ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。
本日は、タイ料理人の技能ビザを申請する際の特例に関して、詳しく解説をしていきます。タイ料理人に限って、通常10年間必要な実務経験が5年間に短縮されるのですが、これ以外にも重要な条件があります。この記事を最後まで読めば、タイ料理人の技能ビザを取るために必要なことが、全てご理解いただけます。
はじめに タイ料理人の技能ビザ取得が比較的容易な理由
日本で本場のタイ料理を提供するために、タイ料理人を招聘するケースが増えています。技能ビザの取得要件は基本的に「10年以上の実務経験」が必要ですが、タイ料理人に限り、特例として「5年以上の実務経験」で申請可能です。この特例は、日本とタイが経済協定(EPA)を締結することにより、例外的に条件が緩和されています。
しかし、この特例には特別な条件があります。まず、タイ料理人は、来日直前までタイでタイ料理の調理業務に従事している必要があります。他国の料理人にはない要件であり、タイ料理人特有の審査基準です。また、タイの調理師資格を取得していることも必要です。この資格要件は、タイ料理人を技能ビザで招聘する際のもう一つの重要なポイントとなります。
これらの条件を満たすことで、タイ料理人は一般的な技能ビザ申請者に比べて短期間の実務経験で申請が可能になります。一方で、条件が緩和されている分、審査基準に沿った証拠書類の提出が求められるため、準備の段階で慎重な対応が必要です。次章では、これらの条件を満たすための具体的な準備や注意点について解説します。
背景説明 なぜタイ料理人に特例が設けられているのか?
タイ料理人が技能ビザを取得する際、5年の実務経験という特例が設けられている背景には、タイ料理の文化的価値や日本における需要の高さだけでなく、日タイ経済連携協定(EPA)が重要な役割を果たしています。この協定は、両国間の経済活動を促進するために締結され、物品やサービスの自由化だけでなく、タイ料理人のような特定の職業の日本での就労を円滑にする取り決めが含まれています。
日タイEPA附属書7(自然人の移動に関する特定の約束)では、タイ料理人が日本で働く際の特別要件として、実務経験を通常の10年から5年に短縮する規定が盛り込まれています。この特例により、タイ料理人が日本で働く際のハードルが下がり、本場のタイ料理を日本に広める機会が増加しています。また、タイの調理師資格の取得が必要であることや、直近のタイでの勤務歴が求められる点も、この協定の影響を反映した特徴的な条件です。
これらの取り決めは、タイ料理の普及が日本の食文化や観光業にも貢献しているという背景から生まれています。また、EPAにより、経済的連携が強化されているタイとの関係をさらに深める目的もあります。
次章では、これらの条件を満たすために具体的にどのような書類や証拠が必要かを解説します。タイ料理人を招聘したい場合は、EPAの規定を踏まえた準備が成功の鍵となります。
具体例 タイ料理人を招聘する際の注意点
タイ料理人を技能ビザで招聘する際には、特例要件を満たすための準備が不可欠です。他国の料理人との違いを比較しながら、注意すべきポイントを具体例を交えて解説します。
実務経験の証明書類の用意
タイ料理人の特例:
タイ料理人は、5年以上の実務経験があれば技能ビザを申請できます。ただし、直近までタイでタイ料理人としての業務を行っていることを証明する必要があります。この証明には、以下の書類が有効です:
- 雇用主からの在籍証明書(過去および現在の役割や業務内容を詳細に記載)
- 給与明細や雇用契約書(勤務期間の正確な記録)
- 実務中の写真やレストラン情報など(業務を具体的に示す補助証拠)
他国の料理人との比較:
他国の料理人の場合、10年以上の実務経験を証明する必要がありますが、「直近の業務経歴」は必須ではありません。そのため、過去の経験を主に証明する書類が中心になります。例えば、10年以上前の雇用証明書や調理経歴書が有効とされます。
注意点:
タイ料理人の場合、「現在進行形の業務」を示す資料が求められるため、最新の証拠書類を収集し、タイ国内の雇用主に協力を依頼することが重要です。
直近のタイでの勤務歴の重要性
タイ料理人の特例:
タイ料理人が日本に来る直前までタイ料理人として働いていることは、技能ビザ申請の大きな条件です。これは、申請者が実際に「現在も活躍している専門職」であることを入管当局が確認するためです。勤務歴が空白である場合、審査で不利になる可能性が高いです。
他国の料理人との比較:
他国の料理人は、10年間の経験があれば、それ以降に料理以外の業務に従事していても問題ありません。この点で、タイ料理人の要件は厳格と言えます。
具体例:
- タイ料理人Aさんが、過去5年間タイの大手ホテルでタイ料理を担当しており、申請直前までその業務を継続していた場合、条件を満たします。
- 一方で、タイ料理人Bさんが5年間の実務経験を持つものの、申請直前の1年間は別の業種に従事していた場合、申請が不許可になる可能性があります。
調理師資格の取得
タイ料理人の特例:
タイ料理人は、タイ国内で取得した調理師資格が求められます。この資格は、申請者がタイ料理に関する専門的な技術と知識を持っていることを証明するものです。
他国の料理人との比較:
他国の料理人の場合、調理師資格の取得は必須条件ではありません。10年間の実務経験があればビザ申請可能なため、資格を有していなくても問題ありません。
具体例:
- タイ料理人Cさんが、タイの国家資格である調理師資格を保持している場合、申請条件をクリアします。
- 他国の料理人Dさんが調理師などの資格を一切持っていなくても、10年間の実務経験を証明できれば申請が認められます。
注意点:
タイの調理師資格は、日本の入管が求める公式な証明書類として提出する必要があります。不備や偽造がある場合、申請が拒否されるリスクが高まります。
