ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

本日は、調理師の技能ビザを申請する際に、複数名を同時に採用して、同時にビザの申請をすることもあります。このような場合は、1名のみの申請をするよりも、説明事項や証拠書類が多く必要となり、難易度は高くなります。この記事では、複数名の外国人シェフを同時に採用し、技能ビザの許可を得るためのポイントに関して解説をしていきます。

はじめに 外国人シェフ採用の第一歩

外国料理店を経営する際、外国人シェフの採用は店舗の成功に直結する重要な要素です。本場の味を提供できるシェフを確保することで、他店との差別化を図り、顧客満足度を向上させることができます。しかし、日本で外国人シェフを雇用するには「技能ビザ」が必要であり、適切な手続きを踏まなければならないという壁があります。このビザ取得のプロセスを理解し、要件を満たすことは、外国人シェフをスムーズに複数名採用するための重要な第一歩です。

技能ビザの取得においては、採用する外国人シェフの「資格」と店舗の「合理的な人員計画」の両方がポイントとなります。外国人シェフがビザを取得するには、対象者が母国で一定(10年以上)の料理経験を持つことが求められます。たとえば、インド料理店でタンドリーチキンを提供する場合、インドでインド料理の調理経験を積んでいる人材であることが条件です。また、単に経験があるだけでなく、店舗側がその外国人シェフを雇用する「必要性」を明確に証明することが審査通過のカギとなります。

この「必要性」を証明するためには、店舗の営業形態や席数、営業時間、回転率などを根拠として示すことが求められます。例えば、営業時間が長い店舗では1名のシェフでは対応が難しく、2名以上の採用が合理的であると説明できます。さらに、営業規模が大きい(客席数が多い)場合も複数名のシェフを配置する合理性を示せます。このような情報を裏付けるためには、店舗の図面、メニュー表、営業時間や定休日が記載された公式ウェブサイトの情報などを提出し、具体的な証拠として提示する必要があります。

これらの手順を正確に踏むことで、外国人シェフの複数採用は十分可能です。逆に、不備がある場合は審査が滞り、ビザが認められない可能性もあります。したがって、技能ビザ申請においては、事前の準備が何よりも重要です。

外国料理店経営者にとって、技能ビザ取得は煩雑で時間のかかる手続きに感じられるかもしれません。しかし、適切な計画と専門的なサポートを受けることで、スムーズに手続きを進めることが可能です。外国人シェフ採用の第一歩を成功させるために、ぜひ信頼できる行政書士に相談し、確実なビザ取得を目指しましょう。

背景説明 ビザ取得と経営効率の関係

まず、技能ビザの取得は単なる法的手続き以上の意味を持ちます。外国人シェフを迎え入れることで店舗の専門性を確立できるだけでなく、長期的に安定した人材確保が可能になるからです。外国人労働者にとってビザは合法的に働くための基本条件であり、店舗としてはその条件を満たすことで信頼関係を築き、長期間にわたる雇用の実現が期待できます。

また、日本の労働法に基づいた現実的な勤務体制を考えると、多くの場合、1名のシェフだけで店舗運営を成立させることは難しいのが現実です。たとえば、飲食店の営業は長時間に及ぶことが多く、ランチ営業からディナー営業までを一貫して1人のシェフで対応するのは法的にも身体的にも無理があります。日本では1日8時間、週40時間の労働が基本とされていますが、これを超える労働は割増賃金が発生するため、経営者にとってはコスト増につながります。そのため、営業形態や規模に応じて複数名のシェフを配置することが、店舗運営を効率化するうえで必要不可欠となります。

さらに、ビザ取得には「合理的な人員計画」を示すことが求められます。店舗の席数や営業時間、回転率といった営業上のデータを根拠に、なぜその人数が必要なのかを入管当局に説明する必要があります。たとえば、100席以上の大型店舗であれば、料理提供のスピードや品質を維持するために複数名のシェフが必要になるのは明らかです。また、長時間営業の店舗では、スタッフのシフトを分けることで効率的な勤務体制を構築できます。こうした経営効率の観点からも、技能ビザを取得し、必要な人材を揃えることは店舗運営にとって大きなメリットとなります。

