▼この記事の要点
・出入国在留管理庁がSNSを活用した不法残留・不法就労の摘発強化方針を発表
・AIや民間分析ツールを導入し、来年以降の運用開始を目指す
・摘発対象は外国人本人だけでなく、雇用企業・あっせん事業者にも及ぶ
・企業に求められる4つのコンプライアンス対策を行政書士が解説

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【1. はじめに|入管行政が「待ち」から「攻め」へ転換する】

ビザ申請・在留資格申請を専門とする行政書士として、日々多くの企業様、そして日本で暮らす外国人の方々からご相談をいただいております。

2026年5月17日、読売新聞オンラインが報じたニュースは、外国人雇用に関わるすべての方にとって極めて重要な内容でした。

出入国在留管理庁(入管庁)が、不法に残留・就労している外国人の摘発を強化するため、SNSを活用した情報収集・分析に乗り出す方針を固めたのです。

これまでの入管行政は、本人の出頭や警察からの情報提供を契機とした「受動的」な対応が中心でした。しかし今後は、入管庁自らが能動的にSNS上の情報を収集・分析する「攻めの摘発」へと舵を切ります。

本記事では、行政書士の視点から、このニュースが意味するところと、外国人を雇用する企業様、そして在日外国人の皆様が今すぐ取り組むべき対策について、詳しく解説していきます。

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【2. 入管庁の新方針|SNS×AIによる情報収集の中身】

■ なぜSNS分析なのか

近年、SNS上では以下のような違法情報が拡散しています。

・在留資格に関係なく雇うとうたう違法な求人広告
・「高収入」「身分証不要」などを謳う闇バイト的な就労募集
・在留カードや旅券の偽造に関する情報
・偽装結婚や偽装認定申請のあっせん情報

これらは従来、警察や入管職員が個別に発見するしかなく、把握には限界がありました。

■ AI・民間分析ツールの導入

入管庁は、人工知能(AI)や民間の分析ツールを導入し、SNS上に拡散する違法情報を体系的に収集・分析する計画です。運用開始は2027年以降を目指しているとされています。

これにより、これまで把握できなかった「あっせん事業者」や「雇用主」の存在が、デジタル上の足跡から浮かび上がってくる可能性があります。

■ 地方自治体との連携強化

地方自治体では、不法事案に関する住民からの相談が増加しており、入管庁は地方の相談窓口拡充も検討しています。実際、不法就労者が全国最多のある県では、悪質業者の通報に対する報奨金制度も導入されています。

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【3. 数字で見る現状|不法残留・摘発の実態】

入管庁の発表によれば、

・2025年の摘発者数:1,837人(前年比459人増)
・2026年1月1日時点の不法残留者:68,488人(前年同時期比6,375人減)

不法残留者数は減少傾向にあるものの、摘発件数は増加しています。これは、入管庁の取り締まりが厳格化していることを明確に示しています。

そして重要なのは、不法残留者の多くが「生活費を稼ぐために就労している」という実態です。つまり、不法残留と不法就労は表裏一体の問題であり、それを支える(あるいは利用する)雇用主の存在が必ずあるということになります。

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【4. 不法就労助長罪とは|知らなかったでは済まされない重大な罪】

■ 法律の条文を確認

出入国管理及び難民認定法(入管法)第73条の2は、不法就労助長罪を以下のように定めています。

・事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
・外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
・業として、外国人に不法就労活動をさせる行為にあっせんした者

これらに該当した場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれらが併科されます。

■ 「知らなかった」は通用しない

2024年6月の入管法改正により、不法就労助長罪は「過失犯」も処罰対象となりました。

つまり、雇用主が「不法就労だと知らなかった」場合でも、確認を怠った過失が認められれば処罰されるのです。

これは雇用する側にとって、極めて重要な変更点です。

■ 企業が受ける実質的なダメージ

刑事罰だけではありません。

・技能実習・特定技能の受入れ停止
・公共事業からの排除
・取引先からの信用失墜
・メディア報道によるレピュテーション低下
・既存外国人材の士気低下と離職

これらの間接的ダメージは、罰金300万円をはるかに上回るインパクトを企業にもたらします。

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【5. 企業が今すぐやるべき4つのコンプライアンス対策】

