の能力や慣れ具合を考慮した運用が必要です。

④ 事故発生時の対応ルール整備
万が一に備えた報告体制や保険加入の見直しも大切です。日本語が不自由な社員にも分かるよう、多言語対応マニュアルが望まれます。


■ 外国人雇用と法的リスクの橋渡しに
行政書士として、企業から「免許の有効性が判断できない」「採用後に免許条件が変更されていた」といったご相談を受けることが増えています。

今後、政府による分析結果を受けて、制度見直しや運用の厳格化が進む可能性もあります。
これから外国人採用を本格化させようとする企業様、あるいは既に運転を伴う業務に就かせている企業様は、今のうちからリスク管理体制を整えておくことが必要です。


■ まとめ:企業と外国人が安心して働ける環境のために
「外国免許切替制度」は単なる手続きではなく、交通安全と企業リスクを左右する重要な制度です。
行政書士として、外国人の就労や生活支援の専門家として、企業と在留外国人が共に安心して働ける環境づくりを支援しています。

制度や実務で少しでも気になることがあれば、早めの相談が安心の第一歩です。
お気軽にお問い合わせください。