2025年7月23日、青森県で開催された全国知事会において、外国人受け入れに関する重要な提言が採択されました。

提言の要点は明確です。

> 「国は外国人を“労働者”と見ているが、地方自治体から見れば日本人と同じ“生活者”であり、“地域住民”である」

この一文が示すとおり、今後の外国人雇用や在留支援は、単なる「労働力確保」の枠を超え、「生活支援」や「地域共生」が前提となる時代に入ったといえるでしょう。

本記事では、全国知事会の提言内容を踏まえ、行政書士の立場から企業・自治体が備えるべき視点や体制について解説します。

1. 外国人受け入れ、なぜ今注目されているのか

外国人材の受け入れ拡大は、少子高齢化・人手不足が進む日本社会において、不可避の流れとなっています。

2025年には「育成就労制度」も始まり、従来の技能実習制度に代わって、より幅広い職種での外国人受け入れが可能になります。

これにより、地方を中心に外国人労働者の存在感はますます高まっていくと予想されます。

2. 全国知事会の提言ポイントまとめ

全国47都道府県の知事が一致して示した提言は、次のような内容を含みます。

– 外国人を労働者ではなく生活者・地域住民と捉える 

– 日本語教育や生活支援への国の財政支援を求める 

– 多文化共生の基盤となる「基本法」の制定を提言 

– 差別や排外主義への懸念と、その払拭を求める 

– 国が責任を持って制度設計・施策推進を行うことを要請

これは、単なる行政文書ではなく、現場で起きている「制度と現実の乖離」に対する強い問題提起でもあります。

3. 行政書士として見た「生活者としての外国人支援」の実態

当事務所には、日々多くの外国人本人や企業担当者からのご相談が寄せられます。

以下のような事例が代表的です。

– 技人国ビザで就職した方が、日本語が通じず病院で困った 

– 特定技能従業員が寮を出て一人暮らしを始めたが、ゴミ出しルールが分からず近隣トラブルに 

– 企業が外国人社員の生活支援を「どこまでやるべきか」悩んでいる 

– 家族帯同で来日した方の子どもが、学校になじめず不登校に 

これらはすべて、「就労」以外の領域で起きている現実です。

「働いてもらえればそれでよい」という考え方は、既に通用しなくなっています。

4. 企業に求められる視点:「生活支援も経営戦略の一部」

今後、外国人材を受け入れる企業に求められるのは、「採用」だけでなく「定着」への視点です。

とくに重要なのは次の3点です。

① 日本語・生活ルールの初期教育の提供

就労前研修に、生活マナーや防災・医療の知識などを組み込みましょう。

② 家族帯同者へのサポート

帯同配偶者や子どもの教育・福祉に関する情報提供は、安心感と長期定着につながります。

③ 相談窓口の整備

社内での外国人社員向け相談体制の整備や、外部専門家(行政書士、社労士など)との連携体制も有効です。

5. 地方自治体と企業の連携がカギに

知事会の提言でも強調されていた通り、自治体が提供する日本語教育や地域支援の充実には、企業側の協力が欠かせません。

企業が持つ現場の知見や課題意識を自治体にフィードバックすることで、より実効性の高い共生施策が実現します。

また、自治体の支援制度を上手く活用することは、企業にとっても大きな負担軽減につながります。

6. 差別や排外主義に向き合う姿勢が信頼をつくる

ネット上では、外国人に対する偏見や誤解に基づいた言説が少なくありません。

奈良県知事も「漠然とした不安が若者を中心に広がっている」と述べたように、今こそ事実に基づいた情報発信と対話が求められます。

企業が率先して多文化共生の姿勢を示すことは、社会的信頼の構築にもつながります。

7. 外国人支援における行政書士の役割

行政書士は在留資格の取得・更新支援に加え、生活支援のコーディネーター的な役割も担います。

当事務所では、外国人社員を雇用する企業様向けに以下のようなサポートを提供しています。

– 在留資格の種類と選定に関するアドバイス 

– 外国人との労働契約や誓約書の整備支援 

– 生活支援に関する情報提供・行政連携のご案内 

– 多言語対応の社内マニュアル作成支援 

8. 今後に向けて:企業・自治体・地域の協働が不可欠

外国人が「生活者」として根付き、地域社会の一員として活躍するためには、企業・自治体・地域住民がそれぞれの役割を担う必要があります。

それは同時に、日本社会全体の持続可能性を高める取り組みでもあります。

まとめ:雇用から共生へ、今こそ体制づくりを

全国知事会の提言は、「外国人を労働力ではなく、生活者として迎える社会へ」という強いメッセージでした。

制度は動き出しています。

企業が今すべきことは、「雇ったあとのこと」を見据えた支援体制の構築です。

制度対応にとどまらず、生活支援・地域連携を含めた包括的な外国人雇用体制を、ぜひこの機会にご検討ください。