技能ビザの取得には一定のハードルがありますが、そのプロセスをクリアすることで得られるメリットは非常に大きいです。単なる法的要件の満足ではなく、長期的な店舗運営を支える基盤として機能します。特に、労働法を遵守しつつ効率的な体制を構築することは、顧客満足度の向上や売上拡大にもつながる重要なポイントです。

次章では、具体的な営業形態や店舗規模に応じた外国人シェフの必要人数について具体例を示しながら、どのように技能ビザ申請を成功させるかをさらに詳しく解説します。ビザ取得は単なる手続きにとどまらず、経営効率を高めるための戦略的な一歩です。

具体例 外国人シェフ複数名の必要性を証明する方法

外国人シェフの採用において、技能ビザを複数名分取得するためには、「その人数が必要である」と合理的に説明することが求められます。この必要性を裏付ける要素には、店舗の営業形態、客席数、営業時間、そして営業規模があります。以下では、複数名のビザが取得できる可能性が高いケースと、1名しか認められないケースを具体的に挙げながら解説します。

複数名のビザが認められる可能性が高いケース

  1. 週7日営業・長時間営業の店舗
     例えば、あるインド料理店を例に考えてみましょう。この店舗は、週7日間営業、ランチとディナーの二部構成で、営業時間は11:00~22:00です。この場合、日本の労働法では、1名のシェフが1日中働き続けることは不可能です。1日8時間を超える勤務は残業となり、週40時間を超えるとさらに割増賃金が発生するため、1名で運営するには非現実的です。
     このような場合、少なくともシフト制を導入する必要があり、最低でも2名のシェフが必要となります。午前から夕方までを1名、夕方から閉店までをもう1名が担当する形で、勤務時間を合理的に分けることができます。さらに、ランチやディナーのピーク時に料理の提供スピードを確保するためには、補助的なシェフも必要になる場合があります。このような営業形態であれば、外国人シェフ2~3名のビザ申請が認められる可能性が高いです。
  2. 大型店舗で客席数が多い場合
     たとえば、100席以上を持つ中華料理店を想定します。このような規模の店舗では、ランチやディナータイムにおいて短時間で大量の注文をさばく必要があります。一人のシェフだけでは調理にかかる時間が延び、顧客満足度の低下や回転率の悪化を招く恐れがあります。こうした規模の店舗では、厨房内の分業制を導入することが一般的であり、メインシェフ、補助シェフ、デザートや揚げ物専門など、それぞれの調理パートを担当するスタッフが必要です。この場合、技能ビザを取得して複数名の外国人シェフを採用することが合理的であると判断されるでしょう。

1名しかビザが認められない可能性があるケース

  1. 営業時間が短い小規模店舗
     週5日営業で、営業時間が17:00~22:00のディナータイムのみのフレンチレストランを例に挙げます。この店舗は、1日5時間、週25時間程度の営業であり、営業形態や営業時間から考えて1名のシェフでも十分に対応可能です。特に席数が少なく(20~30席)、提供する料理も比較的シンプルなものである場合、複数名のシェフを雇用する必要性は低いと判断されます。このような場合、技能ビザの申請も1名分しか認められない可能性が高いです。
  2. 売上や収益が低い店舗
     ビザ申請では、雇用主の経営状況も重要な審査項目です。例えば、開業したばかりで収益が不安定な店舗や、過去の収支データで人件費を賄う余力がないと判断される場合、複数名のビザ申請は難しいでしょう。申請書類において、事業計画書や売上の見込みを具体的に示せなければ、1名分のビザすら認められないこともあります。
  3. 料理の専門性が低い店舗(そもそも外国人シェフの採用はできない)
     たとえば、ハンバーガーやパスタなど、どこのアルバイトや料理学校を卒業した新卒シェフでも対応可能なメニューを提供する店舗では、外国人シェフを採用する必要性そのものが疑問視される可能性があります。さらに、日本人スタッフや国内で十分に採用可能な人材が対応できる場合、技能ビザの発給要件を満たさないと判断されることがあります。