結論
タイ料理人を技能ビザで招聘する際には、他国の料理人と比べて特例による優遇措置がある一方で、直近の勤務歴や資格取得といった独自の要件が課されます。これらの条件をクリアするためには、証拠書類を正確に整備し、不備なく提出することが不可欠です。
専門的なサポートを受けることで、書類不備のリスクを軽減し、スムーズなビザ取得を実現できます。次章では、申請に必要な具体的な書類や流れについてさらに詳しく解説します。
条件を満たすための準備と申請の流れ
タイ料理人を技能ビザで招聘する際には、特例要件に基づいて必要な書類を整え、入管審査をスムーズに通過するための準備が重要です。ここでは、申請に必要な書類とその作成方法、注意点について解説します。
必要な書類一覧
申請に必要な基本書類は、他の国の料理人と同様ですが、タイ料理人特有の要件としてタイの調理師資格証明書が必須です。以下が主な書類一覧です:
- 在留資格認定証明書交付申請書
入管に提出する主要な申請書。正確に記載することが重要です。入管のHPからダウンロード可能です。 - タイ料理の実務経験証明書
過去5年以上のタイ料理調理経験を証明する書類。以下の内容を含むと効果的です:
- 勤務期間(年月日を明記)
- 職務内容(具体的な調理業務や得意料理)
- 雇用主の署名と押印 - 直近の勤務を証明する書類
タイでの最新の勤務歴を示すため、以下を用意します:
- 雇用契約書(直近の雇用主から発行)
- 給与明細や勤務表 - タイの調理師資格証明書
タイ政府が発行する公式な調理師資格のコピーが必要です。日本語翻訳を添付してください。 - 雇用理由書
日本の雇用主が作成する書類。タイ料理人を雇用する理由、勤務内容、給与条件、勤務体制などを記載します。 - 雇用契約書(日本側)
雇用主と料理人との間で締結された契約書。雇用条件、給与、勤務時間などが明記されている必要があります。 - 店舗情報
日本の雇用主が運営する店舗の概要を示す資料:
- 店舗写真
- メニュー表(タイ料理を専門にしていることが分かるもの)
- 客席数や営業時間を示す資料(公式HPやグルメポータルサイトのスクリーンショット等) - 法定調書合計票(雇用主側)
従業員数、給与支給総額、及び源泉徴収税の納税額を示す書類で、事業の安定性を証明するために、受付印のある控えを提出します。
実務経験や資格の証明を効果的に行う方法
- 書類をタイ語から正確に翻訳する
タイ語で作成された実務経験証明書や資格証明書は、日本語翻訳を添付し、専門の翻訳機関での翻訳証明を取得します。 - 直近勤務歴の強調
申請書類には、現在の勤務状況が分かる証拠(勤務表、雇用契約書、給与明細)を可能な限り詳細に記載します。最新のデータを含めることで、審査官に正確な状況を伝えることができます。 - 資格証明書の公的認証
タイの調理師資格証明書は英語若しくは日本語に翻訳をし、可能であれば公証を受けることで、提出時の信頼性を高めます。
入管審査での注意点
- 不整合や記載ミスの防止
実務経験年数や勤務期間など、提出書類間での矛盾がないよう注意します。不整合があると審査が遅れる可能性があります。 - タイ料理人特有の条件を満たしていることを強調
調理師資格や直近の勤務歴は特に重要なポイントです。これらを明確に説明することで、タイ料理人としての適性を審査官に伝えます。 - 提出期限の厳守
書類の準備に時間がかかる場合があるため、十分な余裕を持って準備を進めます。特に、タイ国内での公証や翻訳には時間がかかる場合があります。
タイ料理人を技能ビザで招聘するためには、特例の条件を満たし、書類を正確かつ整然と準備することが不可欠です。タイの調理師資格証明書や直近の勤務を証明する資料がポイントであり、不備があると申請が滞る可能性があります。
これらの手続きが煩雑に感じる場合、専門の行政書士のサポートを活用することで、申請がスムーズになり、成功の可能性が大幅に向上します。プロの力を借りて、確実なビザ取得を目指しましょう!
まとめ プロのサポートでビザ申請を成功させましょう!
タイ料理シェフを招聘し技能ビザを取得することは、実務経験年数の面では一見容易に感じられますが、資格証明書や直近までの実務経験の証明など、他の国のシェフに比較すると、証明書類の種類が増えることから、書類準備の手間が煩雑になるとも言えます。
こうした煩雑で手間のかかる申請を成功させるためには、入管手続きに精通した専門家のサポートを受けることが最善の方法です。行政書士は、技能ビザ申請に必要な書類を適切に作成し、審査官に伝わりやすい形で整理するプロフェッショナルです。依頼することで、準備にかかる時間や労力を大幅に削減できるだけでなく、不備やミスによる再申請のリスクも回避できます。
特に、現地とやり取りをしながらの証拠書類の収集は。計画的かつ緻密な準備が不可欠です。なるべく迅速に、手間を最小限にしてビザの取得をしたい方は、ぜひ専門家にご相談ください。行政書士のサポートを活用して、確実な技能ビザ取得を実現しましょう!
まずはお気軽にご相談ください。あなたの店舗に最適な解決策を提案させていただきます。ご相談は、電話またはメールでご予約いただければ、迅速に対応いたします。また、直接事務所にお越しいただくことも可能です。
ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として活躍する外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、技能(調理師)ビザ申請に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。
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