ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、日本に中長期に在住している外国籍の方が取得を希望することが多い、永住ビザの申請書に関して解説をします。私の事務所でも、永住ビザに関するお問い合わせが一番多いです。既に別の記事でも解説をしていますが、永住ビザ(在留資格)を取得するためには、日本国内で一定期間以上居住していることが条件となっています。よって、日本のビザを新規に取得する方が、いきなり永住を取得することは出来ません。これらの永住ビザの条件に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事(日本語版英語版)でご確認ください。今回の記事では、申請書の具体的な記入方法に関して解説をしていきます。

永住許可申請書に関して

永住許可申請書は、永住を申請するときのみに使います。新規に在留資格を取得する場合、現在のビザの期間を延長する際、ビザの種類を変更する場合、の3つのケースに関しては、それぞれのビザの種類によって申請書が異なりました。今回の永住許可申請書は1種類のみで、現在のビザの種類にかかわらずみな同じ書類を使って永住の申請をすることとなります。

具体的な記入方法

ここからは、この申請書の記入方法のポイントを解説していきます。

まず、記入にあたっての大前提として、嘘偽りなく正確に記載をすること。また、不都合なことや不利益なことを隠すために、あえて記載しないということは絶対に避けて、質問書で聞かれている事実を、あるがままに正確に記載してください。また、全ての項目に記入をし、空欄のままにするのは避けましょう。記入事項がない、若しくは該当しない場合は、「なし」と記入をしてください。そうでないと、単なる書き忘れなのか、それとも記入することがないのか、審査官が判断に迷い、不利な解釈をされてしまう可能性もあります。

1枚目(その1)

0)写真:縦4センチメートル,横3センチメートル

申請人本人のみが撮影されたもの

縁を除いた部分の寸法が,左記図画面の各寸法を満たしたもの
(顔の寸法は,頭頂部(髪を含む)からあご先まで)

  無帽で正面を向いたもの

  背景 (影を含む。)がないもの

  鮮明であるもの

  提出の日前3か月以内に撮影されたもの

  裏面に氏名が記載されたもの

写真だけでもこれだけの細かい規定があります。写真館で詳細をお伝えしたうえで撮影をしてもらえば間違いないと思われます。もしくは、スマホで撮影をして、コンビニプリントなどで印刷する方法でも構いません。その際には、印刷時のサイズ・余白設定の際には上記の数値を意識して、大きすぎ・小さすぎなどが無いようにしてください。

何よりも大事なのは、古い写真の使いまわしをしないことです。パスポートや以前の在留カードと同じ写真や、その他写真とも整合性がないくらい古いと思われるような写真の場合、窓口で書類を受理してもらえない可能性もあります。たかが写真と思わず、しっかりと準備をしてください。

1)国籍・地域:正式名称で記入をしてください。

中国は「中華人民共和国」、アメリカは「アメリカ合衆国」、ベトナムは「ベトナム社会主義共和国」など、通常略称で呼ばれている国に関しては注意が必要です。自信のない方は正式名称を調べてからご記入ください。  

2)生年月日:西暦で記入します     

3)氏名:苗字(Family name)、名前(Given Name)の順番で、パスポートに記入されている、ローマ字表記で記入します。名前を最初に書く欧米圏の方の場合、順番を間違えないように注意が必要です。なお、漢字も併記されている場合には、漢字も併せて記入をします。

4)性別:パスポートに記載されている性別を記入します

5)出生地:国名と都市名を記入します。

6)配偶者の有無:正式な婚姻関係のある配偶者の有無をチェックします

7)職業:現在の職業を記入します。

8)本国における居住地:国名と都市名を記入します。詳細な住所、番地までは記載不要です

9)居住地:日本で住んでいる場所=提出する住民票に記載されている住所を記入します。電話番号(家の電話)、携帯電話番号を記入します。家の電話を持たない人は「なし」と記入してください。

10)旅券:(1)パスポートの番号 (2)有効期限を西暦で記入

11)現に有する在留資格:現在保有している在留資格名と在留期間、在留期間の満了日を記入します。なお、この在留期間が3年もしくはそれ以上でない場合は、永住の申請は受け付けられません。

12)在留カード番号:現在所有している在留カードの番号を記入します。

13) 犯罪を理由とする処分を受けたことの有無 (日本国外におけるものを含む。)

処分の有無をチェックし、有の方はその詳細を記入してください。

★この項目に関しては、出入国在留管理庁は、データベースを持っていて調べれば全て分かるにも関わらず、あえて申請書に記入・申告させています。要は、嘘偽りなく事実を正確に申告しているか、虚偽の申請をしていないか、ということがチェックされているという前提で、この申請書を記入する必要があります。

14) 永住許可を申請する理由:この欄は2行しかないため、ここは簡単にまとめて、詳細は理由書を参照のこと、として別紙に詳しく記載します。理由書の書き方に関しては、こちらの記事で解説をしていますのでご参照ください。

