はじめに|出前館アカウント不正譲渡で外国人1400人が不法就労
2025年7月、警視庁によって発覚した「出前館アカウント不正譲渡事件」。
この事件では、就労資格を持たない外国人が不正に譲渡された配達員アカウントを使って、実際に配達業務を行っていたとして、約1400人が不法就労していたことが明らかになりました。
さらに驚くべきは、アカウントの譲渡数が約2800件にも及んでいたという点です。
事件の仕組み|名義貸しで“働けてしまう”構図
本事件の構造は非常に巧妙でした。
- 日本人に出前館の配達アカウントを作成させる
- 月2万円の「名義貸し料」を支払う
- 実際の配達は、就労資格のない外国人が行う
- 配達報酬は名義人の口座に入り、一部が外国人に還元される
このように“実働”と“報酬”の名義がずれていることで、外からは不法就労が見えにくくなっています。
不法就労助長罪とは?企業や個人に問われる責任
このスキームで問題となるのが、「不法就労助長罪」の適用です。
これは、不法に就労する外国人に対し、働く機会を提供したり、あっせんしたりする行為を禁じたものです。
罰則:
- 3年以下の懲役
- 300万円以下の罰金
- 両方が科される可能性も
アカウントを貸していた日本人や仲介業者だけでなく、実態を知りながら業務を委託していた企業も、この罪に問われる可能性があります。
「業務委託だから問題ない」は通用しない
一部の企業では、「直接雇用ではないから関係ない」と誤解しているケースもありますが、
外国人の労働に関しては、契約形態よりも「実態」が重視されます。
✔ 業務の指揮命令がある
✔ 勤務時間や場所が指定されている
✔ 報酬の支払いが継続的に行われている
これらがある場合、形式上の「委託契約」でも実質は「雇用」とみなされ、企業側にも責任が及ぶ可能性があります。
フードデリバリー業界が狙われやすい理由
なぜフードデリバリー業界が不法就労の温床になりやすいのでしょうか?
- 業務の個人委託化が進んでいる
→ アカウントさえあればすぐ働ける仕組みが整っている - 顔の見えない仕事で監視が甘い
→ 本人確認が不十分なまま業務開始できてしまう - 人手不足とスピード重視の傾向
→ 「誰でもいいから今すぐ配達してほしい」という現場のニーズに乗じて不正が入り込む
外国人本人のリスクも深刻
アカウントを使って働いていた外国人にとっても、当然ながら大きなリスクがあります。
- 不法就労により退去強制処分の対象に
- 今後の再入国が難しくなる
- アカウント使用履歴が残るため逃げ道がない
「お金を稼ぎたかっただけ」「知らなかった」では済まされないのが現実です。
企業が取るべき5つの対策
不法就労に巻き込まれないために、企業として以下のような対策を講じる必要があります。
1. 本人確認の徹底
→ アカウントを使って業務を委託する際は、ICチップ付き在留カードの確認を必須に。
2. 在留資格のチェック
→ 単に「在留カードがある」だけでなく、どの業務に就けるかを確認すること。
3. 委託先・仲介業者の実態確認
→ 業務委託をしている相手が、外国人労働者を適切に管理しているか確認。
4. 契約書・業務内容の明文化
→ 雇用関係に見えるような実態がないか、第三者の視点で精査。
5. 行政書士など専門家との連携
→ 定期的に雇用実務を見直し、法改正にも対応。
行政書士ができるサポートとは?
行政書士は、外国人雇用における以下の支援を提供しています。
- 就労資格証明書の取得支援
- 在留カード確認や真偽判定のアドバイス
- 委託契約の適正化サポート
- 外国人雇用状況届出の支援
- 問題が発生した際の官公署対応のサポート
“今は問題ない”と思っていても、後から違法性が指摘されるリスクは常に存在します。
まとめ|ルールを守った外国人雇用が企業の信頼を守る
外国人材は、労働力不足を補う重要な存在です。
だからこそ、「正しく雇う」ことが、企業の未来と社会的信用を守るカギとなります。
今回の出前館アカウント事件は、“目先の便利さ”を優先した結果、外国人と関係者全員が大きな代償を払うことになった典型です。
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