2026年5月21日、参議院法務委員会において、移民政策の第一人者である近藤敦・名城大学教授が、日本社会のあり方を問う重要な発言を行いました。「外国人比率が増えて困るならば、日本国籍を取得しやすくすべきだ」というこの提言は、単なる学者の理想論ではなく、G7諸国の動向を踏まえた現実的な統合戦略の提案です。本記事では、ビザ申請・在留資格申請・帰化申請を専門とする行政書士の視点から、このニュースの本質を読み解き、在日外国人の皆さま、そして外国人材を雇用する企業経営者・人事担当者の皆さまが今後どのような備えをすべきかを整理します。

【参院法務委員会で何が議論されたか——ニュースの正確な理解】

2026年5月21日、参議院法務委員会の参考人質疑に登壇した近藤敦教授は、法務省出入国在留管理政策懇談会の委員も務める移民政策の専門家です。参政党・安達悠司議員の質問に対し、近藤教授は次のように述べました。「外国人比率が10%台にならないためには、もっと国籍を取る人が増えていかなければならない」。
この発言の背景には、人口減少が進む日本において、社会の担い手をどう確保するかという根源的な問いがあります。近藤教授は対策として、①子育て政策、②ロボット・AIの活用、③外国人材の受入れ——の3点を挙げ、特に③については「日本語をしっかり学び、日本のルールを理解した方に国籍を取得してもらう」という統合モデルを提示しました。

【カナダ・ドイツに学ぶ「国籍取得型統合」のリアル】

近藤教授が引き合いに出したのが、カナダとドイツの事例です。カナダは外国生まれの住民が人口の20〜30%を占めますが、「外国人比率」は10%未満にとどまります。これは、移住者の多くがカナダ国籍を取得し、社会の正規メンバーとして組み込まれているためです。ドイツも長らく複数国籍を認めてきませんでしたが、近年法改正を行い、複数国籍を容認する方向に転じました。これにより、長期居住者の国籍取得が促進されると見込まれています。
日本においても、帰化制度は存在しますが、原則として日本国籍取得時に元の国籍を喪失する「単一国籍主義」が採られています。これが帰化を躊躇する大きな要因のひとつです。本人にとって「祖国の国籍を捨てる」という重い決断を伴うためです。

【永住と帰化、何が違うのか——行政書士が解説する制度の本質】

在日外国人の方からよくいただく質問が、「永住権を持っているから、帰化までは必要ないですよね?」というものです。確かに、永住者は在留期間の更新が不要で、就労にも制限がありません。しかし、永住と帰化には、実は大きな違いがあります。
第一に、参政権の有無です。永住者には国政選挙・地方選挙ともに選挙権がありませんが、日本国籍を取得すれば選挙権・被選挙権が得られます。

第二に、退去強制リスクです。永住者であっても、一定の犯罪を犯せば退去強制の対象となり得ますが、日本国籍者にその心配はありません。

第三に、パスポートです。日本のパスポートはビザなしで渡航できる国・地域の数が世界トップクラスで、ビジネスでも観光でも大きなアドバンテージとなります。第四に、お子さまの将来です。帰化前に生まれたお子さまと帰化後に生まれたお子さまでは、国籍の取り扱いが異なる場合があります。

【帰化申請の実務——準備すべきこと、つまずきやすいポイント】
帰化申請は、法務局への申請から許可まで、おおむね10ヶ月〜1年半を要します。必要書類は本国書類・日本での生活実態を示す書類など多岐にわたり、書類だけで段ボール一箱に及ぶケースも珍しくありません。
帰化の要件は、国籍法第5条に定められており、①住所要件(引き続き5年以上日本に住所を有すること)、②能力要件(18歳以上で本国法上の能力を有すること)、③素行要件(素行が善良であること)、④生計要件(自己または生計を共にする配偶者等の資産・技能で生計を営めること)、⑤重国籍防止要件(無国籍または日本国籍取得により国籍を失うべきこと)、⑥憲法遵守要件、⑦日本語能力(小学校3年生程度以上)——です。
特につまずきやすいのは、税金・年金の納付状況、交通違反歴、そして「日本社会との結びつき」の説明です。会社員の方であれば源泉徴収票で済むことも多いのですが、自営業の方は確定申告書類の整備が不可欠です。

【外国人を雇用する企業の経営者・人事担当者が今すべきこと】

人材獲得競争が激化する中、優秀な外国人材ほど「この国で家族と長く暮らせるか」をシビアに判断しています。会社として在留資格・永住・帰化に関する基本知識を持ち、社員の人生設計に伴走できる体制を整えることは、もはや福利厚生ではなく経営戦略です。
具体的には、

①外国人社員向けの定期的な制度説明会、

②在留期間更新時のリマインド体制、

③永住・帰化を目指す社員への必要書類(在職証明書、給与証明書等)の迅速な発行体制、

④コンプライアンス研修の充実——などが挙げられます。

特に、在留資格の更新や変更に関するミスは、最悪の場合、社員が日本に在留できなくなる事態を招きます。専門家との顧問契約を通じて、こうしたリスクを未然に防ぐ仕組みづくりが推奨されます。

【在日外国人がこれからの10年で考えるべきライフプラン】

2026年現在、日本の外国人住民は約330万人を超え、過去最多を更新し続けています。今後、制度面でも社会面でも、外国人住民への期待と要求は高まっていくでしょう。在日外国人の皆さまにとって重要なのは、「永住でいくのか、帰化まで進むのか」というキャリア・ライフ戦略を、早期に検討することです。
お子さまの教育、住宅ローン、起業、相続——いずれのライフイベントも、在留資格や国籍によって取り得る選択肢が変わります。「今困っていないから後回し」ではなく、5年後・10年後を見据えて、専門家と一緒にプランを設計することをおすすめします。

【行政書士に相談するメリット——なぜ自分で申請するより専門家に頼むべきか】

帰化申請も永住申請も、本人が自分で行うことは可能です。しかし、書類不備による補正、面接での想定外の質問、過去の交通違反の取扱いなど、専門家でなければ判断が難しい場面が多々あります。
行政書士は、申請取次資格を持つ者であれば、入管申請の代理が可能です(帰化申請は本人出頭が原則ですが、書類作成のサポートは可能です)。当事務所では、初回相談を無料で承り、個別事情を伺ったうえで、永住か帰化かを含めた最適戦略をご提案します。

【まとめ——「制度を待つ」のではなく「制度を使いこなす」時代へ】

近藤教授の発言は、これから日本が「閉じる」のか「開く」のかを問う、象徴的な議論の入り口です。制度がどう変わるかは政治の判断ですが、私たち一人ひとりが取り得る選択肢は、現行制度の中にも豊富にあります。在日外国人の皆さま、そして外国人材を雇用する企業の皆さまが、ニュースを「他人事」ではなく「自分ごと」として整理し、今後10年のライフプラン・経営戦略を設計していくこと——それこそが、これからの時代を生き抜く最大の備えです。当事務所は、皆さまの一歩を、専門家として全力で伴走いたします。