15)上記と異なる国籍・地域、氏名、生年月日による出入国の有無

ほとんどの方が「無」になると思われますが、該当する方に関しては、その時の国籍・氏名・生年月日・直近の出入国年月日を記入します。

16)経歴

日本に入国後の、学歴と職歴を記載します。この欄には6行しかありませんので、多い場合、また詳細に記載したい場合には、「別紙参照」と記載して、別紙を添付します。

今回入国後の滞在年数:ここには、通算の日本滞在年数を記載します。原則として、一般の就労ビザから永住に変更する方は10年以上、日本人と結婚した方は3年以上、高度専門職の方は1年、もしくは3年となります。日本での住居要件に関しては、こちらの記事をご参照ください。

婚姻年月日:結婚の届出を行った年月日を記入します。日本人の配偶者として永住を申請する方は、結婚から3年以上日本に滞在している、若しくは、結婚期間が3年以上の方は、うち直近の1年間を日本に滞在していることが条件となります。このカウントのスタートする年月日として非常に重要なものとなります。この日から3年以上経過していることが条件となります。この年月日は、日本人配偶者の方の戸籍謄本に婚姻の届出日が記載されていますので、それを正確に転記します。

2枚目(その2)

17)主たる生計維持者

(1)家庭内における、主な世帯収入の稼ぎ手(扶養者)の関係をチェックします。

結婚をされていない方の場合は、「本人」になるはずです。また、日本人と結婚されている場合、若しくは外国人同士のご夫婦の場合に関しては、ご自身が生計維持者の場合もあるでしょうし、配偶者の扶養に入っている方の場合は、「夫」もしくは「妻」となります。子供が永住を申請する場合には、「父」「母」のどちらかになります。

(2)勤務先

生計を維持する方の、「勤務先の名前・支店事業所名、所在地、電話番号」を記載します。

(3)年収

課税・納税証明書に記載されている所得額を記入します。

なお、この年収に関しては、明確な基準額を出入国在留管理庁は公表していませんが、過去の申請の目安額として、一人の場合300万円、扶養家族がいる場合は、一人当たり40万円追加というのが一般的に許可になる目安となっています。以下18)の在日親族の数が多い場合、その分年収が多くないと許可になりませんので注意が必要です。

18)在日親族及び同居者

例として記載されている、「父・母・配偶者・子・兄弟姉妹・祖父母・叔/伯父・叔/伯母など」が、日本にいる場合はもれなく記入。そして、同居者も記入します。

「続柄」「氏名」「生年月日」「国籍・地域」「同居予定の有無」「勤務先名称・通学先名称」「在留カード番号/特別永住者証明書番号」を記入します。なお、親族が多くてこの欄に記載しきれない場合は別紙を添付して、全てもれなく正確に記入してください。

※18)に関しても、出入国在留管理庁はデータベースで在日外国人の登録・管理を行っていることから、これを調べれば全て分かるにも関わらず、あえて申請書に記入・申告させています。これも、嘘偽りなく事実を正確に申告しているかがチェックされていると言えます。

19)在日身元保証人

(1)氏名、(2)国籍・地域、(3)住所・電話番号・携帯番号、(4)職業、(5)申請人との関係をチェック

※永住申請には、身元保証人が必ず必要です。日本人、もしくは外国人の場合は永住の在留資格を持つ人になります。その他の要件は定められていませんが、身元保証書の内容からも、一般的に定職についていて、安定した収入のある方が良いです。17)の主たる生計維持者が、日本人の配偶者の場合は、その方と同一人物になる場合もあります。

20)代理人

(1)氏名、(2)本人との関係、(3)住所、電話番号、携帯番号 を記入します。

永住申請は、日本に住んでいる外国籍の方が対象になりますので、原則として代理人ではなく、本人が書類を記載し、記名(サイン)をすることになります。このような場合20)は記入不要です。唯一の例外としては、未成年者の子の場合は、保護者が法定代理人になることもあります。特に、親と一緒に幼少の子供の永住を申請する場合は、保護者が代理人にならざるを得ない場合もあります。

最後に、申請人(永住申請する外国人本人)の直筆署名と、申請書作成年月日を記入します。

まとめ

いかがでしたでしょうか?永住許可申請書の記載方法に関して解説をしてきました。この申請書は全部で2枚と記入量も少なく、特別難しいことや考えなくてはならない部分は少なく、事実を正確に、包み隠さずありのままに記載をすればよい内容となっています。16)の経歴や、18)の在日親族に関しては、面倒がらずに丁寧に、全て正確に記入してください。別紙履歴書や、住民票などを提出しますので、これらの書類との相違や矛盾が発生しないように、十分注意が必要です。また、主たる生計維持者の年収額は、永住許可の可否に直接影響する非常に重要なものになりますので、正確に記入をしましょう。

行政書士あけやま事務所は、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生活しようとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、就労ビザ取得に関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。