ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。

北海道で唯一の、観光業界とビザ申請に特化した行政書士として、主に、北海道の宿泊業や観光業で働く、外国籍従業員の方の在留許可申請、いわゆる就労ビザの、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

今回は、いわゆるホワイトカラー労働者の就労系の在留資格の代表的な「技術・人文知識・国際業務」(以下「技人国」)と、「高度専門職」、身分系在留資格の「永住」の3つを比較して、それぞれのメリットと優遇点を比較していきます。

はじめに 高度専門職ビザと優遇措置

「高度専門職」とは、「学歴」・「年収」・「職務経験」・「年令」等をポイント制度によって点数化して、70点を超えた方のみが申請できる在留資格です。高学歴・高年収の高度人材を日本に招聘することを目的としているため、通常の就労系在留資格と比べて、この在留資格の取得者にはメリットや優遇措置は、以下の7つが用意されています。

①複合的な在留活動の許容 /  ②在留期間「5年」の付与 / ③在留歴に係る永住許可要件の緩和 ④配偶者の就労 / ⑤一定の条件の下での親の帯同の許容 / ⑥一定の条件の下での家事使用人の帯同の許容 / ⑦入国・在留手続の優先処理

これらは、同じくホワイトカラー労働者の代表的な在留資格である「技人国」と大きく異なる部分であり、同様に在留期間が無制限の「永住」と比較すると、どのような違いやメリットがあるのかを見ていきます。

「技人国」・「高度専門職1号/2号」・「永住」 それぞれの違いとメリット

年収の要件

それぞれの在留資格を取得する際の、年収の要件を見ていきます。まず、「技人国」では、「同一の職務内容の日本人と同額以上」であることが、許可の条件になっており、具体的な金額は提示されてはいません。しかし、同一の職務内容を行う際には、外国人だからと言うことを理由に賃金を低くすることはできません。一方、「高度専門職」に関しては、(イ)の高度学術研究分野のみ、年収の基準額は設定されていませんが、そのほかの(ロ)(ハ)に関しては、年収300万円以上ない場合は、他の要件を満たしていても「高度専門職」の在留資格は取得することはできません。また、「永住」へ在留資格を変更する場合は、年収300万円以上+扶養者一人当たり70万円、という目安があります。「高度専門職」、「永住」の2つは年収300万円という基準がありますが、扶養者の有無にかかわらず加算がない分、「高度専門職」の方が年収要件をクリアしやすいと言えます。

在留期間

「技人国」の場合は、企業の状況や契約形態によって、1年・3年・5年が与えられますが、初回の申請では1年間、更新の際に3年となるケースが多いようです。一方、「高度専門職1号」の方は、初回申請で5年間が与えられ、そして2号に移行した段階で無期限となります。この無期限は「永住」と同じ扱いとなります。

在留カードの有効期限

在在留カードの有効期限に関しては、「技人国」と「高度専門職1号」は、在留期限と同様に設定されており、在留資格を更新する際に、在留カードも更新され新たなカードが発行されます。一方、在留期間が「無期限」である「高度専門職2号」と「永住」に関しては、7年間という有効期限が定められています。7年間が経過すると、在留期間更新手続ではなく、在留カードの有効期間の更新という簡易的な手続きのみで済みます。

転職時の手続き

「永住」以外の在留資格では、会社を辞めたり、新しい会社に勤めたりした場合には、「所属機関に関する届出」が費用となります。また、「技人国」ビザを持っている人は、転職をして新しい会社に入社する場合には、「就労資格証明書交付申請」を行い、新しい会社での職務内容が、現在持っている在留資格の活動に該当することの証明を得ておくと、更新時に不許可になる可能性は低く安心して勤務を続けることができます。一方、「高度専門職1号」に関しては、パスポートに貼付された「指定書」に所属機関(勤務先の会社など)の名前が記載されていることから、転職をして勤務する会社が変わる場合には、同じ「高度専門職」の在留資格のままであっても、「在留資格変更申請」を行い、許可を得なければいけないことになっています。なお、「永住」に関しては、転職時に在留資格の変更等の手続きは不要です。

配偶者の就労

「技人国」の配偶者が就労しようとした場合、2つの方法があります、1つは「資格外活動許可」を取得してアルバイトを行うことです。この場合、1週間当たりの労働時間は28時間以内と制限があります。もしくは、配偶者の学歴や就業しようとする職務内容に合致した就労系在留資格を取得することで、正社員としてフルタイムの仕事をすることができます。一方、「高度専門職」の配偶者の場合、就労系在留資格を得なくても、「特定活動」の在留資格を取得することで、「研究」「教育」「技人国」「興行(の一部)」の職務内容に関して就労することができます。この特定活動を申請する際には、学歴や職務経験などの要件が緩和されることで、他の就労系在留資格よりも比較的容易に取得することができます。特定活動として行うことができます。ただし、この場合は「高度専門職」の方と同居しているということが原則となります。「永住」の方の配偶者に関しては、「永住者の配偶者等」の在留資格となり、就労制限はありません。

両親の呼び寄せ

「高度専門職1号/2号」の方のみに許可されている優遇措置です。ただし、年収が800万円以上で、7歳以下の子供の養育や、「高度専門職」の方ご自身若しくは配偶者が妊娠していて介護などが必要な場合等の一定の条件がある場合に限られます。残念ながら「永住」の在留資格を持つ人は、両親を呼び寄せることはできません。

家事使用人の帯同

これも「高度専門職1号/2号」の方のみに許可されている優遇措置です。ただし、年収が1000万円以上で、家事使用人に月額20万円以上の報酬を払うこと、家庭の事情があること、等、一定の条件がある場合に限られます。残念ながら「永住」の在留資格を持つ人は、家事使用人を帯同することはできません。

永住申請までの期間

「技人国」の在留資格を持つ人の場合、引き続き10年間日本に居住していて、そのうち申請の直近5年間は「技人国」の在留資格を持って働いていなければならないことになっています。一方、「高度専門職1号/2号」をもつ方の場合、高度専門職ポイントが70点以上80点未満の方は3年、80点以上の方は1年以上、引き続き日本に居住していればよいこととなっています。また、「高度専門職」以外では、日本人と結婚した方の居住要件が3年間です。高度専門職を持つ人は、別の在留資格の人たちと比べると、かなり「永住」申請がしやすく、優遇されていることがわかります。

入国・在留手続の優先処理

これは、「高度専門職」のみの特典として、出入国在留管理庁や入国に関する審査を優先的に行い、結果が出るまでの日数が大幅に緩和されています。

まとめ

今回、説明してきた①~⑨の項目で、外国人の方に魅力だと思われることは、「在留期間が5年」、「配偶者の就労制限が少なく働くことができる」、「永住のための住居要件の短縮」、「親を呼べる」の4点ではないかと思われます。特に、「親を呼べる」という優遇措置は「永住」にもない特典のため、「高度専門職」の在留資格を取得するメリットはかなり大きいと考えられます。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として生きていこうとする、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、高度専門職や在留への在留資格変更に関しての条件面、手続き面、ポイント計算に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。