合理的な人員計画を立てる重要性

複数名のビザ申請を成功させるには、店舗の営業形態と必要人員を合理的に説明することが不可欠です。そのためには、次のような情報を整理し、申請書類に盛り込む必要があります:

  • 営業時間と営業日数(例:週7日営業、11:00~22:00)
  • 客席数と回転率(例:100席、1日3回転)
  • 提供メニューと調理工程の複雑さ
  • 売上見込みと人件費のバランス

具体的なデータと計画を示すことで、入管審査官に「この店舗にはこの人数の外国人シェフが必要だ」と納得させることができます。これらの準備を怠らないことが、ビザ申請の成否を左右するポイントです。

次章では、これらの要素を具体的に書類化し、審査官を説得するための方法を解説します。複数名の外国人シェフを採用し、店舗運営を成功させるために、計画的な準備を進めましょう。

解決策 成功するビザ申請のための証拠と書類準備

技能ビザの審査を通過し、外国人シェフを複数名採用するためには、必要性を具体的かつ論理的に説明し、それを証拠書類で裏付けることが重要です。ここでは、雇用理由書事業計画書添付書類の3点に分け、それぞれの作成ポイントと具体的な方法を詳しく解説します。

雇用理由書で具体的な事業概要を説明する

雇用理由書は、ビザ申請書類の中核となる文書です。この書類では、外国人シェフの採用がなぜ必要なのかを論理的に説明します。

作成のポイント:

  1. 事業の概要を具体的に示す
     店舗のコンセプト、提供する料理のジャンル、ターゲット層(例:インド料理店で本格的なインドカレーを提供し、地元の30~50代のファミリー層を対象)などを詳細に記載します。外国人シェフが母国で培った技術や経験が、店舗の成功にどのように貢献するかを具体的に述べましょう。
  2. 外国人シェフの役割を明確化する
     採用予定の外国人シェフがどのようなスキルを持っているのか、そのスキルが店舗にとってなぜ必要なのかを説明します。例えば、「特定の国の料理を再現するには、独自の調理技法や食材の取り扱いスキルが不可欠である」などの理由を挙げます。
  3. 複数名の必要性を説明する
     シェフの人数については、店舗の営業規模や形態に基づき、合理的に説明します。具体的には、以下のような項目を挙げると効果的です:
     - 営業時間と営業日数(例:週7日営業、11:00~22:00)
     - 客席数と回転率(例:100席、1日3回転)
     - シフト制が必要である理由(例:ランチとディナーで別々の担当が必要)

例文:
「当店ではインド料理を専門とし、本場の味を再現することを重視しております。週7日間、ランチとディナーの二部営業を行っており、客席数は80席、1日3回転を想定しています。調理工程の複雑さと営業規模を踏まえ、適切な労働環境で雇用をするためにも2名の外国人シェフが必要です。」

事業計画書で営業体制や収益見込みを提示する

事業計画書では、店舗の営業体制や経営の安定性を示すことで、外国人シェフを雇用する経済的基盤があることを証明します。特に、採用するシェフの給与を支払う余力があることを強調する必要があります。

作成のポイント:

  1. 営業体制を具体的に示す
     - 営業時間、営業日、席数、想定される客単価と回転率などを数値で示します。
     - 例えば、「週7日営業、客単価2,500円、1日3回転で売上予測は月1,500万円」といった具体的な試算を記載します。
  2. 収益見込みを記載する
     売上と費用のバランスを示し、人件費を含めた経費計算を記載します。例えば、外国人シェフの給与を1人月額30万円とし、2名採用する場合の年間人件費を計算し、これが店舗の収益で十分カバーできることを明示します。
  3. 採用人数の合理性を裏付ける
     なぜこの人数が必要なのかを、計画書内で論理的に説明します。例えば、営業時間が長い場合や席数が多い場合には、それに応じた人員が必要であることをデータを使って証明します。

