■はじめに:宮城県知事の発言が示した課題

2025年9月3日、宮城県の村井嘉浩知事が記者会見で語った「日本人も一度海外で差別を経験してみるべき」という発言が、大きな注目を集めました。

この発言には、「外国人とどう共生していくか」という根本的な問いと向き合う姿勢がにじんでいます。さらに、近年増加しているイスラム教徒などの文化・宗教的背景を持つ在日外国人に対し、「土葬が可能な墓地の整備が必要」という視点も示されました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9f0867ebe048241d64e3068a7cf22955ba33ab9a

今回のニュースを通じて、私たち行政書士として、そして外国人支援の立場から、何が求められているのかを深掘りしていきます。


■1. 外国人との「共生」とは何か?

日本は今、急速に外国人住民が増加する社会へと移行しています。
2024年時点で在留外国人は約340万人を超え、労働力不足を補うためにも外国人雇用は当たり前の時代になりつつあります。

しかし、「物理的な共存」と「心の共生」は、必ずしも一致していません。

今回の村井知事の発言が示すように、外国人が直面している目に見えにくい差別や文化的摩擦に対し、多くの日本人は無自覚である可能性があります。


■2. 「自分が差別された経験がない」ことの危うさ

村井知事はこう述べました。

「日本人が海外で差別的な対応を受けて、自分がどう感じるかを知ることで、日本にいる外国人の気持ちが分かるようになる」

これは一種の「当事者意識の喚起」と言えるでしょう。

差別は、制度上の問題だけでなく、職場や地域社会における無意識の偏見から生まれます。
例えば、

  • 「日本語が下手=仕事ができない」と思い込む
  • 外国人社員だけ飲み会やイベントに誘わない
  • 宗教上の食事制限や休暇への配慮がない

こうした行動が、知らず知らずのうちに「排除」や「孤立」を生み出していることも。


■3. 「土葬墓地」の話題が示す宗教的配慮の重要性

イスラム教徒にとって土葬は信仰上非常に大切な要素です。
しかし、日本では火葬が一般的で、土葬が可能な墓地は極めて限られています。

村井知事はこの点について、こう述べました。

「外国人が増えていく中で、土葬を望む人もいる。社会的な議論が必要だ」

これは単なる行政の課題ではなく、「多文化共生社会」を目指す上で避けては通れないテーマです。

外国人社員やその家族が日本に定住していく中で、ライフスタイル、医療、宗教、死生観まで、法制度や社会インフラが追いついていない現状があります。


■4. 外国人を雇用する企業が抱える責任とは?

企業経営者や人事担当者にとって、外国人社員との共生は現実的な課題です。
たとえば、

  • 宗教的な休暇(ラマダンや礼拝時間など)への配慮
  • 家族の帯同や子どもの教育、永住を見据えたサポート
  • 雇用契約書や社内規定の多言語対応

そして、何より重要なのが「無意識の差別(アンコンシャス・バイアス)」に対する社内教育です。


■5. 行政書士としてできるサポート

行政書士は、在留資格の取得・更新といった手続きはもちろん、外国人の定住支援や企業のコンプライアンス強化にも対応可能です。

具体的には、

  • 外国人雇用に関する就労資格チェック
  • 社内向け「外国人労働者対応マニュアル」の作成支援
  • 宗教・文化への配慮に関する研修講師の紹介
  • 永住・帰化を視野に入れた在留計画の相談

など、法務面から共生社会の実現を後押しする役割を果たしています。


■6. 日本に住む外国人の声を聞く機会を

行政や企業の施策も大切ですが、もっとシンプルな第一歩があります。

それは、外国人本人の声を直接聞くこと。

「どうしてそれが大事なのか?」
「何に困っているのか?」
「日本のどんなところに戸惑っているのか?」

日常の中で少し耳を傾けるだけでも、多くの気づきがあります。


■7. 差別をなくすのは「制度」ではなく「人の意識」

制度や法律の整備は重要です。しかし、本質的な「共生」は、個人の意識改革から始まります。

村井知事のように「一度海外で生活してみるといい」と言える発想は、私たち自身が持つべき感覚かもしれません。

外国人が「住みやすい」「働きやすい」と思える社会を実現するには、日本人一人ひとりの「共感力」が鍵になります。


■8. 宗教・文化・言語を超えてつながる社会へ

違いを「リスク」として捉えるのではなく、「価値」として受け入れる。

異なる文化背景を持つ人たちと共に働くことは、組織に多様性と新たな視点をもたらします。

そのためには、企業も個人も「学び続ける」姿勢が求められます。


■9. 最後に:制度と心の両輪で共生社会を支えよう

行政書士として、制度的な支援はもちろん、外国人が安心して暮らし、企業が安心して雇用できるよう「心の共生」にも目を向けた支援を心がけています。

外国人雇用や在留資格、宗教的配慮など、気になることがあれば、どんな小さなことでもご相談ください。


■10. おわりに

外国人との共生は、もう“未来の話”ではなく、“現在進行形の課題”です。

「何から始めればいいか分からない」という方こそ、まずは小さな疑問や違和感を言葉にすることから始めてみてください。

そして、共に悩み、考え、前に進んでいきましょう。