■ 対策1:在留カードの原本確認と真贋チェック

採用時には必ず在留カードの「原本」を確認してください。コピーやスマホ画面の提示だけでは不十分です。

入管庁が公開している「在留カード等読取アプリケーション」を活用すれば、ICチップ情報を読み取って真贋確認ができます。偽造在留カードはSNS上で売買されており、年々精巧になっているため、目視確認だけでは見抜けないケースが増えています。

■ 対策2:在留資格と業務内容の整合性確認

在留資格には、それぞれ認められた活動範囲があります。

例えば、

・「技術・人文知識・国際業務」→ 単純労働は不可
・「技能」→ 認められた分野以外の就労は不可
・「留学」→ 資格外活動許可があっても週28時間以内のアルバイトのみ
・「家族滞在」→ 資格外活動許可が必要、週28時間以内

実際の業務内容と在留資格が一致しているかを必ず確認してください。

■ 対策3:在留期間の管理体制構築

在留期間の満了日を一覧管理し、満了の3ヶ月前から更新手続きの準備を始める体制を整えましょう。

更新を忘れて在留期間を超過すると、その外国人材は不法残留者となり、雇用継続は不法就労助長罪のリスクを生みます。

■ 対策4:外国人雇用状況届出の徹底

外国人を雇用した際、または離職した際は、ハローワークへの「外国人雇用状況届出」が義務付けられています(雇用対策法第28条)。

この届出を怠ると、30万円以下の罰金が科されます。基本ですが、意外と漏れているケースが多い項目です。

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【6. 在日外国人の皆様へ|SNS求人の落とし穴】

在日外国人の方々にも、ぜひ知っていただきたいことがあります。

SNS上の「在留資格不問」「身分証不要」「日払い高収入」といった求人広告は、ほぼ間違いなく違法です。

これらに応募してしまうと、

・資格外活動違反による在留資格の取消
・退去強制処分(=日本から強制退去)
・5年間の上陸拒否(=再入国不可)
・将来の永住申請への重大な悪影響

といったリスクを負うことになります。

特に、留学生の方の「週28時間ルール」超過は、本人にとって極めて深刻な結果をもたらします。一見、軽い違反に見えても、在留資格の更新時に発覚し、不許可となるケースが後を絶ちません。

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【7. 「グレーゾーン」を放置しないことが最大のリスク管理】

行政書士として日々ご相談を受ける中で、最も多いのが「これって大丈夫ですか?」というご相談です。

そして、グレーゾーンを放置している企業ほど、後から大きな問題に発展する傾向があります。

入管庁のAI×SNS分析体制が本格稼働すれば、これまで見過ごされてきた事案も次々と表面化することが予想されます。

「うちは大丈夫」と思わず、一度、専門家の目で社内体制をチェックすることを強くおすすめします。

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【8. まとめ|変化の時代に備える】

・入管庁がSNS×AIで不法就労摘発を強化する方針
・摘発対象は外国人本人だけでなく雇用企業・あっせん業者にも及ぶ
・不法就労助長罪は過失でも処罰対象、3年以下の懲役または300万円以下の罰金
・企業は在留カード確認、資格と業務の整合性、期間管理、雇用状況届出の4点を再点検
・在日外国人もSNS求人には細心の注意を

外国人材は、これからの日本社会を支えるかけがえのないパートナーです。だからこそ、適正な雇用管理は企業の責務であり、外国人ご本人にとっても日本での安定した生活を守る土台となります。

当事務所では、外国人雇用に関する社内体制整備、在留資格の適正性診断、各種ビザ申請のサポートを行っております。ご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

▼参考記事
https://news.yahoo.co.jp/articles/3100432899344cc053df3e429347eb3ca651cc2d