ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

私は主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いを行っています。近年の、日本社会のグローバル化に伴い、日本の企業で働く外国籍の方の数は増えています。外国籍の方が日本の職場で働き、人との出会いが増えれば、日本人従業員の方との社内恋愛・そして結婚をされる方も増えてきております。そんなわけで、当事務所では、国際結婚の手続き、日本人の配偶者等の在留資格(ビザ)の取得に関するお問い合わせも、たくさんいただいております。

今回は、日本語が話せなくても配偶者ビザ=「日本人の配偶者等」の在留資格を取得できるのか?について解説していきます。

はじめに

外国籍の方が日本で結婚をし、街中に出かけて買い物をしたり、近隣地域の住民の方とコミュニケーションをとったりといった社会生活を行う以上、日本語は出来るに越したことはなく、むしろ出来ないことによるマイナス面の方が大きいと言わざるを得ないでしょう。

一方、「日本人の配偶者等」の在留資格の申請手続きをするにあたって、日本語力は必要とされているのでしょうか? 

その答えは、それぞれに夫婦によって異なりますが、日本語が全くできないからと言って在留資格の取得や変更が不許可になるということはありません。

日本語力はどのように審査されるのか?

出入国在留管理庁の審査官が審査を行うにあたって、日本語に関してはどのような観点で審査をしているのでしょうか。

在留資格の申請を行う際に、「質問書」を提出するのですが、この中に、「3.夫婦間の会話で使われている言語についてお尋ねします。」という項目があります。ここで聞かれている質問事項を確認していきます。

(1)「日常、ご夫婦の会話に使われている言葉は何ですか。」

(2)お互いの母国語は何ですか? 外国人配偶者と日本人側それぞれが母国語を答えます。

(3)外国人配偶者は、日本人側の母国語をどの程度理解できますか?

(4)日本人側は、外国人配偶者の母国語をどの程度理解できますか?

   【難しい=通訳が必要 / 筆談=挨拶程度 / 日常会話程度は可能 /  会話に支障なし】

(5)外国人配偶者が日本語を理解できる場合は、いつ、どのように学んだのか、具体的に記載してください。

(6)お互いの言葉が通じない場合、どのような方法で、意思の疎通を図っていますか?

   通訳者がいた場合は、通訳者の氏名・住所・国籍を記入します。

という6つの質問で、夫婦間の共通言語や、お互いの言語能力に関して確認されます。

外国人配偶者が日本語ができない場合

例えば、

(1)で、夫婦間で使う言語が、「英語」や「中国語」など、日本語以外である場合や、

(4)で、日本人側が外国人配偶者側の母国語に関して、「会話に支障なし」と回答し、夫婦間で使用する言語も、外国人配偶者側の母国語の場合は、

外国人配偶者は日本語が出来なくても意思疎通は可能であり、夫婦生活を営むにあたって問題がないと判断されるでしょう。特に、日本語以外の言語を使う場合には、日本人配偶者側の言語能力を証明する書類、例えば、英語であれば、英検やTOEICのスコア証明書、その他言語であれば語学検定の合格証や、語学学校の修了証書、現地大学の卒業証書などを添付書類として提出することで、日本人側の外国語能力を客観的に証明する有力な補足資料となります。

外国人配偶者が日本語ができる場合

また、外国人配偶者が日本語が出来る場合は、(3)で日本人配偶者の母国語(日本語)の理解が「日常会話程度は可能」や「会話に支障なし」といった回答になります。そして、その裏付けとして(5)に、いつどのように日本語を学んだかを具体的に記入することになります。(5)には、例えば、「日本渡航前に母国の日本語学校で2年間学んだ」とか、「来日後、都内の日本語学校に1年間在籍した」という内容を記載します。もし、日本語能力検定の合格証や、日本の大学の卒業証書などがあると、日本語能力を客観的に証明する有力な資料となりますので、添付書類として申請書類と一緒に提出すると良いでしょう。

お互いの言語での意思疎通が難しい場合

一方、(1)で会話に使う言語を「日本語」と回答したにもかかわらず、(3)で外国人配偶者が日本語の理解が「難しい」や「筆談」の場合であったり、(1)で会話に使う言語を「外国人配偶者の母国語」と回答したにもかかわらず、(4)で日本人側がその言語の理解が「難しい」や「筆談」の場合には、出入国在留管理庁の審査官でなくても、この夫婦は日常生活をするのに、どうやって意思疎通やコミュニケーションをするのだろうか?同居して一緒に生活できるのだろうか・・・?と疑問に思う人は多いはずです。この観点から、「この夫婦は本当の実態を伴う結婚なのか?」と、結婚の信ぴょう性が疑われることになってしまいます。

そのような場合は、(6)で言葉が通じない場合、どのように意志疎通を図っているかを具体的に記載することで、審査官を納得させられるような説明が必要になります。最近では、翻訳アプリや翻訳機を活用されている夫婦が多いようです。ただ、それに頼っているという説明だけでなく、日本語や外国人配偶者の言語を学び、お互いの言葉が理解できるように努力しているということを示すこと、例えば、語学学校や講座を受講していること等、も、場合によっては有効な説明になってくると思われます。もし、ご夫婦がお見合いやご紹介などで出会い、通訳者がいる場合などは、その人の詳細を書く欄に記入することで、コミュニケーションに関する信ぴょう性を高めます。

ちなみに、夫婦間のコミュニケーションに関しては、交際や結婚を裏付ける書類として、Lineやメールでの通信記録を提出することになります。審査官は、これらを見れば、夫婦それぞれの言語能力やコミュニケーションレベルが理解できます。よって、この質問書の言語に関する項目に関しては、良く見せようとして出来る方の回答をするのではなく、飾らず、見栄を張らずありのままの状態を回答した方が、審査官の心証は良くなるのではないかと思われます。

まとめ

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて愛し合い、幸せな家庭を気づきたいと思うご夫婦を、全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、私たちは国際結婚できるの?といった条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。