例文:
「当店の営業規模及び営業時間では、1人の調理師ではカバーできないため、最低2名のシェフを必要とします。想定される売上は月1,200万円が見込まれることから、年間のシェフ2名の人件費800万円を差し引いても十分な利益を確保できる計画です。」

添付書類で営業の実態を証明する

書類の信頼性を高めるためには、客観的な証拠を添付することが重要です。

必要な添付書類:

  1. 店舗図面
     客席数や厨房設備の規模を示す図面を用意します。これにより、店舗の規模が明確になり、必要な人員数を具体的に説明できます。
  2. メニュー表
     提供するメニューとその調理工程がわかる書類を提出します。特に、専門性の高い料理を提供している場合、その内容が一目でわかるような工夫が必要です。例えば、「本場のスパイスを使用したインドカレー10種」など、専門的な内容を明記します。
  3. ウェブサイトやポータルサイトの情報
     食べログや公式ウェブサイトに掲載されている営業時間や席数、店舗写真を提出します。これにより、店舗の営業実態がさらに具体的に伝わります。
  4. 営業データ(必要に応じて)
     過去の売上実績や予約状況のデータを添付することで、実際の顧客数や需要が明確になります。これにより、シェフの必要性を補強することが可能です。

例文:
「店舗図面と食べログページのスクリーンショットを添付し、80席の営業規模を証明しました。また、メニュー表を提出し、調理工程の複雑さを説明しました。」

成功するビザ申請のための申請書類

これらの書類を整えることで、入管審査官に対し、外国人シェフの雇用が合理的かつ必要であることを説得力を持って説明できます。重要なのは、申請内容を論理的に構成し、データや証拠を用いて具体性を持たせることです。

外国人シェフを複数名採用するための技能ビザ申請は複雑ですが、しっかりと準備を進めることで審査を通過する可能性が大幅に高まります。適切な計画と書類作成のサポートが必要な場合は、ぜひ専門の行政書士にご相談ください。

まとめ プロのサポートでビザ申請を成功させましょう!

外国人シェフを複数名、同時に招聘し技能ビザを取得することは、1名のみを招聘する場合と比較して確かに難易度が高くなります。店舗の営業形態や規模に応じた合理的な説明が必要になるうえ、準備すべき書類や説明書の分量も大幅に増えるからです。特に、雇用理由書や事業計画書の記載内容は、審査官に「複数名の外国人シェフが必要だ」と納得してもらえるものでなければならず、専門的かつ精緻な作成が求められます。

さらに、一度の申請で全員分の許可を得るには、書類の整合性や説得力が重要です。雇用理由書に記載する営業体制や必要人員の説明と、事業計画書で提示する収益見込みや経費計算は完全に一致している必要があります。また、これらを支える証拠書類(店舗図面、メニュー表、営業実績データなど)が不足していたり、説明内容に不備があると、申請はスムーズに進まず、最悪の場合は不許可となるリスクもあります。一人で対応するには時間がかかり、手間も非常に大きい作業です。

こうした難易度の高い複数名同時申請を成功させるためには、入管手続きに精通した専門家のサポートを受けることが最善の方法です。行政書士は、技能ビザ申請に必要な書類を適切に作成し、審査官に伝わりやすい形で整理するプロフェッショナルです。依頼することで、準備にかかる時間や労力を大幅に削減できるだけでなく、不備やミスによる再申請のリスクも回避できます。

特に、複数名の申請を一度に成功させるためには、計画的かつ緻密な準備が不可欠です。「1回で全員の許可を得たい」「店舗運営を滞りなく進めたい」とお考えの方は、ぜひ専門家にご相談ください。適切な証拠と説明があれば、複数名の外国人シェフ採用は十分に実現可能です。行政書士のサポートを活用して、確実な技能ビザ取得を実現しましょう!

まずはお気軽にご相談ください。あなたの店舗に最適な解決策を提案させていただきます。ご相談は、電話またはメールでご予約いただければ、迅速に対応いたします。また、直接事務所にお越しいただくことも可能です。ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として活躍する外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、技能(調理師)ビザ申請に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。

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