沖縄県で、留学ビザを持つネパール人男性が「資格外活動」の疑いで逮捕されたというニュースが報じられました。
報道によると、専門学校を除籍となった後も、那覇市内の飲食店で就労を続けていたとされています。
このニュースを見て、
「留学生がアルバイトしていただけでは?」
「本人だけの問題では?」
と感じた企業担当者も少なくないかもしれません。
しかし、実際にはこの問題、外国人本人だけでなく、雇用していた企業側にも重大な責任が及ぶ可能性があります。
特に近年は、外国人雇用に対する入管・警察のチェックが厳格化しており、
「知らなかった」
「本人が大丈夫と言っていた」
では済まされないケースが増えています。
本記事では、行政書士の立場から、
・そもそも資格外活動とは何か
・留学生が働ける範囲
・企業側の法的リスク
・実際によくある違反事例
・外国人雇用で絶対に押さえるべき確認ポイント
について、実務ベースで詳しく解説します。
そもそも「資格外活動」とは?
資格外活動とは、現在持っている在留資格で認められていない仕事を行うことを指します。
例えば、「留学」の在留資格は、本来“勉強すること”を目的とした在留資格です。
そのため、原則として就労は認められていません。
ただし、多くの留学生は「資格外活動許可」を取得することで、一定範囲内のアルバイトが認められています。
留学生アルバイトの基本ルール
留学生がアルバイトできる条件は、主に以下の通りです。
・週28時間以内
・学校に在籍していること
・風俗営業関連は不可
・本来の活動(学業)が継続していること
つまり、「留学」の実態が失われている場合、資格外活動許可も実質的に成り立たなくなります。
今回のケースでは、専門学校を除籍となっていたとの報道があります。
除籍後は、そもそも“留学生”としての活動実態がなくなるため、アルバイトを継続すれば資格外活動違反となる可能性が極めて高くなります。
実は企業側も処罰される可能性がある
ここが非常に重要です。
外国人本人だけが問題になると思われがちですが、企業側にも「不法就労助長罪」が成立する可能性があります。
不法就労助長罪とは?
不法就労と知りながら外国人を働かせたり、確認を怠った場合、雇用主側も処罰対象となります。
具体的には、
・3年以下の懲役
または
・300万円以下の罰金
が科される可能性があります。
しかも、実際には企業名が公表されるケースもあり、
・企業イメージ低下
・採用活動への悪影響
・取引先からの信用失墜
・行政調査
・在留資格申請への悪影響
など、経営リスクは極めて大きいのです。
「在留カードを見た」は免罪符にならない
外国人雇用で非常に多い誤解があります。
それは、
「在留カードを確認したから大丈夫」
という考え方です。
しかし、実務上はそれだけでは不十分です。
例えば、
・在留期限切れ
・資格外活動許可なし
・除籍済み
・出席率不足
・退学後
・転校未実施
・活動実態なし
など、表面的には分かりづらいケースが多数あります。
つまり、“カードがある=適法”ではありません。
特に留学生雇用では、
「今も本当に学校へ通っているか」
の確認が極めて重要になります。
実際に増えている外国人雇用トラブル
近年、外国人労働者は急増しています。
人手不足の影響もあり、
・飲食業
・介護
・宿泊業
・建設業
・コンビニ
・農業
など、多くの業界で外国人雇用が一般化しています。
一方で、企業側の理解不足も深刻です。
実際の相談では、以下のようなケースが非常に多く見られます。
ケース1:資格外活動時間オーバー
「本人が管理していると思っていた」
これは最も多いパターンです。
しかし、複数アルバイトを掛け持ちしている場合、合算で週28時間を超えると違反になります。
企業側が把握できていなかったとしても、リスクはゼロではありません。
ケース2:退学・除籍後も雇用継続
今回のニュースと同様です。
学校を辞めた時点で、留学の在留資格の前提が崩れます。
しかし、本人から申告がなく、そのまま働き続けるケースは少なくありません。
ケース3:更新不許可後の就労
在留期限切れに気づかず勤務継続していたケースです。
特に繁忙期の現場では、管理が後回しになりやすく、非常に危険です。
なぜ企業は見抜けないのか?
理由は単純です。
外国人雇用は、想像以上に制度が複雑だからです。
在留資格は種類も多く、
・技術・人文知識・国際業務
・特定技能
・技能実習
・留学
・家族滞在
・永住者
・定住者
など、それぞれ働ける範囲が異なります。
さらに、
・更新状況
・転職状況
・所属機関変更
・活動実態
・資格外活動許可
など、確認項目は非常に多岐にわたります。
つまり、現場担当者だけで完全対応するのは、かなり難しいのです。
外国人雇用で企業が今すぐやるべきこと
では、どうすればリスクを回避できるのでしょうか。
最低限、以下は必須です。
1. 在留カードの定期確認
採用時だけでは不十分です。
更新期限管理も含め、定期確認体制を整備しましょう。
2. 学生証・在学確認
留学生の場合、
「本当に在学中か」
を確認する必要があります。
出席状況確認まで行う企業も増えています。
3. 就労可能時間の管理
シフト管理だけでなく、掛け持ち有無のヒアリングも重要です。
4. 雇用前の専門家チェック
最も安全なのは、採用前に行政書士など専門家へ確認することです。
特に、
・初めて外国人を雇う
・在留資格が複雑
・転職直後
・留学生採用
・家族滞在
・特定技能
などは、事前確認が極めて重要です。
「知らなかった」では会社を守れない時代
外国人雇用は、今後さらに増加します。
一方で、法令違反への監視も年々厳しくなっています。
実際、入管は企業側の管理体制を重視しており、
「適切な確認をしていたか」
が重要視されます。
つまり、
問題発生後では遅いのです。
特に中小企業では、
「人手不足だから急いで採用した」
「紹介会社に任せていた」
というケースが多く見られます。
しかし、最終責任を負うのは雇用企業です。
外国人雇用は、
“採用できれば終わり”
ではありません。
在留資格管理まで含めて、初めて適法雇用と言えます。
行政書士を活用するメリット
外国人雇用は、単なる採用業務ではありません。
入管法・在留資格・更新管理・雇用実態など、専門知識が必要です。
行政書士に相談することで、
・採用前チェック
・在留資格確認
・更新管理
・変更申請
・不法就労リスク対策
・社内体制整備
などを包括的にサポートできます。
特に、外国人雇用を継続的に行う企業ほど、専門家との連携は重要になります。
トラブルが起きてからではなく、
“起きる前”の対策こそが、企業防衛につながります。
まとめ
今回の沖縄県の逮捕事例は、決して他人事ではありません。
外国人本人だけでなく、企業側にも重大な責任が及ぶ可能性があります。
特に留学生アルバイトは、
「資格外活動許可があるから安心」
ではなく、
・在学状況
・労働時間
・活動実態
まで含めた確認が必要です。
外国人雇用は、適切に行えば企業にとって大きな力になります。
しかし、制度理解が不十分なまま進めると、経営リスクにも直結します。
だからこそ、採用前・雇用中の適切なチェック体制が不可欠です。
もし、
「この在留資格で働けるのか分からない」
「留学生採用が不安」
「今の管理方法で問題ないか確認したい」
という場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
外国人雇用は、“なんとなく”で進めてはいけない時代です。
